『キャンプ&ハイク』ってご存知ですか?最近、注目のアウトドア・アクティビティですが、実際どんなものなのか、南アルプスの前衛峰「日向山」と山麓のキャンプ場を舞台に試してみました。
そのキャンプ&ハイクをサポートしたのが、アメリカの老舗アウトドアブランド『L.L.Bean』。100年を超える歴史に裏打ちされたウェアやギアは、そのファッション性の高さでも定評があります。
この記事を参考に、今度の週末は家族で『キャンプ&ハイク』を試してみてはいかがでしょうか?
2021.10.11
YAMAP MAGAZINE 編集部
いま注目されているアウトドアスタイル『キャンプ&ハイク』。読んで字のとおり、キャンプをして、日帰り登山をすること。だが実際は同じ自然というフィールドにいながら、キャンプと登山は、これまで、なかなか絡み合うことがなかった。それは、登山者が山の頂上ばかりを目指し、麓に目を向けなかったことも一因だろう。
そんななか近年のキャンプブームと新型コロナウイルス感染症の影響で状況が変わり始めている。まず山に関していえば、山小屋の休業やテント場の規制で縦走や遠出の山行計画が立てにくくなり、日帰り登山が増えてきた。またキャンプは、ただキャンプ場だけで過ごすのではなく、釣りやSUPなどのアウトドアアクティビティをプラスαして楽しむ潮流が生まれている。
そのプラスαに“ハイク”を取り入れるキャンパーが増え、片やハイカーは自然を求めてキャンプをするようになってきた。そして誕生した新たなアウトドアスタイルが『キャンプ&ハイク』だ。
YAMAPのアンケート【「今後、挑戦してみたい」のはどんな登山スタイル?】で49%と約半数の登山者がキャンプに興味を示していることからもこのトレンドが伺える。(回答者数35,325人)
今回、そんな『キャンプ&ハイク』に挑戦するのは、仕事でも山登りをするカメラマンの小野慶輔さん一家。慶輔さん(パパ)と、パートナーの久恵さん(ママ)、小学5年生の遥陽(はるひ)ちゃん、小学2年生の陽向(ひなた)ちゃん、年中の陽葵(ひまり)ちゃんの5人家族だ。
場所は山梨県にある“尾白川リゾートオートキャンプ場”と“日向山”。
「子どもが生まれる前は、夫婦で八ヶ岳に登ったりしていましたが、いまはキャンプ中心のアウトドアスタイルです。それでもたまに登山欲が湧いて、奥さんに無理を言って、ひとりでアルプスの山に登りに行くことがあります。でも後ろめたさがあって…(笑)、やっぱり絶景や達成感は家族みんなで共有したいですよね」(小野慶輔さん・パパ)
この気持ちは、家族を持ちながら登山を趣味にする人なら、誰しもが一度は感じることかもしれない。
「キャンプついでに家族で登山をしてみようと思ったこともあったんですが、キャンプはどうしても荷物が増えてしまい、そこから山の準備となると億劫になってしまう。山の道具でミニマムにキャンプもできますが、子どもが3人いると、それなりの道具でないと子どもたちが満足してくれないですからね(笑)。道具や服装もちゃんとしないといけないですし…なかなかハードルが高いです」(パパ)
そんな悩みを解消してくれるのが1912年にアメリカで生まれた総合アウトドアブランド『L.L.Bean』だ。100年以上の歴史があるアウトドアメーカーは世界的にも少なく、実績と信頼度はお墨付き。トートバッグのイメージがあるが、創業当時から、「アウトドアという非日常の中で得られる喜びを多くのひとに知ってもらいたいという熱意」のもとに作られ改良され続けてきたギアやウエアも充実している。
小野ファミリーは山梨県北斗市にある『尾白川リゾートオートキャンプ場』に、13時過ぎにチェックイン。
山とは違って、テント場に着いたからといってすぐにチェックインはできない。意外と知られていないが、キャンプ場によってチェックイン・アウトの時間が異なるので事前に確認しておくこと。チェックイン時間は大体、12〜14時にかけての場所が多い。登山に比べると、遅いスタート時間だが、実は子育て世代にはメリットでもあるのだ。
「日帰り登山は朝早く出発する必要がありますが、そうなると子どもがグズってしまうことも…。その点、キャンプはのんびり出発しても大丈夫なので助かります」(久恵さん・ママ)
確かに、山登りは朝早く、大人でさえ気合を入れて起きなくてはいけないことがあるので小さな子どもがいる家族にとっては尚更だろう。
キャンプといえば通常、パパやママが主役になりがちだが、小野ファミリーはちょっと違う。
「子どもが大きくなるにつれ、自分たちの負担を減らすように心掛けています。“できること”“できないこと”を親が先に判断し、子どもの限界を決めつけないようにしています。大人よりも上手くできることだってありますからね」(ママ)
