ソックスが登山を変える|ウールを超えた次世代型快適ソックス

数ある登山ギアのなかでも、最も重要なアイテムといえば登山靴ですよね。その理由は、どんな登山靴を選ぶかで、山登りの快適さや疲労度が大きく変わってくるから。読者のみなさんも、登山ショップで自分の足に合った登山靴を慎重に選んだ経験がある人が多いでしょう。でも、意外と見落としがちなのが、「ソックス」なんです。今回は登山とソックスの関係について解説しましょう。

2023.07.18

大関直樹

フリーライター

INDEX

快適登山の意外な盲点、それはソックス選び!

ソックスは、登山靴の性能を引き出すための非常に重要なアイテムです。ベストな組み合わせを選ぶことは、快適な登山のためには欠かせません。例えば、厚手のソックスはクッション性があるので、長時間の山歩きや岩場歩行での足への負担を軽減してくれ、薄手のソックスは通気性が良く、暑い季節や汗ムレが原因となる靴ずれを防いでくれます。

では、登山用ソックスに必要な機能とは何でしょうか?

まず、一番重要なのは、汗を素早く吸収して、靴ずれやマメを予防すること。長時間歩く登山では、足の皮膚が汗によってふやけてしまうと、少しの摩擦で皮が剥がれて靴ずれがおきてしまいます。靴ずれに悩んでいる人は、ソックスを変えることで問題を解決できることも多いのです。

また、肌寒い季節や高所登山では足の冷えが心配。だから、適切な保温力を持つ登山用ソックスを選ぶことも重要です。さらに、テント泊など重い荷物を背負う場合は、足への衝撃を軽減するために、ある程度クッション性のあるタイプをチョイスしましょう。

最近は、低山ハイキングと高所登山によって、登山靴を使い分ける人々が増えています。それと同様にソックスも季節や山行スタイルに適したアイテムを選ぶことでワンランク上の快適登山を楽しむことができるのです。

登山用ソックスの役割
●汗を素早く吸収して足をドライに保つ
●保温力を高めることで足の冷えを防止する
●適度なクッション性で足を保護する

6つの温度域を持つサーミックの次世代型ソックス

ソックスを使い分けたいけど、どうやって選んだらいいの?という方にオススメなのが、サーミックの登山用ソックスです。

サーミックでは、外気温をマイナス30度からプラス35度までの6つのカテゴリーに分類。それぞれの温度域で最高のパフォーマンスを発揮するように設計されたアイテムをリリースしています。

もともとヨーロッパアルプスの中心部で創業したサーミックは、スキーヤー向けにヒーティングインソールを提供することから事業を開始。温度コントロールのパイオニアブランドとして、革新的なサーモテクノロジーを次々と開発しています。サーミックというブランド名は聞いたことがないという人もいるかもしれませんが、ヨーロッパではよく知られていて、これから日本でも注目を集めることは間違いないでしょう。

夏山に最適なトレッキングウルトラクールリネン


サーミックの6つのラインナップの中でも、夏山に最適なのがウルトラクールカテゴリー(温度域:15~35度)です。その代表アイテムであるトレッキングウルトラクールリネン(以下:UCL)について、実際に山で愛用しているという山岳ガイドの照井大地さんのコメントと併せて紹介しましょう。

●汗をかいても、どんどん乾いていく
UCLは、化学繊維とリネン(麻)が混紡されており、冷感が持続します。

リネンは、日本でも夏の衣類によく使われているだけあって、通気性と吸湿性に優れ、サラっとした肌触りが特徴。さらに、ソックスの甲部分には凸状のパネルを、側面には棒状のパネルが配置されていることで、登山靴内に溜まった湿気を含んだ空気を効率的に排出してくれます。

照井さん:まず、足を入れた瞬間にひんやりとして、肌触りもサラサラしているのが印象的でした。このひんやり感は山行中もずっと持続し、激しく脚を動かしても暑さを感じないんですよ。リネンの効果ってこんなに大きいんだなと実感しました。さらに、汗をかいても濡れる前にどんどん乾いていくんです。きっと2種類のパネルによって空気の流れができるので、熱がこもりにくいんだと思います。

凸状のパネルが空気の流れを作り、登山靴内の湿気を排出する

●3シーズン用の登山靴と相性が抜群

速乾性に加えて登山用ソックスに必要な機能が、クッション性です。一般的に、ソックスが厚ければ厚いほどクッション性は高くなりますが、サーミックの製品は薄いのが特徴。クッション性はそれほど高くないのですが、それは全く問題はない、と照井さんは言います。

