テント泊派必見!「軽さ」と「収納性」重視のギア選び

これからの夏山シーズン、登山の楽しみといえばやっぱりテント泊。雄大な自然の中で過ごす一夜は、何物にも代え難い至高の時間です。でも…ちょっとおっくうなのは、かさばって重い荷物ではないでしょうか? 「持っていくものが増えすぎてザックに入らない!」なんて声も聞こえてきそうです。今回は、自身も同じ悩みを抱える編集部員が、荷物のコンパクト化&軽量化に挑戦。四苦八苦しながらも、どうにか目標を達成した、その様子をお伝えします。

はじめようテント泊|登山テントの選び方、おすすめアイテム、活用アイデア #05/シリーズ一覧はこちら

2020.08.03

YAMAP MAGAZINE 編集部

INDEX

まずは編集部員(私)のテント泊装備について

夏山の楽しみといえばやっぱりテント泊。星空の下、山に抱かれて一夜を過ごすあの開放感はクセになりますよね。「テントサイトで美味しい山ごはんを食べたいな」「夜のことを考えて、明るいランタンを持って行こう」「テントはいつものやつで」「あ、マットも持っていかなきゃ」なんて考えているとついつい荷物が…。きっと同じ悩みを抱えている方も多いはずです。

かくいう私も…。1泊2日で近場の低山にテント泊に行こうと思ったときですら、この大荷物。

道具一式。大人の諸事情により、モノクロでお届けしております。目指す山は標高900m弱、道のりは往復5時間程度、山頂付近にテントサイト・水場・トイレがある、かなりコンディションの良い山です

ちなみに概要と重さを下記表にまとめてみました。

No, 品名 重量
1 ザック(40L) 1,700g
2 コッフェル類 178g
3 ガス缶・箸 400g
4 バーナー 123g
5 テント一式(2人用・ドームタイプ) 1,720g
6 ヘッドライト 83g
7 ランタン 126g
8 シュラフ(夏季低山想定) 970g
9 マット(1人用・長さ182cm) 244g
10 水(2L) 2,060g
11 ザックカバー 95g
12 レインウェア 490g
13 ファーストエイドセット 300g
14 エマージェンシーセット※1 260g
15 生活用品※2 375g
16 長袖シャツ×1・Tシャツ×1 310g
17 携帯バッテリー(6700mah) 138g
18 食糧 2食分※3・行動食 750g
装備重量合計 10,322g

※1:アルミシート・ホイッスル・非常食・ナイフ・紙地図・コンパス・細引き ※2:タオル×1・手拭い×1・歯磨きセット・トイレットペーパー ※3:アルファ米・袋麺・缶詰・具沢山スープ

今回は、私がテント泊を始めた当初、数年前の装備品も引っ張り出して揃えてみたのですが、それにしても多くて重い。総重量は10.32kgにも及びました。

トイレットペーパーは芯を抜き、密封できる厚手の袋に入れて持ち運ぶと軽量・防水を図ることができます。今回は、写真でわかりやすいよう、一般的な形状で撮影しています

そして、重さにも増して気になったのが、嵩張るものが多いということ。結局40Lのザックにトイレットペーパーとマットが収まりきらず、外付けするしかないという状況に…。これでは登山中、藪などに引っかかってしまい危険極まりない!過去の自分のギアセンスのなさに改めて驚きました。こ、これは何とかせねば。

ということで、「総重量10kg以下」「荷物をザックに収まるようにコンパクト化」を目標として、改善を図ってみました。

各ギアをコンパクト・軽量に変えてみると…

そして、状況を改善すべく最新の装備で揃えた写真がこちらです。変化が分かりやすい様に、改善前後で写真を並べてみます。手を加えたのは赤枠の中の4〜10のギアについてです。食糧や衣類などについても改良の余地はあるものの、今回はギアを中心に見直しを行っています。

一見しても8のシュラフや9のマットが大きくサイズダウンしていることがわかります。また、それ以外にも変更したギアについては、それぞれコンパクト化や軽量化、機能のバージョンアップが図られているのです。

上は、改善後の道具をパッキングした結果。改善前には溢れ出していたマットやトイレットペーパーも無事、ザックの中に収めることができました。そして、重さも9.84kgと482gの軽量化に成功しています。

軽量化・省スペース化の詳細は?

