アルプス登山好きにこそ知ってほしい! 「安曇野」山麓の街を巡る女子旅対決

北アルプス登山の玄関口として馴染みの深い街・長野県安曇野市。「高速や駅を降りたらすぐに山! 」「下山後にお風呂に立ち寄るくらい」というイメージを持っているかもしれませんが、実は素敵なスポットがたくさんある、旅先としての魅力溢れる街でもあるんです。そこで、登山と絡めて楽しめる安曇野を、山好きモデル仲間の山野ゆりさんと仲川希良さんに、「街」と「山」2つのテーマでナビゲートしてもらいました。訪れるスポットを選んでくれたのも彼女たち。山だけじゃもったいない! となること間違いなしの、知られざる安曇野の魅力をお届けします。

2021.10.15

小林 昂祐

撮影と執筆業

INDEX

山野ゆりさん(写真左)
モデル、パンコーディネーター エキスパート、パンシェルジュ。雑誌や広告、CM などに出演。モデルという職業を活かし、太らないパンとの付き合い方も考案している。日本全国、訪れたベーカリーは数えきれないほど。年に数回は海外へも足を運び、パンを独自の視点で分析している。イベントや執筆、ワークショップなど活躍の場を広げている。パン好きが高じ、「パン野ゆり」としても活動している。
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仲川希良さん(写真右)
モデル/フィールドナビゲーター。広告、ラジオ、テレビなどに出演するほか、幼い頃から自然が大好きで、アウトドア分野でも活躍。2010年より本格的な登山をスタートし、里山から雪山までさまざまなフィールドに出かける。アクティビティーを通して味わう土地の魅力、それをより深く楽しむヒントを、執筆、講演等でも伝えている。2015年秋には自らが手がけた、雪山初心者向けサイト「雪山 一歩、一歩。」を開設。著書に「山でお泊まり手帳」、「わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方」。
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パン好き山野ゆりさんが提案する「街的」安曇野旅

まずは山野ゆりさんのパートから。自他共に認めるコアなパンフリークである山野さん。安曇野旅でも、もちろんパンを中心にスポットを選定してくれました。美味しく食べて、楽しく巡る「街」的な安曇野の旅をご紹介します。仲川さんとは10年来の付き合いで、二人で一緒に山に登り現地のパンを食べる「山×パン」旅をすることも。

ハード系パンを自家製窯で焼き上げる「月日堂製パン」

まず山野さんが最初に訪れたのは、月日堂(がっぴどう)製パン。安曇野の街から少し離れており、穏やかな自然に囲まれたおしゃれな雰囲気が目を引きます「月日堂製パン」は、ライ麦から起こした天然酵母・ルヴァン種で発酵させた生地を自作のフランス式薪窯で焼き上げたハード系のパンが人気。オーナーの大野田哲朗さん・朋子さん夫妻が2020年10月にオープンしたばかりのお店で、地元の方々だけでなく、パン好きが遠方から訪れます。

早速最初のスポットが大好きなパン屋さんということもあり嬉しそうな山野さん。店内に入ってみると香ばしいパンの香りが漂っていました。日によってはお昼前に売り切れてしまうこともあるほど人気の月日堂。この日はちょうど開店直後に訪れたこともあり、店内にはたくさんのパンが並んでいました。

山野さん:「月日堂製パン」は山の上にあるのですが、そこへとつづく道がパンへのアプローチに感じてしまって興奮が止まりませんでした。外観は三角屋根で薪が積んであって、まるで童話のなかの世界みたい。

パンはすべて自家製の石窯の遠赤外線効果で、うまみがぎゅっと閉じ込められていて、岩のようなクラスト(パン表面の焼き色が付いている部分)、中の水分量の多いくしゅくしゅとしたやわらかさ、もちっとした食感のコントラストがすごいんです。

