初めての登山テント、賢く選ぶには?テント泊の達人たちに聞いてみた

日帰り登山や小屋泊を経験するうちに「テント泊をしてみたい」と思う人は多いはず。でも、いざ購入しようと思うと、「どのモデルを選べばいいのか悩む」「そもそも登山テントにどんな種類があるのかわからない」…なんてことも。そんなテント泊ビギナーの疑問を解消すべく、テント泊の達人たちに「初めて買ったテント」から「現在の愛用テント」、そして、「気になるテントのディティール」について語り合っていただきました。賢いテント選びに欠かせないポイントが満載です。

はじめようテント泊|登山テントの選び方、おすすめアイテム、活用アイデア #01/シリーズ一覧はこちら

2020.06.29

YMテント泊同好会

テント泊の達人たち

INDEX

YMテント泊同好会 vol.1 「愛用テントとテント選びのあれこれ」

参加メンバープロフィール

船山潔(ふなやま・いさぎ)
佐久平ロッククライミングセンター所属。20歳の時に渡仏し、アルパインクライミングに魅せられる。現在は国内外でロッククライミング、アルパインクライミング、バックカントリースノーボードを楽しむ。

伊藤伴(いとう・ばん)
学生時代から登山をはじめ、モンブラン、 ロブチェ・イーストを登頂。20歳のときに当時日本人最年少でエベレストとローツェ連続登頂を達成 。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド、山の日アンバサダー。

田所紀子(たどころ・のりこ)
バックパッカー時代に旅したネパールで山に魅せられる。現在は山岳会に所属し、夏冬テント泊縦走から沢登り、アルパインクライミングまでオールラウンドに活動中。

ちゅーた(ちゅーた)
ロングハイクが好きで、5~9日など距離や日数が長めのテント泊縦走スタイルがメイン。山と温泉とビールのセットを愛し、温泉(とくに野湯、秘湯)巡りも。 最近は海外トレイル欲が爆発し、NZにひとり山旅に行ったばかり。

初めてのテント何買った? 達人たちのテント遍歴と愛用テント

ーまずは、みなさんが「はじめて買ったテント」と「その理由」、そして「愛用しているテント」について教えてください。

船山潔さん
はじめてのテント:ヘリテイイジ エスパース
愛用テント:ニーモ タニ1P

船山:最初に買ったテントは、ヘリテイジのエスパースです。山岳会で使っていたこともあるのですが、夏も冬も使える点、国産だという点で選びました。ただ、冬に使える仕様だったのでシングルウォールなんですよね。結構価格が高いテントだったのですが、初めてということもあって気合いを入れて買いました。

でも全然使わなかったんです。使うのがもったいなくて(笑)。その後すぐにアサルト2というノースフェイスのテントを買いました。ただ、水漏れしやすいのと透湿性が低かったこともあり、他のモデルを買ったりして、ニーモのタニ1Pに行き着きました。結局それまでに6つくらいテントを買い替えたんですが、夏と冬、オールシーズン使えて快適なものと言うことでこのモデルに行き着きました。

NEMOはアメリカ発のブランドだが、TANIシリーズは日本の山岳シーンをターゲットにデザインしたモデル。雨が多く湿度が高い環境や天候変化の大きい気象条件に対応できるスペックを備えている。快適な居住空間を実現しながらも軽量化も達成し、登山時の負荷を軽減してくれる。こちらは1Pの一人用モデル。

僕が「初めてのテント選び」の際に重視していたのは、まず1人用であること。今でこそ妻や友人と2人で使うことが多いですが、当時は一人が基本だったので。ある程度のテントであれば防水性や耐久性はあるので、軽量性もポイントです。1kg前後と性能を損なわない程度に軽いのが決め手です。クライミングのギアやロープを持っていくこともあって、少しでも軽くしたいんですよね。シングルウォールは夏は使いにくくて。冬はフライシートを持っていかずにより軽量化しています。

伊藤伴さん
はじめてのテント:アライテント ライペン エアライズ 2
愛用テント:アライテント ライペン エアライズ 2

伊藤:使ってきたテントは2つあるのですが、どっちもアライテントのライペンシリーズです。
最初は親が買ったものを使っていて、とくに問題がなかったのでずっとそのまま(笑)。モデルはエアライズ2です。シンプルで使いやすい。軽量だし、冬はフライ要らないので持っていかないこともあります。このモデルは先にフライを張ってインナーを立てることはできませんが、設営が早いのもポイントです。

