夏の登山の悩みといえば、やっぱり「汗」。 じっとりべとつくあの感触、冷え、そしてニオイ。「登山にはつきものだから」と諦めの声が聞こえてきそうですが、実は汗対策に役立つアイテムが各社から多く発売されているんです! 今回は「汗っかきのための最新登山ウェア講座」と題し、汗の悩みを解消するアイテムを前後編にわたってご紹介します! 前編では「アンダーウェア」「ベースレイヤー」そして「シャツ」について。汗の悩みを爽快に解消してくれるアイテム全8品を揃えました。
2020.07.27
YAMAP MAGAZINE 編集部
まず、汗のメカニズムをかんたんに解説します。運動による発熱や気温の上昇により体温が上がると、体温調節をするために汗をかきます。発汗することで皮膚の表面が濡れると、気化熱(蒸発するときに熱を奪う仕組み)が起き、体温を下げてくれます。汗とは体に備わった大切な冷却機能なのですが、不快のもととなる「ニオイ」や汗のかきすぎによる「冷え」も同時に起きてしまうんです。
もともと汗のほとんどは水分で無臭なのですが、皮脂や汗に含まれるタンパク質が細菌により分解されニオイが発生してしまいます。長い間乾かないと、その分ニオイが強くなってしまうことも…。そのため、ニオイが気になるのであれば、いかに早くドライな状態にするかが大事。そこで一番の近道は、肌に触れ、汗を吸いやすいアンダーウェアやベースレイヤーを見直すこと 。生地の速乾性だけでなく、肌面をドライに保ってくれる構造の生地を使用した最新のウェアを選ぶとよいでしょう。
また、汗は不快なだけでなく低体温症のリスクも。汗が乾かず濡れたままになってしまうと体温が著しく奪われ、「暑いどころか寒い…」と感じ、風や雨がある場合は命の危険につながってしまいます。登山をしていて休憩中に汗が冷えて寒さを感じるという経験は誰にもあるはず。
それだけ汗対策は大切なこと。でも、アンダーウェアやベースレイヤーを見直すだけで解決するなら…⁉︎ ニオイや不快対策だけでなく、低体温症のリスク回避にもなる「着ていてよかった!」と思える最新ウェアをご紹介します。
「肌面をいかにドライに保つか」。これこそが汗対策の核心。でも、実は思ったより簡単に解決できる問題でもあるんです。それは、汗を溜めずに拡散・発散してくれる高機能素材でできたアンダーウェアやベースレイヤーを選ぶこと。「特殊な繊維を使用する」「生地の織り方を工夫する」など、命に関わるものだからこそ、アウトドアメーカーは汗対策を施したウェアの開発に力を注いできました。近年一般的になってきたメッシュタイプのアンダーウェアがまさにそれ。
汗が気になるという方。まずはアンダーウェアとベースレイヤーから見直してみましょう。ニオイや冷え、ベタつきなどの不快感に悩まされていた夏山登山の印象がガラッと変わってしまうハズです。
「finetrack ドライレイヤー」は、汗冷えを防ぐためにファイントラックが開発した、アンダーウェアのシリーズ(旧名スキンメッシュ)。ポリエステルの極細異型糸を特殊な機械で編み上げられ、生地全体に「撥水加工」が施してあることで、肌面を常にドライに保ってくれます。その仕組みは、透けて見えるような薄い生地に、無数の丸い穴が並んだ構造。「ドライレイヤーベーシック」を着用し、その上に吸収速乾性のベースレイヤーを着れば、汗がドライレイヤーの穴を通って上のベースレイヤーに吸い上げられることで、肌面が快適で汗冷えとは無縁になるというワケ。「ドライレイヤーベーシックT」は、そんなドライレイヤーシリーズの定番モデルです。(MENS/¥4,620)
「ドライレイヤー」シリーズのボクサータイプ。汗をかくと乾きにくいアンダーウェアですが、肌面から吸い上げた汗をベースレイヤーに移すことで肌面をドライにしてくれます。ドライの秘訣である撥水加工が施されているのですが、その耐久性は洗濯機で150回洗っても80点の効果がテスト済み。山に行く回数が多く、耐久性が気になるという方にも安心してオススメできる品質を実現しています。メッシュ素材の下着を履くという感覚が最初はなじみにくいかもしれませんが、その快適性から、一度体験したら手放せない人が続出しています。(MENS/¥3,850)
こちらは女性むけのショーツタイプ。腰回りのゴムを使う部分には水を含まない特殊な構造の素材を使用することで肌へのストレスを軽減。肌触りのよい吸汗の裏あても設けられているので肌がデリケートな方でも安心。薄くてよく伸びるので快適に着用でき、メッシュ状のストレッチ素材をウエストまわりに使用しているので、汗がたまらずすっきりした履き心地です。アンダーウェアこそ、快適性のカギ。登山用のもの、それも快適性に定評があるドライレイヤーシリーズをぜひとも試してみてください。(WOMENS/¥2,970)