小麦などの材料は長野県産のものを使用するなど、店内のショーケースには、こだわりいっぱいのパンが並びます。ひときわ存在感を放っているのが大きなカンパーニュ。ハード系のパンらしく外は厚めのクラストでゴツゴツしていますが、中はしっとりふんわり。焼きたてはもちろん、日にちが経つと熟成が進んで味わいが変化するのだとか。大きなパンを毎日少しずつ味わう。そんな素敵な楽しみ方を教えてもらいました。

山野さん:なんと特別に石窯も見せてもらったのですが、手を入れられないほど高温。一般的なパンが200℃ほどで焼くのに対して、石窯は400℃にもなるのだそう。そんな高い蓄熱で焼き上げたパンが月日堂さんの魅力です。また、使用する小麦は、蕎麦を挽く石臼で粉にしているんです。もちろん長野県産です。

ハード系のパンは日持ちするので、2週間くらい楽しめます。こんなに大きなカンパーニュですが、毎日少しずつ食べて味の変化も楽しめます。まだ旅ははじまったばかりなのに最高のお土産です!

info:
月日堂(がっぴどう)製パン
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明877-69
http://gappido.com/
営業日:金、土、日、月曜日
営業時間:10:00〜16:00

森に佇む器のセレクトショップ「nagi」

次に訪れた作家による手作りの生活雑貨を扱う「nagi(ナギ)」は、まさに隠れ家のような森の中のお店。県道から入った細い道をひたすら進んでいくと、だんだんと舗装されていない道へと変わります。木々に囲まれたトンネルのような道路が続き、「この先に本当にあるの?」と、まるで迷い込んだような感覚は、物語の始まりのよう。

森に囲まれ穏やかな雰囲気の白を基調とした店内には、シンプルなデザインの器や、麻もの、木ものなどのさまざまな素材の生活雑貨が並びます。店主の阿久津さんをはじめとするさまざまな作家による作品は、ほとんどが一点もの。人の手で作られた作品は、色合いや形、手触りなどそれぞれに個性を感じます。自分だけの逸品がきっと見つかるはず。

山野さん:まず「nagi」さんの佇まいがめっちゃおしゃれ。空間づくり、お皿のセレクトと陳列、窓から見える景色、その世界観が抜群に素敵です。もう、ここに一生いたいくらい。気になる作品がたくさんあって、ぐるぐる店内まわっちゃいました(笑)。

山野さん:パンにあわせやすいシンプルな器を選びました。やさしい白い色の器に無骨なカンパーニュを置いて。すごく映えると思います。なんとこのお皿、実はオーナーの旦那さんが作ったものなのだそう。ご縁を感じました。器はいろいろありますが、こうやってお店に来てオーナーさんと話して手にしたものは、ふだんの生活でも思い出が蘇るというか、人の顔が浮かぶ感じがあって好きなんですよね。

info:
nagi(ナギ)
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明7859-4
https://nagiblog.exblog.jp/
営業日:水〜日曜日、祝日 冬季休業(12月末~2月)、臨時休業有
営業時間:
水、木曜日 11:30 〜 16:00
金〜日曜、祝日 10:30 〜16:00

貴重な安曇野産夏いちごをジャムで楽しめる「ナッツベリーフィールド」

夏から秋(6月〜11月)にかけて収穫する「夏いちご」の栽培が盛んな安曇野。なかでも「NAT’s Berry field(ナッツベリーフィールド)」では、長野県でしか栽培できない品種「サマープリンセス」をはじめとする数種類の夏いちごを栽培し、新鮮ないちごはもちろん、オリジナルの加工品を作って販売もする独自のスタイルを持ついちご農家です。

今年7月には、いちごショップ「Frigg(フリッグ)」をオープンしたオーナー吉武さんご夫婦。夏秋いちご本来の味を生かした100%のシロップやドレッシングや、添加物を最低限に抑えたこだわりのいちごジャムが看板商品です。甘すぎずさっぱりとした酸味のある夏いちごを堪能できます。

