2020年「山の日記念川柳大賞」優秀句・ベスト10を発表!

8月10日、2020年「山の日」を記念して開催された川柳大賞。山行の一コマ、山道具、山小屋のことなど、登山にまつわる句がたくさん集まりました。応募総数3,958作品の中から最優秀賞に選ばれたのは…? 山の日記念川柳大賞の結果をお伝えします。

2020.10.01

YAMAP MAGAZINE 編集部

INDEX

山の日記念・川柳大賞の最優秀句ベスト10が決定!

2020年「山の日(8月10日)」を記念し開催した、「山の日記念・川柳大賞」。初開催にして、なんと累計3,958句もの作品が寄せられました。まずは一次審査として選考委員会による審査を行い、入選候補作(30句)を選出。続く一般投票を経て、栄えある最優秀句10作品が決定しました。

※応募期間:2020年8月1日~8月31日/一般投票期間:2020年9月11日〜9月24日

コロナ禍や梅雨の長期化など、社会情勢・環境の変化が特に大きかった今年は、ソーシャルディスタンスやマスクを登山者の視点から詠んだ作品が多数寄せられる結果となりました。

最優秀賞(1句)

信じない さっきも聞いた あと少し (蔵之助/40代・男性)

選定委員会コメント 「あー、これわかるわかる!」と多くの登山者がうなずくシーンを切り取った句が最優秀賞に。登る人にとって、頂上は近いようで遠い…。下ってきた人は近いというけれど…。そんな山のあるあるネタを見事に表現した一句です。ぜひYAMAPを活用して、「あと少し」を視覚的にも捉えてくださいね!

最優秀賞に見事輝かれた蔵之助さんこと、hidetakaさん[YAMAP使用歴:約2年、好きな山:仙丈ケ岳、経ヶ岳(子供のころから毎日見ている山)、好きな山行:仲間たちと登り、山頂で乾杯すること]にコメントをいただきました!

YAMAP選定委員会:受賞を聞いた気の気持ちはいかがでしたか?

hidetakaさん:受賞していることを登山仲間から教えてもらい、最初は恥ずかしさを感じましたが、普段一緒に登山をしている方々も一緒に喜んでくれ、すごく嬉しく思いました。

YAMAP選定委員会:受賞した川柳にまつわるエピソードを教えてください。

hidetakaさん:登山経験が豊富なAさんと登山を始めたばかりのBさんが八ヶ岳の蓼科山に行った時の会話が基になります。頂上付近まで登ってきたところでの休憩時に、蓼科山の経験があるAさんにとっては頂上まであと少しの距離だったため、Bさんを励まそうと「あと少しですよ」と伝え、Bさんもそれを聞き頑張って頂上を目指したのですが、初めて蓼科山に登るBさんが受け止めた「あと少し」と、Aさんの「あと少し」の距離感覚にだいぶ差があったようで、Bさんは頂上に着くまでの間に何度か「まだなの?」と聞き、Aさんは本当にすぐそこが頂上の感覚なので「あと少し」と返し…。その時のBさんの気持ちを句にしました。当時はスマホで登山中の現在位置を確認できることを知らなかったため、今では登山仲間みんなでYAMAPを利用しています。その後もAさんとBさん二人がいる登山では、休憩時のネタとしてまだまだ距離があっても「あと少し」とみんなで言い合っています。

YAMAP選定委員会:この受賞をどなたに伝えましたか?

hidetakaさん:一緒に登山してくれている仲間たちと受賞を喜びました。小学生から六十代までの15人ほどのグループで、オレンジ色のオリジナルTシャツを作り、お揃いで登っている仲間です。

YAMAP選定委員会:今年一年の登山での一番の思い出やエピソードを教えてください。

hidetakaさん:初めてライチョウに会えたことが今年の思い出です。中央アルプスと南アルプスに挟まれている伊那谷に住んでいるにもかかわらず、ずっと会うことができませんでした。今年の夏は北アルプスに行く機会が多かったのですが、それでも会えず。先日、雪の中の乗鞍岳でようやく会えることができ、感動いたしました。

YAMAP選定委員会:hidetakaさん、ありがとうございました。そして改めて受賞おめでとうございます!
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優秀賞(2句)

先どうぞ 言われて抜くが またどうぞ (単独登山中年/30代・男性)

選定委員会コメント 道を譲られて「先に行かなきゃ」って気持ちで頑張っても、また休んでいる間に追いつかれる。そんなすれ違いがちょっとプレッシャーになったりすることも。人間の気持ちって不思議なものですが、人のペースは気にせず、マイペースの登山でいきたいものですね。

優秀賞に輝かれた単独登山中年さんこと、シゲローさん[YAMAP使用歴:約半年、好きな山:九重連山、好きな山行:トレッキング、ピークハント]にコメントをいただきました!

