1万円台スマートウォッチは登山で使える?上位モデルと徹底比較・検証

近ごろ登山での愛用者も増えているスマートウォッチ。ですが、市場に出ているものは、安いものだと1万円以下、高いものだと20万円を超えるものまであります。そのなかから、登山で使うならどれくらいのものを選べばよいのか……。よくわからなくて情報迷子になってしまっている人も少なくないのではないでしょうか?

今回はライターの森山憲一さんと登山YouTuberの百花(ももか)さんが、注目を集める高コスパの新機種とアウトドア用人気機種を比較し、徹底解説します。

記事の最後には、お得に割引購入できる期間限定クーポンを掲載。ぜひ最後までご覧くださいね。

2026.07.03

森山 憲一

山岳ライター/編集者

INDEX

エントリーモデルvsアウトドアモデル 守屋山で対決

YAMAP MAGAZINEでも何度か紹介しているスマートウォッチメーカーAmazfit(アマズフィット)から、今年5月に本体価格18,980円のエントリーモデルが新たに発売されました。その名はAmazfit Bip Max(アマズフィット ビップ マックス)

引用:「Amazfit Bip Max」公式サイトより

1万円台という低価格ながら、マップ表示が可能で、バッテリーが最大20日間も持つというのが売り。スペックシートだけ見ると上級モデルにも引けを取らないと話題になっているモデルです。「これならば登山でも使えるんじゃないだろうか?」そんな気にさせてくれます。

ということで、長野県諏訪湖近くの守屋山(標高1651m)にやって来ました。

今回、Bip Maxが登山で使えるのかテストするのは、登山YouTuberとしても活躍している百花さん。普段、腕時計を着ける習慣はなく、山でスマートウォッチをも使っていないとのこと。スマートウォッチは使用前に自分のスマホと接続して設定しておく必要がありますが、そこは特に迷うことはなかったようで、無事設定できていました。

一方、そのBip Maxの比較対象としてライター森山が着けているのは、同じAmazfitブランドのアウトドア用上級機種として登山者にも人気が高い、Amazfit T-Rex 3 Pro 48mm(アマズフィット ティーレックス スリー プロ 48ミリ )

ここ守屋山で、この2つを使い比べてみようというわけです。

引用:「Amazfit T-Rex 3 Pro 48mm」公式サイトより

ディスプレイはどちらが見やすい?

上:T-Rex 3 Pro(森山着用)、下:Bip Max(百花着用)

Bip Maxのディスプレイサイズは2.07インチ。対するT-Rex 3 Proは1.5インチ。形状が違うので単純比較はできませんが、Bip Maxのディスプレイは確かに広々としていて見やすい。特に地図表示をしたときにアドバンテージを感じます。

しかし表示文字はT-Rex 3 Proのほうが大きくて視認性が高い。Bip Maxは文字が小さめでディスプレイの大きさを生かせていない印象です。Bip Maxはアウトドアに特化したモデルではないので、デザイン性を優先させているのでしょうか。

ちなみに百花さんのBip Maxは「運動時間(行動時間)」「距離」「心拍数」「速度」が表示されています。あえてデフォルトのままにしていますが、表示する項目は好みに応じてカスタムすることも可能で、このあたりの機能も上級モデルと同じです。

【ディスプレイ対決】引き分け

マップ機能を比較

では早速、登山開始。守屋山は展望がよいことで知られる山で「日本100名山 33座一望の山」と看板に書いてあります。33座一望とはすごい。今日は天気も最高。眺めが期待できそうです。

しばらくは森のなかの気持ちのよい登山道を登っていきます。きつくはありませんが、少しずつ心拍数が上がっていくのを感じます。

歩きながら心拍数を確認できるのはスマートウォッチ最大のメリットで、以前、こんな記事でその効果を解説したこともあります。Bip Maxにも、上級モデルと同等の生体センサーが搭載されており、リアルタイムで自分の心拍数を確認することができます。

歩きながら心拍数や歩行距離を見たり、いろいろな表示を確認していた百花さんですが、地図が見られることにも興味を惹かれた様子。

「残り距離とかもわかるのがいいですね!」

事前にルートを設定しておけば、こうして予定ルートを表示してくれて、登山道が曲がる箇所なども事前に知らせてくれます。アウトドア用のスマートウォッチではいまや当たり前ともいえる機能ですが、1万円台でこの機能が使えるものはほとんどありません。これはBip Maxの大きな魅力ですね。

ライター森山のT-Rex 3 Proと比べてみても、Bip Maxのマップ表示の見やすさや機能性は遜色なし。むしろ画面が四角くて大きいので、地図の見やすさは上かも。

ただしT-Rex 3 Proは操作ボタンが4つ付いていて、縮尺を変えたりする操作がBip Maxよりやりやすい。Bip Maxはボタンが2つしかないので、タッチ操作も必要になって操作手順がやや複雑になる印象。

それから今回は問題はありませんでしたが、雨が降っていたり手が濡れていたりするとタッチ操作がうまくできない可能性もあります。その点、ボタンだけでも操作を完結できるT-Rex 3 Proはやはりアウトドア仕様といったところでしょうか。

【マップ機能対決】どちらも良さがあって判定が難しいけれど、ここはT-Rex 3 Proに軍配!

