暖かい日が増え、本格的な登山シーズンが間もなく始まります。子育て中のお父さんお母さんは、今シーズンは子どもを連れてどの山へ行こうか? と、考えているかもしれませんね。
今回は、子連れ登山の準備をする上で欠かせない「子どものウェア」について解説。一児の母であるアウトドアライターの福瀧智子さんが、パタゴニア・キッズの最新プロダクトを友人家族の子どもたちに実際に山で着てもらい、着る本人の子どもだけでなく親も満足できる、パタゴニア・キッズを選ぶ5つの理由を紹介してくれました。
2024.04.18
福瀧智子
編集者/アウトドアライター
山へ行くにも、旅行に出かけるにも、親がまず大変なのは事前の準備(とくにお母さん!)。ことに、行き先がフィールドの場合はさまざまな状況を想定して先回りの準備が求められます。
慣れないうちは本当に時間がかかりますが、何度も繰り返すうち、「これさえ持っていけば間違いない」という子どもたちのウェアの組み合わせが頭のなかでできあがるようになります。
パタゴニア・キッズのラインナップのすごいところは、乳幼児から10代まで、つまり赤ちゃんから中高生までをカバーするほどのウェアが、ほとんど大人と同じ素材・デザインで揃っていること。
これからのシーズンである春夏アイテムでいえば、速乾性や通気性、サラリとした着心地などを備えたものが揃い、子どもが不快を訴えてきづらく、親も楽なものが充実。「ちょっと寒い」とか「ちょっと暑い」という、分かりにくい子どもの要求まで「ハイヨ」と気軽に応えられるウェアが揃います。
パタゴニア・キッズのラインナップは、レイヤリング(重ね着)を考慮した設計。ミドルレイヤーの丈がジャケットの裾からはみ出たり、ものによって組み合わせづらいというような心配もありません。ベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウター…とそれぞれの展開数も多いので、組み合わせの幅が広いことも特徴と言えます。
準備段階から親の考えることを少しでも減らし、いち早く出かけたい!と思うなら、同じブランド(ここでいうパタゴニア)で揃えることが最短というわけ。これがパタゴニア・キッズを選ぶ理由その①です。
子どもをフィールドに連れていくと、親が思いもよらない行動をとります。とくに男の子はそれが顕著。登るなと言っても高いところに登ってみるなんて序の口で、枯葉の下に潜り込んでみたり、葉っぱを鼻に突っ込んでみたり、わざと水たまりの上で跳ねてみたり…と、ツッコミどころ満載の行動は数え切れません。
ただここで先回りして、大人が子どもの行動をなんでもかんでも止めない方がいいって、知ってました?
岩や水、葉っぱに触れたり、斜面を駆け降りたり、手を使ってよじ登ったりして活発に動くことで、子どもたちはビンビンに五感が刺激され、家ではみられないとてもいい顔をすることに親は気付くはずです。
以前、自然教育のスペシャリストや脳科学者の方から、子どもが自然のなかで五感を使い、また不整地でたくさん遊ぶことによって、脳や体の発育にじつによい効果がたくさんあると聞いたことがあります。
だ・か・ら、静止するなんてもったいない! 「危ないから、汚れるからやめなさい!」とつい止めたくなる気持ちを私も意識してぐっといつも抑えます。それどころか、一緒になって親も遊ぶことがじつはとっても重要なんだそうですね。
自然のなかで子どもが活発に遊ぶときに、腕が上げづらい、足が引っかかる、お腹が出ちゃう…など、動きにくいウェアであるよりも、ダイナミックな活動にも対応できる設計のものであれば、それはひとつの安心材料となります。
また、岩や木々との摩擦などによって素材が破れたり、兄弟で使い回すうち簡単に縫い目がほどけてくるような弱いものであってもいけません。ウェアを着ていることを忘れるほど快適で、自然のなかでの活動に120%夢中になれるもの、そんなウェアが大事なのではないでしょうか。
親が子連れでフィールドへでかけるのは本当に大変。それでも、子どもの心と体のために親は「脳のため、体のため」と唱えて重い腰を上げ、信頼できるウェアでどんどん野へ山へと出かけていきたいものですね。
小さい子どもは大人より外部環境の影響を受けやすく、活発に動き始めると体温が上昇しがち。また寒いなかでじっとしていると体温はみるみる下がります。大人なら我慢できる範囲でも、子どもは自分では体温調整がうまくできないため手助けが必要。ときとして直接的に体へ触れ、発汗や体の冷えを確認するようなことも求められます。
そんなとき、子どもが親と同じものを着用していれば、自分に当てはめてある程度子どもの体の状態の予測が付きやすいということは言うまでもありません。
