日本百名山を11座も有し、山岳県として人気の群馬県。でも、百名山の他にも初心者からベテランまで幅広く楽しめる個性的な山々が揃っているのをご存知ですか? さらに登山後に立ち寄れる温泉地も全国屈指で、山麓で味わえるグルメも大充実!
そんな群馬の山旅をユーザーの皆さんに知ってもらうため、YAMAPでは「ぐんまの山旅2025 活動日記投稿キャンペーン」を開催中。キャンペーン期間に素敵な投稿をしてくれた方には抽選で「群馬県の地域産品カタログギフト」や「宿泊券」をプレゼント。さらに所定の山頂を通過することで「限定デジタルバッジ」も獲得できます。
今回は、群馬県の山の中でも、この夏おすすめの「4座」について、地元を知り尽くす登山ガイドさんに教えていただきました。山だけでなく、温泉や下山メシなど、とっておきの山麓スポットの情報も満載です。夏の青空が広がる群馬の山々に、この機会に出かけてみませんか?
2025.07.30
大関直樹
フリーライター
「ぐんまの山旅 活動日記投稿キャンペーン」は、皆さんの群馬県での「山旅」の思い出を募集する企画。
「群馬の山が楽しかった」「温泉で癒やされた」「美味しかった」…、そんな「私がみつけた群馬」の魅力をぜひ活動日記やモーメントで発信してみてください。投稿を見た人が、群馬県に行ってみたい! と思わずワクワクするような、魅力あふれる投稿をお待ちしています。
また、7月12日(土)〜9月12日(金)までのキャンペーン前期の期間中、群馬県内の対象の山「10座のうち1つ以上」に登ると、YAMAPアプリ上で期間限定のデジタルバッジMt.GUNMA 2025 「夏」も獲得できます。
今回は、そのデジタルバッジ・Mt.GUNMA 2025 「夏」を獲得できる対象10座のうち、特にオススメしたい「4座」の魅力について群馬在住の登山ガイド、亘理(わたり)健二さんと松原美成子さんのおふたりに詳しく教えてもらいました。
それでは、これから地元ガイドがオススメする4座の魅力を探っていきましょう!
エメラルドグリーンに輝く五色沼と日光白根山(hipopoさんの活動日記から)
日光白根山(にっこうしらねさん)
標高:2,577m
おすすめコース:山頂駅発着/日光白根山・五色沼・弥陀ヶ池周回
行動時間:5時間20分
コース難易度:初中級者向き
Q:どんな山なの?
A:日光国立公園にそびえる日光白根山は、関東以北の最高峰で、山頂の溶岩ドームが特徴の活火山です。正式名称は「白根山」ですが、草津白根山と区別するため「日光白根山」と呼ばれています。
Q:見どころを教えて!
A:ロープウェイを使えば標高2,000mからスタートできるので、夏でも涼しく快適。短時間の登山で本格的な山岳景観や高山植物が楽しめるのが魅力です。
日光白根山は大展望も魅力(Kさんの活動日記から)
亘理さん(以下、亘理):ロープウェイ山頂駅から針葉樹林帯を抜けると、ハクサンフウロなどが咲いているお花畑が出迎えてくれます。ザレ場を登り切った山頂からは、富士山や谷川連峰、男体山(なんたいさん)や戦場ヶ原を一望できる360度の大パノラマが広がります。標高が上がるにつれて、風景が劇的に変わっていくのが日光白根山ならではの楽しさです。
松原さん(以下、松原):体力に自信のない方は、ロープウェイ駅から山頂をピストンするだけでも十分楽しめます。中級者の方は、火山活動が生んだ神秘的な五色沼に下りて坐禅山(ざぜんやま)を巡る周回ルートがおすすめ。五色沼へ下る途中には、小さな白い花をつけるシラネニンジンの群生が見事ですよ。
シラネニンジンはセリ科の植物で、ニンジンの葉に似ていることから名付けられた(よひこさんの活動日記から)
Q:注意点を教えて!
A:下りのロープウェイの最終は16時30分。乗り遅れないように行動計画を確認しましょう。
亘理:山頂付近は岩場なので、スリップの危険があります。樹林帯を抜けると日陰が少ないので、水分は多めに持って、熱中症対策も忘れずに。
Q:おすすめ下山スポットが知りたい!