YAMAP選定委員会:受賞を聞いた気の気持ちはいかがでしたか?

シゲローさん:ウヒョーー!?という気持ちと、月並みな言葉ですが「まさか自分が!」という気持ちでした。

YAMAP選定委員会:受賞した川柳にまつわるエピソードを教えてください。

シゲローさん:カメラを担いで登る事がありザックが重くこまめに休憩を取ることが多く、また、前半にウキウキ気分でハイペースで登り、後半にバテてしまう事もしばしば。「お先どうぞー」「どうもー」と言って先に行かせてもらったりしますが、休憩や撮影中、ペースダウンした時に「後ろから人が来てるなー。この人はさっきの・・・」と思いながら「先どうぞー」と言う機会が多々あるので、この句を思い付きました。

YAMAP選定委員会:この受賞をどなたに伝えましたか?

シゲローさん:一緒に登る事が多い友人に伝え、そのあと家族にこんなの貰ったよ。と伝えました。(※ニックネームは笑われました。笑)

YAMAP選定委員会:今年一年の登山での一番の思い出やエピソードを教えてください。

シゲローさん:先日登った韓国岳から見た新燃岳ですね。北部九州では見られない景色で近場の阿蘇とは違った火山を見ることができ、大地の雄大さを肌で感じる事が出来ました。

YAMAP選定委員会:シゲローさん、ありがとうございました。そして改めて受賞おめでとうございます!
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くだったら 登り返しは 倍返し (槍沢直樹/40代・男性)

せっかく登ったのに、山頂に行くには一度下ってまた登り返すということがわかったときのストレスはまさに倍返し。せっかく登ったのにもったいないとさえ思ってしまいますよね。半沢直樹のドラマも再開され、まさに旬の「倍返し」を捉えた一句です。詠み人も秀逸。

同じく優秀賞に輝かれ槍沢直樹さんこと、sikさん[YAMAP使用歴:約6年、好きな山:六甲山、好きな山行:アルプス縦走]にコメントをいただきました!

YAMAP選定委員会:受賞を聞いた気の気持ちはいかがでしたか?

sikさん:嬉しかったですよー! 山に登ってると周りからは心配されたり、叱られたりばっかりでしたが、山に登っていてはじめて褒められた気がしました。

YAMAP選定委員会:受賞した川柳にまつわるエピソードを教えてください。

sikさん:登山って、まぁほとんどの時間はしんどいんですけど、特にツラいのは「ニセピーク」と「登り返し」だと以前から思ってたんです。登りの道中に現れる「ちょっとした下り」ってハニートラップみたいなもので、一瞬ラクなんだけど、その後ほぼ間違いなくキツい登り返しが来ますよね。ラクした分、普通に登るより倍ほどツラい。だから「下ったら登り返す、倍返しだっ!」は普段から実感してる悲しい叫びなんです。ちょうど某ドラマを観ていた時期と川柳の募集時期がいい具合に重なったので、その気持ちをそのまま書いてみました。ペンネームは…あちらが半沢なんで、語呂の良い「沢」にしておきました(笑)

YAMAP選定委員会:この受賞をどなたに伝えましたか?

sikさん:私の登山についてとやかく言うのは大体母なんで、真っ先に伝えました。ドラマを観ていたので大いに笑ってくれました。「私はアンタのが最優秀賞やと思うわ!」と言ってくれたので、いつまでも親バカって有難いなと思いました。

YAMAP選定委員会:今年一年の登山での一番の思い出やエピソードを教えてください。

sikさん:小さい頃電車が好きだったのですが、白山という特急のネームプレートに描かれていた「黒百合」がどんなものなのか、ずっと気になっていました。今年の夏、白山への登山で初めて実物の群生を見ることができたのが今年一番の思い出かな。もはや大きな幸福は望むべくもないですが、日々小さな夢を叶えていくことは幸せへの近道のような気がします。今回は素敵な賞をいただき、とても幸せです。ありがとうございました。

YAMAP選定委員会:sikさん、ありがとうございました。そして改めて受賞おめでとうございます!
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入賞(7句)

県またぐ ピーク手前で Uターン (マジメカ/50代・男性)

コロナ禍で、自身の住む県外への移動がナーバスになった今年。他県ナンバーの車が肩身の狭い思いをしたこともあったようです。山の尾根は県境になっている場所が多く、県をまたぐ移動になることは必至。そんな社会状況を風刺した素晴らしい一句。

天気予報 十日先まで 知っている (職場のお天気アナ/40代・女性)

今年は長梅雨や台風などで登山の計画が非常に立てづらかった夏でした。毎日、天気予報とにらめっこして、来るべき登山日を待っていた人も多かったと思います。職場のお天気アナさんも、きっと昼休みに職場のパソコンで天気予報を見て、毎日一喜一憂していたのでは?