山野さん:夏いちごは控えめな甘さとフレッシュなみずみずしさ、適度な酸味が魅力。数あるジャムのなかから選んだのは、夏いちごの味がダイレクトに感じられる「いちごプレザーブ」とフランス産で有名なあの高級発酵バターを贅沢に使用した「プレミアムいちごバター」。「月日堂製パン」で買ったブリオッシュに乗せて食べさせてもらったのですが、どちらも最高! これまでのいちごジャムの概念が変わるくらい、味わったことのない美味しさでした。

パンには、ジャムやチーズ、バターといったトッピングがたくさんあります。その多くは土地に根ざした食材や加工方法を用いているものばかり。山の上で食べるのもいいですが、こうして山を見ながら味わうのもおすすめです。

直売所「フリッグ」の裏にはいちごのハウスが並んでいます。今回は特別に栽培している様子を見せてもらいました。夏いちごは、冬のものと比べて成長が早く毎日どんどん赤くなって熟していくのだそう。最盛期には収穫に追われてしまうのだとか。

info:
〒399-8101長野県安曇野市三郷明盛3864
https://www.azumino-berry.jp/
営業日:水〜日曜、祝日 *不定休のため要確認
営業時間:10:00〜15:30

安曇野を代表するテーマパーク「大王わさび農場」

わさびの生産量日本一を誇る長野県。その生産の大部分を占める安曇野は、北アルプスの雪解け水による豊富な湧水の恵まれた土地で、わさび作りに適しています。「大王わさび農場」では、15ヘクタールという広大な敷地で安曇野のわさびを通して、安曇野の歴史や原風景を味わうことができます。五感で楽しむ、わさびのテーマパークのような場所です。

広大なわさび田の絶景はもちろん、お食事処やカフェ、お土産ショップ、2015年には開拓100年を迎え、その歴史を知ることができる資料館も併設しています。そんなわさび栽培の文化を知ることができることに加え、訪れる人たちにとっての楽しみは、やはりここでしか味わえない生わさび使用したコロッケやソフトクリームといったワサビフードでしょう。

山野:やはり安曇野と言ったらわさび。「大王わさび農場」はマストです。名物はいろいろありますが、パン好きとして「わさびコロッケバーガー」は見逃せません。コロッケにワサビ? とB級グルメ感満載ですが、わさびの風味と食感が美味しいコロッケが秀逸! パンはピタパンをセレクトしているのも新鮮だったのですが、コロッケとの相性もよかったですね。わさびとパンの組み合わせって、実はあまり出会ったことがないんです。チーズとも合いそうだし、すごくわさびの可能性を感じたパンでした。

info:
〒399-8303長野県安曇野市穂高3640
https://www.daiowasabi.co.jp/
営業日:通年
営業時間:8:00〜17:00

まるで南フランス?! 安曇野産極上ワインを味わえる「安曇野ワイナリー」

「パンといえば、ワインも欠かせないんです」。そう語る山野さんが次に訪れたのが、安曇野市の南側標高700mに位置する安曇野ワイナリー。黒沢川沿いに広がるぶどう畑の景色と赤い瓦屋根の建物。ヨーロッパを想起させる安曇野ワイナリーは、2008年にオープンしました。「テロワール(地域性)を存分に感じられるクリアなワイン」という理想を掲げ、水はけと日照時間が長く、山に囲まれ寒暖の差が大きいぶどうの栽培に適した安曇野らしいワインが製造されています。

自社畑では、シャルドネ、メルローなどのぶどうが丁寧に育てられ、ワイン作りの過程を目にすることができます。建物内には、ワインセラーや試飲カウンター、安曇野ワイナリーの製品を使ったお菓子や、安曇野の特産品なども揃うショップが。ワイン好きにはたまらない、ご褒美の時間を楽しめます。