照井さん:現在のハイキングシューズや3シーズン用登山靴の多くは、ミッドソールが衝撃を吸収する構造になっているため、ソックスに高いクッション性を求める必要はありません。逆に、薄いソックスの方が足裏で地面の凹凸を感じることができるため、より安定して歩くことができるのです。登山靴の性能を引き出す意味でも、薄いソックスの方が快適だと思います。ただし、雪山を含めたオールシーズン対応の重登山靴の場合は、ソールも硬いものが多いので、厚手のソックスを選んだ方がよいでしょう。

●リネンの防臭効果でイヤなニオイもしにくい

山小屋やテントの中に入るときは登山靴を脱ぎますが、気になるのが足のニオイですよね。周りの人に不快感を与えないためにも、ソックスのニオイには注意したいもの。UCLは、リネンの天然防臭効果に加えて、優れた通気性によっても臭いの発生を抑えてくれます

照井さん:足のニオイは、熱がこもりやすくジメジメした環境で、雑菌が繁殖することで発生します。しかし、UCLは通気性がよく熱がこもらないので、臭わないんですよ。だから、長期縦走などでも安心して使えますね。

●商品情報

(左)トレッキングウルトラクールリネンアンクル
価格:2,860円(税込)
サイズ:35/38(22~24cm)、39/41(24.5~26cm)、42/44(26.5~28cm)
カラー:グレー/ネイビー

(右)トレッキングウルトラクールリネンクルー
価格:3,190円(税込)
サイズ:35/38(22~24cm)、39/41(24.5~26cm)、42/44(26.5~28cm)
カラー:グレー/ネイビー


(左)トレッキングウルトラクールリネンアンクル ウーマン
価格:2,860円(税込)
サイズ:35/36(21.5~23cm)、37/38(23.5~25cm)
カラー:グレー/パープル

(右)トレッキングウルトラクールリネンクルー ウーマン
価格:3,190円(税込)
サイズ:35/36(21.5~23cm)、37/38(23.5~25cm)
カラー:グレー/パープル

3シーズン使えるトレッキングテンペレート

トレッキングウルトラクールリネンは夏山向きのソックスですが、3シーズン使用できるアイテムとして、トレッキングテンペレート(以下:TT)があります。適応温度帯はマイナス5度からプラス25度なので、厳冬期を除く春から秋まで使うことができます。

●ウールと化繊の二重構造でドライ感をキープ
TTの最も特徴的な点は、アウターがウール、インナーが水分を吸収しにくい化繊の二重構造となっていること。化繊が汗を弾くので、肌面は常にドライな状態を保つことができます。

照井さん:最初はウールと化繊の繊維同士が擦れるかなと思ったんですけど、実際に履いてみると履き心地は普通のソックスと変わらず快適でした。ただ、かなり汗をかいても、肌がドライなんですよ。寒い時期の登山では、休憩時に汗冷えすることがありますが、そんな心配もありません。

アウターは吸湿性のあるウール素材を使っている

●最初の1足を選ぶならトレッキングテンペレート
TTは、UCLにも採用されていた凸凹状のパネルを裏返しにすることで、空気の流通量を調節する構造となっています。この設計によって、適度な保温性とクッション性が確保されています。

照井さん:ソックスの表も裏も無数の小さな穴が空いているのですが、そこに空気が溜まるので温度が調節できるんだと思います。だから、薄いソックスなのに温かいですし、暑いときは涼しさを感じられます。そういう意味では、登山靴の種類や季節を選ばないので、汎用性が高いですね。もし最初の一足を購入するのでしたら、テンペレートがオススメです。

TTを裏返しにした状態。肌面には疎水性のある化繊素材を使用

●ウールよりも高い耐久性も魅力
素材に抗菌効果が高いウールを使っているだけあって、TTの防臭効果は抜群。さらに、汗が肌面に残りにくいので、雑菌の繁殖も抑えられます。また、耐久性に関しても一般的なウールソックスよりも高いと照井さんは言います。

照井さん:ウールは、皮脂を吸うと硬くなる特性があります。そのため、繊維が固まったりヨレたりして汗抜けが悪くなってしまうんです。しかし、テンペレートは肌面に化繊を使用しているので、皮脂が直接ウールにつきにくい。また、ウール自体もそれほど強い繊維ではありませんが、化繊とうまく組み合わせることで耐久性を向上させることに成功していますね。

