劇団EXILE・佐藤寛太さんが挑む、西日本最高峰「石鎚山」登頂

米国ポートランド発のアウトドア・フットウェアブランド〈KEEN〉が提案する「TRAVEL TRAIL(トラベル トレイル)」。日本各地のトレイルを歩き、その土地の文化に触れることで、アウトドアをもっと広く、深く満喫しようという「旅の楽しみ方」です。第6弾は、ナビゲーターに劇団EXILE所属・俳優の佐藤寛太さんを迎え、西日本最高峰である愛媛県の石鎚山(1,982m)へ。相棒は、KEENのトレッキングシューズの「ターギー III ミッド ウォータープルーフ」。高度感のある岩山と鎖場を踏破し、その先に待っていた景色とは!?

2022.10.03

小林 昂祐

撮影と執筆業

INDEX

佐藤寛太さんとKEEN「ターギー III ミッド」

ナビゲーターは、俳優・佐藤寛太さん。劇団EXILEに所属し、映画やテレビドラマを中心に活躍。人気漫画を実写ドラマ化した『軍艦少年』『あせとせっけん』の主演、最近はテレビドラマ『テッパチ!』に出演し、「その活躍を見ていた」という方も多いはず。そんな俳優業の傍ら、2020年頃よりプライベートでは登山に打ち込んでおり、アウトドアメディアにも活動の場を広げています。

今回、佐藤さんが目指すのは西日本最高峰の「石鎚山」の登頂。標高は2,000m以下ながら、切り立った岩場や連続する長丁場の鎖場が待ち受けており、登り切るには体力と技術が求められる山として知られています。

そして、登山の山として人気を集める一方、石鎚山は日本古来の宗教・修験道の山として栄えてきた歴史があります。登山者を惹きつけてやまない景観やルートの面白さに加え、登ることで修験道という文化を知ることができるのも大きな魅力なんです。

ちなみに、石鎚山には複数の登山コースがありますが、なかでも最も修験道の名残が色濃い「表参道ルート(通称・成就ルート)」をセレクトしました。

佐藤さんが相棒に選んだのは、KEEN「ターギー III ミッド」。

KEENのトレッキングカテゴリーのフラッグシップコレクションとして開発された「ターギー」コレクション。その中でも代表的な1モデルがこの「ターギー Ⅲ ミッド ウォータープルーフ(以下 ターギ― Ⅲ ミッド)」です。

フラットなトレイルやロングハイクでの快適性はもちろん、アップダウンの激しい岩場やぬかるんだトレイル環境での踏破性を高める設計を備えたミドルカット仕様。シューズ内のメンブレンには雨やぬかるみに対応するKEEN独自の防水透湿素材《KEEN.DRY》を、アウトソールには悪路でも滑りにくい4mmラグパターンを採用するなど、日本の山岳環境で効果を発揮する機能が満載。さらに、リサイクル素材の使用や環境負荷の少ない製造方法を選ぶなど、KEENのこだわりがたっぷり詰まったモデルです。

表参道ルートで霊山・石鎚山山頂を目指す

今回のコース。石鎚登山ロープウェイを用いて山頂成就駅へ。ヤマップアプリ内の地図はこちら

東京から空路で愛媛・松山空港へ。石鎚山の表参道ルートへとつづく石鎚登山ロープウェイを利用して、山行をスタートしました。

ロープウェイの山頂駅の先には、石鎚神社の中宮・成就社があります。ここは、多くの参拝者が訪れる修験道の聖地であり、石鎚山の登山口でもあります。遠くに聳える石鎚山の山容、荘厳な佇まいの成就社を前に、「修験の山」という存在感に圧倒されます。

まずは登山の前に遥拝殿へお参り。安全登山を祈願しました。

なお、石鎚神社は日本七霊山のひとつ・霊峰石鎚山が神体山。山頂には頂上社、中腹(7合目)に成就社と土小屋遥拝殿、そしてJR石鎚山駅近くに本社があり、その4社を合わせて石鎚神社と呼びます。