伊藤さんが愛用するアライテントは日本を代表するテントの老舗メーカー。エアライズシリーズはアライテントのロングセラーモデルで、愛用者も多い。あらゆる天候への対応力、設営のしやすさなどオールマイティなテントのひとつ。

2人用を使っている理由のは拡張性です。1人でもゆったり使えるし、2人でも使える。拡張性ですね。日本のメーカーだけあって、国内の山の環境には基本的に対応できるので、どの山でテント泊するにしてもエアライズ2をメインに使っています。

山をはじめたのは小学校の頃だったのですが、先生が「テントはアライだ!」と(笑)。アライテントを買っておけば間違いないと教わったんです。

田所紀子さん
はじめてのテント:モンベル ステラリッジテント3
愛用テント:モンベル ステラリッジテント3

田所:今日持ってきたテントと最初に使ったテントは一緒で、モンベルのステラリッジテント3です。夏はずっとこのテントですね。テントに詳しくなくてお金もなかったので、リーズナブルで、テント場でよく見るものを買ってみようと思って選んだのがステラリッジでした。

ステラリッジのような自立式は設営しやすいからはじめての人にもオススメしやすいですね。説明書を見なくても立てられるのではないでしょうか。

やはり使用者が多いだけあって使いやすいし、ウィークポイントも見当たりません。もともとソロで行くつもりがなかったので2〜3人用のテントを買って、もし1人で行きたくなったらそのときにソロテントを買おうと思っていたんです。でも、ソロでもそんなに重さも気にならなかったので、ずっと夏はこれを使っています。

日本のアウトドアメーカー・モンベルによる山岳テントの代名詞的存在。インナーは吊り下げ式構造で強風時でも素早く設営が可能。ステラリッジシリーズは1〜4、6とさまざまなサイズ展開も魅力。

気に入っている点はいくつもありますが、天井が高くて座ったときに屈まなくていいところ。雨が降っていても中でご飯が食べられますし、山の上にいるときは気持ちよく過ごせます。

あと、とにかく丈夫なところ! 強風で隣のテントが飛ばされても、しっかり耐えてくれました。パーツやオプションが買いやすいのもポイントです。レインフライとスノーフライを買い替えたりという選択肢があるのもいいですね。ただテント場で自分のテントが見つからなくなるのが難点です(笑)。

ちゅーたさん
はじめてのテント:ニーモ タニ 2P
愛用テント:ニーモ タニ 2P

ちゅーた:今日持ってきたのは、一番最初に買ったニーモのタニ2P。最近はホーネットストームも使っていますが、テント泊をはじめてからずっと、1泊でも縦走でもタニ2Pがメインテントです。テントを買う前に同じモデルの1人用を貸してもらって1泊してみてよかったので、2人用を買いました。

ニーモのテントはほかのメーカーに比べたらちょっとだけ大きくて、短辺が少し長くて快適だと思います。このテントは6年くらい前から使っていますが、テントポールの仕組みが「吊り下げ式」だったのもポイントでした。定番のモデルはまだ「スリーブ式」が多く、雨が降っているときにスリーブは使えないかなと思って。1人での山行が前提だったので、自分だけで立てられる設営しやすいモデルを選びました。

ちゅーたさんが愛用するのはNEMO TANI 2P。船山さんが使用するTANI 1Pの2人用バージョン。広々とした前室があり、靴やバックパックを置いたり、調理のスペースとして活躍。インナーは通気性のよいメッシュタイプ。

2人用を買ったのは、当時はまだ60リットルほどのリュックサックを使っていて、荷物も多かったからという理由もあります。テントの中に自分と荷物が入ったら窮屈になるんじゃないかなと思って。でも、大きめで快適なのでずっと使っています。2人用でも重さは1人用とそれほど変わらないんですよね。

登山テント選びの大前提! 基本の種類を知っておこう

達人たちのテント遍歴と愛用テントをご紹介しました。いろいろなテントがあるなかで共通していたのが、「自立式」&「ダブルウォール」という点でした。

自立式と非自立式の違い

専門用語なのでわからない!という方もいるかと思うので簡単に解説すると、自立式は主に2本のテントポールにより組み立てるタイプでガイラインや張り綱と呼ばれる細いロープなどを使用しなくても「自立」するもののこと。ポールだけで自立するので設営しやすく、立てたあとはペグで固定すれば風にも強いというメリットがあります。