 

防水性はいかに

さらに登っていくと、巨岩・奇岩が目立つ地帯に。

近くにちょっとした滝があったので、Bip Maxを流水にさらしてみました。防水性を備えているので、この程度で壊れることはないとわかってはいるのですが、一応テスト。当然、何も変化はなく、その後も元気に動き続けてくれました。

スペック的なことをいえば、Bip Maxは5ATM(水深50mの静水圧に耐える)、対してT-Rex 3 Proは10ATM(水深100mの静水圧に耐える)。T-Rex 3 Proのほうが高度な防水機能を備えています。とはいえ、登山では10ATMもの防水性能が問われるシチュエーションはほぼありません。5ATMあれば現実的には十分。ということで、実用上は差はないといっていいでしょう。

【防水性対決】数字上はT-Rex 3 Proが上だけど、登山で体感できる差はなし

 

晴天下での見やすさ対決

相変わらず天気はよく、標高を上げるにつれて、樹々の隙間から強い光がさす箇所も増えてきました。ここで再度、ディスプレイの見え方をチェック。

というのも、晴れているときの視認性はスマートウォッチの弱点のひとつで、安価なスマートウォッチだと盤面がほとんど見えなくなってしまうことがよくあるからです。T-Rex 3 Proは上級モデルだけに、3000ニトというスマートウォッチでは最高レベルに明るいディスプレイを備えていて、晴れた稜線上などでも盤面が見えなくなることはないのですが、Bip Maxはいかに?

強い太陽光の下でも両者ほとんど変わらないレベルで視認できました。実はBip Maxのディスプレイも3000ニト。これは1万円台のスマートウォッチとしてはかなり驚異的なスペックで、T-Rex 3 Proと同等なのです。実際の使用感としても同等であることが確認できました。

【晴天下での見やすさ対決】引き分け

 

位置情報は正確か? GPS対決

山頂稜線に到達しました。傾斜はゆるみ、気持ちのよい登山道が続いています。

守屋山東峰に着きました。ここには方位盤も設置してあり、噂どおりの大展望!

とりわけ目の前に広がる八ヶ岳連峰が圧巻。南の編笠山から北の蓼科山までが一望のもと。八ヶ岳を眺めるならここがベストポジションなんじゃないでしょうか?

ここでBip Maxの地図を確認した百花さんいわく、「地図がちょっとズレてるみたいです」とのこと。見てみると、確かに現在地が少し北にズレているようです。

当日の行動データより作成

下山後にT-Rex 3 ProとBip Maxのルートデータを比較してみると、このような結果となりました。

青線のT-Rex 3 Proは全行程通じてビタリ正確にトレースしているのに対して、赤線のBip Maxは1514.9ピークの前後と守屋山東峰前後で大きくズレが発生しています。

ここは上級モデルとエントリーモデルの差が出たところでしょうか。T-Rex 3 Proは2種類の電波を受信して精度を高めるデュアルバンド方式、一方のBip Maxは1種類の電波しか受信しないシンプルなシングルバンド方式。その性能差がはっきり出たという感じです。

スマートウォッチの位置情報だけに頼って登山をすることは多くないと思うので、あまり神経質になるほどの差ではないかもしれませんが、トレイルランニングやバックカントリースキーなど、移動スピードの速いアクティビティをする人にとっては、この差は無視できないものになりそうです。

【GPS対決】T-Rex 3 Proの完全勝利!

 

岩にぶつける! 耐久性対決

絶景の展望を満喫したので下山にかかりました。守屋山本峰の山頂はもう少し奥ですが、時間も押していたので今回は省略。さて、下山途中、どうしてもやってみたかったテストをやってみることにします。

それは耐久性対決。登山で腕時計を使っていると、不意に岩にぶつけたりこすったりして、次第にキズだらけになってしまうものです。ベゼルなどの本体部分にキズが付くのはまだ許せるのですが、ガラス面にキズが付くと視認性に影響するため困りものなのです。

T-Rex 3 Proはこの点への対策がほぼ最高レベル。ベゼルにはチタン合金、ディスプレイにはサファイヤガラスが使われています。アウトドアウォッチとしては現時点で最強の構成といえます。

特に個人的に重視しているのはサファイヤガラス。サファイヤガラスはダイヤモンドの次に硬い素材と言われており、岩などの硬いもので強くこすってもキズが付かないといわれています。

とはいえ、T-Rex 3 Proは59,900円。意図的に岩にぶつけるなどのテストをする勇気は出ませんでした。しかし今回使っているのはメーカーからの借り物。「思いっきりいっちゃってください!」との太っ腹な言葉をいただき、ずっとやりたかったテストをしてみることに。