成就社の遥拝殿には天狗や下駄が祀られており、修験の山だということを実感します

遥拝殿からは御神体である石鎚山を望むことができます。登ることのできない人はここから祈りを捧げるのだそう

成就社からは登ると思いきや、下りからスタート。賑やかな境内を一歩出ると雰囲気は一変。静かな森が広がっています

取材は夏真っ盛りの8月。蒸し風呂のような樹林帯を歩くと汗が噴き出してきます

森を抜けると石鎚山の山頂が眼前に飛び込んできました。立ちはだかる岩壁は迫力満点

成就社から山頂へとつづく山道へ。ブナやモミの巨木がそこかしこに佇む、修験の森を歩いていきます。ここからは樹林帯のハイクが約2時間。奥へと歩みを進めていくにつれ、比較的平坦だった登山道はどんどん急勾配になっていきます。風が抜けにくく、蒸し暑い森。休憩時にはこまめに給水していた佐藤さん。なんと水を6Lも担いできたのだとか。

「以前、山行中に水が全然足りなくなってしまったことがありました。もともと汗はたくさんかくし、水をよく飲む方なんです。だから、それ以来は想定した以上の水を持っていくようにしているんです。もちろん重いんですけれど、僕にとって安全な登山のために水は欠かせない装備のひとつなんです」

ふだんは1人で登山をすることが多いという佐藤さん。仲間と登るのも楽しいけれど、じっくり自然を感じ、向き合うにはやっぱりソロの方が好きなのだそう。しかし、頼れる仲間がいない分、リスク管理は欠かせません。

水だけでなく、ウェアやシューズなどの山道具のセレクトも、山域やルート、季節などの環境に合わせて慎重に選んでいるのだとか。

「装備のなかでも、登山靴はとても大切なアイテム。軽量なトレランシューズから厳冬期用のブーツまで使いますが、石鎚山は岩場や鎖場が多いルートと聞いて、足首がしっかり保護されるミッドカットのトレッキングシューズ『ターギー Ⅲ ミッド』はいいと感じていました。

実は、石鎚山に登る前に慣らしで『ターギー Ⅲ ミッド』を履いていたのですが、フィット感のよさに驚きました。いつも登山靴を買ったときは街歩きで慣らしてから履かないとマメができることもあるのですが、これは足を入れた瞬間からすごく馴染んできたのもあり、山行がとても楽しみでした」

ついに核心部に到達! 連続する鎖場へ

樹林帯を抜け、鎖場エリアへ。ここまではウォーミングアップ。石鎚山のハイライトは、ここから先に待ち受けている鎖場なんです。なんと鎖場は4つもあり、長いものだとその距離は60m超え。これほど大規模な鎖場がある山は日本中探してもそうそうありません。シューズの紐を結び直し、石鎚山の核心部に挑みます。

まずは1の鎖。33mともっとも短い鎖でありながら、角度はほぼ垂直と難易度高め

鎖場を過ぎても登山道は岩がちで不安定。一歩ずつ確認しながら登っていきます

見えてきたのは石鎚神社注連柱(鳥居)と休憩所。ここで一休みしてさらに待ち受ける鎖場に備えます

目まぐるしく変わる景観に佐藤さんも楽しそう。満開のイシヅチボウフウが出迎えてくれました

つづいて2の鎖。なんと65mもある長丁場。前日の雨で岩が湿っていたこともあり、慎重に登ります

鎖は手で掴むだけでなく、足を掛けることもできる特殊な形状

岩の形状と組み合わせて登るのには少しコツが要りますが、「ターギー III ミッド」のソールのグリップ力がしっかりとカバーしてくれ不安なく登れます

「結構、切り立ってますね」と見上げても終わりが見えないほどの鎖場。今となっては登山者に人気の石鎚山の鎖場ですが、本来は修験者が修行のために通行したルート。過酷な自然に身を置き、体ひとつで岩場に向き合うことで力を得ようとした修験者を思いながら登っていきます。

「鎖場を通ったことはありましたが、こんなに長いのははじめてです。もちろん落ちたら骨折どころではすまないくらい危険なルートですが、しっかり鎖をつかんで、足を置いていけば大丈夫。岩が濡れていて滑りやすいところもあったのですが、そこは慎重に進みました」

