心拍数を把握して「脱・バテ登山」|スマートウォッチであなたの登山が変わる

これまで登山ではあまり注目されてこなかった「心拍数」という指標。しかし近年、スマートウォッチなどのデジタルツールが普及し、自身の心拍をより手軽に把握できるようになりました。

今回の記事では、山岳ライターの森山憲一さんが、スマートウォッチ「Amazfit(アマズフィット)T-Rex 3」の心拍モニタリング機能を活用して登山した様子をお届けします。登山で疲れやすい、と感じるあなた。「心拍数」に着目することで「脱・バテ登山」を目指しませんか?

なお、記事の最後にはYAMAPユーザー限定の「クーポンコード特典」と「モニター募集情報」もあります。ぜひ最後までお読みください!

2025.07.03

森山 憲一

山岳ライター/編集者

INDEX

突然ですが、自分の心拍数がどれくらいか、知っていますか?

健康に関心のある人なら知っているかもしれないし、自転車やランニングをしている人にとってはおなじみの数値でもあるそうなのですが、登山の世界ではあまり注意を向けられてこなかったように思います。

かくいう私も知りませんでした。自分の心拍数がどれくらいなのかはもちろん、心拍数なるものが通常どれくらいの数値になるのかも、見当すらつかないという状態でした。

ところが、スマートウォッチを使うようになって4年ほど。今では自分の心拍数はおおむね把握できています。

そして気づきました。心拍数を把握すると、自分の登山が変わります。あえて大げさに言えばそう感じています。

以前、日本一道迷いしやすい登山道で検証|スマートウォッチAmazfitが登山で使える理由とはという記事を書きました。スマートウォッチのナビゲーション機能が、道迷いしやすい登山道でどのように役立つのかを試してみたというものです。

今回は、スマートウォッチのもうひとつのメリットと私が信じる、「心拍数計測機能」に着目して山を歩いてみようと思います。

使用ウォッチ Amazfit T-Rex 3 心拍計、高度計、気圧計、GPS、電子コンパス、マップ表示、ナビゲーションなど、登山で必要なほとんどの機能を搭載したスマートウォッチ。今回の取材直前に大型アップデートが行なわれ、地図表示のクオリティがさらにアップした

奥多摩名うての急登で心拍数をチェック

やって来たのは、奥多摩・六ツ石山。かなりの急登で知られている山です。ここから標高差にして700mほど、怒涛の急登が待っています。今回も使用するのはAmazfit T-Rex 3。

出発前に腕に付けたAmazfit T-Rex 3のディスプレイ画面を見ると、心拍数は87でした。私の場合、平常時の心拍数は65〜70ほど。87という数値は平常時に近く、疲れはまったく感じておりません。「ライト」と記されているのは、ほぼ運動をしていない状態を示しています。

ところでなぜ腕時計で心拍数が測れるのか? それはウォッチ本体の内側に秘密があります。ここにセンサーが仕込まれており、光を発することで血流の状態を計測しています。そこで得られた情報を独自のアルゴリズムで演算処理して、心拍数をはじめとしたさまざまな生体データを算出しているわけです。

Amazfit T-Rex 3だけでなく、現代のスマートウォッチのほとんどはこういう構造になっています。

さて、登山道に入るとすぐに怒涛の急登が始まりました。傾斜は30度くらいありそうで、行く手が壁のように迫って感じられます。噂どおりかなりの急坂で、いきなり胸突八丁という感じ。

歩き出して10分ほどで、心拍数は118まで上昇しました。「有酸素」と表示されているのは、心肺機能の向上にもっとも効率的な心拍ゾーンであることを示しており、脂肪燃焼にも有効なゾーンです。私の場合、これくらいならまだ余裕であり、仲間とおしゃべりしながら登ることもまったく苦ではありません。

Amazfit T-Rex 3の場合、心拍数に応じて青から赤へと、段階的に表示色が変わっていきます。細かい数字を読み取らずとも、画面をチラッと見るだけで、現在の自分の心拍ゾーンを把握できるようになっています。

きつい登りはまだまだ続きます。相変わらず傾斜は激しいのですが、できるだけ息が上がらないようなペースを保って登っていきます。

そんな調子で休憩をはさみつつ2時間ほど登ると、ようやく急登の終わりが見えてきました。ここまでくると息は上がり、すでに話しながら歩くのはきつくなっています。

ここでAmazfit T-Rex 3を見ると、表示色がオレンジ色に。数値は141。「無酸素」と表示されていてドキッとしますが、これは筋力アップなどに効果の高い運動強度であることを示しています。ランニングをするとこのゾーンを推移することがよくあります。

