群馬県といえば谷川岳や赤城山など、全国に名の知れた山が連なる“山の宝庫”。今回は「公共交通機関を使って楽しむ山旅」を取材してきました。
歩いたその先で待っていたのは、湯けむりに包まれる温泉や、思わず笑顔になるご当地グルメ。もちろんマイカー派にも楽しんでもらえるようなユニークで楽しい山旅です。
そして現在、YAMAPと群馬県とのコラボ企画「活動日記投稿キャンペーン」(後期)が開催中。11月16日までに「#私がみつけた群馬2025」をつけて投稿してくれた方には「群馬の宿で使える宿泊券(1万円分)」や「オリジナル手ぬぐい」が当たるチャンス、さらに条件達成で「限定デジタルバッジ」も手に入ります。YAMAPユーザーなら誰でも参加OKなので、この記事を参考に群馬の山旅の思い出をシェアして一緒に楽しみましょう!
2025.09.29
大関直樹
フリーライター
今回は、山岳雑誌の表紙に登場するなど、自然や山が大好きなモデルの「ミノリさん」と一緒に、公共交通機関を使って榛名山(はるなさん)と水沢山(みずさわやま)をハイキング。
下山後には、伊香保温泉でほっこり癒され、日本三大うどんのひとつ「水沢うどん」を味わいました。山歩きの余韻にひたりながらいただくご当地グルメは、まさに格別。
山旅の途中で見つけた群馬名産スイーツに思わず顔がほころぶミノリさん
次の休日はぜひ群馬へ! 豊かな自然と温泉、そしておいしい下山メシ。三拍子そろった山旅が、あなたを待っています。
群馬県のほぼ中央にそびえる榛名山は、赤城山(あかぎさん)・妙義山(みょうぎさん)と並び「上毛三山」(じょうもうさんざん)のひとつに数えられる名峰。といっても、榛名山という名前の単独峰があるわけではありません。カルデラの中央に気高く立つ榛名富士と、その周囲を取り囲む最高峰の掃部ヶ岳(かもんがたけ)、相馬山(そうまやま)などの外輪山を総称して“榛名山”と呼びます。
榛名湖の奥には堂々たる山容の榛名富士が見える。「HARUNA」のモニュメントの前でパチリ
榛名富士の山頂までは、登山口から約1時間なので初心者でも安心。外輪山を歩けば、ダイナミックなカルデラの地形を体感でき、山頂の榛名富士山神社は縁結びや安産のパワースポットとしても人気です。
さらに伝説もユニーク。かつて榛名の天狗が「富士山を越える山を一晩で作る!」と挑んだものの、夜明けに間に合わず未完成で終わってしまったのだとか。そのため、榛名富士は富士山に似ているけれど高さは及ばない…。そんなロマンあふれる物語も残されています。
これまでもYAMAPでは「群馬県×YAMAP」のコラボキャンペーンを行ってきましたが、ユーザーさんからは「車なしでも行ける山を知りたい!」という声がたくさん寄せられていました。今回は、そんなリクエストに応えて公共交通機関だけでアクセスできる山旅を紹介しましょう。
バス旅も大好きだというミノリさん。車窓からの風景にも興味津々
一緒に歩いてくれるミノリさんは、登山歴3年ほどで、一人旅のハイキングが大好きだそう。とくに水辺の景色には目がなく、「湖を見ながら歩けるなんて最高ですね!」と、榛名湖のある榛名山に期待をふくらませていました。
2日目
9:30 伊香保温泉石段街バス停発
11:40 水沢山山頂
13:07 水沢観音バス停発 群馬バス・伊香保温泉行き
13:15 伊香保石段街口バス停着
16:27 伊香保石段街バス停発 JRバス関東・バスタ新宿行き
19:05 バスタ新宿着
JR高崎駅西口から登山口近くの榛名湖バス停までの所要時間は約1時間25分。車窓から見える風景は、街並みから緑豊かな山あいへと変わっていき、ミノリさんのテンションもどんどんアップ。「もうすぐ山だ!」というワクワク感が高まります。
榛名湖バス停に到着。天気も絶好の登山日和