A:①白根温泉加羅倉館(からくらかん)、②芳味亭(ほうみてい)の唐揚げ定食、③ふらいぱんの洋食、④渡辺製菓の花まめぱん、⑤万理姫(まりひめ)どうふのお豆腐
亘理:利根川源流の大滝川沿いにある源泉かけ流しの湯、白根温泉加羅倉館は、毎分600リットルの湯量を誇り、湯冷めしにくく腰痛にも効くと評判です。
源泉掛け流しの温泉は保温効果が高く、腰痛等に効き目があるそう。*「片品村観光協会」サイトより引用
松原:群馬県片品村では、「激しい盛り」=超大盛り料理のことを「はげ盛り」と呼んでいます。その代表が、芳味亭。ここのおすすめは、唐揚げ定食。肉汁がじゅわっと出るお肉と濃いめの味付けは、山帰りの体に染み渡ります(笑)。
芳味亭で食べられる圧倒的なボリュームの唐揚げ定食(ikethhyさんの活動日記から)
松原:同じくレストランふらいぱんも、ボリューム満点の洋食が食べられます。パスタやハンバーグ、ビーフシチューなどメニューも豊富でお値段もリーズナブルです。お土産なら、片品産の花豆がごろっと入った花まめぱんや、地元産の希少大豆と名水で作られた万理姫どうふがおすすめ。豆腐は冷奴にして食べると、登山後の体にやさしく沁みますよ。
片品村名産の大きな花豆が入った渡辺製菓の花まめぱん *「片品村観光協会」サイトより引用
四阿山(あずまやさん)
標高:2,354m
おすすめコース:四阿山-花童子の宮跡 周回
行動時間:5時間30分
コース難易度:初中級者向き
Q:どんな山なの?
A:日本百名山のひとつに数えられる四阿山は、長野県と群馬県の県境にそびえる山。なだらかな山容と優美な稜線が特徴で、「吾妻山」とも表記され、古くから信仰の対象として親しまれてきました。山頂からは浅間山や北アルプスを望む絶景が広がり、静かで穏やかな山歩きが堪能できます。
浅間山のパノラマ。山麓には嬬恋のキャベツ畑が広がる(sumire♪さんの活動日記から)
Q:見どころは?
A:歴史を感じるスポットと豊富な高山植物です。
松原:いくつかルートがありますが、歴史を感じたい方におすすめなのは長野県との県境にある鳥居峠からのルートです。四阿山は、真田一族の守護神の山だっただけあって、山中には祠や神様を祀った跡など、信仰の山としての趣が残っていて、歩くたびに歴史を感じられます。
標高2,179mには「嬬恋清水」という湧き水があり、関東最高所にある清水と言われています。ここは、夏でも5℃前後と冷たく、修験者の命を救った清水という言い伝えも残っています。また、的岩(まといわ)は国指定の天然記念物で、屏風のような岩に空いた穴を、源頼朝や為朝が弓で射抜いたという伝説もあるんです。
様々な伝説が残る的岩(SamuSamuさんの活動日記から)
松原:夏はマツムシソウやイブキジャコウソウ、ミネウスユキソウなど高山植物も豊富。山頂からは根子岳、浅間山、北アルプスが一望でき、展望と花、歴史と三拍子揃った魅力的な山ですね。
ミネウスユキソウはエーデルワイスの仲間の花(近ちゃんさんの活動日記から)
Q:注意点を教えて!
A:的岩ルートは、登りで使いましょう。
亘理:的岩から先は針葉樹林帯に入り、道が明瞭でなく分岐も多いので注意が必要です。登りに使う分には迷いにくいですが、下山に使うと迷いやすいので、登りに的岩ルートを使い、下りは花童子(げどうじ)ルートにするのが安全です。また、山頂付近は岩場があるので、祠周辺で道を間違えないよう気をつけてください。
Q:おすすめの下山後スポットは?
