アウトドアの達人が選ぶ! コスパ最高な登山道具たち

皆さんは「コスパ最強の登山道具」と聞いて、何を思い浮かべますか? 「コスパ」と聞くと「価格が激安で、品質はそこそこ…、まあ及第点かな」というレベルのものを想像される方も多いかと思います。でも、本当にそれは「コスパ最強」と言えるのでしょうか? 今回は「コスパ最強の登山道具の選び方」、そしてアウトドアの達人が経験から導き出した「コスパ最強の登山道具ブランド3選」についてお伝えします。

2020.06.25

YAMAP MAGAZINE 編集部

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「コスパ最強の登山道具選び」その真髄はアフターサービスにあり!

買い物の際に「コストパフォーマンス」を気にしない方はいないと思います。コストパフォーマンスとは、ご存知の通り「費用対効果」のこと。支払った費用と、それによって得られた効果のバランスを意味します。

つまり「支払った費用に対して、効果が大きければ、コストパフォーマンスは良い」、逆に「支払った費用に対して、効果が小さければ、コストパフォーマンスは悪い」ということになるわけです。

登山道具の「効果」と言えば、「デザイン」や「性能」、「耐久性」「アフターサービス」などが挙げられます。「デザイン」や「性能」については、購入時に店頭や公式サイト、口コミサイトで確認することができるのですが、実は意外と見逃しがちなのが「耐久性」や「アフターサービス」。

そのため、購入時に「耐久性」や「アフターサービス」を気にせずに決めてしまうと「コスパがいい買い物した」と満足していても、実は長い目で見た時に損をしている場合も…。

以下は例として、ある登山道具について、価格・耐久年数・アフターサービスに違いがある3つの商品を10年間使った場合の「コストパフォーマンス」を示しています。10年の間に耐久年数を迎えた場合は、同じものをあらためて購入すると仮定しています。

いかがでしょうか? 実際にはこの例ほど単純な話ではないかと思いますが「耐久年数」と「アフターサービス」次第では、初回購入時に高い買い物だったとしても、長い目で見ると「コスパ」がよくなることがお分かりいただけるかと思います。

特にアフターサービスについては、「永久修理保証」を実施しているブランドも複数あります。それは「一生ものとして、愛用して欲しい」という品質への絶対的自信を表していると言っても過言ではありません。つまり「コスパの良い登山道具」を選ぶためには「耐久性」と「アフターサービス」に注目する必要があるのです!

アフターサービスに定評! コスパ最強のブランド3選

それでは、「耐久性」「アフターサービス」が充実し、結果的にコスパが良くなるブランドにはどのようなものがあるのでしょうか? ここからは、ガイド歴25年を誇るYAMAPの専任ガイド、ひげ隊長のアドバイスをもとに紹介していきたいと思います。


YAMAPの専属ガイド、通称ひげ隊長こと前田央輝(まえだひろあき)。そのキャリアは、屋久島での海・山・川のガイドに始まり、鹿児島でのアウトドアショップ経営、YAMAPでのフィールド調査兼ガイドなど、実に25年の長きに渡る。現在でもYAMAPに所属していながら、1年の大半をフィールドで過ごす、筋金入りのアウトドアマン

“NANGA” コスパ最強、寝心地最高!「永久保証」シュラフ

ひげ隊長:アウトドア業界では超有名なNANGAの「シュラフ(スリーピングバッグ)永久保証」。シュラフの修理を永久保証してくれるというのは、非常に頼もしいよね。やっぱりアウトドアを本気で楽しんでいれば、 破れや焚き火による穴あき、水濡れなんかはどうしても発生してしまう。メンテナンスが必要になった時に修理してくれるのであれば、変に道具に気を使わず、思いっきりアウトドアを楽しめるのが嬉しいね。

国内工場で、経験豊富な職人が作り上げているため、正直、安くはない。ただし、一度買ったら、永久に使い続けることができる一生ものの「シュラフ」。しかも品質は折り紙付き。コスパ最強と言っても過言ではないと思います。

※永久保証はダウンを封入したモデルのシュラフ(スリーピングバッグ)にのみ有効であり、ダウンジャケットは有償での修理となるとのことです。また、破損内容によっては修理が有償になる場合や対応が不可能な場合もあります。詳細は公式Webサイトでご確認ください。

<NANGA(ナンガ)/オーロラライト 350 DX/レッド/UNISEX>

3シーズンの低山や夏のアルプスに最適なモデル(快適使用温度:5度 下限温度:0度)。アルプスなら夏、低山であれば3シーズンで快適に眠ることができます。優れた技術によって洗浄されるため、品質の悪いダウン特有の独特な臭いやよごれがほとんどないこともポイント。また、13cm×25cmとコンパクトにパッキングできるのも、ダウンならではの魅力です。価格は37,400円。一生使えるとなれば、コスパ最強のシュラフだと断言できます。

“DARN TOUGH” 登山用靴下の常識を変える「生涯保証」のタフネスソックス!