いま暑いのか? 寒いのか? 親が暑いと感じていれば、動き回っている子どもはそれ以上に暑いと感じている可能性が高く、その逆もしかり。自分をベースにすれば様子がより読みとりやすく、反対に親が化繊・子どもはコットンなどという極端に違う状況では想像がなかなかつきません。
すべて同じもので揃えるのは難しくとも、なるべく近いアイテムで親子合わせておくと、ウェアの脱ぎ着のタイミングやレイヤリングの加減がよりスムーズになるはずです。
この写真はリアルにうちへまわってきた、さまざまなアウトドア好き家族からのパタゴニア・キッズのおさがり。ところどころ汚れていたり、擦れていたりしますが、まったく問題なく使えています。
我が家にやってくる子ども用のアウトドアウェアではパタゴニア製品が圧倒的に多数。購入の段階から親御さんは次につなげることを意識し、サイズアウトし始めるころに手ごろな子どもを探しているのかと思うほどいいタイミングでやってきます。もちろんウェアが丈夫で長持ちし、メンテナンスや修理のしやすさが製品に備わっていなければこのサイクルは叶いません。
便利なものをあっさり捨てるのではなく、ものの寿命をまっとうするまで受け継いで使える限り使う姿勢。それはお財布にとてもやさしいうえ、“もったいない精神”が備わる日本人としてとても気持ちのいい行動だと思います。
お下がりのことを考えて付けられた「おさがりネームタグ」が備わる以前のものは、過去に使ってきた子どもたちの名前がいくつもタグに書かれています。歴代の家族のアウトドアライフを感じる一瞬でもあり、春夏秋冬さまざまなフィールドで遊べる日本って、本当にいいところだなとつくづく思ったりしています。
山をはじめ、アウトドアで遊んでいると四六時中心が洗われるような場面にであいます。
稜線から眺める見渡す限りの雲海、シーカヤックの先に広がる朝焼けの海、雲の陰影が流れていく真っ白な雪面。広い風景だけでなく、手が届く範囲にも小さな感動が無数にあります。トレイルに落ちる木漏れ日にはいつも心がときめき、咲き乱れる小さな花が風に揺れる様子はけなげで本当に愛らしいものです。
そしてふと思うわけです。
このすばらしい景色は子どもたちが大人になったときにも変わらずにあり続けるのだろうか? いまの自分と同じように夢中になって遊べる環境が残っているのだろうか? と。近年、日々の暮らしでさえ異常気象をひしひしと感じるなか、切実に未来の自然を心配します。
フィールドで子どもを遊ばせるときは、自然や環境問題について一緒に話をするチャンスでもあります。「元気がなくなってきている地球をどうすれば元気にしてあげられるかな」。テレビ画面を眺めながらよりも、その手で植物に触れ、山や海をその目でみて話す方がはるかに力があります。
パタゴニアの環境問題への取り組みに関してはここでは詳しく語りませんが、パタゴニア・キッズのウェアには子どもとの対話のきっかけになるヒントがさまざま。
たとえば環境問題をテーマにしたプリントを施したジャケットは、毎年シーズン限定の柄が登場するなど、楽しみにしている人も多いと聞きます。
パタゴニア・キッズのウェアで身を包んで子どものうちからたくさんフィールドで遊び、いかに自然に負荷をかけない暮らしをしていくかを耳元でささやき続ければ、(今はよく理解していないとしても)それが血となり肉となり、やがてごく自然にそんな生き方ができる大人になるに違いない! そう信じて、海や山、雪の話を子どもにせっせとしています。
子どもたちが機能的なウェアを受け継ぎ、末長くこの地球でしあわせに遊んでいけますように。
【使用アイテム(右から)】
(旭くん 132cm)
キッズ・トレントシェル 3L・レイン・ジャケット
キッズ・ロングスリーブ・キャプリーン・シルクウェイト・Tシャツ
キッズ・クアンダリー・パンツ
キッズ・レフュジート・デイパック 18L
キッズ・トリム・ブリム・ハット
その他私物
(旦くん 122cm)
キッズ・バギーズ・ジャケット
キッズ・ロングスリーブ・キャプリーン・シルクウェイト・Tシャツ
キッズ・フォックスグレン・ジョガーズ
キッズ・トラッカー・ハット
その他私物
(芳枝さん 162cm)
ウィメンズ・ボルダー・フォーク・レイン・ジャケット
ウィメンズ・R1プルオーバー
その他私物
(創さん 182cm)
メンズ・ボルダー・フォーク・レイン・ジャケット
メンズ・R1エア・ジップネック
メンズ・クアンダリー・ジョガーズ
その他私物
文:福瀧智子
写真:田渕睦深
モデル:阿久津さんファミリー(阿久津 創さん、芳枝さん、旭くん、旦くん)
協力:パタゴニア