ベースレイヤーの下に着用するアンダーウェア「ドライレイヤー」にブラ機能をプラスしたタンクトップ。ブラカップ自体も汗を含まない素材で、ドライレイヤーの素材を組み合わせた独自の三層構造によって汗をバストからもすばやく引き剥がし、汗濡れの不快感を軽減。汗のたまりやすいアンダーバストにも一般的なゴム素材は使用せず、汗抜けのいいメッシュを採用。バストを程よくキープしながら、汗がたまらず濡れ感をほとんど感じさせません。肩やバストなどは縫い目が肌に当たらない仕立てで、締めつけ感の少ない柔らかでストレスフリーな着心地となっています。(WOMENS/¥6,490)
Tシャツやシャツを着用する機会が多くなる夏。「登山もTシャツ!」という方は多いと思いますが、普段街で着ているような綿100%のTシャツは山ではNG。登山向けの速乾素材を使用したモデルを選びましょう。
登山向けのTシャツは速乾性のある高機能素材を採用しているので、汗をかいてもすぐに乾きます。一見普通のTシャツのように見えても登山中ずっと快適さが持続するんです。乾きが早いので、川に飛び込んで濡れてもギュッと絞ればあっという間にドライに。豊富なデザインとカラーリングで、普段のコーディネートにも活躍します。
「HOUDINI ビッグアップメッセージT」は、程よい厚みのソフトでさらりとした肌触りが特徴。コットンとほとんど変わらないナチュラルな素材感ですが、素材は100%ポリエステル。速乾性と透湿性に優れ、汗などで濡れてもすぐに乾き、内側のムレも抑えます。汗だくになってもすぐに乾いて、風に吹かれても汗冷えがなく、長時間さわやかさが持続。ウインドシェルやジャケットと合わせても良し、肌寒い季節にはベースレイヤーとしても活躍します。抗菌防臭加工も施され、気になるニオイ対策もバッチリ。(MENS・WOMENS/¥7,700)
暖かく肌さわりの良いメリノウールに速乾性に優れたポリエステルとポリプロピレンを組み合わせた「NORRONA ビティホーンウールTシャツ」。生地が弱いメリノウールに化学繊維を混紡することで耐久性を向上。化学繊維Tシャツで問題になりがちな匂いをメリノウールの抗菌性で解消するという相乗効果を狙ったアイテムです。バックパックと密着して蒸れが発生してしまいがちな背面と、脇の下を中心としたサイド部分に抜けの良いメッシュを採用し、蒸れを効果的に放出。体を冷やす最大の原因である汗の濡れを効果的に軽減する高機能Tシャツです。(MENS・WOMENS/¥9,350)
「Patagonia キャプリーンクールデイリーグラフィックシャツ」は、一枚でサラッと着られて、防臭性に優れ、日差しからも守ってくれる夏にぴったりのアイテム。素肌に柔らかく軽やかなポリエステル100%を使用し、肌に触れるとサラッとした涼しい着心地が魅力。ハイキュ・フレッシュ耐久性抗菌防臭加工済みで汗の匂いが気になりにくく、UPF50+のUVプロテクションも実現。これからの暑い季節での激しい運動時に、トレイルでも水辺でも快適な着心地を提供してくれるTシャツに仕上がっています。縫製工場の従業員にプレミアム賃金が支払われる「フェアトレード・サーティファイド」システム採用モデル。(MENS・WOMENS/¥5,060)
アウトドアアクティビティにおけるシャツスタイルの定番アイテムとなりつつある、「Teton Bros. Run Shirt(ランシャツ)」。今シーズンはより薄手のCORDURAファブリックを採用することで、軽量を実現。シャツスタイルでのトレイルランニングやアウトドアアクティビティを楽しみたいという方には、これ以上ないアイテムに仕上がっています。ジッパータイプに比べて軽量で開け閉めの調整もしやすいボタンタイプを採用し、ランニングや夏山登山などでは大活躍。通気性と耐久性に優れたCORDURAファブリックはアクティブなシーンでも快適性が持続します。(MENS/¥14,300)
今回は「汗っかきのための最新登山ウェア講座前編」と題し、「アンダーウェア」「ベースレイヤー」そして「シャツ」全8アイテムをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか? 後半では汗対策に役立つ「ショートパンツ」や「レインウェア」「ザック」をご紹介していきますので、ぜひこちらもご覧ください!