A:①つつじの湯、②嬬恋観光案内所、③愛妻の丘です。
松原:温泉なら嬬恋村のつつじの湯。檜風呂や露天風呂、冷泉、サウナ、岩盤浴まであって、すべて源泉かけ流しなのに750円で楽しめるんですよ。
サウナや岩盤浴も利用可能で、食事処もあるつつじの湯 *嬬恋村観光協会のサイトから引用
JR万座・鹿沢口駅近くの嬬恋観光案内所のカフェでは、地元の特産キャベツを使ったキャベツアイスやキャベツサイダーがユニークでおいしいです。ほかにも、近くにある愛妻の丘も立ち寄ってほしいスポット。ここは、標高1,200mのキャベツ畑に囲まれていて、「キャベチュー」(=キャベツ畑で妻に愛を叫ぶ)が行われた名所。登山帰りのほっこりスポットなんですよ。
愛妻家の聖地として知られる愛妻の丘 *嬬恋村観光協会のサイトから引用
咲き誇るニッコウキスゲの群落は、一度は見てみたい(キューちゃんさんの活動日記から)
三国山(みくにやま)
標高:1,636m
おすすめコース:三国峠-三国山 往復
行動時間:3時間30分
コース難易度:初級者向き
Q:どんな山なの?
A:群馬、新潟、長野の県境にそびえ、低山ながら信仰と歴史のある秀峰。穏やかなブナ・ミズナラ林を縫う登山道は、整備された木道や階段が続き、初心者でも安心。夏になるとオレンジ色のニッコウキスゲが見事です。山頂からは谷川岳や苗場山など上信越の山々が一望でき、ぐんま県境稜線トレイルの一部としても知られる山です。
緩やかな登山道が奥に見える山頂まで続く(ナノなおさんの活動日記から)
Q:見どころは?
A:ニッコウキスゲのお花畑をはじめとする夏の高山植物と展望です。
松原:三国山はいくつかルートがありますが、三国峠越後口駐車場からのピストンが、ヒルが少なく歩きやすいルートとして人気です。夏の登山におすすめなのが、御坂三社神社から先にあるニッコウキスゲのお花畑。見ると思わず声が出るほど感動しますよ。山頂まで行かずにお花畑で引き返す人もいるくらいです。
また、シモツケソウの変種で葉脈がピンク色のチシオシモツケも見てほしいですね。この近辺に自生する高山植物として、よく知られています。そのほかにも、キオン、ジョウシュウオニアザミ、ハクサンシャジンなど、たくさんの高山植物を楽しめるのも魅力です。
キョウカノコに似たピンク色の花を咲かせるチシオシモツケ(よっちゃんさんの活動日記から)
神社を過ぎると木道階段が続く急斜面になりますが、晴れた日は天空に向かって歩くような開放感があります。山頂に立てば、苗場スキー場の全景が見えるんです。この景色も、ちょっと感動ものですよ!
まるで空に向かって登っていくかのような登山道(りえぞーさんの活動日記から)
Q:注意点はありますか?
A:滑りやすい木道とヒルです。
亘理:雨の日や朝露がある日は、木道がとても滑りやすくなりますので注意してください。下部の樹林帯ではヒルが多く出るので、ヒル対策が必須。登山用品店で売っているヒル避けスプレーをズボンの膝下や靴に噴霧しておくと安心です。
Q:下山後のおすすめスポットは?
A:①猿ヶ京温泉まんてん星の湯、②町の中華 伍猿、③福寿茶園の生揚げ
松原:温泉なら猿ヶ京温泉まんてん星の湯がおすすめで、露天風呂が広くてゆったりできます。食事なら、新潟に抜ける三国峠手前にある町の中華 伍猿に行って欲しいです。なんでも美味しいですが、特に四川式麻婆豆腐は山椒の香りが高くて絶品です!
露天風呂からの眺めも抜群。昼は山々に囲まれた赤谷湖、夜は満点の星空が望める *まんてん星の湯公式サイトより引用
ボリュームのある四川式麻婆豆腐は900円 *町の中華 伍猿Instagramより引用
お土産におすすめなのは、たくみの里の中にある福寿茶園の生揚げです。注文を受けてから揚げてくれるので、外はカリッ中はとろっとしていて本当に絶品。スイーツ好きにはたまらない豆乳ソフトクリームも売っていて、店内でもイートインOK。テレビでも紹介された人気のグルメです。
物見山山頂からの眺め、遠くには八ヶ岳連峰の姿が(コーさんの活動日記から)
物見山
標高:1,375m
おすすめコース:神津牧場~物見岩~物見山~神津牧場~荒船・東谷風穴
行動時間:4時間
コース難易度:初級者向き
Q:どんな山なの?