一方、非自立式はツエルトやストックシェルターのように、ポールがなく(もしくは1〜2本使用)、地面に打ち込んだペグなどでテンションを掛けて張るタイプ。ポールがない分軽量性に優れますが、設営にテクニックが必要なのと、風や雨に弱いというデメリットも。もちろんモデルや使用方法によって自立式と比べても遜色ないケースもありますが、やはり上級者向けと言えそうです。

ダブルウォールとシングルウォール

つづいて「ダブルウォール」。テントはメッシュや通気性のよい生地でできたインナーと、雨をブロックしてくれるレインフライシートという2つのシートで構成されています。なぜ2枚も?と思うかもしれませんが、主に雨のブロックとテント内の快適性を保つのが目的です。もしレインフライシートだけだと、テント内が雨で濡れることはありませんが、外と中の気温差により内側が結露してしまいます。せっかく防水しているのに寝袋やウェアが濡れてしまっては意味がありません。

ちなみに、そんなレインフライシートでできているのがシングルウォール。防水性に加えて透湿性も備えたファブリックを使用していますが、トレイルランニングのビバークや快適性よりも軽量性!というようなシーンで使われているタイプです。

結論:日本の山には「自立式」&「ダブルウォール」が安心!

ダブルウォールであることでインナーとレインフライシートの間に隙間ができるので結露した水滴はレインフライシートをつたって地面へ落ち、インナーのおかげでその水滴に触れることがないというワケ。またインナーは完全なメッシュではないため保温面でも効果があります。二重窓をイメージしていただければ、その効果を理解いただけると思います。

はじめてでなくとも、日本の山を想定した場合、「自立式」&「ダブルウォール」という条件でテント選びをスタートしてみるといいでしょう。

「自立式」&「ダブルウォール」というフィルターをかけても、該当するテントはたくさん。ではどんなポイントをチェックすればいいのか、まだまだ座談会はつづきます!

登山テント選びのポイント① 「1人用」か「2人用」どっちを選ぶ?

ちゅーた:今、1人で行くとしても2人用かな。ニーモのタニ2Pだからということもあるかもしれませんが、2人用でもそんなに重さが変わらないんです。

※編集部註
TANI1P(1人用)が1.06kg、2P(2人用)は1.18kgと差は120gほど。フロア面積はそれぞれ2.2平米と2.8平米。
エアライズ1(1人用)が1.36kg、2(2人用)は1.55kgと差は190gほど。フロア面積はそれぞれ2.05平米と2.73平米。

船山:増えるのはポールの長さ分とファブリックの幅分だけなんですよね。

ちゅーた:私はいつもソロでの縦走をベースに考えているので軽量化も大切なのですが、最優先は快適性なんです。快適性とは、立てやすくて、テント内で過ごしやすくて窮屈じゃないということかな。余裕をもってテント内で行動ができると気持ちに余裕が生まれます。2人用ならゆったりと使えるし、同行者がいても泊めてあげることもできます。「一緒に行ってみようよ!」って誘ったりしてもいいですし、選択肢が広がりますよね。

田所:私も2人用派ですね。「はじめてテント泊をする人に向けて」ということだと、テントを持って山に行く最初のステップだと思うんです。テント場でゆっくりしたり、テントのなかで快適に過ごす時間を求めているのかなと思って。

どんどんテント泊をやっていくうちに、ハードな山だったり、軽いもの買ってというふうに志向が変わっていくと思うのですが、まずは軽い方がいいけど、スペースあるものの方が楽しめると思います。

伊藤:僕も2人用派ですね。

テント泊をしたいという人は、「山に登る」ということもありますが、「山で泊まりたい」という目的もあるのかなって。僕はクライミングをメインに活動しているのですが、その場合はピークに登るための宿泊手段としてテントを使っています。つまり安全が確保できて、寝るためだけの道具なんですよね。

でも、まず山でテント泊をしたいというのであれば、広くて快適な方がいいと思いました。テントは完全にプライベート空間なので、そこでわざわざ窮屈な思いをしなくてもいい。まずは2人用を買って、もっと攻めたくなったら軽くて小さいものを買ってみたらいいと思います。何を目的にするかで変わってくるので一概に言えませんが…。

それに多少山のレベルを落としてもテント泊の時間を充実させるのがベターなのではないでしょうか。荷物も重くなりますし、無理のない樹林のキャンプサイトとかからスタートしてもいいのかなと。