山野:景観が、まるでマルセイユ、ボルドーに来たよう。長野県でワイナリーに来たのははじめてだったのですが、ぶどうの木が並ぶ景色も、樽が貯蔵される地下室も、テレビや雑誌でしか見たことがなかったので大感激。テンション上がってしまいました。

いろいろな種類のワインを試飲させていただいたのですが、どれもすごく飲みやすい味。口当たりがいいのでお酒が苦手な方でもするっと飲めると思います。今回はパンに合うワインをおすすめしてもらいました。デニッシュに合う甘いワイン。帰ってから試してみたくてウズウズしています(笑)。

info:
〒399-8103 長野県安曇野市三郷小倉6687-5
https://www.ch-azumino.com/
営業日:通年 (年末年始を除く)
営業時間:10:00〜17:00(季節により変動。上記Webサイトをご覧ください)

ちょっと背筋が伸びるクラシックなホテル「安曇野 穂高ビューホテル」

たくさん巡って疲れたあとには、ホテルにチェックインを。訪れたのは、森の中に佇む安曇野 穂高ビューホテル。ホテルに着くと、青い絨毯にドイツ製の暖炉、そして大きな窓が魅力的な吹き抜けのロビーが迎えてくれ、非日常感を味わうことができます。天然温泉と美味しい食事、上質なお部屋、そしてなによりもこの自然に囲まれたコテージのような雰囲気が心も身体も癒してくれます。

「朝が好きになるホテル」というスローガンにあるように、少し肌寒い朝を眠気覚ましにホテル内の散歩道を歩いたり、朝食ブッフェでは新鮮な野菜と果物のスムージーや名物わさび丼などをご用意。普段の何気ない朝がここにでは最高の1日の始まりかのように感じさせてくれます。さらに、安曇野の新鮮な食材を使用した豪華な朝食をいただけば、朝のエナジーチャージは満タンに。

山野:感動したのは、お庭とエントランス。お庭のベンチはかわいくて絵になるし、座って過ごす時間が最高。中庭には湧水あるのですが、これがすごく美味しい。雑味がなくてクリアな山の恵み! という感じです。マイボトルに詰めて持ち歩いていました。お部屋からは、窓から外の景色が見えて、長野に来たぞ! という感じ。クラシックなホテルに泊まる機会がなかったのですが、天皇陛下の写真があったり、植樹がしてあったりと、とにかく雰囲気がよかったですね。上質な避暑地に来たことを実感できました。

info:
〒399-8305 長野県安曇野市穂高牧2200-3
http://www.hotaka-view.co.jp/
営業日:通年(一部メンテナンス休館あり)
チェックイン時間:15:00
チェックアウト時間:10:00

パンからはじまる、安曇野という土地を知る旅

大好きなパン屋さんにはじまり、山を間近に感じられるホテルで山野さんの旅はしめくくり。安曇野を訪れるのははじめてだったそうですが、「再訪したい旅先」のひとつになったよう。

山野さん:街旅のルートは得意分野のパンを軸に設定してみたのですが、いい山がある土地は水が美味しいので、パンをはじめとする食材が豊かなのだと再認識できました。また、街をめぐるうちに立ち寄りたいスポットがまだまだあると気づきました。今回は1日という限られた時間でしたが、何日もかけてじっくり旅をしてみるのもよさそう。そして何より、人が温かいのが嬉しかったですね。

アクティブに自然を楽しみたい仲川希良さんの「山的」安曇野旅

つづいて仲川希良さんがお届けするのは「山的」な安曇野旅。安曇野といえば北アルプス!という方がほとんどだと思いますが、市街地を挟んだ反対側にある長峰山(933m)のハイクを交えた、山好きにオススメのスポットをご紹介していきます。

