カリフォルニアの老舗アウトドアブランド・GREGORY(グレゴリー)から、汗ばむ季節の日帰りハイキングに使いやすいバックパック「ズール LT(男性用)」「ジェイド LT(女性用)」が新たに登場しました。
背面の通気性とグレゴリーこだわりの背負い心地を備えながら、軽さも追求した、スタイリッシュなデザインの新シリーズです。
さっそく、暑がりで背中の汗に悩まされているライターの平野美紀子さんに、長野県の日本百名山・霧ヶ峰をハイキングして試してもらいましたので、詳しくレポートします。
2024.07.04
大堀 啓太
ライター・編集
グレゴリーといえばバックパック。バックパックといえばグレゴリー。それほど登山者には馴染み深いブランドです。
グレゴリーは「Don’t carry it,Wear it(パックは背負うのではなく、着るもの)」と提唱するほど、フィット感を大事にしている老舗アウトドアブランド。その背負い心地のよさは、高級車のようなクオリティから「バックパックのロールス・ロイス」と例えられることもあります。
そんなグレゴリーに、日本の高温多湿な環境にも合う、背中の通気性を高めたモデルがあるのをご存知でしょうか。
それが、2006年から発売されている定番シリーズの「ズール(男性用)」と「ジェイド(女性用)」です。
バックパック本体から、メッシュのバックパネルをフレームで浮かせた背面システムを採用。パックと背中に空間ができることで、密着による蒸れを軽減でき、こだわりのフィット感だけではなく、ドライ感が続く快適な背負い心地を兼ね備えています。
登山中に背中にこもる蒸れは不快なものです。蒸れて背中にこもった熱でのぼせ気味になったり、汗を余計にかいてウェアを濡らしてしまったり。
汗でびっしょり濡れたウェアは、体に張り付く不快さだけではありません。濡れているものが接触していることで体が冷やされてしまい、真夏の高山や秋冬の低山の休憩中などでは寒さに震えてしまいます。体の不調にもつながる体の冷えは、登山では避けたいリスクの原因です。
そんな蒸れの悩みから解放される「ズール」「ジェイド」シリーズは、多くの登山者に愛用され、15年以上もロングセラーを続けています。
そして、そんなロングセラーモデルを日帰りハイキング用に最適化した「ズール LT(男性用)」「ジェイド LT(女性用)」が2024年に登場。
「ズール」「ジェイド」シリーズで好評な背負い心地や背面の通気性はそのままに、軽量化を図り、今までなかったようなスタイリッシュなデザインに仕上げたバックパックです。
「ズール LT」と「ジェイド LT」の機能は同じで、どちらのモデルも容量のラインナップは、20L、24L、28Lの3アイテムを展開しています。
発売されたばかりの「ジェイド 24 LT」の機能を確かめるためにやってきたのは、6月上旬の霧ヶ峰。
最高峰の車山は標高1,925mありますが、歩いていると汗ばむような気温。ハイキングで火照った体にありがたい一陣の風が、高原をときおり吹き抜けます。
そして、「ジェイドLT」を試してもらうのは、さまざまなアウトドアメディアで編集・ライターとして活躍する平野美紀子さん。登山歴は7年以上で、北アルプスの黒部五郎小舎で働いたこともあるほどの山好き。
これまで背負ってきたのはUL(ウルトラライト)系のバックパックのようで、グレゴリーのバックパックは初めて。
「バックパックを選ぶポイントは、デザイン、荷物の取り出しやすさ、背負い心地のよさ。グレゴリーを購入しようか悩んだこともあったので、今回は楽しみにしていました!」
まずは第一印象を聞いてみました。
「見た目がスマート! いかにも登山っていうバックパックのデザインが苦手で…。でも、これくらいシンプルなデザインなら、モノトーンなウェアなどいろいろなスタイルでもコーディネートしやすいですね」
そして、「ジェイド LT」を1日中背負って歩き終えたときには、快適さに感動する平野さん。
「汗かき、暑がりな登山者に、ぜひ背負ってほしいバックパックですね! わたしはけっこう汗かきで、登山のときは背中とウエスト周りがびっしょり濡れてしまうんですよ。でも、いつもより汗をかかなかったので感動しました。背面の通気性って、本当に効果があるんだなって」と、うれしそうに話してくれました。
「寒がりな人にもよさそうです。汗かきなのに、かいた汗ですぐに体が冷やされてしまう体質なので、休憩中は寒い思いをしていたんですよ。蒸れにも冷えにも悩まされなくなって、いいですね!」
背面が通気する効果を十分に体感できたようです。それでは、ハイキングの様子を詳しくみていきましょう。
標高があって風が通り抜ける霧ヶ峰、樹林帯で湿度も高い麓の山(標高1300mほど)、同じ日でも条件が異なるフィールドで、ジェイドLTが誇る背面の通気性を試してもらいました。