●商品情報

(左)トレッキングテンペレート
価格:4,070円(税込)
サイズ:35/38(22~24cm)、39/41(24.5~26cm)、42/44(26.5~28cm)
カラー:グレー/ネイビー

(右)トレッキングテンペレート ウーマン
価格:4,070円(税込)
サイズ:35/36(21.5~23cm)、37/38(23.5~25cm)
カラー:ライトグレー

ウールソックスとサーミックソックスを比較してみたら

現在、登山ショップで販売されているソックスの8割以上はウール素材のアイテム。しかし、もっと快適な履き心地を求めるなら、サーミックのソックスを試してみることをおすすめします。きっと、これまでのソックスとの違いに驚くでしょう。

照井さん:これまで登山用のソックスは、ほとんどがウール素材だったので、厚さやメーカー毎のフィット感の違いで選ぶことが多かったと思います。しかしサーミックの製品は、新しい素材を使っており、快適性をさらに向上させ、靴ずれやマメなどのケガを防止することに注力しています。ぜひ色々な山で使ってみて、ウールソックスとの違いを実感してみてください!

ウルトラクール
リネンソックス
テンペレート
ソックス
ウールソックス
通気性
吸湿性
防臭性
速乾性
クッション性
汎用性
適期 夏山 3シーズン 4シーズン

まとめ

温度・湿度をコントロールすることで、快適な登山を楽しむことができるサーミックの登山用ソックスについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。最後に、どんな山でサーミックを使ったらよいかを照井さんにアドバイスをいただきました。


照井さん:サーミックは、普段使いのソックスとさほど厚さが変わらないので、初心者でも違和感なく履けますよ。また、一般的なウールソックスは厚くて窮屈なので、登山口に着いてから履き替えるという人もいると思いますが、サーミックなら家からそのまま履いて山に登ることができます。しかも軽くてコンパクトなので、長期山行のときのバックアップソックスとしても適しています

ネックウェアを夏山に持っていくメリットとは?

最後に、同じサーミックから出ている「ネックウェア」について見てみましょう。

夏の青く晴れ渡った空の下での山歩きは楽しいですが、気になるのが日焼け。一般的に標高が1,000m高くなると、紫外線は10%以上増加するといわれているので、登山では紫外線対策は欠かせません。日焼けは皮膚の炎症を引き起こすだけでなく、体力の低下や疲労回復の遅れの原因にもなると言われています。そこでおすすめなのが、「ネックウェア」です。

サーミックのネックウェアクールライトの紫外線防止効果を表すSPFは、国内最高基準の50。さらに軽量で吸湿速乾性にも優れているので、夏山で使うには最適です。

照井さん:このアイテムは、首に巻いたり、フェイスマスクにしたり、バンダナにしたりとアイデア次第で色々な使い方ができるので便利ですね。高山の朝晩の肌寒いときは、防寒アイテムとしても使用できます。登山ショップに行くと色々なネックウェアが売っていると思いますが、ネックウェアクールライトはフィット感が抜群なんですよ。頭に被っていてもズルズル落ちてこないんです。読者のみなさんも、ぜひショップで試してみていただきたいと思います。

サーミックのソックスとネックウェアは、公式オンラインショップのほか、全国の石井スポーツやさかいやスポーツでも好評発売中ですので、ぜひ手にとって、そのテクノロジーを実感してください!


教えてくれた人:山岳ガイド 照井 大地(てるい だいち)さん
岩手県花巻市出身。JMGA山岳ガイステージⅠ、JMGAスキーガイドステージⅡ。幼い頃より登山とスキーに親しむ。現在は北海道札幌市を拠点に季節を問わず北海道から東北、南北アルプス、八ヶ岳等で少人数での個人ガイディングを行っている。

原稿:大関直樹
協力:照井大地
協力:シダスジャパン(サーミック)

大関直樹

フリーライター

大関直樹

フリーライター

小中学校はボーイスカウト、高校はワンダーフォゲル部で自然に親しむ。好きなものは、タバコとお酒と競輪。最近は、山頂で一服すると周りの目が厳しいので肩身が狭いのが悩み。「みなさんが山で嫌な思いをしないように風下でこっそり吸いますので、許してください」