イートイン&テイクアウトで旬の食材を味わう「月とビスケット.」

仲川さんがまず訪れたのは、絵本のタイトルのような素敵な名前のカフェ「月とビスケット.」。東京から移住してきたご夫婦が営むお店の外観は、これもまた絵本に出てくるような水色の壁が目印の可愛らしい一軒家です。店内には、作家さんによる絵の展示やオーナーさんの大好きな絵本が本棚にずらりと並んでいます。

カフェでは季節ごとに変わるスイーツ、イタリアや台湾など海外のランチメニューも人気。テイクアウトは「アルパッケ」という安曇野発のリユース素材を使ったお弁当箱に入れて渡してくれます。落ち着く店内でコーヒーやお茶と一緒にまったりしてもよし、テイクアウトで自然の中で味わってもよしの幸せな気持ちにさせてくれるカフェです。

仲川:落ち着いた内装で販売コーナーもあり、イートインでのんびりしたくなる雰囲気でした。安曇野や松本からのお客さんがよく来ているそうなので、地元の方と一緒の空間で、静かに山を振り返ったりする時間を過ごせそう。

お弁当のメニュー自体は1〜2ヶ月で変えているとのこと。ランチメニューは世界旅行をイメージしていて、今回は「台湾の駅弁」がテーマ。チキンはカラッと揚げてから甘酸っぱい味付けに。きゅうりの漬物、紫芋のお餅など、食材は全て安曇野や松本などの長野県産を使用。有機栽培している農家さんから仕入れているのだそう。季節ごとに手に入る野菜に合わせメニューを考えているのだとか。このお弁当はテイクアウトして、ハイキングのお昼ご飯に。

仲川:テイクアウトのお弁当ということで立ち寄ったのですが、蓋を開けた瞬間に「今すぐ食べたい! 」と思うくらい美味しそうで…。カフェでちょっとくつろいでからテイクアウトして山に! みたいなゆったりとした過ごし方もいいなと思いました。

info:
〒399-8304 長野県安曇野市穂高柏原4326ー8
https://tsukitobiscuits.shop/
営業日:木、金、土曜日
営業時間:11:00〜16:00

北アルプスを一望できるハイキングコース「長峰山」

安曇野の町並みと北アルプスを一望できるビュースポットとして、地元の人たちにも親しまれている長峰山。1970年には、小説家の川端康成、井上靖、画家の東山魁夷の巨匠3人が一緒に登り、そこからの絶景にとても感動したのだとか。山頂にある記念碑には、東山魁夷が残した文章が記されています。

町の建物や道路などは当時とは変わったとしても、雄大な北アルプスの嶺と安曇野の絶景を見た時の感動は、きっと現代でも変わらないはず。標高は933.5mと、登山道から徒歩で登ることも、車で山頂まで行くことも可能。徒歩では1時間半ほどで絶景が待つ山頂まで登ることができます。時代を超えても変わらない景色は必見です。

登山口からは1.8kmほどのハイキングコースを歩きます。緑豊かな里山を歩いていけば、あっという間に山頂へ。時おり見える安曇野の街、そしてその奥にそびえる北アルプスの山々が眼前に広がります。山頂に到着したら、「月とビスケット.」で買ったお弁当でランチタイム。

仲川:山頂は北アルプスを望む絶景。燕岳や常念岳といった名峰をこうして遠くから見られるのは、その山を登るのとは違う経験でした。燕岳は登ったことがあったので、景色を眺めながら「今どんな感じなのかな」「また行ってみたいな」と思いを馳せていました。山頂では地元の人がピクニックをしていたり、自転車で登って来ていたりしていて、アルプス登山とは違う「地元の山」のほっこり感を味わえました。長峰山のハイキングはもちろん、こうして山を眺めて過ごす時間もいいですね。

仲川:待ち侘びた「月とビスケット.」のお弁当! ランチメニューをそのまま詰めているのがいいですね。お弁当として完成したものを買ったというよりも、いつもの食事を詰めてもらった感じ。地元の食材を使っているのも嬉しいですね。やっぱり旅先では地元の食材を食べたい。いい天気で山の上で食べられてよかったです。

info:
長野県安曇野市明科中川手6805-184
営業日:冬季林道閉鎖(毎年12月上旬~翌年3月中旬まで)