「ターギー III ミッド」はミッドカットモデルながら、足先の屈曲性が良好。岩の形状に合わせて曲がるのでアウトソールのフリクションを効かせて登ることができます。

鎖場を上がっていくと、目の前には絶景が。先ほど登りはじめた成就社や歩いてきたトレイルが見渡せました。山頂まであと少し。気を抜かずに歩みを進めていきます。

最後まで気が抜けない、石鎚山山頂ルート

2の鎖の後、3の鎖はスキップし、景色を楽しみながら山頂へ。石鎚神社 奥宮 頂上社に到着し、登頂か?! と喜ぶも、実は山頂は15分ほど岩場を歩いた「天狗岳」と呼ばれる尾根の先にあるんです。荷物をデポして山頂を目指します。

まだまだつづくスリリングなルート。天狗岳山頂へ切り立った岩の上を、マークを頼りに慎重に歩いていきます

山頂に向かって左側はスパッと切り落ちた崖。そのギリギリをよじ登るのはスリリング

天狗岳(1,982m)に登頂! 気温が上がりガスが湧いてきましたが、眺望を楽しめました

岩の尾根を慎重に、ときには這うようにして「天狗岳」へ。鎖場が終わっても気が抜けないのが石鎚山の登山です。15分ほどで無事登頂。周囲には石鎚山系の峰々が広がり、はるか眼下には成就社も望むことができました。山頂直下が切り立った崖だということもあり、かなりの高度感。の大パノラマを満喫します。

「天狗岳までは岩が斜めになっているところも多く、バランス感覚を求められるセクションでした。こういった不安定な岩場はシューズが信頼できるかどうかが大事ですね。『ターギー III ミッド』は岩との相性もいいみたいで、足置きに不安はまったくなかったですね」

迂回ルートを使いながら下山

天狗岳の登頂後、石鎚神社 奥宮 頂上社で昼食をとり、下山。鎖場の下りは危険なため迂回ルートを使って成就社へと戻ります。

大きなブナがそこかしこに生えており、原生の森であることがわかります

一軒茶屋で休憩中に読書。佐藤さんは無類の本好き。ちなみにこの本は松山で買った『坊ちゃん』

KEEN独自の防水透湿素材《KEEN.DRY》に加え、シンセティックレザー製のマッドシールドのおかげでぬかるんだトレイルでもシューズ内を濡らさずに歩けます

「ターギー Ⅲ ミッド」のアウトソールは、前後左右といったどの方向の動きでもグリップ力を発揮するオールテレインラバーアウトソール。歩行時のアッパーの屈曲を妨げないよう、緻密な計算のもとソールの際までデザインされた細かなラグパターンが地面を確実に捉え、安定した歩行を実現します

成就社に到着し、売店でソフトクリームをゲット。緊張感の途切れない山行後の心休まるひととき

石鎚山の表参道コースの標高差は約1,200m。当然ですが迂回ルートを使ったとしても、登った分だけ降りなければいけない以上、下山時の足への負荷も忘れてはいけません。

不安定な岩場や急な下りでは、歩き方そのものを慎重にするだけでなく、安定性とサポートの高いシューズを選ぶのもポイント。「ターギー Ⅲ ミッド」のミッドソールには硬度の異なる2種の圧縮成型EVAを使用することでクッション性を確保。さらに歩行時の屈曲や快適性を損なわない大きさのシャンクというプレートを内蔵することで、安定した歩行を支えます。また、つま先には適度な立ち上がりを持たせることで、自然と足が踏み出しやすくなっています。幅広のラスト(足型)なので、シューズの中で指が圧迫されずらいのも人気の秘密です。

佐藤さん曰く「ブーツタイプなのに軽い。履いていて重いと感じることはなかったですね。いつもの登山だけでなく、今回の石鎚山のように岩場が多く不安定な山道を歩くときにも『ターギー Ⅲ ミッド』は最適だと感じました。もっと他の山も歩いてみたいと思いました」

実際、重量は片足わずか496g(27㎝片足)。シューズのスペックはもちろんですが、軽量であることも快適な山行の重要なポイントです。

軽快に下山し、成就社に到着。緊張感から解放されたのか、佐藤さんの表情が緩みます。下山後は温泉で汗を流し、空港のある松山へ。車の窓からは遠ざかる石鎚山の姿。緊張感あふれる鎖場、山頂から見た絶景を振り返りつつ、TRAVEL TRAILという旅の豊かさを噛み締めたのでした。

