「花の百名山」として知られる佐渡島・金北山(きんぽくさん)。「一度は訪れてみたい!」と思っている登山者も多いのでは? そこで今回は、はじめての佐渡の島旅にぴったりな鉄板プランをご紹介しましょう。
花の最盛期に取材した栗ヶ沢(くりがさわ)登山口から最高峰の金北山へ向かうトレッキングコースは、たくさんの山野草が見られる花の道。特にカタクリの群生は見事で『カタクリロード』と名付けたくなるほど。
登山前後の観光には佐渡金山がおすすめです。『天空の城ラピュタ』を思わせると話題の北沢浮遊選鉱場跡へも足を延ばしちゃいましょう。
現在、YAMAPコラボピンバッジ企画・佐渡の島旅キャンペーンを展開中の佐渡の島旅を、山好きモデルの新田あいさんと一緒に紹介します。
*佐渡の島旅キャンペーンの詳細はこちら
2021.07.01
池田 菜津美
ライター
新潟県にある日本海最大の離島・佐渡島。果てしなく遠いイメージかもしれませんが、じつはアクセスがとても簡単。首都圏からは半日もあれば上陸できます。
まずは東京から新幹線を使って約2時間、新潟駅へと向かいます。新潟駅から佐渡汽船バス停まではバスで15分。バスは1時間に3〜4本出ているので、乗り継ぎは楽々。数人で利用するならタクシーもおすすめで、1,200円ほどなので、一人当たりの料金はバスの運賃(210円)とあまり変わりません。
港からはいよいよ船旅の始まりです。…といっても、高速のジェットフォイルで約1時間7分。のんびりさんのカーフェリーでも2時間30分なので、あっという間の船旅なんです。
ジェットフォイルに揺られること約30分。遠くに陸地が見えてきました。小佐渡の北端にある『姫崎灯台』を左手に見ながら、両津港へと入っていきます。姫崎灯台は現存する日本最古の鉄造りの灯台で、六角形の脚部に真っ白な帽子がちょこんと乗ったかわいらしい姿。その歴史的・文化的な価値が認められ、世界灯台百選にも選ばれています。陸地が近づいてきたら、その姿を探してみてくださいね。
佐渡を訪れる登山者のお目当ては、登山道に咲き乱れる山野草たち。その中でも特に有名なのが、例年5月に見頃を迎えるカタクリとシラネアオイ。シラネアオイは淡いむらさき色の花を咲かせる山野草で、その優美な姿から「山野草の女王」とも呼ばれています。
今回、佐渡の旅に参加してくれたのは、モデルでアウトドアブランド“Okara”ブランドディレクターの新田あいさん。登山歴は7年、夏にはアルバイトで山小屋に籠もってしまうという大の山好きです。
「佐渡の山は花がきれいと聞いて、とっても楽しみにしていました! 特にカタクリがすごいとか」と目を輝かせています。
「カタクリはね、すごいどころじゃないよ! 栗ヶ沢登山口から金北山をめざすコースは『カタクリロード』。登山道沿いを埋め尽くすように咲いているから、期待してて!」と熱く語るのは佐渡トレッキング協議会の市橋弘之さん。
梅雨までは毎日山に入って協議会HPに花の情報をアップしているそうで、佐渡中の花の見頃を把握している山の案内人さんです。
本日の行程は栗ヶ沢登山口から金北山をめざす、約4時間のコース。雪解けから気温が上がってくると、ブヨなどの虫もたくさん出てくるので長袖がおすすめだそう。虫除けスプレーなどで準備を万端に整えて、登山スタートです!
