鳥取県・奥大山|極上の天然水が育まれる地をYAMAPアプリで巡る

西日本を代表する名峰、鳥取県の大山。その南東に位置する烏ヶ山の南麓に広がるエリアは「奥大山」と呼ばれ、広大なブナ林によって極上の天然水が育まれています。
今回、YAMAPは環境省と協力し、奥大山に位置する高原「鏡ヶ成」エリアを巡り豊かな自然を学ぶ取り組みを始めました。この記事では、その取り組みと奥大山の豊かな自然についてお伝えします。

2021.06.24

YAMAP MAGAZINE 編集部

INDEX

人の体は新生児で約75%、成人では約60〜65%が水でできています。つまり水は、人が生きていくのにもっとも大事なもの。蛇口をひねれば飲料水が出てくるという高い水質基準を誇る日本においても、安全で美味しいミネラルウォーターの人気はとどまるところを知りません。

鳥取県は、山梨県と静岡県に次ぐミネラルウォーターの産地。奥大山の山歩きは、柔らかな口当たりとすっきりとした飲み口を併せ持つ、極上の天然水の成り立ちをたどる旅ともいえるのです。

奥大山・鏡ヶ成エリアとは?

中国地方の最高峰・大山といえば、西日本最大級の面積を誇るブナ林が有名。そしてブナ林によって育まれているのが、極上の天然水です。大山の南壁から岡山県との県境までの地域は、日本海側から見れば奥のそのまた奥に位置していることから「奥大山」と呼ばれており、名水の里としても知られています。
奥大山に訪れる際のベースとなる一軒宿「休暇村奥大山」があるのは、奥大山の烏ヶ山山麓にある象山、擬宝珠山に囲まれた標高920mの高原。ここは、鏡のように平らな地形から「鏡ヶ成」と呼ばれています。

高原の一角に広がるのは、大山エリアには珍しい湿原。湿原には希少植物が多いとされており、初夏にはトキソウの桃紫色の花をはじめ、ノハナショウブの紅紫色、オカトラノオの白など、色とりどりの花が咲き乱れます。
風薫る高原は夜になれば星が降り、木漏れ日美しいブナ林は秋には錦絵のように色づく……。季節ごと、時間ごと、天気によってもさまざまに表情を変える奥大山は、一年を通してその自然を気軽に楽しめるフィールドというわけです。

秋の奥大山

豊かな森と大地が生み出す極上の天然水

奥大山が生み出す天然水は、多くの日本人が美味しいと感じる軟水です。お茶の風味を引き立てたり、コーヒーをマイルドにしたり、赤ちゃんのミルクにも最適とされるほか、日本料理にも向いているといわれます。そんな極上の天然水は、どのように育まれているのでしょう。

まず、海から蒸発した水が雲となり、奥大山地域に雨や雪として降ります。それを受け止めるのが、森の「ふかふかの土」。「ふかふかの土」はスポンジのような役割を果たし、水を豊富に蓄えて、ろ過しながらじっくりと地下へ染み込ませていきます。この「ふかふかの土」は、砂や粘土だけの固い土に大量の落ち葉や動物の死骸などの有機物が混じり合い、それをミミズなどの動物や微生物が分解することで作られます。保水性、排水性、通気性に富んだ土壌となるのです。

「ふかふかの土」を育む森

さて「ふかふかの土」からじっくりと地中へと染み込んだ水は、太古の昔から繰り返された火山活動によって作られた火砕流の地層へ。この岩盤をゆっくりゆっくりとくぐり抜けることで水は磨かれ、程よいミネラル分を含んだ天然水になるのです。それにかかる時間は、なんと20年以上。大山とその周辺の山々は気の遠くなるような時間を使って、巨大なろ過装置のような機能を果たしているわけですね。

古来「神の居ます山」として守られ、霊山として長年入山制限されてきたという歴史を持つ大山。周辺一帯も含め国立公園に指定されているということもあり、西日本最大級のブナ林が今も残っているのです。この素晴らしい環境の中で様々な動植物が活動し、豊かな森を作る。雨や雪解け水が豊かな森の「ふかふかの土」に受け止められ、長い時をかけて磨かれる。そのサイクルこそが大山の素晴らしさ。極上の天然水が生まれる理由なのです。

豊かな天然水を育む大山ですが、森が豊かに保たれているのは、行政機関や地域の方々の取組に加えて、多くの団体や企業が保全活動をしているおかげです。ここ奥大山においては、ミネラルウォーターのトップブランド「サントリー天然水」で知られるサントリーが活動をしています。奥大山周辺では約495ha(東京ドーム約105個分)もの広大な森林を整備。豊かな水を育む森を大切に守っているわけです。

天然水のふるさと、奥大山・鏡ヶ成エリア

奥大山・鏡ヶ成エリアを巡るルート紹介

烏ヶ山、擬宝珠山、象山に囲まれた鏡ヶ成フィールドに立つ森のホテルが「休暇村奥大山」。広大なブナ林に囲まれた閑静なリゾートホテルで、キャンプ場やスキー場を擁し、さらには満点の星空も楽しめる“天空の郷”です。

大山の南麓に立つこのホテルを拠点に、象山と擬宝珠山一帯を巡るハイキングルートは、YAMAPアプリにも掲載されています。ここからはそのルートを紹介しましょう。

ルートはYAMAPアプリで「烏ヶ山・象山(笹ヶ峰)」の地図を開き、歯車マークの設定画面から「象山・擬宝珠山おすすめコース」のみをONにすることで確認できます。

休暇村奥大山を出発して、象山方面に2分ほど歩けば湿原に向かう道との分岐に到着します。整備された木道を歩いての湿原散策もおすすめです。今回は湿原には向かわず、そのまま象山の登山口へ。ここから頂上までの標高差はおよそ150mほどですので、豊かな森を楽しみながら登山道を進みましょう。途中、ブナの根元に積もった落ち葉を触ってみると、その下は「ふかふかの土」。これが極上の天然水を生み出すために重要な役割を果たしているのです。