私の場合、登山でこの「無酸素」ゾーンに入るとキツさを感じます。このゾーンで長時間歩き続けることは難しく、キツくて休憩を入れたくなったときに時計を見ると、だいたいここがオレンジ色になっているケースが多いです。

休憩を入れて落ち着いたのち、山頂目指して再び進みます。

山頂が近くなったところでちょっと実験。あえてMAXパワーでチャレンジし、フルスピードで登ってみました。

すると、「ピッ」という電子音とともに手首に振動が。Amazfit T-Rex 3を見るとこのような警告が表示されていました。心拍数は160。「安全な心拍数を超えています」とも記されています。

警告が消えるとこのような画面に。表示色は赤。レッドゾーンに突入していることが視覚的にもわかりやすい。私の場合、心拍数が150を超えるとこのレッドゾーンになります。

このゾーンまでいくことはあまりありませんが、無理してハイペースで歩いてしまったり、雪山登山でラッセルが続いたりしたときは瞬間的に150を超えることもあります。ただしこのゾーンになると本当にキツいので、よほどのことがないかぎり、そのまま歩き続けることはできません。

そうして無事、六ツ石山山頂に到着。残念ながらあたりは一面のガスで眺望はゼロ。

山頂で大休止した後、下りにかかりました。下山は一転しておだやかで歩きやすい道。ゆるやかな傾斜の登山道をのんびり歩いて帰りました。

スマートウォッチの活用で疲労度を把握しやすくなる!

さて、心拍数を見ながら1日山を歩いてみたわけですが、これの何がいいのか。

私を含めて多くの登山者は、登山中の疲労度を感覚的に把握していると思います。「疲れてきたから休憩しよう」とか「きついけどもう少しがんばろう」とか。そうやって自分の疲労度を調整している人がほとんどかと思います。

ところがそれは感覚的なものなので、狂いが生じることもあります。私の場合は単独登山のときに狂いがちです。人と話したりすることがないので黙々と歩いてしまい、知らず知らずのうちにハイペースになって、1日の後半にバテがきてしまうことがよくあります。

逆に、仲間のペースに合わせるためにいつも無理をしてしまって疲れてしまうという人もいるかと思います。

そういうときに、心拍数は身体的負荷を示す客観的な基準になってくれるのです。

歩いているときにウォッチを見たら思ったより心拍数が上がっていることに気づき、少しペースを落とそう…とか。

仲間と歩いているときに、「きついのでペース落として」と伝えるのは言いにくいけど、「心拍数がこれ以上上がるとよくない」というのは少し言いやすい…とか。

そうやって、体感だけでなく、客観的な指標でも自分の体の状態を把握できる。これが、心拍数を把握して登山することのメリットだと感じています。

心拍数は効率のよいペースの指標になる

心臓をエンジンにたとえれば、心拍数は車のタコメーターみたいなものだともいえます。

車のエンジンには最も燃費効率のよい回転数があるのと同じく、登山でも、最も効率のよい心拍数があります。それは、最大心拍数の75%ほどだと言われています。

最大心拍数は一般的には「220-年齢」もしくは「208-(0.7×年齢)」という式で求められます。中高年は後者の式のほうが適切だそうなので、中高年の私を例にとって計算してみましょう。

1)最大心拍数=208-(0.7×57歳)=168
2)最も効率のよい心拍数=168×0.75=126

つまり、私は126前後をキープして歩くようにすれば、最も効率よく登山できるということになります。私の場合、経験的に130を超えるとキツさを感じ始めます(T-Rex 3ではオレンジゾーン)。最も効率のよい運動強度は「キツさを感じ始める手前」だとも言われているので、私にとって126という心拍数はまさに適正値なのだと思われます。

これは六ツ石山登山中の私の心拍数の推移(赤い線)を、Amazfit T-Rex 3の専用スマホアプリ「Zepp」で表示したもの。緑色の線は私が書き足したもので、ここが心拍数126のラインです。

撮影をしながら歩いていたので値がやや上下していますが、まあまあいいペースだったんじゃないでしょうか。

……という具合に、心拍数は適正なペース管理にとても役立ちます。私はスマートウォッチを使うようになる前は、言ってみれば「適当に」歩いていました。しかし心拍数をチェックするようになって以降、極端にバテるということがなくなりました。

長年、染み付いていた自分の山の歩き方が変わった感覚すらあります。冒頭に「心拍数を把握すると、自分の登山が変わります」と書いたのはこういうことなのです。

とはいえ、登山中にこんな計算をしたり細かな数字をチェックしたりなどはできませんし、する必要もないでしょう。そこで便利なのが、心拍ゾーンごとの色分けです。ここがオレンジ色以上になったら、ちょっとペース落とすか休憩するか……と判断できるわけです。