まずは百花さんのBip Maxから。

Bip Maxはアルミ合金+プラスチックの本体素材に、ディスプレイ素材は一般的な強化ガラス。特に強度に配慮した設計ではないので、少し心配。

おそるおそる岩にぶつけてみる百花さん。それくらいだと何度やっても目立つキズが付く様子がない。

「もう、思いっきりいっちゃって!」
「だ、大丈夫ですか? じゃあ、いきますよ!」

岩にヒットする瞬間、「バキン!」という音がして肝を冷やしました……。

ガラスが割れたりはしませんでしたが、本体、ガラス面ともにそれなりにキズが付きました。ただしヒットの激しさのわりには頑張ってくれた印象。万一、壊れてしまったときのために予備機も持っていたのですが、それは使わずじまいで済みました。

同様にやってみたT-Rex 3 Pro。ベゼル部分にわずかにキズが付きましたが、よく見ないとわからないレベル。そしてガラス面は無傷! これはちょっと驚き。サファイヤガラスの威力はやっぱりすごい!

【耐久性対決】 T-Rex 3 Proの圧勝!

 

最後にバッテリー持ちを比較する

「いやー、激しかったですね…」
と、キズついてしまった相棒をいたわる百花さん。いやいや、ガツンといってくれて、いいテストになりましたよ。

ということで、無事テスト山行は終了。登山を終えてから、それぞれのバッテリー残量を比較してみました。ちなみに今回の行動時間は6時間ほどでした。

Bip Max:Start 85% → Goal 63% = 22%消費
T-Rex 3 Pro:Start 100% → Goal 85% = 15%消費

もともとバッテリー持ちのよさには定評があるT-Rex 3 Pro。このペースなら5日間くらいの登山でも充電は不要になりそうです。Bip Maxがそれに負けるのは当然なのですが、最強T-Rex 3 Proに7%しか差を付けられなかったのはむしろ驚きであります。

【バッテリー対決】順当にT-Rex 3 Proの勝利!

 

比較テストを終えて

さて、今回のテスト結果を振り返ってみます。

【ディスプレイ】 引き分け
【マップ機能】 T-Rex 3 Pro
【防水性】 登山で体感できる差はなし
【晴天下での見やすさ】 引き分け
【GPS】 T-Rex 3 Pro
【耐久性】 T-Rex 3 Pro
【バッテリー】 T-Rex 3 Pro

T-Rex 3 Proの4勝3分け。まあ、当然といえば当然の結果ではあります。Bip Maxも山でけっこう使えることがわかりましたが、登山でガッツリ使うことを考えるのならば、やはりT-Rex 3 Proのほうがおすすめできる、というのがライター森山の意見です。

ただし重要な比較がひとつ残っております。

<本体価格>
Bip Max:18,980円
T-Rex 3 Pro:59,900円
【価格対決】Bip Maxの圧勝!

Bip Maxの価格はT-Rex 3 Proの3分の1。これはあまりにも大きな差です。T-Rex 3 Proは万人に気軽におすすめできる価格ではありませんが、18,980円ならば、試しに使ってみるくらいの気持ちでも十分手を出せる価格

T-Rex 3 Proには劣るものの、1万円台のスマートウォッチとしては飛び抜けた機能性を誇るともいえます。基本は日常用で、たまに山に登るときも使いたい、くらいの用途ならば十分かと思います。

以上、比較テストの結論と考察でした!

▶登山YouTuber:百花(ももか)
YouTubeチャンネル「ももの山と日々」にて、等身大の山の楽しみ方を発信中。大町・白馬を拠点に、山の魅力を伝えている。
instragram:https://www.instagram.com/187_chan

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期間:記事公開日~2026年8月3日 23:59

原稿:森山憲一
写真:宇佐美博之
モデル:百花
協力:Zepp Health Corporation

森山 憲一

山岳ライター/編集者

森山 憲一

山岳ライター/編集者

1967年神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学教育学部(地理歴史専修)卒。大学時代に探検部に在籍し、在学中4回計10カ月アフリカに通う。大学卒業後、山と溪谷社に入社。2年間スキー・スノーボードビデオの制作に携わった後、1996年から雑誌編集部へ。「山と渓谷」編集部、「ROCK&SNOW」編集部を経て、2008年に枻出版社へ移籍。雑誌『PEAKS』の創刊に携わる。2013年からフリーランスとなり、登山と ...(続きを読む

1967年神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学教育学部(地理歴史専修)卒。大学時代に探検部に在籍し、在学中4回計10カ月アフリカに通う。大学卒業後、山と溪谷社に入社。2年間スキー・スノーボードビデオの制作に携わった後、1996年から雑誌編集部へ。「山と渓谷」編集部、「ROCK&SNOW」編集部を経て、2008年に枻出版社へ移籍。雑誌『PEAKS』の創刊に携わる。2013年からフリーランスとなり、登山とクライミングをメインテーマに様々なアウトドア系雑誌などに寄稿し、写真撮影も手がける。ブログ「森山編集所」(moriyamakenichi.com)には根強い読者がいる。