新しい山ごはんのスタイル、「おひとりさま鍋」を始めよう!

立春を過ぎてもまだまだ肌寒い日も続く、そんな季節の山ごはんといえば、やっぱり鍋! 湯気が立つ熱々の鍋を、一緒に山を登った仲間たち囲むのは本当に最高ですよね。……でも、ちょと待った! みんなでワイワイと鍋を囲むって、新しい生活様式に合っていない気がしませんか?

感染対策をしたくても、山ではきちんと手や食器を洗うのが難しい。そこで提案したいのがみんなで登っても、一人ひとりが自分専用のクッカーやバーナーで料理する「おひとりさま鍋」です。今回は、そんなおひとりさま鍋におすすめの、手軽に作れて、〆まで美味くなる「コンビーフのみそバター鍋」と「山のキムチ鍋」をご紹介します。

ヤッホー‼さん&shihoの山ごはんを始めよう#07連載一覧はこちら

2021.02.10

ヤッホー‼さん&shiho

管理栄養士・山の料理研究家

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クッカーやバーナーなど、山ごはんの共同装備も、これからは個人装備の時代に

ヤッホー!!さん:これまで複数人で山に登る(パーティ登山)の荷物は、雨具や行動食のように各々で持つべき「個人装備」と、テントや調理器具のように全員で使うものを分担して背負う「共同装備」に分類されてきたけど、最近ではちょっと事情が変わってきたと思う。

shiho:サークルや山岳会といったグループに所属しない人も多いから、複数で登っていても、「個人の集まり」っていう感じなんだろうね。それに、今は感染症予防から考えても、大きなテントに全員で寝るというのも怖いだろうからね。

ヤッホー!!さん:かつては共同装備だったコッヘル&ストーブ(バーナー)も、最近では軽量・小型化されているので、個人装備として持っていても山行の負担にはならない。全員でひとつずつ持っていれば、たとえ誰かのストーブが故障していても、仲間内で対応できる。いざという時には、体を温めることもできるから、ツエルトと同じように、ストーブも自分のものをそろえたほうが安心だよね。

みんなで登っても、それぞれの調理道具を使って、それぞれの「おひとりさま鍋」を作ろう!

shiho:この冬は、新型コロナウィルスの感染予防を徹底していることから、インフルエンザに罹かる人も少なくなったとニュースで伝えられているけど、食中毒でも同じことがいえるよね。冬に多いノロウィルスによる食中毒件数も例年に比べて少なくなっているよ。

ヤッホー!!さん:そうだね、ウィルスの感染予防を徹底することで、ウィルス性食中毒も減らせるということがいえるよね。

冬の食中毒は集団感染を起こしやすい。大鍋をみんなで囲んでしまい、万が一にも食中毒を起こしてしまうと、全員ダウンなんてことも考えられる。でも、それぞれが違うものを食べていたら、仲間が介助や救助要請をできるので、全員で遭難するリスクが低くなるんじゃないかな。

山ごはんで食べ残しを捨てるのはNG! 最後まで食べられる量を考えよう

shiho:おひとりさま鍋で一番注意しなきゃいけないポイントは「量」だよね。

ヤッホー!!さん:うん、個人装備として背負うのだから、重かったり、かさばったりするのはよくないよね。それに「食べきれない!」というトラブルをなくさなければならないんだ。

食べ残しても、感染予防を考えれば誰かに食べてもらうわけにはいかないし、山では捨てることが出来ないのだから、きっちりスープまで飲み干すことを考えた量にしたいな。

shiho:スープまで美味しく飲み干すのであれば、ごはんを入れて〆に雑炊を作るような工夫が必要だよね。〆を食べることまで考えると、鍋の具材はちょっと物足りないくらいの分量でちょうどいいんじゃないかな? 後で紹介するレシピに書いてある分量も、あくまで目安。食の細い人であれば、もっと少ない量で充分だと思う。

ヤッホー!!さん:そうだね。ちょっと発想を変えて、鍋を前菜、〆をメインと考えれば、食べ残すほどの量は作らないと思うよ。

shiho:万が一残ってしまった場合は、人にあげたり、山に捨てたりせずに、ナルゲンなどの液体漏れしない容器に入れて持ち帰えってから処分したほうがいいね。

少量でいろいろな種類が楽しめる鍋用のカット野菜が便利

コンビニで売っている冷凍鍋もおススメ。ただし、山行中に解凍させると汁漏れするので持ち運びに注意!

終わり良ければすべて良し! 美味しい〆選び

ヤッホー!!さん:〆でスープまで飲み干すことを考えると、僕はごはんを入れて雑炊にするのが一番いいなぁ。

shiho:雑炊にするのなら、コンビニで売っている「塩おにぎり」はシンプルな味つけで鍋の味を邪魔しないし、分量も使いやすく便利だよ。

塩おにぎり+卵で雑炊を作れば、美味しい「おひとりさま雑炊」の出来上がり!!

shiho:冷凍うどんも解凍すればそのまま使えるから鍋の〆にいいよね。

ヤッホー!!さん: うん、僕はしょうゆベースとか味噌ベースの鍋に入れたいなぁ。〆としてだけじゃなく、煮込みうどん風にするのもいいよね

冷凍の鍋+冷凍うどん。どちらもコンビニに売っていて、加熱するだけで簡単に食べられる

shiho:「棒ラーメン」も鍋の〆には定番だよね。

ヤッホー!!さん: 細いから茹で時間も少なくて、山では一番頼もしい食材だね!