Amazfit T-Rex 3の場合、以下の5段階で表示色が変わるようになっています。

赤(最大)………………最大心拍数に近いゾーン
オレンジ(無酸素)……筋力アップに効果的な強めの運動強度を示すゾーン
黄(有酸素)……………心肺機能向上に有効なゾーン。脂肪燃焼にも効果的な心拍数
緑(インテンシブ)……少し体を動かし、身体的緊張度・集中度が高まったゾーン
青(ライト)……………平常時に近い心拍ゾーン

これは自分の年齢や身長・体重などの身体データを事前に入力しておくと、自動で色分けの設定がなされます。私はその自動設定でだいたい合っているようなのでそのまま使っていますが、心拍数は年齢が同じでもかなり個人差があるので、正確を期したい人は設定をカスタムすることをおすすめします。

心拍数をチェックするときの注意点

心拍数をチェックすることは登山にとても役立つと感じているのですが、あまりに数字にとらわれすぎると弊害もあります。代表的な要注意ポイントを以下4点説明します。

■心拍数には個人差がある

心拍数は人によってかなり差があります。たとえば私の最大心拍数は168と算出され、それはほぼ正確なのではないかと思われますが、同じ57歳の男性でも、低い人は140くらい、高い人だと190くらいになるそうです。

つまり、最大心拍数140の人が私のウォッチで登山をすると体に過剰な負荷をかけてしまうおそれがあり、逆に、最大心拍数190の人であれば、楽すぎて意味がないということになるわけです。

ですので、使い始めのころは、体感的な疲労度にも注意しながら、心拍数を見ることを推奨します。体感の疲労度と表示される数値にズレを感じるようであれば、設定を調整する必要があります。

Amazfit T-Rex 3の場合、調整のポイントは「キツく感じ始めたらオレンジゾーン」。こうなっていたら調整はおおむね適正だと思われます。

■測定誤差に注意

スマートウォッチの心拍計はあくまで簡易的なもので、測定誤差が出ることがあります。かなり息が上がっているのにウォッチに表示される数字が上がっていないため、まだまだいけるはずだ……とがんばったところ、それは測定誤差だったということもあるわけです。

数字の細かな動きに一喜一憂せずに、大きな傾向をつかむにとどめ、体感の疲労度も重視しながらスマートウォッチを活用することをおすすめします。

また、装着方法によっても測定誤差が生じます。今回、胸に付ける本格的な心拍計も使用して、その差を見てみたところ、以下のような場面では差が大きめに出ました。

■ゆるめに装着した場合

ウォッチが手首に密着していない場合、心拍が正しく測れません。写真の場合、Amazfit T-Rex 3に表示されていた心拍数は112でしたが、胸に付けた心拍計の表示は128でした。密着感を嫌ってふだんから腕時計をゆるめに装着している人は要注意です。

■正しい位置に装着していない場合

手首の骨が出っ張った箇所より肘側に装着するのが正しい位置(上)。逆に、出っ張った骨より手先側に装着すると(下)、測定値に誤差が出やすくなりました。

手首がくびれた形状になっていて時計が収まる感覚があるためか、下図の位置に腕時計を装着する人も少なくないようです。しかし、そうすると心拍数がうまく測れないだけでなく、関節の動きに干渉もします。強く手を突いたときなど、手をケガしたり時計が壊れたりすることもあるので注意が必要です。

画面表示が見やすい「Amazfit T-Rex 3」

いろいろ書いてきた心拍数計測の件、現代のスマートウォッチならどれもできることですが、T-Rexシリーズはそのなかでも画面サイズが大きく、表示される数字の視認性が非常に高いところが大きな魅力だと感じています。

そもそも腕時計はそんなにじっくり見るものではないし、登山で行動中ならなおさらです。そのとき、チラッと見るだけで色分けされた心拍数がすぐに目に飛び込んでくるAmazfit T-Rex 3の見やすさは屈指のものがあります。私が愛用しているのには、そんなところにも理由があります。

スマートウォッチの利点はGPSやナビゲーションだけではありません。今後は心拍数にも注目しながら登山をしてみることをおすすめします!