そしてバスが榛名湖に到着すると、目の前に広がるのは透き通る青い湖面と、その水鏡に映る榛名富士の美しいシルエット。まさに絶景のお出迎えです。湖畔から登山口までは徒歩で約20分。榛名山ロープウェイ乗り場の脇にある登山口から、いよいよ今回のハイキングがスタートします。
樹林帯の登山道にはキラキラした木漏れ日が差し込む
登山道に入ると、心地よい樹林帯が広がっていました。木漏れ日が差し込み、風が吹くたびに斜面を覆うクマザサがさわさわと揺れ、耳にやさしい音を届けてくれます。ところどころ段差はあるものの、道は基本的につづら折りで歩きやすく、自然のリズムに身を委ねながら快適に登ってゆけます。
あたり一面、緑のクマザサに覆われた登山は、とても気持ちがいい
登山開始からおよそ50分、榛名山ロープウェイの山頂駅に到着。展望台からは、谷川岳をはじめとする上州の山々、さらに関東平野までもが一望! 思わず深呼吸したくなる絶景が広がります。ここから鳥居をくぐり、石段を登ると山頂の榛名富士山神社へ。縁結びや安産の神として古くから信仰を集め、多くの参拝者でにぎわう場所です。
展望台からの景色を見て、撮影のためスマホを取り出すミノリさん
「この鳥居は霊験あらたかな感じがして好みです!」(ミノリさん)
ミノリさんも「クマザサが絨毯みたいに広がっていた景色が印象的でした。鳥居の雰囲気は神秘的ですごく好きです。涼しくて神聖な空気が強まった感じがしました」と話してくれました。ロープウェイで気軽に来られる榛名富士を、あえて自分の足で登る――その体験は、心に深く残るものがあります。
山頂の榛名富士山神社は、縁結びの神様を祀っていて、かつては山開きの日に参拝者が列をなしたとか
榛名富士を後にして、湖畔へと下ります。目の前に広がるのは、青く澄んだ榛名湖。念願の水辺ハイクに、ミノリさんも思わずにっこり。「水辺の道を歩けるなんて最高ですね!」と足取りも軽やか。
榛名山の外輪山を眺めながら水辺のハイキングが楽しい
榛名林間学校・榛名湖荘の脇から登山道に入り、静かな森の中をわずか20分ほど登れば、待っていたのは榛名山随一の展望地・硯岩(すずりいわ)。岩の上に立つと、榛名富士の優美なシルエットと、その足元に広がる榛名湖が一望でき、思わず声が漏れるほどの大パノラマが広がります。
ミノリさんの隣にあるのが硯岩。榛名山に登るなら外せない絶景スポットだ
「硯岩は景色が最高でした!」とミノリさん。高所は少し苦手だそうですが、この絶景にすっかり夢中で平気だったとか。道中も榛名富士より植物の種類が多く、観察しながら楽しめたそうです。「自分の登った榛名富士を横から眺めると、『あんなに高かったっけ?』と驚きました。形も綺麗でしたね」と満足そうに振り返ってくれました。
今回宿泊した「ホテル松本楼」は、「旅館甲子園」で3回連続ファイナリストに輝いたおもてなしの宿
硯岩で大展望を満喫したあとは、バスで名湯・伊香保温泉へ。群馬を代表する温泉地であり、草津と並んで全国にその名を知られる存在です。
伊香保温泉には「黄金(こがね)の湯」と「白銀(しろがね)の湯」という、二種類の泉質があります。鉄分を含んで茶褐色に輝く黄金の湯は体を芯から温め、“子宝の湯”としても親しまれてきました。一方の白銀の湯は無色透明で刺激が少なく、疲労回復や病後の養生に効果が期待できるとのこと。
8Fの展望露天風呂は、2種類のお湯につかりながら群馬の名峰を眺められる(写真提供:ホテル松本楼)
今回宿泊したホテル松本楼では、趣の異なる2つの大浴場でこの2種類のお湯をじっくり堪能できます。湯上がりには、地場野菜やブランド肉、清らかな水で育った川魚など、群馬の自然が育んだ食材をふんだんに使った料理が登場。見た目も美しく、季節の恵みを一皿ごとに感じられるのも魅力です。ぐんま「地産地消」推進店にも認定されたおもてなしは、旅の疲れを癒やすご褒美そのもの。
地元の野菜を中心にした山里会席は、一品一品が絶品!
