登山ツアーのいい点悪い点を”中の人”が解説! 「一人で参加」「山仲間との出会い」は?

登山ツアーと聞くと、「初心者向けでしょ」「 一人で参加はOK?」「山仲間との出会いがありそう」など、疑問や気になるポイントが浮かびます。実際のところはどうなのか? クラブツーリズムで長年、登山ツアーに携わってきた窪田一紀さんに、登山ツアーの魅力とこの秋おすすめのツアーをこっそり教えてもらいました。

2020.09.24

窪田 一紀

クラブツーリズム(株)首都圏テーマ旅行センター・登山チームリーダー

INDEX

そもそも「登山ツアー」とは?

登山ツアーは、旅行会社が主催・実施する旅行商品の一つです。旅行会社は登山ガイド、交通機関、宿泊施設、食事等を一括して手配をし、同行する添乗員がツアーの管理を行います。(登山ガイドのみで案内し、添乗員が同行しないツアーも一部ございます。)

クラブツーリズムさんの活動日記から/北海道・斜里岳ツアーの様子

参加者は一般の方から募りますので、性別も年代も様々の知らない人同士で登山のパーティを組みます。だからこそ参加を躊躇されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は長年ツアー登山を企画している我々が、客観的に見た登山ツアーのメリット・デメリットをお伝えします。それを踏まえ、ご自身がツアーに参加するかどうかの判断材料にしていただければと思います。

登山ツアーのメリット① 楽(らく)さ

登山ツアーは面倒なことは全て旅行会社が請け負います。ですので、参加者は楽(らく)で気軽に、登山をすることができます。楽(らく)といっても様々な楽(らく)がありますので、それぞれの観点からご説明いたします。

移動が楽(らく)

登山は朝が早く、下山後は疲れるものです。ツアーを利用すれば、集合場所に行くだけでOK!車の運転もご自身でする必要がありません。往路は体力温存で睡眠をとりながら、帰路はビールを片手におつまみを食べながら移動する、なんてことも可能です。

ルート選びが楽(らく)

登山は計画をたてなければなりません。どのルートでどのように歩いていくのか、初めて登る山であれば多くの時間と労力がかかることでしょう。

また、登山中も同様です。いざ歩き始めると自分がどこにいるかを把握しなければならず、初めての山では常に地図とにらめっこなんてこともあります。
ツアーでは計画時、登山時のルート選びは会社・ガイドが行いますので、道中の景色やお花を見ながら、思う存分登山を楽しんでください♪

ただ、歩くルートを事前に確認する、地図を用意するなど、最低限の下調べはご自身で行うようにしましょう。ツアーをより楽しむことができると思います。

手配が楽(らく)

手配って面倒ですよね? 交通機関や宿泊施設、食事など、旅に手配は不可欠です。また、山小屋などでは予約を電話でする必要があったり、そもそも空きがなかったりと、山の手配は普通の旅以上に大変なことが多いです。

ふらんけんさんの活動日記から/現地への交通手段を選ぶのも一苦労

ツアーでは、インターネットか電話一本で予約をしてしまえば、あとの手配は旅行会社がしますので気にする必要はありませんよ。

荷物が楽(らく)

ツアーによっては専用バスを利用することがあり、不要な荷物をバスに置いていくことができます。荷物が多くなりがちな登山ではとっても有難いですよね。

コータローさんの活動日記より/バス車内の様子

個人で電車や路線バス等の公共交通機関を利用して登山をする場合、このような対応をすることはなかなか面倒で、ほとんどの場合が全て持って歩かなければなりません。

登山ツアーのメリット② 安全性

登山ガイドによる安全管理

登山ツアーは原則登山ガイドが同行し、ルート選びから、難所のサポート、悪天候時の状況判断など、安全管理を行います。

山の中で突然の大雨に打たれてしまった場合、進むべきか引き返すべきか、自信を持って判断できますか? ガイドは長年の登山経験と、専門知識が必要な登山ガイド資格を有していますので、様々な可能性を考えた上で、最善の判断をしてツアーを引率します。