船山:みんな2人用なんですね! ということで、結果から言うと2人用です(笑)。

山に行くのもいろんな理由がありますよね。1人用を使っているからわかるのですが、最初から一人用だとできることの選択肢が狭くなってしまうと思うんです。2人用は選択肢が広がりますし、そもそもそんなに重量が変わらない。実用的な面で考えるとメリットは大きいんですよね。

ちゅーた:はじめた頃はこの先どういう山に行きたいのか、どうステップアップしていきたいのか想像がつかないけれど、ある程度山が好きだからやりたいことを考えて選択肢を広げていけるといいのかもしれませんね。例えば1人で淡々と縦走がしたいのか、友人たちと楽しく1泊でグループ宴会をするのか。

私は登山道メインの山が多いので、そこまで荷物を削る必要もなく、2人用の快適さを選んでいます。標高が高く岩がゴロゴロした場所にテントを張るのとフラットなキャンプサイトに張るのとは違いますよね。

船山:ベースになるものを買って、そこから自分の方向性に合うものをプラスすればいいと思います。また、ベーシックなモデルを持っているから、ちょっと変わったテントを使うこともできますし。もちろん目的が決まっていて、これ!というテントに巡り合えれば最高ですが、いろんなアクティビティや山行スタイルをやってみたいというのであれば複数のテントを持つことになると思いますし。

登山テント選びのポイント② 入り口は「短辺」か「長辺」か?

ーつづいて、ちょっとマニアックですがテントの「出入り口」について。テントは長方形ですが、出入り口が短辺のもの、長辺のものがありますよね。それぞれのメリット、デメリットを実体験で聞いてみたいと思います。

左が「短辺タイプ」で右が「長辺タイプ」。販売されているテントには両方のタイプがあり、それぞれにメリットがある。

ちゅーた:私は長辺にあるタイプが好きですね。広いから荷物も出し入れしやすいし、出入りも楽。靴も2足ちゃんと置けますし。

船山:長辺タイプは混んでいるテント場だと出入りしにくいときもあります。あと、短辺タイプは雨の吹き込みが少ないというメリットも。

伊藤:難しいなあ…。短辺タイプだと、靴履いたままテントの奥の荷物を取り出したりするのはちょっときつい。なので、出入りとか道具の整理とかは長辺タイプですよね。

田所:私は長辺タイプを使ったことないんですよ。聞いているといいんだろうなって思うのですが、短辺タイプでも困ったことがなくて。長辺タイプって、入り口側で寝ていたら奥の人は跨がないといけないんですか? それは煩わしそうだなと思いました。

船山:あー、そこは考えてなかったです。じゃあ、トイレが近い人は手前側に寝るか、短辺タイプがいいですね(笑)。

田所:ずっとテントの中にいることを考えたら短辺にある方が楽なんじゃないかな。2人で頭出して調理しようと思うと大変かもしれませんけど。

ーどっちがいいとかというよりも、「どっちが好きか」ということなんでしょうね。でも、選ぶ上で大切なポイントだということがわかりました。できれば実際に試してチェックしてほしいポイントですね!

登山テント選びのポイント③ ポールは「スリーブ式」or「吊り下げ式」?

ーつづいて、テントポールの仕様について。インナーのスリーブにポールを通す「スリーブ式」とプラスチック製のフックに掛ける「吊り下げ式」がありますが、どっちのタイプがいいのでしょうか。

左が「スリーブ式」で右が「吊り下げ式」。スリーブ式は伸ばしたポールを袋状になったスリーブに通してから組み立てるのに対し、吊り下げ式はポールのエンド部分を先にテントの四隅に差し込んでからインナーに設けられたフックをポールに掛けていく。

船山:いきなりですが、テントを回収するときに吊り下げ式はポールがはじける危険があるから注意が必要。スリーブ式はポールを入れるときと抜くときにがひっかかったりしますよね。

ー吊り下げ式って比較的新しい仕様のようですね。

田所:スリーブ式は穴が開いてしまうと使いにくいんですよね。ひっかかったり、突き抜けちゃったりして(笑)。でも、3〜4年だったら大丈夫かな。

船山:意外と強度が低いのかも。

ちゅーた:吊り下げ式の方が1人で設営しやすいですよね。簡単に立てられるような気がします。外すときは足でフットプリント抑えて、ポールが飛ばないようにしています。

伊藤:僕もスリーブだけなんですよね。ポールを抜くのに押さないといけないからそれはストレスかな。ちょっとコツがいるけど、慣れているからとくに気になりません。

船山:慣れればどっちも同じスピードでできますよね。

伊藤:気になる人はどっちも立ててみたらいいと思いますね。吊り下げ式は壊れないですか?