「霧ヶ峰を登っているときに風が吹いたんですよ。そうしたら、背中に空気が抜ける感じがあって、クーリングされているようで爽快でした。蒸し暑さを感じる樹林帯でも、いつもよりも汗をかかなかったので、『あぁ、通気性ってありがたいな』って」
「ジェイド LT」は、バックパック本体と背面メッシュパネルの間に空間を作る「ベイパースパン通気性バックパネル」というサスペンションシステムを採用し、高い通気性を備えています。
この背面システムは通気性だけではなく、体の曲線に沿ったエルゴノミックデザインで、体にやわらかくフィット。ソフトなメッシュ生地との相乗効果で、快適な背負い心地です。
また、汗をかきにくいメリットは、行動中だけではないようです。
「汗をあまりかかないから、バックパックのにおいも気にならなさそうです。バックパックの背面パッドって汗をけっこう吸うので、においも気になるんですよね。でも、洗濯機には入れられないから毎回洗うのも大変で…。ジェイド LTなら、メンテナンスも楽そうです」
「ジェイド LT」の重量は1020g。ウルトラライト系のバックパックと比べると、少し気になる重量ですが…。
「手で持ったときにもそれほど重くありませんでしたし、背負ったときにも重量を感じませんでした。フィット感と背負い心地がいいからか、軽い背負い心地ですね。パッドがしっかりしていて背負いやすいし、体全体で支えられているような安定感がありますね」
数字にばかり気を取られずに、背負い心地の軽さを大切にした方が快適にハイキングができそうです。
背負い心地に関わるフィット感の高さの秘密は、ヒップベルトにあります。
ベイパースパン通気性バックパネルからヒップベルトまで、シームレスに繋がるデザインを採用。これによって、大きな面で背中と腰を包み込むようにフィットするため、体全体でバックパックを背負えるようになります。
そして、荷重をしっかり支えられるバックパックの剛性が、安定感を生みます。
背面システムを構築する「スチールフレーム」と、バックパックと背面メッシュの間に設けた「リニアメッシュサポート」の相乗効果で剛性を高め、快適な背負い心地をサポート。
安定感が高いバックパックは、疲労軽減や安全性を高められます。
バックパックがブレて体が振られるといった余計な負担が体に掛からなくなり、下りのシーンなどでは転倒リスクを予防できます。
背負い心地だけではなく、平野さんがバックパックを選ぶポイントとした、荷物の取り出しやすさもチェックしてもらいました。
「メインコンパートメントのファスナーを大きくガバッと簡単に開けられて、荷物を出し入れしやすいですね。脱いだレインウエアなんかもバッと放り込みやすそう。これだけ開くと中の視認性もよくなって、必要なものを迷わず取り出せますね」
「あと、パッキングが苦手なので、アクセスしやすい位置にいろいろなポケットがあって、装備を分け入れられるのは便利で助かります」
トップローディングタイプでは開けるための操作が多いため、意外とストレスになっているかもしれません。荷物の取り出しやすさは、ハイキングの楽しさに関わる大切なポイントのひとつといえそうです。
「ジェイド LT」には、ハイキングに役立つ収納をたくさん備えています。
伸縮タイプのトレッキングポールは、左フロントにあるバンジーアタッチメントとボトムループで取り付け可能です。折りたたみタイプのトレッキングポールは、サイドメッシュポケットに収納しましょう。
ウエストハーネスの両サイドにはファスナーポケットを装備。スマートフォンも収納できるサイズで、リップクリームや日焼けなどよく使う小物を収納するのに便利です。
ストレッチ性のあるサイドメッシュポケットは、大きめのボトルも収納できます。体がやわらかい人であれば、背負ったままでもアクセス可能。
こだわったのは機能だけではありません。
自然を楽しむアイテムだからこそ、環境へのやさしさを追求しています。
・表地と裏地にリサイクル素材を使用して、二酸化炭素を削減
・環境への影響が懸念されるPFC(フッ素化合物)フリーの耐久撥水加工で、水質汚染を削減
・グレゴリーが独自開発したツールで得たデータをもとに、トータルの環境負荷を軽減
目に見えず、体感ができる機能ではありませんが、環境にやさしいアイテムを背負うと、より自然を近くに感じられそうです。
暑いシーズンでも、「ズール LT」「ジェイド LT」なら、背中の蒸れや汗を気にすることなく楽しめます。汗かきの平野さんも、その背負い心地に満足していました。
機能だけではなく、スマートなデザインもうれしいポイント。いろいろなスタイルにコーディネートしやすく、公共交通機関を使ったハイキングにも背負いやすいバックパックです。
ぜひ「ズール LT」「ジェイド LT」で、背中が爽快なハイキングをお楽しみください。
モデル・レビュー:平野美紀子
原稿:大堀啓太
写真:高柳傑
協力:グレゴリー(サムソナイト・ジャパン)