特に山の初心者にとって危険を予測することは難しく、山のレベルを上げるほどガイドの力は役立つことでしょう。

団体行動による安心感

単独での登山は危険も多いです。怪我をした場合自力で下山しなければならない場合もあります。ツアーは団体行動をとりますので、不測の事態にもパーティで対応ができます。また、団体で登ることによる安心感があります。個人で登るより精神的にも楽になり、自信を持って登山を楽しめるでしょう。

登山ツアーのメリット③ 出会い

山仲間との出会い

登山ツアーに参加いただいて、多く声をいただくのが山仲間との出会いの楽しみです。

参加者は基本的に山が好きです。どの山が良かった、山でこんな経験をした、おすすめの装備など、知らない人同士でも意外と共通の話題は多いものです。他にも共通点が見つかったり、話していて居心地がよかったりと、意外な出会いもあるかもしれません。

登山ツアー中にお友達になり、次のツアーでは一緒に参加する、と言ったお話は私たちもよく聞きます。女性の方で気軽に山を楽しみたい方は、女性限定で和やかな雰囲気のツアーもありますよ♪

一人でも楽しめる

山に行こうと思っても、なかなか友達と予定が合わなかったり、行きたい山のレベルが合わなかったりしたことはありませんか?ツアーは一人参加の方がとても多く、ツアーによっては半分以上がお一人参加ということも決して珍しくありません。

気の合う方がいればお話しされるも良いですし、団体行動しながらも一人で自然に浸るというのも良いですし、それぞれの過ごし方で一人参加を楽しんでみてくださいね♪

登山ツアーのメリット④ 学び

自然解説

ガイドは安全管理が最優先ですが、所々で地形・植物・野生動物などの自然解説も行います。
・なぜここに石が堆積しているのか
・なぜこの山にはこの花が多く咲いているのか
自然の成り立ちなどの知識を聞きながら歩くと、登山が何倍も楽しくなるかもしれません。

歩き方

ガイドは適宜、歩き方のアドバイスもしてくれます。岩場などの難所での体の使い方から、初心者向けツアーでは靴ひもの結び方などの基礎を教えてくれるものもあります。より楽しく安全に登山をするための技術や知識が身につく、スキルアップの場になることもあるでしょう。

クラブツーリズムさんの活動日記から/階段の登り方のレクチャー風景

登山ツアーのデメリット

ここまでツアーのメリットを説明しましたが、逆にデメリットも存在します。この記事の目的は皆様にツアーの特徴をしっかり理解いただき、参加するかどうかの判断材料にしていただくことですので、今回はデメリットについても正直にお伝えしたいと思います。

登山ツアーのデメリット① 料金が高い?

安全管理上、登山ツアーは大人数の募集ができず、レベルによって参加者何名につき引率者何名といった、人数制限を設けています。ツアーを安全に実施するための諸経費を少人数で割る必要がありますので、どうしても料金は高く見えがちです。

しかし、個人登山の場合も、移動・宿泊・準備には費用がかかりますし、個人でガイドを頼むとツアー料金以上の金額になることがほとんどです。

実際にこれまで挙げた、楽さ・安全性・出会い・学びなどの登山ツアーのメリットを踏まえ、それでも高いと感じるかを今一度考えていただけると幸いです。

登山ツアーのデメリット② 自由が少ない?

登山ツアーは団体行動が原則になりますので、自由度に関しては個人登山にはかないません。計画、移動、手配、山の中での状況判断など、「全て自分でやらないと気が済まない!」という方は、ツアーは適さないと思いますので個人での登山をオススメいたします。

ただし、山のレベルが上がるほど下記のように思われる方も多いのではないでしょうか?
・一人で登り切れるか不安
・道迷いが心配
・難所の登り方をガイドに確認しながら登りたい
山によっては登山ツアーを利用していただくと、登れる山のバリエーションも増えると思います。

思い切って一歩を踏み出そう!