Amazfit T-Rex 3 そのほかの主な機能

■マップナビゲーション機能
等高線入りの詳しいオフラインマップを表示でき、自分の現在地が地図上でわかる。予定ルートを設定すれば、道を外れたときに警告もしてくれる。YAMAPアプリで作成した登山計画ルート情報をGPXデータでインポート可能。

■軍用レベルの堅牢性
MIL-STD-810G(アメリカ国防総省軍用規格)準拠。丈夫なステンレス製ベゼルを備え、衝撃に強い本体ケース。耐熱性70℃、耐寒性-35℃。

■100m防水
水深100mの水圧に耐え、フリーダイビングに使用も可能。

■大型で明るいディスプレイ
業界最大級の1.5インチディスプレイは、高解像度で見やすいAMOLED製。最大2000ニトの輝度があるため、炎天下でも見やすい。

■デュアルバンド6衛星捕捉GNSS
GPS(米)、GLONASS(露)、Galileo(EU)、北斗(中国)に加え、みちびき(日本)、NavIC(インド)まで対応し、高精度な測定結果を実現。

■最大27日間持続するバッテリー
GPSを使用しない日常的な使い方では、最大27日間充電不要。GPSを使用しても、設定次第で最大180時間(7日半)動き続ける。

■ミニアプリで機能拡張
専用のミニアプリをインストールすることで、機能を拡張することができる。GoProコントロールアプリや、登山難易度計算機などのアプリも用意されている。

なお、今ならAmazfit T-Rex 3をお得にゲットできるYAMAPユーザー限定キャンペーンを実施中。7月末までの期間中、Amazon.jpの表示価格から5%OFFでご購入いただけます。この機会をお見逃しなく!

クーポンコード:TREXYAMAP
クーポン内容:対象製品:Amazfit T-Rex3
割引率:5%
期間:2025年7月3日~7月31日

「Amazfit T-Rex3」YAMAPユーザーモニター募集!

そして、今回の記事で紹介した「Amazfit T-Rex3」をYAMAPユーザー限定でモニター企画を実施します!

モニターに選定された方には「Amazfit T-Rex3」を、実際に登山で使用し、その使用感や感想をYAMAPの活動日記でレポートしてください。なお、お送りしたアイテムは、そのままプレゼントさせていただきますので、奮ってご応募ください。

【募集期間】2025年7月3日(木)から7月17日(木)まで
【募集人数】4人
【応募方法】以下の応募フォームからご応募ください。
※お使いのブラウザでYAMAPにログインの上、アクセスしてください。

【応募条件】
ご応募いただいた後、選定された方にはYAMAP内メッセージにてご連絡させていただきますので、対応いただける方。
※選定のご連絡は7月下旬頃を予定
※選定された方のみご連絡させていただきます。あらかじめご了承ください。

・「Amazfit T-Rex3」を使用した山行での使用感・感想を、期間中(商品到着後〜9月開催予定のオンライン座談会もしくは電話取材前まで)に、1回以上、活動日記として投稿いただける方。
・対象商品を使用した山行での使用感・感想を、2025年9月実施予定のモニター座談会(リモートで開催予定)や電話インタビューでお話いただける方。
・YAMAP MAGAZINEの記事やAmazfitのホームページ等で、活動日記の情報(写真・テキスト等)、モニター座談会および写真の使用を許諾いただける方。
・その他、今回のモニター企画に関するYAMAPからのリクエストにご対応いただける方。
※本モニターの趣旨に外れている場合や、利用規約に違反している場合、 YAMAP運営事務局が不適切と判断した場合などは、応募資格を失うことがあります。

原稿:森山憲一
撮影:矢島慎一
協力:Zepp Health Corporation

参考文献:『登山の運動生理学とトレーニング学』(山本正嘉・著/東京新聞・刊)

森山 憲一

山岳ライター/編集者

森山 憲一

山岳ライター/編集者

1967年神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学教育学部(地理歴史専修)卒。大学時代に探検部に在籍し、在学中4回計10カ月アフリカに通う。大学卒業後、山と溪谷社に入社。2年間スキー・スノーボードビデオの制作に携わった後、1996年から雑誌編集部へ。「山と渓谷」編集部、「ROCK&SNOW」編集部を経て、2008年に枻出版社へ移籍。雑誌『PEAKS』の創刊に携わる。2013年からフリーランスとなり、登山と ...(続きを読む

1967年神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学教育学部(地理歴史専修)卒。大学時代に探検部に在籍し、在学中4回計10カ月アフリカに通う。大学卒業後、山と溪谷社に入社。2年間スキー・スノーボードビデオの制作に携わった後、1996年から雑誌編集部へ。「山と渓谷」編集部、「ROCK&SNOW」編集部を経て、2008年に枻出版社へ移籍。雑誌『PEAKS』の創刊に携わる。2013年からフリーランスとなり、登山とクライミングをメインテーマに様々なアウトドア系雑誌などに寄稿し、写真撮影も手がける。ブログ「森山編集所」(moriyamakenichi.com)には根強い読者がいる。