その言葉通り、子どもたちも率先して、荷物を運搬している。
火起こし担当は長女のはるひちゃん。去年から焚き火に興味を持ち始め、着火剤ではなく、現代版火打ち石“ファイヤースターター”を使うこだわりをみせるほどだ。また図工の時間で木板から出た、削りカスを捨てずに、焚きつけに使うという徹底ぶり。
無事に着火し、パパも大喜び。日常生活では、どんどん刃物や火を扱うことが稀になり、大人ですらうまくできない人が多いのだが、はるひちゃんは、大人顔負けの器用さで手際良く火を付ける。
「危険であることは確かですが、それでダメって、使わせなかったり近寄らせなかったりしたら、永遠に何も覚えないし習得もできない。もしケガをしたとしても、その痛みによって使い方が分かることもあるし、刃物や火が危ないものだと再認識してくれればと思っています」(パパ)
「料理も同じで、洗う、剥く、切るとみんなに役割分担を与えて、手伝ってもらっています。いずれ台所に立つわけですし、早いに越したことはないですからね」(ママ)
みんなで協力すると、キャンプの準備も楽しく、スムーズにはかどっていく。
キャンプを通して、のびのびと子育てを楽しむ小野さん夫妻。でも始めたばかりの頃は、服装選びに迷った経験があるという。
「最初は色々と試して、ダウンを着ていたこともあったんですが、最終的に寒い時期のキャンプの服装はフリースの一択になりました」(パパ)
フリースは防寒着として最適だが、山だとどうしても嵩張り、風が強いと保温性が半減してしまう。でもキャンプ場ではフリースこそが最強だろう。なにかと動き回るパパはフリース・ベストを着用。
「車から大きな荷物を下ろしたり、ペグを打ったりと腕や肩周りの可動域が広いので、フリース・ベストだととても楽です」(パパ)
「フリースは脱ぎ着しやすく、子どもたちのブランケット代わりにもなるし、手放せません」(ママ)
寒いとついついダウンに頼ってしまうが、じつはフリースのほうがキャンプに向いている。キャンプでは座って過ごす時間が非常に長い。ダウンを着たまま、イスに座ると背面部分が潰れて、冷気を通してしまう。それに比べ、フリースだとロフト(表面)が潰れることなく、保温機能を維持してくれるのだ。
肌寒くても焚き火と暖かい料理で体がポカポカになる。キャンプは焚き火で暖を取れ、料理が豪華にできる。寝袋に包まりジッと耐え、質素な山ご飯も悪くはないが、登山における山中泊との差は歴然だ。
「みんなで作り上げたキャンプサイトで美味しい料理が食べられ、焚き火を囲むことで、本当の一家団欒を感じます。これだけでも大満足だけど、さらに欲張って、明日みんなに絶景を見せられると思うとワクワクしますね」(パパ)
ヘッドランプをつけるだけで楽しい気分になれるのは子どもの特権。いつもは寝る時間だが、ついついオーバー。ママもキャンプに来た時だけは大目にみているとか。
「今夜のキャンプ場は、登山口まで車でわずか15分。だから多少遅くまで起きていて、明日の朝、寝坊したとしても安心です」(パパ)
明けて2日目。この日の予定は登山初心者でも楽しめる山として人気の日向山への登山だ。登りが2時間、下りが1時間30分と手頃なコースタイムなうえに、標高1,660mと高くはないが眺望は3,000m級ともいわれている。
「三女のひまりも連れてきたかったけど、5歳には厳しいかなと思い、ママとお留守番してもらうことに。“ひまりも登る~!”と駄々をこねてました(笑)。残念だけど、一緒に登る楽しみは、もう少し大きくなった時に取っておこうと思います」(パパ)
登山は何かがあってからでは遅く、少しでも不安を感じるようなら、こうした判断が賢明だろう。
7時に起床し、朝ごはんをのんびり食べて、ひと遊びしてからママとひまりちゃんに見送られ、出発。10時には矢立口登山口に到着だ。
登山のために揃えたのは『L.L.Bean』のハイキングウェア。十分な機能性を持ち、落ち着いた上品なカラーリングは、登山をはじめとしたアウトドアにぴったりだ。自然の中で映える色合いに子どもたちのテンションも上がる。
「はるひとひなたは、高尾山の6号路コースも経験しタイム的にも問題ないはず。それに、この2人はサッカーをしているので私より体力があるかもしれません(笑)」
偶然なのか山に呼ばれたのか分からないが、次女の陽向(ひなた)ちゃんは今回登る日向山と同じ“ひなた”。見えないパワー!?が後押しして、グングンと登っていき、パパとはるひちゃんが後を追う展開に。