家よりも 会話が弾む 登山道 (ナッツ/50代・女性)

ご夫婦の会話も、50代まで来るとマンネリ化してしまうものでしょうか。登山中は一緒に風景を眺めながら歩くので、普段とは違う新しい発見があって会話が弾む、そんな微笑ましい光景が目に浮かびますね。ぜひ家でも、登山の想い出話に花を咲かせてください。

え!転勤?! そこ百名山 ありますか? (転勤族人間/30代・男性)

百名山には、転勤を前向きに捉えられるモチベーションがありますね。転勤族人間さんの転勤先が長野県あたりだとモチベーションMAXなのかなと思わず想像してしまいました。

キジ撃ちを 私も見たいと 山ガール (ピッピーオジン/70代・男性)

おもわずクスッと笑ってしまった、「山用語」を知らないビギナーの山ガールとのやり取りを詠んだ一句。実際こう言われたら、男性は「見に来ないで」というしかありませんからね…(苦笑)。ちなみに、山で排泄しにいくことを男性は「きじ撃ちに行く」女性は「お花摘みに行く」と言いますので、もしご存じでなかった方はこれを機会に知っておきましょう。

テント泊 背に乗る重さが 欲の数 (煩悩修行僧/40代・男性)

テント泊になると、テントや寝袋はもちろん、水や食糧、炊事道具など持っていくものが増加。「あれば快適」なものをどこまで減らせるかは永遠の課題であり、まさに煩悩の数と重さの戦いです。そんな心の葛藤をうまく捉えた一句だなと、YAMAPスタッフからの声もあがりました。

何故山に? そこには妻が いないから (安田蝸牛/60代・男性)

「なぜ山に登るのか」→「そこに山があるからさ」が定番の回答ですが、それを逆手に取ったところに面白みがあります。今年、在宅ワークが増えて夫婦関係にも変化が起こったというニュースも。山に退避するご主人、増えているのかも…?

入選(20句)

温泉か 肉が先かと 帰り道 (アルコ/30代・女性)

温泉が先派「身体をキレイにしてから肉を食べたい!」、肉が先派「まずは栄養補給でしょ! 」という下山後の行動を二分するシーンが見事に詠まれています。ちなみに私は「温泉が先派」に1票。

鎖場の 難易度上げる 四十肩 (ベイ/40代・男性)

四十肩は、実際になった人しかわからないのですが、本当に辛いです…。登山で腕を上にするシーンってそう多くないけど、鎖場は絶対に肩に負担がかかりますよね。四十肩が早く治ることをお祈りします。ちなみにこの句は、年代が高い人からの投票が多かったです。

クライマー 電車で恐れる クレーマー (中央線ゆーざー/10代・男性)

他県へ移動するにも人の目がはばかられたコロナ禍。バックパックを背負って、東京から山梨・長野方面へ向かうJR中央線で誰かにクレームを言われるのではないかとビクビクしながら電車内で過ごした時間が伝わってきます。

軽量化 あれもこれもで 過積載 (断捨離ハイカー/50代・男性)

ひとつひとつの道具を軽くしても、その分持っていける道具を増やして、結果的に重くなってしまうというのはよくある話。思い切って「持っていかない」ものを決める勇気もたいせつなんですよね…。

ソロ登山 マスク外して 深呼吸 (咳をしてもソロ/40代・男性)

コロナ禍の初期においては、登山中にマスクを着用するのか否かの議論もWEB上では多かったように感じます。山では大きく深呼吸して、おいしい空気を胸いっぱいに吸い込んでほしいものです。ちなみにYAMAPでは登山の際はマスク着用を推奨していません(熱中症の危険があるため)。

distance 遠くで響く 高いびき (yasutake/60代・男性)

山小屋でも収容人数を制限し、ソーシャルディスタンスを保つようになったこの夏。とはいえ、人のいびきは距離を保っても響いてくるものですね…。

テント張り クーラーつけてと 家の中 (竹蔵/40代・男性)