温泉と文学、アートの街・松山へ

せっかく愛媛に来たのであれば、石鎚山の登山だけでなく、街も楽しみたいもの。山行の前後に立ち寄った松山のスポットをご紹介します。

日本最古の温泉と言われる道後温泉。『道後オンセナート』が開催されており、写真家・蜷川実花さんの作品が広場に敷き詰められていました

登山やハイキングはもちろん、そのクッション性・軽さ・スタイリッシュなデザインが旅や街歩きにも対応する「ターギー Ⅲ ミッド」

実は山行に向けて「本」を松山の古書店で求めていた佐藤さん。松山にちなんで『坊ちゃん』をセレクト。一軒茶屋で読んでいたのはこの本なんです

松山城にも足を伸ばしました。1602年に築かれた、日本に残る12の現存天守閣のひとつ

松山といえば、道後温泉を思い浮かべる人も多いでしょう。3,000年の歴史があり、かの聖徳太子が訪れたという伝説が残り、夏目漱石の小説『坊っちゃん』の舞台にもなったという、旅先として外せないロケーションです。周辺では、アートフェスティバル『道後オンセナート(温泉とアートを組み合わせた造語)』が開催されるなど、心と体で楽しめる場所となっています。

登山後の温泉で疲れを癒やし、街歩きを楽しみながら史跡を歩く。これこそがTRAVEL TRAIL。「仕事がなかったら、もうちょっと延泊して歩きたかったですね」と佐藤さん。

商店街で宝探しをするように買い物をしたり、400年以上にわたって松山の街を見守っている松山城を訪れたりと、時間がいくらあっても足りないくらい。こうして後ろ髪を引かれながら、松山を後にしたのでした。

「ターギー Ⅲ ミッド」でTRAVEL TRAILを楽しもう

登山をはじめて2年ほどだという佐藤さん。その短い期間で雪山登山を体験したり、ソロでのテント泊登山をしたりと、精力的に登山の幅を広げています。今回はTRAVEL TRAILということで愛媛県まで「遠征」してきましたが、日本各地にある山への興味が芽生えたそう。

「飛行機に乗って、登山をする。自分にとってこんな特別で贅沢なことはありませんでした。西日本最高峰の石鎚山に登れたことも素晴らしかったのですが、松山という街を旅することの楽しさも組み合わさって、TRAVEL TRAILっていいなって。映画やドラマの撮影で地方に行くことも多いので、オフのときについでに山に登りたいなと、密かに画策しています(笑)」

今回の石鎚山登山、松山の旅で着用したKEEN「ターギー Ⅲ ミッド」は、ロングハイクや縦走登山といったさまざまな登山スタイルに対応できるオールマイティなトレッキングシューズ。TRAVEL TRAILのように、山と街を両方楽しむ旅のお供としても最適です。魅力は、アップデートを重ねることで磨き上げられた多彩ながらも堅実な機能。そんな「ターギー Ⅲ ミッド」とともに、日本各地にある山やトレイル、歴史と文化が根ざす街を歩くTRAVEL TRAILに出かけていただけたらと思います。

ターギ― Ⅲ ミッド ウォータープルーフ(左2足)ウィメンズ 449g(24㎝片足)、(右2足)メンズ 496g(27㎝片足)

KEEN のトレッキングシューズをKEEN公式オンラインストアで購入

ナビゲーター:佐藤寛太
写真・文=小林昂祐
協力:キーン・ジャパン合同会社

小林 昂祐

撮影と執筆業

小林 昂祐

撮影と執筆業

旅雑誌の編集部を経てフリー。在籍時には「アウトドアを科学する」をテーマにした『terminal』を創刊。実体験とインタビューを中心に、自然そのものの美しさやその地に暮らす人びとの営みを取材し、対象に寄り添うことで得られる情景を文章と写真で伝える。著書に西表島を特集した『NatureBoy』ほか、おやつの世界を巡る『OYATTUmagazine』など。趣味は登山。