地場産の新鮮な食材を使った料理とクラフトビールでミノリさんもご満悦
「ちょっと金色に濁ったお湯が気持ちよかったです。料理も本当に美味しくて、群馬ってこんなにおいしいものがあるんだ!って驚きました」とミノリさんも笑顔に。
ホテル松本楼
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保164
電話:0279-72-3306
宿泊料金:(1泊2食):20,000円~
HP:https://www.matsumotoro.com/
旅の2日目は、温泉街の中心にある伊香保神社から標高1,194mの水沢山へ。鋭い山容が印象的な独立峰で、古くから信仰の対象とされてきた歴史ある山です。
約1,200年前に創建された由緒のある伊香保神社
見晴展望台を過ぎ、林道出合からは本格的な登山道。序盤は緩やかな道のりですが、次第に傾斜が増し、息も弾みます。防災無線中継所を過ぎれば、尾根道に出ました。ここから緩やかなアップダウンで、急登で火照った体に吹き抜ける風が爽やかです。
アップダウンの少ない尾根道は、思わず駆け出したくなる
最後の急坂を登り切った先は、開放的な山頂。眼下に広がる市街地、目を上げれば榛名山、赤城山、そして谷川岳まで。雄大な大展望が待っていました。
「水沢山は360度の眺望がすごかったです」(ミノリさん)
「街がすぐそばに見えるのも面白かったですね」とミノリさん。街と山が隣り合う不思議な景色――水沢山ならではの魅力です。
水沢山を下ると、目の前に現れるのは「水沢うどん街道」。古刹・水沢観音の門前には名店がずらりと軒を連ねています。ここで味わえる水沢うどんは、香川の讃岐、秋田の稲庭と並ぶ“日本三大うどん”のひとつ。400年以上の歴史を誇り、小麦粉・塩・水だけで打たれる麺は、つややかでコシが強く、ツルリとした喉ごしが魅力です。
冷たい麺をゴマだれや醤油だれで楽しむのが定番の味わい方
「すごくコシがあっておいしかったです。ごまと醤油で味を変えられるのも楽しいですね。小鉢や天ぷらも贅沢で、最後まで飽きずに楽しめました」とミノリさん。笹で包んだおこわのモチモチ食感にも舌鼓を打ち、大満足の様子でした。
家で食べるうどんとは一味違いますね!とミノリさん
群馬の山旅を締めくくるのは、伊香保温泉の象徴ともいうべき石段街。現在は365段あり、「温泉街が一年365日、にぎわいますように」という願いが込められています。両脇にはお土産屋や饅頭屋、射的場などが並び、歩くだけで温泉街らしい情緒を味わえるスポットです。
365段ある石段街の入口にあるモニュメントは絶好の撮影スポット
そんな石段の166段目にあるのが「IKAHO HOUSE 166」。築100年超の旅館をリノベーションした複合施設で、飲食やショッピング、工芸体験まで楽しめます。ミノリさんが訪れたのは、榛名山麓の「卯三郎こけし」と高崎の「大門屋だるま」のアンテナショップ。こけしはクラシカルなものからキャラクターものまで幅広く、絵付け体験も人気。一方の大門屋では、伝統の達磨に新しいデザインを融合したアイテムが並びます。
365段ある伊香保温泉石段街の166段目にある「IKAHO HOUSE 166」
「こけしってちょっと怖いイメージがあったんですけど、可愛いものが増えていて驚きました。アニメや特撮、サンリオやディズニーのこけしまであって、本当にびっくりしました」とミノリさん。伝統と現代の感性が交わる石段街の新しい楽しみ方に、すっかり魅了された様子でした。
カラフルな「グラデーションだるま」が好評とか
色々なキャラのこけしが勢揃い。ぜひ写真を拡大してチェックしてほしい
だるまのふるさと 大門屋/卯三郎こけし 石段店
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保68番地 IIKAHO HOUSE 166 3階
定休日:水曜日
営業時間:9:30~16:00