奥大山のブナ林に広がる「ふかふかの土」

爽やかな風に葉を揺らすのはブナ、カエデ、ミズナラ、ナナカマドなど。秋にはリンドウが花開き、鮮やかな青色が登山道に差し色を添えます。

足元を彩るリンドウ

尾根上のピークとなる象山の山頂では、大山や日本海、蒜山高原(ひるぜんこうげん)など360度のパノラマが広がっています。ここで豊かな水を育む豊かな森をじっくり感じてはどうでしょうか。南西の方角には「サントリー天然水 奥大山ブナの森工場」も見えます。奥大山の森に降った雨が20年以上の長い歳月を経て「サントリー奥大山の天然水」となるという驚きの事実は、ロマン溢れるストーリーです。

広大なブナ林に囲まれたサントリーの工場(赤い〇の辺り)

短いコースですが急勾配の箇所も少なくないので、下山は注意しながら。あちらこちらでアカモノも目に入ります。アカモノは初夏には可愛らしい白い花を咲かせ、花の後には赤い実を付け、登山客の目を楽しませてくれます。

アカモノ

さて次は、休暇村への分岐を曲がらずに直進して、その隣に鎮座する擬宝珠山へ向かいます。象山より30mほど高いだけなので、こちらも初心者向けのコース。登り始めると、水の流れる跡が模様のように黒っぽくなったブナの木に気づきます。雨の日には、ブナの葉によって集められた大量の雨水が幹を伝っていく様子が見られることもあります。

ブナの水の通り道

夏〜秋にかけて尾根道を彩っているのは、マツムシソウの薄いブルーの花。実はこの尾根道、春にはカタクリの紫の花が咲き誇ります。“春の妖精”と呼ばれるカタクリの擬宝珠山もぜひ楽しんでほしいところです。

夏〜秋に咲くマツムシソウ

春に咲くカタクリ

程なく視界が開け、擬宝珠山の頂上では絶景が出迎えてくれます。遠く日本海までが見えるワイドビューに、あらゆる動植物の生命を感じ、さまざまな生物が関係し合って生活している世界を感じることができます。

擬宝珠山山頂から見た風景

木漏れ日が美しいブナやミズナラの木立を楽しみながら下り、休暇村へと戻ります。2つの山で自然に触れ、水に思いを馳せながらのおよそ3時間。登山初心者でも無理なく登れるので、気軽に友人や家族と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。
また、休暇村奥大山ではブナの森の地下250mから汲み上げた天然水を沸かした軟らかな「天然水浴場」が楽しめるので、登山と合わせての日帰り入浴もおすすめです。

休暇村奥大山に到着

近隣の観光スポットにも立ち寄ってみては?

奥大山エリア周辺には、他にもその自然を味わうことができる観光スポットがあります。ここでは、そのいくつかをご紹介します。

鬼女台(きめんだい)展望休憩所

鳥取県と岡山県の県境、標高900mに位置する高台にある休憩所。北に名峰大山と烏ヶ山、擬宝珠山などの山々、東に蒜山高原が一望。秋の夜明けには蒜山高原を包み込む雲海が見られるほか、展望台からはみごとなススキの群生地が望めます。地元特産物の販売所も嬉しい。

木谷沢渓流

大山環状道路沿いの森の中を流れる、ブナの木々に囲まれた清らかな渓流。木々や苔の緑はより深く、空気はさらに澄み渡り、せせらぎの音と小鳥の声が最上の癒し空間を演出しています。気軽に奥大山の自然に触れることができる、人気の観光スポットになっています。

鍵掛峠

晩秋には、大山南壁の露出した険しい山肌が、色とりどりに染まったブナ林の絨毯からそそり立つ。そんなダイナミックな絶景を眺めることができる一番のポイント。10月後半のまだ緑の残る七色の風景は、11月初旬に錦秋のクライマックスを迎えます。

御机の茅葺小屋

江府町ののどかな御机集落にある、奥大山屈指の撮影スポット。大山南壁をバックに、ポツンとたたずむ茅葺屋根の小屋は「日本の原風景」そのもので、多くの人が撮影やスケッチのために訪れています。紅葉の時期だけでなく、新緑の季節や雪化粧の様子もおすすめ。

環境省×YAMAPの取り組み

国立公園を管理する環境省では、その魅力を発信し、より多くの人に楽しんでもらうための取り組みを進めています。大山隠岐国立公園の象徴的な存在である大山とその周辺の山々。登山を楽しんでもらうことはもちろん、豊かな山がおいしい水を育み、くらしを支えているという発見も持ち帰ってもらえれば…。そんな思いから、水について学ぶのに最適な奥大山・鏡ヶ成エリアをフィールドにした、大人向けの社会科体験プログラムを、YAMAP、サントリー、休暇村とともに作りました。水を育む「ふかふかの土」を感じながら歩いたり、何十年、何百年にもわたる水の旅を想像しながら景色を眺めたり。
ぜひ広大な自然を湛える奥大山を訪れ、YAMAPアプリを使って天然水の源を辿る、知的で魅力的なハイキングを体験してみてください。

YAMAP MAGAZINE 編集部

YAMAP MAGAZINE 編集部

登山アプリYAMAP運営のWebメディア「YAMAP MAGAZINE」編集部。365日、寝ても覚めても山のことばかり。日帰り登山にテント泊縦走、雪山、クライミング、トレラン…山や自然を楽しむアウトドア・アクティビティを日々堪能しつつ、その魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと奮闘中。