食べる量を調整しやすい「棒ラーメン」(マルタイ)。保存性が高く、調理しなかった分は持ち帰れるのが魅力

おひとりさま鍋レシピ ①コンビーフのみそバター鍋

味噌ラーメンにバターを入れるのをヒントに考えました。寒い冬でも体を冷やさないように包丁とまな板要らずで作れる時短鍋です!

*材料(1人分)
・コンビーフ:1パック(80ℊ入り)
・キャベツ:1/6個
・コーン:1パック(50ℊ入り)

A
・水:100ml
・味噌:小さじ2
・みりん:大さじ1
・鶏がらスープの素:小さじ1

・無調整豆乳:200ml
・バター:10g
・黒こしょう:適量
・塩:適宜

*今回〆に使う食材
・塩おにぎり:1個
・ピザ用チーズ

*つくり方

【1】鍋にAを入れ、溶かしておく。キャベツをちぎりながら乗せ、真ん中にコンビーフも乗せ、蓋をして中火にかける
【2】5分くらいしてキャベツがしんなりしてきたら無調整豆乳とコーンを入れ、スープが温まったらバターを乗せ、塩・黒こしょうで味を調える

shiho:今回キャベツは1/6個およそ200g使いました。多少増減しても味に影響はないので、1人で食べきれる分だけ持っていきましょう。
この鍋は傷みやすい食材が少ないので、低山であれば温かい時期でも作れますよ。

ヤッホー!!さん: 黒こしょうはがっつりと効かせるのがヤッホー!!流!お試しあれ!

shiho:〆はご飯にピザ用チーズを混ぜてチーズリゾットにするのがおすすめです

ヤッホー!!さん:う~ん短時間で作ったとは思えないほど深い味わいだね。

おひとりさま鍋レシピ ②山のキムチ鍋

濃縮タイプのキムチ鍋の素なども販売されていますが、辛さが好みに合わなかったり、味が濃かったり、キムチ鍋ってなかなか味付けが難しいですよね。
ご紹介するのは中辛くらいの辛さですが、後から加えるキムチや味噌の量によって味付けや辛さを自分好みに調整できますよ。

*材料(1人分)
・豚バラブロック:120g

A
・コチュジャン:大さじ1
・すりおろしにんにく:小さじ1/2
・すりおろししょうが:小さじ1/2
・酒:大さじ1
・しょう油:小さじ2

・キムチ:80g
・鍋用カット野菜(1人分):1袋
・すりごま:大さじ1
・みそ:大さじ1~1.5
・ごま油:大さじ1/2
・水:2カップ
・こしょう:適量
・塩:適宜

*今回〆に使う食材
・棒状ラーメン:お好みの量

*つくり方
【下準備(家でやっておくこと)】
・豚バラブロックを0.7ミリ厚さにスライスし、Aと共にジップ付きポリ袋に入れ、揉みこんだら保冷しておく

【1】ライパンにごま油を入れ、中火にかけたら豚バラを入れ、両面焼き色が付くぐらいまで焼いたら、キムチを加え、全体を炒め合わせる
【2】水を加え、沸騰したらアクをとり、鍋用カット野菜を加え、5分くらい煮込む
【3】仕上げに煮汁で溶かしたみそとすりごまを加え、塩・こしょうで味を調える

shiho: 今回は使い切りやすい分量で作ったので、女性や小食の方には分量が多いかもしれません。その場合は肉や野菜の分量を減らしてください。

ヤッホー!!さん: 〆はラーメンにしたけど、塩むすび+卵で雑炊にしても辛さがマイルドになっていいかもね。

ヤッホー!!さん:いかがでしたか? 山では寒い時期だけでなく、一年中、鍋料理が人気です。調理が簡単なのに、登山に必要な栄養素をしっかりとれる。そして何より、疲れた体に美味しい! 皆さんも鍋にチャレンジしてくださいね。

shiho:入れる食材×味付けで無限大の可能性が広がる鍋料理、ぜひ、家だけでなく山でも作ってみてください。

ヤッホー‼さん&shiho

管理栄養士・山の料理研究家

ヤッホー‼さん&shiho

管理栄養士・山の料理研究家

登山ガイド・ヤッホー!!さんと、アウトドア料理研究家・shihoさんによる「山ごはん」ユニット。共に管理栄養士の資格を持ち、登山経験も豊富。各種メディアやイベントを通じ、山ごはんの楽しさを広めている。現在ヤッホー‼さんが「山の炊き込みごはん」365日連続投稿に挑戦中! https://www.instagram.com/ikiikitozan/