では、どのギアがどのように改善されたのでしょうか? ここからは、改善された各ギアについて、説明していきたいと思います。下の表は、従来の一覧からの改善概要。今回は全てのギアを差し替えた訳ではないため、変更が発生したものを赤く表記しています。

No, 旧装備品名 旧重量 新重量 差分
1 ザック(40L) 1,700g 1,700g **
2 コッフェル類 178g 178g **
3 ガス缶・箸 400g 400g **
4 バーナー 123g 67g -56g
5 テント一式(2人用・ドームタイプ) 1,720g 1,190g -530g
6 ヘッドライト 83g 28g -55g
7 ランタン※4 126g 120g -6g
8 シュラフ(夏季低山想定)※5 970g 813g -157g
9 マット(1人用・長さ182cm) 244g 566g 322g
10 水(2L) 2,060g 2,060g 0g
11 ザックカバー 95g 95g **
12 レインウェア 490g 490g **
13 ファーストエイドセット 300g 300g **
14 エマージェンシーセット※1 260g 260g **
15 生活用品※2 375g 375g **
16 長袖シャツ×1・Tシャツ×1 310g 310g **
17 携帯バッテリー(6700mah) 138g 138g **
18 食糧 2食分※3・行動食 750g 750g **
装備重量合計 10,322g 9,840g -482g

※1:アルミシート・ホイッスル・非常食・ナイフ・紙地図・コンパス・細引き ※2:タオル×1・手拭い×1・歯磨きセット・トイレットペーパー ※3:アルファ米・袋麺・缶詰・具沢山スープ ※4:新重量は収納ケース込の重量 ※5:新重量はシュラフ+コンプレッサーバックの重量

では、さっそく変更したギアについて、それぞれの変更内容を確認していきましょう。

バーナーは超軽量ながら風に強いものへ

まずはバーナーから。比較的省スペースで満足していたアイテムではあるのですが、強風時にも安定して使えるものが欲しかったので、軽量化と風対策が両立できる「SOTO(ソト)/マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター」にチェンジ。結果として重量は123gから67gに。56gの重量削減をしながらも、風の強い山頂で安定した調理が可能になりました。

SOTO(ソト)/マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター/シルバー

山ごはんを作るために必須のバーナー。山で使う際に重要視したいのは、やはりコンパクトさと安全性。「SOTO マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター」は、その両方を兼ね備えたSOTOを代表する逸品。本体と付属の3本ゴトクを合わせても、その重さはなんと67g! 小さなコッヘルの中にもすっぽりと収まってしまいます。でも、小さいからと侮るなかれ。数人分の調理にも十分に活躍する火力です。また、風に強いのもこのバーナーの特徴。海沿いの低山など、風が強い場所でも、安定した火力を発揮することができます。小さいけれどパワフル、しかも風に強いオールラウンダーなバーナーだと言えるのです。

テント一式は、-530gの軽量化に成功!

次はテントについて。テントは一般的な2人用、ドームタイプのダブルウォールを使用していましたが、大きく軽量化するために2人用ドームタイプのシングルウォール「finetrack カミナモノポール 2」に変更しました。これにより、フットプリント等も含めた一式の重さが1,720gから1,190g(テント本体990g/フットプリント200g)に大きく減少しています。

finetrack カミナモノポール 2

これまでなかった新しい発想で作られた超軽量テント。極限まで軽くするため、使用するポールは1本のみの非自立式でシングルウォール。しかしながら、独自の構造により、クロスポール構造のドームタイプと遜色ない室内空間を作ることに成功しています。しかも、シングルウォールにも関わらず、前室が備わっている点も大きな特徴。本体重量1kgを切る超軽量のシングルウォールかつモノポールながら、ダブルウォール・クロスポールに近しい快適性を担保できている注目のモデルです。

finetrack(ファイントラック )/フットプリント/カミナモノポール2用

前出の「カミナモノポール2」用のフットプリント。地面とテントの間に敷くことで、石や地面のでこぼこなどによってテントの底が傷付くのを防いでくれます。さらに、雨が降った際の浸水や地面から上がってくる湿気も「フットプリント」がシャットダウンしてくれるため、快適性もにも貢献してくれます。

ヘッドライトの軽量化は-35g!

続いての軽量化はヘッドライト。225ルーメンの明るさを持つ単4電池3本のヘッドライトから400ルーメンの明るさを誇るUSB充電式のヘッドライト「milestone(マイルストーン)/MS-G2 USBマルチファンクション」に変更。83gから28gと約1/3の重さに。軽量化もさることながら、圧巻は光量のUP。225ルーメンでも事足りると思っていたのですが、400ルーメンの明るさを知ってしまうと、もう225ルーメンには戻れません。

milestone(マイルストーン)/MS-G2 USBマルチファンクション

本体重量28gながら、約400ルーメンもの光量が得られる超軽量超優秀なヘッドライト。クリップタイプなので、バンドを使用せずにウエアや帽子に取り付けることも可能です(付属バンド装着時総重量は46g)。軽量なヘッドライトは各社から発売されていますが光量が少ないものも多く、軽量で明るいタイプはそれほど多くありません。USB充電式なので、コスパが良い点もポイントです。多彩なライトパターンを備え、安心の防水仕様。USB充電式で、最長14時間連続点灯が可能です。

ランタンは、薄型収納モデルの採用で省スペース化

ランタンは、懐中電灯形状で持ち手部分にランタン機能が備わった単3電池のものを使用していましたが、これをコンパクトに折り畳め、ソーラー充電で電気が賄える次世代のランタン「キャリーザサン」に変更しました。重量減は126gから120g(収納ケース込)と6gに留まりましたが、紙風船のように薄く折り畳めるため、ザック内のスペース確保にかなり貢献しています。