在宅勤務で自分の居場所を確保すべく、自宅でテントを張って山気分を味わった人も多かったこの夏。とはいえ、テントの中は暑いので、クーラーは必須ですよね(笑)

夏の山  虫と取りたい ディスタンス (しんかい/20代・男性)

「ソーシャルディスタンス」という言葉が生まれたコロナ禍。夏山で飛んでくるアブやハチとはもっともディスタンスを取りたい相手ですね。

2メートル 開けて不安な 最後尾 (アカ エタカ/60代・男性)

登山中もソーシャルディスタンスは必要ですが、あまり空けすぎると逆に置いてけぼりになってしまうのではないかという不安も。何事も適度な距離感で。

登り坂 遅れる言い訳 ディスタンス (ヨシユッキ~/50代・男性)

他人のペースに合わせる登山って非常に辛いもの。グループ登山で、歩くのが遅れるとなんとなく申し訳ない気持ちになりますが、そんなときに使いたくなる「ディスタンス」ですね。

登るほど 下がる気温と 上がる息 (人生5合目/40代・女性)

登る→下がる→上がるという流れが面白さを醸し出している、川柳の王道ともいうべき一句だなと感心。まだまだ人生5合目ですから、今後も上り調子で過ごしてください。

パッキング センスを磨く スーパーで (詠み人知らず/40代・男性)

コロナ禍でなかなか登山に行けなかった時にパッキングの練習していた人も多いのでは? 先日、高瀬ダムの横を歩く登山道で、バックパックのサイドポケットに長ネギを突っ込んで歩いている40代くらいの男性を見かけました。あのパッキングセンスはきっと日頃のスーパーで培われたものだと確信しています。

早く行こう 親の返事は まだ休もう (登山 好き少年と運動不足の親/30代・男性)

小さい時には子どもを登山に連れて行ってあげていたのに、いつのまにか子どものほうに主導権が…。いつの時代も、子どもの体力は底無しです。

人変わる 山に入ると 派手な嫁 (山坊主 /60代・男性)

山は人を非日常空間へ誘います。普段は地味な奥様も、きっと山に入るとテンションが上がるのです。そんな時には、山坊主さんの「その服似合ってるね!」の一言で夫婦円満だと思います。

避難用 称して購入 山グッズ (ふな/40代・男性)

ついつい増えていってしまう山の道具。自分への言い訳あるいは家族への言い訳として「避難用」は非常に適切な語句だなと感心しました。「また山道具買ったの?」という奥様の声に対しても、「いやいや、家族の避難用だよ」といえば、通じそうな気がしますね!

山小屋で 下界の上司と テレ会議 (平社員/70代・男性)

コロナ禍でテレワークが一気に広がった今年。電波さえ通じれば、どこでも仕事ができます。今後は山好きな人にはこんなシーンが流行するかもしれませんね。

山小屋で ステイホームが したくなり (酒乱Q/60代・男性)

山小屋の居心地が良くて、もう帰りたくないって気持ちよくわかります。いっそのことステイホーム週間にしてしまいたいくらい。温泉付きの山小屋なら、なおさらですね!

山の日は 食べて味わう モンブラン (甘党男子/50代・男性)

山が大好きでありながら、残念ながら山の日に登山に行けなかった人。何か山気分を味わいたいと思ったら、モンブランケーキを食べるって、実は面白い習慣かも。甘党男子さんが来年の山の日は山の上で過ごされていることを祈ります。

よく変わる 山は天気で 妻機嫌 (さごじょう/30代・男性)

夏の山は上昇気流が原因で午後から雲に包まれて天気が急変することもしばしば。もしかして、下界で奥様の機嫌を急変させているのは旦那さんが原因では?

六十代 ランドマークは トイレ位置 (山 域トイレ事情通/60代・女性)

私もトイレが近いので、この悩み非常によくわかります。最初にトイレがある位置までどのくらい歩くのか確認したくなるんですよね。比較的年代の高い層からの投票が多かった一句です。

山好きのための各種キャンペーンはYAMAPでチェック

川柳大賞、いかがでしたか? YAMAPでは、他にも季節に合わせて様々なイベント、キャンペーンを実施中。今後もご期待ください!

トップ画像:radeeeonさんの活動日記より

YAMAP MAGAZINE 編集部

YAMAP MAGAZINE 編集部

登山アプリYAMAP運営のWebメディア「YAMAP MAGAZINE」編集部。365日、寝ても覚めても山のことばかり。日帰り登山にテント泊縦走、雪山、クライミング、トレラン…山や自然を楽しむアウトドア・アクティビティを日々堪能しつつ、その魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと奮闘中。