歩き始めると、登山道の脇に早くもチゴユリやエンレイソウが咲き乱れています。「これはまだまだ序の口。沢筋のニリンソウ、日本海側でしか見られないテングスミレも群落で見られるよ。コースを通じて花がいっぱいで、僕のいちおしのコースなんだ」と市橋さん。3月中旬の雪解けと同時にユキワリソウが咲き始め、以降、5月いっぱいまではさまざまな山野草が見られるため、花好きにはたまらないコースなんです。
佐渡のトレッキングは花の時期がいちばん人気ですが、初夏から秋に訪れる人も多いのだそう。「夏は比較的涼しくて、本土よりも2度くらい気温が低い。海からの風もあるし、稜線は気持ちがいいよ」と市橋さん。金北山や金剛山など名だたる山をピークハントしたり、ドンデン山荘をベースに周辺を散策したり、楽しみ方はいろいろ。避暑地としての佐渡もおすすめです。
*9月に取材した金北山トレッキングの記事はこちら
新潟・佐渡島の最高峰・金北山へ! 登山と観光を楽しむ2泊3日の欲張り山旅
登山口から30分ほど歩くと縦池の清水に到着。冷たい湧き水を一口いただいて、ひと休み。ここからは登山道に沢が交差しているので、ニリンソウやネコノメソウなど、湿ったところを好む山野草が見られます。
小さな山野草を見逃すまいと足下を凝視していると、「シラネアオイがこんなにいっぱい!」と新田さん。見上げてみると、登山道脇の斜面が薄紫色に染まっています。
「佐渡は年々花が増えてる気がするよ。こんなにたくさんの花を見られる場所は、本土には少ないんじゃないかな」と市橋さん。佐渡にはシカやサル、クマといった大型の哺乳類が生息しません。近年問題となっているシカの食害がないため、花が減らないのだそうです。
横山登山道合流点を過ぎると、じゅんさい池と呼ばれる湿地に出ました。ここはまだ雪深い早春にザゼンソウがたくさん見られる場所で、花が終わったあとの葉っぱがのびやかに成長しています。
しばらく進むと景色は様変わりし、新緑のブナの森へ。「淡い緑がきれい。こんなすてきな森歩きもできるなんて。楽しみの多いコースですね」と新田さん。このあたりからは登山道が急になってきますが、森林浴を楽しみながらのんびり歩いていきます。
さらに登ること約30分。視界が開け、芝地に出ました。神子岩と呼ばれるポイントで、絶好のビューポイント。振り返ると、国中平野と遠くに真野湾を見渡す絶景が広がっています。
再び樹林に入ると、ここからはまさに『カタクリロード』。登山道の両脇を、薄紫色の可憐な花が埋め尽くしています。
「カタクリが咲くのは4月から。最初は標高の低いところで見られて、だんだんと咲き上がっていくんだ。山頂付近まで到達するのは5月の終わり。2か月ずっと『カタクリロード』って、すごいでしょう?」と市橋さんがちょっと自慢げに教えてくれました。
「白いのもある?!」と新田さんが何かに気が付きました。「白いカタクリだね。10万本に1本とか、3万本に1本とか言われてるよ。よく見つけたね!」と市橋さん。白い花びらに濃い紫色の模様とおしべが栄え、より幽玄な姿をしています。
標高900m付近の天狗岩周辺からは、日陰に雪が残っている場所がちらほら。カタクリやシラネアオイに隠れて、ユキワリソウやヒメイチゲ、ショウジョウバカマなども顔を出しています。このあたりは冬には深いところで3mもの雪が積もるのだそう。雪の残り方は年によって違うので、佐渡トレッキング協議会のHPで確認しておくと安心です。
金北山へ延びる主稜線にはまだ雪がたっぷり。市橋さんは登山者が迷わないように、ピンクテープでマーキングをしています。「11年前に協議会の事務の仕事を頼まれて始めたのだけど、そのうちに登山道を確認したり、花の見頃をチェックしたり、フィールドに出るようになって。一人で切り盛りしてるから大変だけど、協議会のHPやインスタを見て来てくれた人たちが、”こんなにすごいなんて!”、”日本一の花の名所ですね!”って喜んでくれるとうれしいよね」。
稜線の雪を踏みしめながら斜面を登っていくと、山頂脇に出ました。眼下には国中平野を一望する今日いちばんの景色が広がっています。
山頂で記念写真を撮って、バックパックを下ろしてひと休み。「花も景色も想像以上で…びっくりしました。もっとじっくり味わいたいし、また遊びに来たいな」と新田さんがぽつりとつぶやきました。「少し時期を変えると、また違った花が見られるよ。また遊びにおいで」と市橋さん。咲き誇る花々を愛でに、佐渡へ遊びに行きましょう!