CARRY THE SUN(キャリー・ザ・サン)/YAMAP限定ウォームライト ミディアム

収納性と機能性を備えつつも、おしゃれなデザイン。登山にもぴったりなランタンが「キャリー・ザ・サン」です。ソーラーで充電するタイプで、紙風船のように折りたたみが可能。昼間に太陽光で充電すれば最長で72時間も点灯してくれるスグレモノなので、食事や休息の際に、ここちよくテントサイトを照らしてくれます。

コンプレッサ使用により、シュラフを圧倒的省スペース化

シュラフはテント泊を始めた当初に使用していた化繊の夏用のものからダウンの3シーズン用「NANGA(ナンガ)/オーロラライト 350 DX」に変更しました。化繊からダウンへの変更だけでも、機能性を向上させながらの省スペース化が可能ですが、さらに「GRANITEGEAR(グラナイトギア)/シルコンプレッサー /S(13ℓ)」を利用することで大幅な省スペース化に成功しています。今回、コンパクト化を進める中では、このシルコンプレッサが非常に大きな役割を果たしてくれました。
左が「NANGA(ナンガ)/オーロラライト 350 DX」に「GRANITEGEAR(グラナイトギア)/シルコンプレッサー /S(13ℓ)」を使用したもの。従来の化繊シュラフの半分程度まで体積を圧縮できた

NANGA(ナンガ)/オーロラライト 350 DX/レッド/UNISEX

3シーズンの低山や高原に最適なダウンシュラフ(快適使用温度:5度 下限温度:0度)。アルプスなら夏、低山であれば3シーズンで快適に眠ることができます。優れた技術によって洗浄されるため、品質の悪いダウン特有の独特な臭いやよごれがほとんどないこともポイント。また、重量約750g、かつ13cm×25cmとコンパクトにパッキングできるのも、ダウンならではの特徴です。「GRANITEGEAR(グラナイトギア)/シルコンプレッサー」と併用すれば、さらなる省スペース化も可能。加えてNANGAの大きな魅力といえば、ダウンシュラフ修理の永久保証。もし、破れや穴あき、水濡れなどが発生しても安心なので、アウトドアを思いっきり楽しむことができます。※破損内容によっては修理が有償になる場合や対応が不可能な場合もあります。詳細は公式Webサイトでご確認ください。

GRANITEGEAR(グラナイトギア)/シルコンプレッサー /S(13ℓ)


防水素材“シルナイロン”と透湿性防水素材“eVent”を使用した、コンプレッサー。水をはじいて空気は抜けるので、かさばるウェアやシュラフを放り込んだらギュッと圧縮。装備をコンパクトにまとめられます。

ジャケットやパンツ、シュラフなどに幅広く活用できるため、オールシーズンで活躍してくれます。使い方は簡単、口をロールしてしっかり閉めて蓋をしたら、4か所のコードを引っ張るだけ。ときどき押しつぶして空気を抜きながら圧縮していけば、驚くほどコンパクトになります。

マットをウレタンからインフレータへ変更し、サイズダウン

続いては、ザックに収まりきらずに困っていたマット。コンパクト化が不可能なウレタンタイプから思い切って空気で膨らますインフレータタイプに変更しました。これにより、重量は244gから566gと322gも増加してしまいましたが、代わりに約1/5のサイズダウンを実現。シュラフのサイズダウンと合わせて、かなりのスペース確保に貢献してくれました。

折りたたみタイプのウォーターパックで柔軟なパッキングが可能に

そして最後に着手したのが水の容器。ペットボトル2Lから、折りたたみタイプのウォーターパックに変更することで、パッキングがより効率的に。水がなくなればウォーターパックをかなり小さく折り畳むことができるため、状況に応じてザック内のスペースを調整することが可能になりました。

登山ギアの見直しは本当に楽しい!


いかがでしたでしょうか? ギアを見直すことで、機能性を向上させながらも、軽量・コンパクト化が図れることがわかっていただけたかと思います。荷物の軽量化は、足腰への負担軽減、体力温存など安全性の向上にもつながります。また、荷物をコンパクトにすることができれば、重心も安定し、より歩きやすくなることにも。

余談ですが、今回の実験を通して、自分の登山ギアを揃え、ひとつひとつ重さを計って改善策を検討してくことが、実はとても楽しいということが判明。「軽量・コンパクト化」という実益もありますが、雨の日など山に出かけられない休日の過ごし方としてもオススメです! ぜひとも来たるべきテント泊に備え、自宅で山道具の軽量・コンパクト化に挑戦してみてください。きっと楽しめるはずですよ。

※荷物の内容は一例です。登る山やご自身の状況に応じて調整するようにしてください。

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登山アプリYAMAP運営のWebメディア「YAMAP MAGAZINE」編集部。365日、寝ても覚めても山のことばかり。日帰り登山にテント泊縦走、雪山、クライミング、トレラン…山や自然を楽しむアウトドア・アクティビティを日々堪能しつつ、その魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと奮闘中。