https://sekiraku-ikaho.co.jp/#about
同じく「IKAHO HOUSE 166」の3Fにあるのが、「やまのは」。山の稜線を意味するその名は、今回の山旅にぴったりです。ここは群馬の名産品と本を扱うセレクトショップ。
棚を眺めていると、なんとYAMAP活動日記キャンペーンのプレゼントにもなっているオリジナル手ぬぐいの生産元・中村染工場の品が並んでいました。注染(ちゅうせん)という昔ながらの技法で染め上げられる手ぬぐいは、柔らかい風合いが特徴。それを伊香保のお湯で使い込んで茶色に変わると、“粋”とされるのだとか。
スタッフの坂本京介さんが、伊香保温泉をモチーフとした「やまのは」特製手ぬぐいの説明をしてくれた
さらに店内には200冊以上の本がセレクトされ、「旅のお供にカバンへ忍ばせたい本」をテーマにラインアップ。図鑑のような重い本はなく、持ち歩きやすい文庫や新書サイズが中心です。
一般の書店とは一味違った品揃えは、本好きにはたまらない
「私は3冊も買っちゃいました。山に登った後だったからこそ、植物の本にすごく惹かれて。普段だと手に取らないような本に出会えるのは、旅先ならではだと思います」とミノリさん。流行りに左右されない視点で選ばれた本の数々は、山旅の余韻をより深めてくれました。
群馬土産と本の店 やまのは
住所:群馬県渋川市伊香保町伊香保68番地 IIKAHO HOUSE 166 3階
定休日:不定休(公式SNSでお知らせ)
営業時間:9:30~18:00
https://www.instagram.com/yamanoha_ikaho/
石段街を散策する途中に立ち寄りたいのが、ホテル松本楼のベーカリー姉妹店「湯の花パン」。ここで人気なのが、この店でしか味わえない特製スイーツ「石段ぷりんソフト」です。なめらかな自家製プリンの上に、榛名牛乳を使った濃厚なソフトクリームをのせ、仕上げに湯の花をイメージしたキャラメルソースをとろり。甘く贅沢な味わいに仕上がっています。
榛名山の牧場でとれた牛乳を使っていると聞けば、山旅の思い出がさらに甘く広がる
「美味しかったですよね。ソフトとプリンって別々の方がいいかなと思ってたけど、実際食べたら相性抜群。牛乳の味も牧場のアイスみたいに濃厚で、体にしみました」とミノリさん。
榛名山や水沢山の大自然、伊香保温泉の名湯や石段街の散策、そして水沢うどんまで――今回の山旅では、コンパクトなエリアにぎゅっと詰まった群馬の魅力をたっぷり味わうことができました。
「群馬県には、こんないい山があるっていうことを知ることができてよかったです!」(ミノリさん)
「移動範囲は意外と狭いのに、いろんな場所に行けて本当に充実していました。車じゃなくても安心して行けるし、運転の心配がないので下山後にビールを飲めるのも最高ですね。地元の人の生活が垣間見えるバスの山旅はすごく面白かったです」とミノリさん。
自然、温泉、グルメ、そして街の素顔。公共交通でめぐるからこそ出会える群馬の風景があります。さあ次の休日は、電車とバスに乗って群馬の山旅に出かけてみませんか?
「ぐんまの山旅 活動日記投稿キャンペーン」は、皆さんの群馬県での「山旅」の思い出を募集する企画です。
YAMAPアプリを使い、登山や山麓での温泉、食事、宿泊などの体験を 「#私がみつけた群馬2025」 のハッシュタグをつけて投稿してください。
投稿してくれた中から、抽選でオリジナル手ぬぐいや、ぐんまの宿泊券(1万円分)をプレゼント。さらに条件によって期間限定のデジタルバッジも獲得できます。これからは紅葉の見頃を迎える絶好のシーズン。美しい群馬の山々を歩き、あなたの感動を活動日記でシェアしませんか?
抽選で当たる手ぬぐいのモチーフは、上毛三山の稜線と遊び心あふれる群馬の名物
原稿:大関直樹
撮影:川野恭子
モデル:ミノリ(u.m.i management)
協力:群馬県、群馬県観光物産国際協会