名だたる名山がその雄姿を競い合うかのように集まる甲信越地方。その中には冬山初心者でも挑戦できるような2,000m級の山、日本百名山に名を連ねる山なども数多くあります。今回は、登山アプリ「YAMAP」のユーザーデータ[※1]をもとに、「冬におすすめ」もしくは「雪が楽しめる」甲信越の山とその見どころ、また各山のリアルタイムの積雪情報をまとめました。
夏山からは想像できないような異次元の銀世界が広がる山から、気軽に短時間で冬山歩きを体験できる山、富士山や八ヶ岳、南北中央アルプスを一望できる絶景の山まで、冬山の醍醐味を満喫できる山をたっぷりご紹介します。いつかは行ってみたいお気に入りの山を見つけてみませんか?
[※1] 登山アプリ「YAMAP」のユーザーデータ(集計期間:2021年12月~2022年3月)をもとに、訪問者数の多かった人気の山を算出。
冬山&雪山登山2024-2025|おすすめの山をエリア別に紹介 #02/シリーズ一覧はこちら
2022.12.01
YAMAP MAGAZINE 編集部
標高:2,480m
都道府県:長野県佐久穂町・茅野市
おすすめコース:北横岳(ロープウェイ)(約2時間)
八ヶ岳は南北に連なる火山群の総称で、夏沢峠を境にして北八ヶ岳と南八ヶ岳と区分けされています。最高峰の赤岳を筆頭に険しい岩稜帯が続く南八ヶ岳と、針葉樹の森に池沼が点在する北八ヶ岳両方に「横岳」が存在するため、北八ヶ岳に位置する横岳は北横岳(2,480m)と呼ばれています。
冬季でも晴天率が高く比較的積雪量の少ない八ヶ岳は、雪山登山者にも人気。ロープウェイが利用できて、途中に山小屋もある北横岳は、本格的な雪山登山を始める人向けの山としても賑わっています。双耳峰の山頂からは、眼前に迫る八ヶ岳連峰と八ヶ岳ブルーの青空、南アルプスに中央アルプス、御嶽山、北アルプスまで見渡すことができるのも魅力です。
※積雪が始まると投稿された写真が表示されます。
標高:2,640m(東天狗岳)
都道府県:長野県茅野市
おすすめコース:唐沢鉱泉-西天狗岳-東天狗岳 周回コース(約6時間)
八ヶ岳はこの天狗岳(2,640m)を境に、荒々しい岩稜が続く南八ヶ岳と、北に針葉樹の原生林が広がる北八ヶ岳とに景観が一変します。東天狗岳は、鋭い岩峰、西天狗岳は丸みのある山容で、対照的な2つのピークをもつ山容は北八ヶ岳を代表する景観のひとつと言えるでしょう。
山頂からは、南・北八ヶ岳の山々ほか、天気が良ければ霧ヶ峰方面、南・中央アルプスまで見渡せる大展望が広がります。また、南八ヶ岳からの縦走、奥蓼科温泉郷の渋ノ湯のほか、稲子湯から白駒池を経由して登るコースなど、レベルによって選択肢も多彩。雪山で経験を積みたい人にとって、アイゼン・ピッケル装備で挑む雪山の登竜門的な位置付けの山と言えるでしょう。
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標高:1,977m
都道府県:新潟県湯沢町・群馬県みなかみ町
おすすめコース:天神平駅発着|天神尾根・谷川岳往復コース(約4時間50分)
群馬県・新潟県境の日本百名山の一つにして、谷川連峰の主峰である谷川岳(1,977m)。一ノ倉沢などの絶壁を従えるアルペン的な双耳峰が特徴的です。山頂のトマの耳とオキの耳(最高点)は昔、二つ耳(耳二つ)と呼ばれていました。
ロープウェイを利用する天神尾根コースなら危険な箇所が少なく、天気が安定していれば雪山初級者でも登頂できますが、気象条件は大変厳しく、午後からの急変に備えて登山は早めに終わらせたいところです。また、必ず雪山経験者と一緒に登るようにしましょう。
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標高:1,955m
都道府県:長野県富士見町
おすすめコース:ゴンドラ山頂駅発着|入笠山往復コース(約2時間10分)
入笠山(1,955m)は南アルプス最北部にある山で、山頂近くまでゴンドラリフトが通じているため、雪山初心者にも比較的容易に登頂することができる山として人気です。山頂からはほぼ360度の大展望が広がり、南・中央アルプス・八ヶ岳はもとより富士山や、遠くは北アルプスなども望むことができます。
また、入笠湿原は冬期は雪に覆われ、一面真っ白で静寂な雪原に。登山の趣を一段と増してくれることでしょう。
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標高:2,404m
都道府県:群馬県嬬恋村、長野県小諸市
おすすめコース:車坂峠-車坂山-黒斑山 周回コース(約3時間20分)
黒斑山(2,404m)は群馬県と長野県にまたがる浅間山第一外輪山の最高峰で、間近から迫力満点の浅間山を見るためにこの山に登る登山者が多いのが特徴です。冬になると「粉砂糖のような雪をまとう浅間山がガトーショコラのように見える」絶景スポットと言われています。登山コースは全般的に危険箇所が少なく、雪山初心者が手軽に挑戦できる山としても有名。スノーシューで雪山を楽しむのにもうってつけの人気の山です。
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標高:2,899m
都道府県:長野県南牧村・原村・茅野市、山梨県北杜市
おすすめコース:赤岳山荘駐車場発着|赤岳・地蔵ノ頭周回コース(約7時間30分)