山の麓で山に思いを馳せるなら「安曇野山岳美術館」

安曇野山岳美術館は、世界的に見ても数少ない山岳絵画専門の美術館。「北アルプスの麓で山岳絵画のみを展示する」という想いで1983年に開館しました。日本山岳画の最高峰といわれる足立源一郎、吉田博の作品を中心に油彩画、デッサン、木版画、漆版画などが展示されています。遠くからみる山の景色とは異なり、画家自らが山に入り、その手で描かれた山の臨場感や繊細さは絵画だからこそ表現できるものなのかもしれません。

仲川:かしこまった美術館というより、絵を大切にしているお家にお邪魔しているような感じ。山を身近に感じたあとに絵を見るのと、都会の立派な美術館で見るのとは全然違います。「絵を描いた人と同じ場所にいたかもしれない」「この景色知ってる!」という作品もあって、おこがましいかもしれませんが、作家さんの気持ちがすごく理解できたように感じました。山のそばで山を愛した人たちの作品を見ることで、より親しみを持って作品に触れられたような気がします。

美しい作品を堪能した後は、併設するカフェでコーヒーを一服。迫力ある山岳絵画に魅せられ、次回はどこの山に登ってみようかなと山へ思いを馳せながらゆったりと過ごしてみては。

仲川:喫茶スペースがあるのも嬉しいですね。絵画がある空間にコーヒーの香りが漂う感じがとても素敵で、まるで純喫茶のよう。ちょっと大人な時間でした。

info:
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明3613-26
http://azumino.mt-museum.jp/
営業日:月、火、水、金、土、日曜日
営業時間:10:00~16:00
一般・大学生…600円 中高生…300円 小学生以下…無料

ハーブが持つ自然の力を感じられる「安曇野ハーブスクエア」

ハーブの専門店「安曇野ハーブスクエア」。四季折々のハーブを楽しめるガーデン、ハーブティやコスメ、アロマオイルなどが揃うショップが併設された、まさにハーブ好きにはたまらない専門店。ハーブは人間本来の自然治癒能力を引き出してくれ、薬への副作用や依存をなくすことができるのだとか。

無農薬、無化学肥料のハーブを厳選し、さまざまな目的別にブレンドしたハーブティーが人気。肩こり、ストレス、アレルギーといったように、お好みで選べるのが魅力です。体の不調や、悩みのカウンセリング(予約制)も受けることができ、より最適な商品を選定してもらうことも可能。自分用のお土産としてもオススメです。香り高いハーブを飲むことで安曇野で過ごした時間を呼び覚ましてくれるかも。

「安曇野ハーブスクエア」では、有機栽培やオーガニックのハーブを仕入れており、ブレンドハーブティーは50種類以上。綺麗な水、自然豊かな土地が気に入りオーナーがこの地で開業したのは20年以上も前とのこと。当時は牧草地だったという庭も、今では木々が生い茂っています。

仲川:今回安曇野市に来て、やっぱり山のそばっていいな、心身が整うなと感じていました。自然のものを取り入れて生活を改善しようという考え方はすんなり理解できました。自分の体のなかに何を入れるかで、元気になったり、疲れ方が変わってくるんですよね。日常生活をよくするひとつの手段として、ハーブティーという選択肢は素敵だなと感じました。

これまで、山小屋でリラックスしたいときにハーブティーを淹れたりすることはあったのですが、日常で飲むことはあまりなかったので、もっと生活に取り入れたいと思いました。山に行って元気になるのと同じようなことをハーブティーがもたらしてくれるのかも。ハーブティーというと、ちょっと敷居が高いイメージもありましたが、すごくカジュアルで、素朴で親しみやすかったのもよかったです。

info:
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明8109-1
https://www.azumino-herb.jp/
営業日:月、木、金、土、日曜日
営業時間:10:00~17:00

