九州地方には、雪を纏って夏場とは印象を一変させる美しい山々が数多く存在し、冬山登山者を魅了します。今回は、登山アプリ「YAMAP」のユーザーデータ[※1]をもとに、「冬におすすめ」もしくは「雪が楽しめる」九州地方の山とその見どころ、また各山のリアルタイムの積雪情報をまとめました。冬ならではの霧氷や氷瀑が楽しめる山から、初心者にも気軽に楽しめる山まで、冬山の醍醐味を満喫できる山をたっぷりご紹介します。いつかは行ってみたいお気に入りの山を見つけてみませんか?
[※1] 登山アプリ「YAMAP」のユーザーデータ(集計期間:2021年12月~2022年3月)をもとに、訪問者数の多かった人気の山を算出。
冬山&雪山登山2023-2024|おすすめの山をエリア別に紹介 #08/シリーズ一覧はこちら
2022.12.01
YAMAP MAGAZINE 編集部
標高:1,791m(中岳)
都道府県:大分県竹田市
おすすめコース:諏蛾守越-中岳 往復コース(約5時間30分)
標高約1,700m級の山々が連なり、「九州の屋根」とも呼ばれる九重連山。連山最高峰の中岳は九州の最高峰でもあります(主峰は久住山・1,786m)。冬場は、強い北風によって霧や雲がぶつかってできる霧氷が一面に広がり、木々に氷の花が咲いたような美しい稜線を歩くことができます。
中岳の直下にある御池(みいけ)は厳冬期になると氷が張り、「山上の天然のスケートリンク」が出現することでも人気。この天然のスケートリンクでの氷上歩きを目当てに冬の九重連山に登る登山者も多くいるほどです。
※積雪が始まると投稿された写真が表示されます。
標高:829m
都道府県:福岡県太宰府市
おすすめコース:昭和の森キャンプ場-仏頂山-宝満山 周回コース(約6時間)
古来より神が降り立つ山として崇められてきた「宝満山」。最澄や空海をはじめ、遣隋使や遣唐使として大陸へ渡った人々は渡航前にこの山に登拝したそう。四季を通して地元の人々に親しまれる人気の山です。
標高が1,000mにも満たない宝満山ですが、例年1〜2月にかけて冬限定の見事な氷結した滝「氷爆」が見られることで有名です。この「河原谷の大つらら(通称・難所ヶ滝)」は宝満山と三郡山をつなぐ稜線直下にあり、雪山初心者でも防寒やアイゼンなどの装備を整えれば手軽にアプローチすることが可能。この時期ならではの自然の造形美を満喫することができるでしょう。
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標高:1,700m
都道府県:宮崎県えびの市・小林市、鹿児島県霧島市
おすすめコース:韓国岳登山口-韓国岳 往復コース(約3時間)
霧島連山の20を超える火山群の中で最も高い韓国岳。遠く韓の国まで見渡せるということから山名がつけられたといわれるほど展望がよく、山頂からは眼下にえびの高原が広がり、火口湖の大浪池(おおなみのいけ)、同じ霧島連山の獅子戸岳(ししこだけ)、新燃岳(しんもえだけ)、中岳、高千穂峰(たかちほのみね)、遠くには開聞岳(かいもんだけ)までも一望することができます。霧氷や凍った大浪池が魅力的な風景を作り出す、冬の霧島連山を代表する雪山風景と言えるでしょう。
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標高:1,583m
都道府県:大分県由布市
おすすめコース:由布岳 正面登山口コース(約4時間40分)
有名な温泉地・湯布院に聳える由布岳は、均整の取れた美しい山容から「豊後富士」と呼ばれ親しまれています。東峰と西峰の2つのピークからなる双耳峰で、山頂部は東峰、西峰を含めて一周できるようになっていますが、クサリのある岩稜帯や崩壊地の通過があるため、初心者は比較的安全に登ることができる東峰の往復がおすすめです。1〜2月ごろにかけての霧氷は登山者の目を楽しませてくれます。
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標高:1,199m
都道府県:福岡県添田町、大分県中津市
おすすめコース:別所登山口-奉幣殿-英彦山 往復コース(約3時間40分)
英彦山は古くから修験道の山として、新潟県の弥彦山、兵庫県の雪彦山と共に「日本三大彦山」として知られています。緩やかな尾根道からスリル満点の岩場まで変化に富んだ山歩きができることでも人気です。山頂からは、福岡県の主要な山々や九重連山、雲仙岳などのすばらしい展望が望めます。冬場は中岳の四王寺滝が凍り、高さ約30mにも及ぶ氷のカーテン「氷瀑」をひと目見ようと、多くの登山者が訪れます。
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標高:1,359m(普賢岳)
都道府県:長崎県島原半島
おすすめコース:仁田峠駅-普賢岳 往復コース(約3時間20分)
雲仙岳は10ほどの火山が集まった総称で、その主峰・普賢岳への登山が人気です。普賢岳の山頂からは、平成の噴火で出来た日本一新しい山「平成新山」を間近に見ることができ、地球の息遣いを感じます。仁田峠から雲仙ロープウェイを使えば、約3分間の空中散歩で普賢岳手前の妙見岳まであっという間に到着です(運行/運休情報などは事前にご確認を)。山裾が広く、重量感のある山容のこの山のベストシーズンは冬。荒々しい火山の山肌を覆うかのごとく霧氷が形成され、山一面がまるで満開の桜のように見える様子は一見の価値ありです。
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冬山の注意点
・積雪期はコースタイムの1.5倍の時間を見積もって行動することをお勧めします。
・ゴンドラやリフトは運休することもあります。最新情報を施設サイトにてご確認ください。
・山小屋、売店、トイレなどの施設が冬季休業や営業時間の短縮をしている場合があります。事前によく調べるようにしましょう。
・雪山登山では天候や状況の急変などへの適切な対応が求められます。雪山初心者は必ず経験者と登り、単独行は避けるようにしましょう。
・紹介している山の中には、雪山登山経験者向けの山も含まれています。装備や必要な技術を事前に確認するようにしましょう。
「リアルタイム積雪モニター」なら、知りたいエリア・山の最新の積雪状況がひと目でわかります。ぜひ自宅近くの山、お目当ての山をチェックして、冬山登山の計画を立てる際の参考にしてみてください。
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YAMAP MAGAZINE 編集部
石川 高明
信州登山案内人・登山ガイド
石川 高明
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