赤岳(2,899m)は、赤茶けた岩肌を持つことからその名が付いた八ヶ岳連峰の最高峰。コースは東西南北から延びていますが、よく登られるのは西麓の美濃戸からの道です。比較的歩きやすく、赤岳が初めての人はおすすめのコースです。また、通年営業の山小屋があり、積雪期登山もテントを持たずに登頂できるのが魅力の一つ。
ただし、気象条件の急激な変化など、雪山初心者が冬山特有のリスクを判断するのは難しいため、冬山経験者と同行することは必須となります。くれぐれも単独での登山はしないようにしましょう。
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標高:2,531m
都道府県:長野県茅野市・立科町
おすすめコース:蓼科山(女神茶屋)(約5時間)
日本百名山の一つにも選定されている蓼科山(2,531m)は八ヶ岳連峰の最北端の山です。端正な円錐形の姿から諏訪富士、あるいは女乃神山(めのかみやま)とも称されています。山頂は大きな岩塊が折り重なって広がる噴火口跡で、展望もすばらしく、八ヶ岳連峰をはじめ浅間山や霧ヶ峰、美ヶ原、北アルプスなど360度の大パノラマが一望できます。
なお、北面の七合目登山口は山頂までの距離も短く人気ですが、冬季間は道路が通行止めになっているため、女乃神茶屋の登山口を使用することになります。周辺には温泉やペンションが多いので、観光と合わせて計画を立てるのもおすすめです。
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標高:634m
都道府県:新潟県弥彦村・長岡市
おすすめコース:弥彦山 往復コース(約3時間)
弥彦山(634m)は越後平野の日本海沿いに連なる、弥彦山塊、弥彦山脈とよばれる山並みの主峰。北に位置する多宝山(633m)との双耳峰をなし、海岸よりいきなり突き出たような山容は秀麗で、地元の人々から親しまれている山です。
山全体が神域となっており、登山口には弥彦神社が、また鳥居が登山道の随所にあり、山頂には御神廟が置かれています。山頂からは日本海や佐渡、また越後平野の田園風景が見渡せます。弥彦山ロープウェイで気軽に山頂まで行くという手段もあるため、ファミリーでの登山も楽しめます。
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標高:2,056m
都道府県:山梨県甲州市・丹波山村
おすすめコース:丸川峠分岐駐車場発着|大菩薩嶺・大菩薩峠周回コース(約7時間20分)
都内からアクセスしやすく、初心者登山におすすめな日本百名山のひとつ大菩薩嶺(2,056m)。冬季も雪山登山初心者向けの山として人気です。ピッケルは必要ありませんが、登山道にはアイスバーンになっている箇所もあるため、アイゼンの携行がおすすめです。冬季は上日川峠へ通じる二つの県道が共に通行止めになるため(※)、登山口は裂石(大菩薩峠登山口)となります。
歩くコースは大菩薩嶺から大菩薩峠へ向かう時計まわりがおすすめです。お天気が良ければ、完全に展望が開けた大菩薩峠から大菩薩嶺へと伸びる稜線から富士山を眼前に眺めながら歩くことができ、さらには南アルプスや奥秩父の山々の見事な展望が得られます。
※大月ICを降りて国道20号から上日川峠に向かう県道218号線は、上日川ダム手前、すずらん山荘先にあるゲート(一の平林道交点)以降は例年1月中旬〜4月中旬は冬季通行止になります。また、丸川峠分岐より先から上日川峠に向かう県道201号線は、例年12月中旬〜4月中旬は冬季通行止めになります。詳細は登山計画時に必ず確認してください。
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標高:1,924m
都道府県:長野県茅野市・諏訪市
おすすめコース:車山肩バス停-霧ヶ峰 往復コース(約1時間30分)
車山(1,924m)は、諏訪湖の北東に位置する日本百名山・霧ヶ峰の最高峰。夏場でも眺望がよい山ですが、冬はさらに空気が澄んで遠くまで見渡すことができるため、山頂からは蓼科山や北横岳などの八ヶ岳の山々や、南・北・中央アルプス、御嶽山や乗鞍岳などの大パノラマが広がります。車山肩からの往復が一番手軽に山頂までたどり着けるルート。積雪直後はスノーシューでの冬山歩きも楽しめます。
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冬山の注意点
・積雪期はコースタイムの1.5倍の時間を見積もって行動することをお勧めします。
・ゴンドラやリフトは運休することもあります。最新情報を施設サイトにてご確認ください。
・山小屋、売店、トイレなどの施設が冬季休業や営業時間の短縮をしている場合があります。事前によく調べるようにしましょう。
・雪山登山では天候や状況の急変などへの適切な対応が求められます。雪山初心者は必ず経験者と登り、単独行は避けるようにしましょう。
・紹介している山の中には、雪山登山経験者向けの山も含まれています。装備や必要な技術を事前に確認するようにしましょう。
「リアルタイム積雪モニター」なら、知りたいエリア・山の最新の積雪状況がひと目でわかります。ぜひ自宅近くの山、お目当ての山をチェックして、冬山登山の計画を立てる際の参考にしてみてください。
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