極上のりんごスイーツを味わえるこだわり溢れる専門店「apple&roses」

「apple&roses(アップル&ローゼス)」では、長野産のりんごとばらを組み合わせた今までになかったようなケーキを味わえるお店。「大切な人へ送る花束のようなお菓子」を作りたいという想いで考えられた、お店の名前のお菓子である「アップルアンドローゼスタルト」は人気の看板商品。また、信州産のシャキっとジューシーなりんごの特徴を生かした「クラシックタルト(写真)」は、大ぶりにカットしたりんごがたっぷりと使用され見た目もボリュームも豪華な一品です。

店内にあるティーサロンでは、その場でゆったりとケーキを味わうことができます。のんびりと安曇野を楽しんでいただけるように、あえて10席しか用意していないのだとか。どのケーキにもりんごや薔薇の赤が差し色となり、上品でロマンティックな雰囲気にさせてくれます。平日はキッシュランチもあり、また3日前のご予約でアフターヌーンティーも。お腹いっぱいであれば焼き菓子のお持ち帰りもOK。今の季節は紅玉が食べごろ。色も美しく、ドラマチックな仕上がりになるのだそう。

仲川:りんごは丸かじりで食べるくらい大好き(笑)。秋になってりんごが出てくると嬉しくなるのですが、こんなに美しいお菓子になるんだとびっくりです。品質のいいりんごのために農家さんと契約していたり、スタッフの方々のお話からりんごへの熱い愛を感じました。味はもちろん、見た目もかわいいりんごのケーキやお菓子がたくさん並んでいて幸せな気分になりましたね。

焼き菓子も充実しているからちょっと贅沢な行動食にもよさそうだし、下山後にお風呂入ってから着替えてお茶しに行く! みたいなのもアリ。テイクアウトしてホテルに戻ってからゆっくり味わってもいいですよね。山に近いところに素敵なお店があるのは嬉しいです。

info:
〒399-8301長野県安曇野市穂高有明8161-1
http://apple-roses.com
営業日:
夏期 月、水、木、金、土、日曜日
冬期 月、木、金、土、日曜日
営業時間:
夏期(4月〜10月)10:00〜18:00 8月は無休
冬期(11月〜3月)10:00〜17:00

大学生が営むパフェ専門店「AppleFrit&Bake」

長野のりんごを使ったスイーツの豊富さには驚かされますが、ここ「AppleFrit&Bake (アップルフリットアンドベイク)」は、信州産のりんごを使用した新感覚でリッチなアップルパフェの専門店。実は、「apple&roses(アップル&ローゼス)」の姉妹店として今年の4月にオープンしたばかり。しかもお店を運営しているのは、松本大学総合経営学部の2年生5人。若者たちの起業実践の場としても新しい試みです。

そんな注目のお店自慢のパフェは、200℃でフライ調理したアツアツのりんごとソフトクリームの組み合わせが絶妙。香りがよいスリランカ産のシナモン、ドライフルーツ、クランベリーのトッピングが加わり、新たなりんごの魅力を発見することができます。これからの季節は最盛期を迎える紅玉を使用。大きな窓からの緑豊かな景色を眺めることができる癒しの空間と贅沢なりんごのパフェで至福のひとときを過ごしてみては。

仲川:目玉のパフェはすごい食べごたえ! フレッシュだけど濃厚な甘みのりんごとソフトクリームの組み合わせが最高なバランスで、多いかなと思ったのですがペロッと食べてしまいました(笑)。下山後に疲れていたらこれ以上ないご褒美になると思います。なにより、経営しているのが学生さんというのが驚き。自分たちで経営の勉強をしながら、メニューを開発していて、とても応援したくなりました。

info:
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明8161-1
https://applefrit-bake.com/
営業日:月、水、木、金、土、日曜日
営業時間:10:00〜17:00