A:群馬県下仁田町と長野県佐久市の県境に位置する物見山は、日本最古の洋式牧場である神津牧場を起点に歩ける穏やかなハイキング向きの山。ルート全体は緩やかで距離も短く標高差も小さいため、小さなお子さん連れや初心者でも安心して楽しめるのが魅力です。
起点の神津牧場では放し飼いの牛を見ることができる(コーイチさんの活動日記から)
Q:見どころは?
A:①神津牧場、②物見岩や無線中継所からの展望、③世界遺産の荒船風穴
松原:登山口は神津牧場からスタート。ここは明治20年に開設された日本最古の西洋式牧場で150頭のジャージ牛が暮らしています。タイミングが合えば、牛が放牧場所から牛舎に戻る行列を見られることもあるんですよ。
濃厚なジャージー牛乳を使ったソフトクリームが楽しめる(後藤英一さんの活動日記から)
登山道の途中にある物見岩は、大きな岩の上から八ヶ岳や浅間山、荒船山、上毛三山まで見渡せる展望の名所。ここだけ立ち寄って折り返す人もいるほど。さらに歩を進めて山頂まで登れば、開けた草原に電波塔が立ち、ここでも大パノラマが広がります。周回ルートは、県境尾根の景色も楽しめて気持ちがいいですね。
物見岩から見える荒船山。特徴的な山容は遠くからでも目立つ(はるさんの活動日記から)
そして、クライマックスはユネスコの世界文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産のひとつである荒船・東谷風穴。蚕の卵を夏でも涼しく保存するために使われていた天然の冷蔵庫で、今も中に入ればひんやり。神津牧場から徒歩約30分と近く、ハイキングの締めくくりにもぴったりです。
かつては、電気冷蔵施設が普及する前は、荒船・東谷風穴で蚕を保管していた *下仁田町観光協会サイトより引用
Q:注意点を教えてください
A:悪天時は強風と落雷に注意しましょう
亘理:登山道は整備されていますが、香坂峠以降の樹林帯では、分岐やピンクテープの位置をしっかり確認しながら歩きましょう。風通しのよい峠道は夏でも涼しく快適ですが、悪天候時には一転して強風や雷のリスクが高まるので要注意です。とくに開けた牧場周辺では雷の直撃を避けるため、天気予報の確認と早めの行動が大切です。また、このエリアではクマの目撃情報もあるため、クマ鈴の携行を忘れずに。
Q:下山後のおすすめスポットは?
A:①道の駅しもにた、②下仁田駅前の飲食店、③下仁田納豆
松原:立ち寄りおすすめスポットは、道の駅しもにた。ここでは地元産こんにゃくや野菜、ソフトクリームなどを買うことかできます。
生芋こんにゃくをはじめとして、たくさんのこんにゃくが勢揃い
食事は、上信電鉄下仁田駅周辺にお店がいくつかあります。テレビ番組の「孤独のグルメ」にも登場した中華料理一番や豚すき焼きのコロムビアなんかが人気ですね。ほかにも地元グルメとしてソースカツ丼もおすすめです。
柔らかい下仁田ポークをソースで味付けしたソースカツ丼(ふかひれさんの活動日記から)
お土産には下仁田納豆をぜひ!都内の百貨店でも販売されている人気商品で、大粒の大豆が濃厚で食べ応え抜群。テレビでも何度も紹介されていますよ!
備長炭・経木・素材にこだわった日本伝統の製法を今に伝える下仁田納豆 *下仁田納豆公式サイトから引用
教えてくれた人
亘理健二(わたりけんじ)さん
日本山岳ガイド協会登山ガイド ステージⅡ
尾瀬ガイド協会認定自然ガイド/谷川岳インタプリタ/レインボー登山倶楽部主催
「どんなことがあっても安全登山」をモットーに、疲れにくい歩き方をレクチャーしながら、 楽しく、笑いながら、ガイドをしている。
松原美成子(まつばら みなこ)さん
日本山岳ガイド協会登山ガイド ステージⅡ
みなかみ山岳ガイド協会所属 尾瀬ガイド協会所属
谷川岳を始め、上越の山、北アルプスなど各地の山をガイドする傍ら、地元放送のニュース番組の山コーナーで、群馬の山の魅力を紹介。山登りの楽しさ+αを追い求めて、ガイドが無い日も山に入る日々。
原稿:大関直樹
協力:群馬県、公益財団法人群馬県観光物産国際協会