ちゅーた:壊れたという話の聞いたことないですね。

伊藤:タニ2Pは、2本のポールがつながっているんですか? 以前、1本を伸ばしているときにもう1本を落としたことがあって(汗)。あまりないケースだと思いますが、ポール自体がわかれていない方が紛失のリスクも少ないのかなって。

ちゅーた:つながっているので、撤収で折るときも楽ですよ。

伊藤:あと、吊り下げ式の方がフライとインナーの間にちゃんとスペースができるから通気はありますよね。スリーブは仕組み上ボックスみたいになっちゃうし。結果的に室内が結露しにくいのかも。

ちゅーた:たしかに、雨の日にフライがぴたっとくっつくことはありませんね。濡れているのがフライだけといことは多いです。天気悪いときは快適ですね。

等身大のテントを見つけたい。賢いテント選びのプロセスは?

ーテント選びをする上で、このメンバーのなかには山岳会や山仲間が使っていたという方が多いようなのですが、どうやって選んだらいいのかアドバイスはありますか? インターネットやお店などありますが、情報の集め方から試してみるところまで聞いてみたいです。

船山:まず、ブランドで買わない方がいいと思います。テントっていろいろモデルがありますが、用途や目的が違うからそこだけちゃんと調べてから買ってほしいですね。メーカだっていろんな国のものがあるし、想定されるフィールドも違います。用途を大雑把でも決めてから選ぶべきだと思うんです。

インターネットでも調べ方次第では有効だと思うんですよね。どんな山でどんな使い方をしているか、見た目じゃなくて、そういう実用的なところを調べてみるとか。オススメ何選とか、まったく役に立たない。調べた上で、いくつか候補を絞ってみる。

調べてもわからないことがあればお店に行けばいいし、持っている人に借りてもいいし。

ちゅーた:テントの特性、スペックを理解して、自分で勉強した上で。それで自分で比べていく。

田所:最初って難しいですよね。でも、全然わからなかったから、細かいところまで想像できないということもありますよね。

伊藤:北アルプスで張るテントと八ヶ岳のテントは違うものを使うし、いろんな山をやるのだったらそれに合わせたテントが必要になってくるのは当然のことなんです。そういう意味でははじめてのテントはベーシックなものを選んでおくと失敗にはならないと思います。

ちゅーた:私はテントの中に入ってみるのが大事だと思います。入ってみないことには快適性もわからないですよね。立ててみたりするのも大事ですが、実際にテントに入ってみると想像が膨らみますよね。こんなことができる、こんなことがしたい!って。

私は同じモデルの1人用を借りることができたのですごくイメージしやすかったのですが、気になるモデルをお店で張らせてもらうのも手ですよね。

田所:今はレンタルも充実してますよね。登山の基本セットがレンタルできるので、試してから買うのはアリなんじゃないでしょうか。

船山:いきなりかっこつけないこと(笑)。

田所:このテントかっこいい〜っていうだけで選びたくなりますけどね。

ちゅーた:かっこいいの先の本来の目的を優先するといいのかも。実際にテント泊をしてみて、辛かったり危険があったりすると長続きしなくなっちゃうし、だからこそはじめてのテントは慎重に選んだ方がいいと思います。

ーまずはインターネットでメーカーのサイトやレビューを見て、自分が行きたい山や山行のスタイルに合ったモデルの候補を見つける。そしてお店で試し張りをさせてもらったり、もし友人や仲間で持っている人がいたら借してもらったり、見せてもらったりする。レンタルも失敗がなくていいですね。

YMテント泊同好会のテント談議はまだまだ続く…

ひとことで「テント泊」と言っても、道具選びや登山スタイルなどは人それぞれ。この座談会では教科書的な解説というよりも、リアルでちょっとマニアックな視点でお届けしていきます。これからテントを買いたい!という人の参考になれば幸いです。

次回は、テント泊の達人たちが愛用するお気に入り小物をご紹介。ちょっとユニークで役に立つアイテムをお届けします。お楽しみに!

取材・文/写真:小林昂祐

YMテント泊同好会

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テント泊をこよなく愛する者たちの集まり。「YM」は「YAMAP MAGAZINE」の略。登山やトレッキングからクライミング、アルパインなどジャンルにとらわれないメンバーで構成され、それぞれの考え方や価値観でテント泊についてのあれこれを大放談。座談会はキャンプサイトで開催するのがルール。