最高の休息時間を過ごすなら「休暇村 リトリート安曇野ホテル」

仲川希良さんの「山的」安曇野旅もいよいよ終盤。ホテルにチェックインです。安曇野のほぼ中央にひっそりと立つリトリート安曇野ホテルは、リッチでモダンなデザインでありながら、自然と寄り添うような温かい空間づくりが魅力。全て和洋室のお部屋と、天然の温泉、館内の暖かなオレンジの照明、大きめのソファ、など全てが訪れる人を落ち着かせてくれているよう。

赤松とクヌギの木々に囲まれた静かな庭から聞こえてくるのは、鳥や虫の鳴き声。エントランス前にある大きな「星見暖炉」は、夜空を見上げて焚き火を囲んで語り合い、街の喧騒から離れて自然を感じることのできる特別なスペース。ホテルでありながら、アウトドアらしい催しを提供してくれているのも「休暇村 リトリート安曇野ホテル」の魅力のひとつです。

仲川:クラシックな雰囲気がありつつも、カジュアルさを加えてリノベーションされていて居心地がよかったです。ホテルって、ちょっと緊張してしまうのですが、ラグジュアリーさも味わいながら自然体で過ごせるところが魅力。満足感いっぱいです。

燕岳の登山口行きのバスの途中にあるので、バスで行くときのアクセスがいいのも嬉しいですね。登山前に泊まるのもよさそう。でも、前泊も後泊も、両方泊まりたいくらい(笑)。

info:
〒399-8301 長野県安曇野市穂高有明7682-4
https://www.qkamura.or.jp/azumino/
チェックイン時間:15:00
チェックアウト時間:10:00

安曇野の自然を感じる、ちょっと贅沢な旅

アルプスを一望する長峰山登山を中心にしたコースを旅した仲川さん。登山と組み合わせても楽しめるスポットを巡り感じたのは、安曇野は、街も人も、とても魅力的だということ。

仲川さん:立ち寄ったお店の方とお話できたり、空間や場所を地元の人と共有できたのが嬉しかったです。山の麓で改めて山を感じられるスポットや、登山の疲れを癒してくれるような素敵なスポットが、こんなにたくさんあると知れたのもよかった。今まで通り過ぎていたのがもったいなかったですね。アルプス登山と合わせて立ち寄りたいお気に入りの場所が増えました。

山野ゆりさんの「街的」 or 仲川希良さん「山的」安曇野旅。あなたはどちらを選ぶ?!

安曇野市といえば北アルプスというイメージが強いなか、山野ゆりさんの「街的」、仲川希良さん「山的」の2つのテーマで旅先としての魅力をご紹介してきました。「こんなに安曇野って素敵なスポットがたくさんあるの?! 」と知ってもらえたのではないでしょうか。下山後の立ち寄りスポットとしてはもちろん、新しい旅先の候補として、ぜひとも訪れてみていただきたいと思います。安曇野市には、まだまだ知らない魅力がたくさんあるんです!

※読者プレゼントキャンペーンは2021年10月31日を持って終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。

新型コロナウイルスの状況や拡大防止への対応は、お住まいの地域によって異なります。国や自治体、関連機関の最新情報を参考に、安全を心がけた登山をしましょう。 コロナ禍における登山についてのYAMAPの考えはこちら

小林 昂祐

撮影と執筆業

小林 昂祐

撮影と執筆業

旅雑誌の編集部を経てフリー。在籍時には「アウトドアを科学する」をテーマにした『terminal』を創刊。実体験とインタビューを中心に、自然そのものの美しさやその地に暮らす人びとの営みを取材し、対象に寄り添うことで得られる情景を文章と写真で伝える。著書に西表島を特集した『NatureBoy』ほか、おやつの世界を巡る『OYATTUmagazine』など。趣味は登山。