「山頂まで分岐点がない登山道なので、少しぐらい離されても声を掛け合いながら登れますし、L.L.Beanの服のカラーリングが自然のなかでも目立つので安心できます」(パパ)
ひなたちゃんの快調な登山を支えるのがL.L.Beanのトレッキングシューズ。子ども登山では普段履いている運動靴で登ってしまうケースも多いが、やはり登山時はしっかりしたトレッキングシューズが安心だろう。
途中、苦しくても励まし合い、山頂に近づくにつれ、自然と笑顔になってくる。徐々に日向山の特徴である花崗岩が風化してできた白砂が広がり始める。「なんか海に来たみたいな感じがするね」とはるひちゃん。
そして、いよいよ天空のビーチへ。
「ママ~、お山のてっぺんに着いたよ~」
子どもなら「ヤッホー」と叫んでしまいたくなるが、はるひちゃんは違った。声は届かないかもしれないが、登れなかったママと三女・ひまりちゃんのことを思っていたのだ。
「山頂がこんなにキレイなとこだとは思ってもいなかったからビックリ。あと高尾山みたく山頂にお店があると思ってた…(笑)」(はるひちゃん)
「下山は、モチベーションが下がり、どうしても惰性で歩いてしまいがち。でも登山口で家族2人が待っているので否応なしに気持ちが引き締まりますね」(パパ)
15時には下山し、ママとひまりちゃんと合流。
「3人を見送った後、ひまりが大泣きして大変だったの。でも近くの公園にいた牛に心を奪われ、それからは牛の話ばっかりして山のことはすっかり忘れたみたい(笑)」(ママ)
「正直、みんなで登りたかったけど、留守番の2人も楽しんでくれていてホッとしています。いままでは登山口の情報しか調べず、ひたすら登って、帰るだけ。じつは山の麓にキャンプ場がたくさんあることも気に留めずにいました。でもこの“キャンプ&ハイク”を体験したことでフィールドの選択肢が一気に増えました。ただ、欲を言えば、下山後にもう1泊したくなりますね」(パパ)
これまでの“家→登山口→山頂→登山口→家”に、「キャンプ」を加えるだけで、余裕ある登山スタイルになるはず。どうしても忙しなくなってしまう日帰り登山が登山口の近くでキャンプすることで、時間や気持ちの制約もなくなるだろう。また登山者は「ふだんから自然に慣れ親しんでいる」というアドバンテージがあるので、臆することなくキャンプを受け入れられるはずだ。是非、『キャンプ&ハイク』にチャレンジしてほしい。
そして、L.L.Beanのファッション性と機能性を知ることで、外遊びの幅が一気に広がり、『キャンプ&ハイク』にピッタリなブランドとして、目が離せなくなってくるはずだ。
これからは登山口と一緒にキャンプ場も調べてみてはいかがだろうか。
【キャンプ・シーン】
(パパ:168cm)
マウンテン・パイル・フリース・ベスト 米国フィット Mサイズ
エル・エル・ビーン・キャンプ・スウェットシャツ、フーディ グラフィック 米国フィット Mサイズ
エクスプローラー・リップストップ・パンツ 米国フィット・ショート Mサイズ
エル・エル・ビーン・ブーツ 8インチ
(ママ:164cm)
マウンテン・パイル・フリース・ジャケット 米国フィット Mサイズ
エル・エル・ビーン・コージー・キャンプ・フーディ 米国フィット Sサイズ
エル・エル・ビーン・ブーツ 6インチ
(はるひちゃん:149cm)
キッズ・シェルパ・フリース・フード・ジャケット ビッグキッズ L 14-16
(ひなたちゃん:123cm)
キッズ・レトロ・マウンテン・クラシック・フリース・ジャケット、プリント ビッグキッズ S8
(ひまりちゃん:103cm)
キッズ・エル・エル・ビーン・ハイ・パイル・フリース リトルキッズ M 5-6
【ハイク・シーン】
(パパ:168cm)
メンズ マウンテン・クラシック・アノラック、マルチカラー ジャパン・フィット Lサイズ
メンズ クレスタ・ハイキング・パンツ、スタンダード・フィット ジャパン・フィット
メンズ トレイルファインダー・ハイカー、ロー
(はるひちゃん:149cm)
キッズ・トレイル・モデル・レイン・ジャケット、カラー・ブロック ビッグキッズ L 14-16
キッズ・エアーライト・フルジップ・フーディ、カラーブロック ビッグキッズ L 14-16
ビスタ・ハイカー、ミッド
(ひなたちゃん:123cm)
キッズ・マウンテン・クラシック・フルジップ・ジャケット、マルチカラー ビッグキッズ S8
キッズ・キルト・クォータースナップ・プルオーバー ビッグキッズ S8
キッズ・トレイル・モデル・ロー・ハイカー
文:猪野正哉
写真:猪俣慎吾
モデル:小野さんファミリー(小野慶輔さん、久恵さん、遥陽ちゃん、陽向ちゃん、陽葵ちゃん)
協力:L.L.Bean