ひげ隊長:靴下は地面からの衝撃を和らげ、登山靴と皮膚の摩擦による擦傷も防いでくれる登山にはなくてはならない必需品。でも、使用環境の過酷さからか弾力性がなくなったり、生地がほつれてしまったりといったアクシデントも多いアイテムです。「靴下は消耗品」と考えている人も多いんじゃないかな。

その常識を根底から覆すブランドが、アメリカの老舗紡績メーカーが手掛けるダーンタフ。何がすごいかって、通常の使用で商品に穴が空いた場合、無償交換を生涯保証してるんよ。これは、耐久性への自信のあらわれだと思うね。ちなみに、このブランドの登山用靴下は、一般的なものと比較して耐久性が7倍もあるらしい。

1度購入すれば、長期間にわたり快適に使用でき、しかも万が一破れた場合には、生涯保証で交換してくれる。これはもう、靴下の革命!

※破損内容によっては対応が不可能な場合もあります。詳細は公式Webサイトでご確認ください。

<DARN TOUGH(ダーンタフ)/ハイカーブーツソッククッション>

「ダーンタフ ハイカーブーツソッククッション」は、ハイカットの登山靴と相性の良いブーツ丈のウール靴下。春〜冬の始まりまでの日帰り登山に向いている「中厚手」のモデルです。主な素材に、ニュージーランド産のメリノウールを使っているため、通気・速乾・防臭性能に優れています。また、ダーンタフ独自の高密度編みにより、驚異のクッション性を実現。地面からの衝撃を吸収し、靴擦れも防止します。

並外れた耐久性は、30,000回にも及ぶ摩耗テストにより実証済。もちろん通常の使用の範囲内で破れた場合は無償交換を受け付けてくれます。これだけの性能とアフターサービスが揃って3,080円。登山用靴下のカテゴリーにおいては圧倒的コスパと言えるでしょう。

”patagonia” 手厚いアフターサービスの裏にあるのは、ユーザーと地球への愛情

ひげ隊長:次に紹介するのは、自然保護活動などにも力を注ぎ、多くのアウトドアマンが愛してやまないpatagonia。僕も大好きです(笑)。最近では、アウトドアユースとしてはもとより、タウンユースとしても人気だよね。

自然を大切にする姿勢は商品のアフターサービスにもきっちりと生きていて、公式Webサイトには、各商品の修理内容や修理に掛かる費用がびっしりとリスト化されている。メーカーだからこその高品質の修理技術、そして良心的な修理価格は「さすがpatagonia」のひとこと!

有償修理の場合「こんなに修理費用がかかるんだったら、買い換えた方がいいな」なんてことも多いけどpatagoniaの場合は、明らかに「修理して使い続けたい」と思える価格設定。しかも、糸ほつれやボタン・バックルなどのパーツ交換、ウェアのジッパー補正といった簡単な修理は、無料保証の0円! 「patagoniaの商品をずっと愛用してもらいたい。そして地球環境に貢献したい」そういった作り手の想いが伝わってくるよね。

※破損内容によっては対応が不可能な場合もあります。詳細は公式Webサイトでご確認ください。

<パタゴニア(patagonia)/トレントシェル3Lジャケット>


patagoniaの商品群の中でも、これからの夏山登山にぜひ持っていきたい登山道具がこちらの「トレントシェル3Lジャケット」。独自開発したH2Noという素材を用いた王道のレインジャケットです。きわめて高い防水性能と内部からの湿気を排出する透湿性能を併せ持ち、日本の高温多湿な夏においても、快適な着心地を提供してくれます。

しかも、近年のレインウェアの流行でもある「止水ジッパー」を敢えて使わず「耐久性撥水加工を施したジッパー&雨風を防ぐための二層構造のフラップ」を採用、耐久性を重視した設計となっているのです。

もちろん破損した場合には修理が可能。価格は22,000円と少し高めですが、快適性・耐久性に優れ、良心的価格で修理できるとなれば、長期間にわたって、登山の安全を守ってくれるコスパ最強のレインウェアと言えます。

登山は長年に渡って楽しめる趣味。だからこそ良い道具とずっと一緒に

時に命を預け、そして共に山の思い出を作っていく登山道具たち。良い登山道具との出会いは、私たちの登山をより安全に、より快適に、そしてより素晴らしいものにしてくれるはずです。

その登山道具は、これからの長い登山人生を共に歩むに値するものか? 価格やデザインだけを見て購入していないか? 登山道具を購入する際には、自分の心に聞いてみると良いかもしれません。

登山道具に込められた作り手の想いや、登山道具を使って山に登る将来の自分を想像して、道具を選んでみてはどうでしょうか? そうすればきっと「ずっと、使い続けていきたいコストパフォーマンス最強の登山道具」に出会えるはずです。

YAMAP MAGAZINE 編集部

YAMAP MAGAZINE 編集部

登山アプリYAMAP運営のWebメディア「YAMAP MAGAZINE」編集部。365日、寝ても覚めても山のことばかり。日帰り登山にテント泊縦走、雪山、クライミング、トレラン…山や自然を楽しむアウトドア・アクティビティを日々堪能しつつ、その魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと奮闘中。