以上、登山ツアーのメリット・デメリットをお伝えいたしました。ここで一つ質問です。
「ここまで記事を読んでいただいたということは、登山ツアーに少しは興味があるのではないでしょうか?」

山は一歩足を踏み入れるだけで、非日常を楽しめる最高の癒しスポットです!登山ツアーは山を気軽に楽しんでいただくことができとても便利ですので、特に初心者の方に強くお勧めいたします。

クラブツーリズムでは下記のように様々な登山ツアーを取り扱っており、行きたいツアーがきっと見つかりますよ。
(例)
・気軽に参加できる「日帰りツアー」
・女性参加限定の「女性のための山旅」
・人気の「日本百名山ツアー」
・継続参加をしステップアップをする「シリーズ登山」
まずは勇気を出して一度ツアーに参加してみませんか? ご参加を心よりお待ちしております!

クラブツーリズムのベテランスタッフ・窪田さんが選んだ、この秋おすすめの登山ツアーは?

コロナ禍で登山者が減っている、国立公園を応援したい!
そんな想いを込めてYAMAPと蔵王索道協会とクラブツーリズムがコラボした登山ツアー企画が実現しました。

それが、「蔵王国定公園-山岳信仰の地・蔵王山と蔵王三大神めぐり」

もんもんさんの活動日記から/蔵王のお釜

ロープウェイを使って美しい紅葉を手軽に楽しむことができる蔵王山。東北らしいたおやかな山容と、その山肌を色鮮やかに織りなす赤や黄色の木々は見た人を虜にしてしまう魅力があります。

もんもんさんの活動日記から/蔵王は見事な紅葉が見られる

ただ、蔵王は大きな山塊。ロープウェイを使って山頂を往復するだけではその魅力はとても伝えきれません。今回は「紅葉」に加え、「蔵王の歴史と文化」に着目し、現地ガイドが同行し深い山岳信仰を集めた蔵王の歴史を紐解きながらのんびりと歩くツアーを設定しました。

岩場などの危険な箇所もないので、登山ツアー初心者の方にぜひおすすめしたいコースだと思います。

蔵王地蔵尊、蔵王大黒天、蔵王大権現の三神を詣で御朱印を拝受し、紅・黄・緑と色とりどりの風景を見せる紅葉の蔵王を眺め歩き、最終日には御釜の絶景がご覧いただけます。名湯・蔵王温泉に連泊しながら、紅葉シーズン真っ盛りの蔵王を一緒に歩きませんか?
きっとこの記事でご紹介した「登山ツアーのメリット」を体感いただけるはずです。

もんもんさんの活動日記から/蔵王地蔵尊

なお、このツアーは「GoToトラベル事業支援対象」となっているので、通常のツアー料金と比べて30%以上もお得。
例えば、東京発着だと旅行代金は80,000円ですが、GoToトラベルキャンペーン支援金として28,000円が引かれますので支払実額は52,000円となります。さらに地域クーポンが12,000円分付いてくるので今がチャンス!

また、ツアーは東京駅発着と山形駅発着の2種類あるので、使いやすいコースを選ぶことが可能です。
そしてさらに、YAMAPユーザー特典として、蔵王でしか手に入らない特製手拭い付きと本当に大盤振る舞いなんです。

登山で大活躍の特製手拭いもプレゼント

この記事を読んで「登山ツアーって面白そう」って思ったあなた、ぜひ参加してみませんか?
きっと新しい感動や出会いが待っていますよ。

この秋のおすすめツアーに参加したい方はクラブツーリズムの募集サイトへ

その他にもたくさんの登山ツアーが揃っています

記事協力:蔵王索道協会、クラブツーリズム

窪田 一紀

クラブツーリズム(株)首都圏テーマ旅行センター・登山チームリーダー

窪田 一紀

クラブツーリズム(株)首都圏テーマ旅行センター・登山チームリーダー

大学卒業後、クラブツーリズム株式会社にて登山ツアーの商品造成・添乗業務に携わる。山を安全に楽しむための知識・スキルを登山ツアーを通じて伝える仕事をしている。登山者・山小屋・ガイドなど山に関わる多くの人が、山を心の底から安心して楽しめるフィールドにしようと奮闘中。