佐渡の観光名所として有名なのが史跡 佐渡金山。その歴史は古く、1601年に3人の山師によって開山されたと言われています。その2年後には江戸幕府直轄の天領になり、金の採掘だけでなく、小判の製造までもここで行われていました。明治に入ってからは宮内庁管轄のもとトロッコや機械が導入され、さらに当時の三菱合資会社へと払い下げられてから生産は急拡大。1989年に休止するまで、日本最大の金銀山として日本の産業を支えてきました。
開山されてから約400年、その間に算出した金は78トン、銀は2,330トンと言われています。東西3,000m、南北600m、深さ800mの鉱脈を縦横無尽に広がる坑道の総延長はなんと約400km。佐渡と東京を結べるほどの長さなんだとか。
佐渡金山には見学コースが5つありますが、今回歩いたのは「宗太夫坑」。江戸初期に開発された手掘りの坑道跡を進んでいくコースで、その道々には「佐渡金山絵巻」に描かれた採掘作業が再現されています。
見学コースを抜けると展示資料館があり、金山の詳細がわかる断面図や、金山で使われていた道具などが展示されています。
「このジオラマは細かいですね!」と新田さんを驚かせたのが、江戸時代の佐渡金山の仕事を再現したもの。鉱石を採取してから選り分け、粉砕し、金を取り出したのち、小判を製造するまでの工程を、500体の人形と模型を使って事細かに表しています。
佐渡金山のそばには、露天掘りの末に山が二つに割れてしまったという「道遊の割戸」や、坑道内で亡くなった方を供養した「無宿人の墓」など、金山にまつわる史跡がたくさん残っています。
北沢浮遊選鉱場跡(ふゆうせんこうばあと)はそんな金山の史跡のひとつ。金山から2kmほど離れたところにある施設で、現在はコンクリートの基礎部分だけが残されています。草木が茂ったようすは古代遺跡のようで、「天空の城ラピュタ」の風景を思わせると話題になっています。
「浮遊選鉱」とは粉砕した鉱石から鉱物粒子だけを浮かせて取り除く方法のことで、佐渡金山で採れた鉱石をここで処理して鉱物資源を得ていました。月間5万トンの鉱石を処理する能力をもち、完成当時は東洋一の規模と言われていたそうです。
浮遊選鉱場の脇には斜面を下るトロッコ軌道の跡があります。この軌道は1kmほど離れた大間港へと続いていて、金山で採れた鉱石などが日本各地へと送られていました。大間港にも、軌道の脚部や積載に使われたクレーン台座などが残されています。
漁業が盛んな佐渡に来たなら、絶対に食べたいのが、新鮮な海鮮です。佐渡の雪解け水には栄養分が多く、周辺の海を豊かにしています。また、沿岸は魚のすみかの岩礁が多く、沖合では寒流と暖流が交差するので、マダイやスルメイカ、マダラなど、さまざまな種類の魚が見られるのも特徴だとか。
佐渡のお宿や飲食店は、佐渡で採れた新鮮な魚介類を仕入れているところがたくさんあります。この度宿泊した敷島荘さんもそのひとつ。
「すごい! どれもピカピカ!」と新田さんが声を上げるのは、刺身の盛り合わせ。マダイ、ヒラマサ、ヒラメ、サザエ、アワビなど、どれもその日に仕入れた新鮮なものばかりが食べきれないほど並んでいます。
佐渡ではスーパーマーケットに並ぶ魚介類も新鮮。ふらりと立ち寄ったスーパーの魚屋さんでは、タイがまるごと1匹で200円。一同衝撃を受けました。魚介類だけでなく、地元産の野菜や味噌、加工肉などもたくさんありますので、自炊を楽しんでみるのもおすすめですよ。
別の日は、購入した食材を自炊もできる古民家民宿YOSABEIに持ち帰り早速調理してみました。自分たちが佐渡の食材を使って作った料理はどれも美味しそう!
YAMAPでは期間限定でYAMAPコラボピンバッジ企画・佐渡の島旅キャンペーンを実施中!
今回ご紹介した金北山や、佐渡金山を訪れると、YAMAPアプリ内でデジタルバッジをもらえるんです! その方法は簡単で、「佐渡の島旅キャンペーン」期間中(キャンペーン期間は、2021年6月5日〜10月31日まで)、YAMAPで佐渡島の地図をダウンロードし、指定の目的に訪れたことを活動日記に残すだけ。活動日記は公開しなくてもOKです。
デジタルバッジはぜんぶで6種類。佐渡の自然にまつわるものと、文化にまつわるものが、それぞれ3つずつあります。
たとえば「ドンデン高原―金北山の縦走路」はトキとカタクリの絵柄のバッジ、「史跡佐渡金山」「北沢浮遊選鉱場」はトキと小判の絵柄のバッジがもらえます。金山のように2箇所以上ランドマークが設定されている場合は、どれか一か所訪問すればバッジを入手できます。
そして、上記のデジタルバッジを2つ以上獲得すると、限定のコラボピンバッジと交換してもらえるんです! 配布数は限定500個で、佐渡観光情報案内所などで交換できます。詳細は以下の記事をご確認ください。
YAMAPコラボピンバッジ企画|佐渡の島旅を堪能して限定ピンバッジを手に入れよう!
佐渡島の山と観光の情報はこちら
原稿:池田菜津美
撮影:川野恭子
モデル:新田あい
協力:佐渡市、佐渡トレッキング協議会