晩冬から早春まで初級者にも楽しめる旬の低山を紹介すべく、昨年2月のYAMAPユーザーの動向データを分析。関東にある標高1,000m以下、3時間前後のコースがある山から、登頂者数が多いベスト5座をピックアップしました。山歩き歴の長い方でも、春の本格シーズン前の足慣らしに最適なコースがランクイン。順位を予想しながらぜひ読んでみてください。
2024.02.22
YAMAP MAGAZINE 編集部
神奈川県秦野市にあり、弘法大師が修行したとされる弘法山(こうぼうやま、234m)。浅間山・権現山・弘法山の山頂周辺が弘法山公園として整備され、県立自然公園に指定されています。
公園内の随所からは富士山の見事な眺望。弘法山の山頂は広々としていて、弘法大師を祀る大師堂や鐘楼のほか、テーブルやベンチなどもあり、天気がよければゆったり過ごせます。
「弘法山公園・吾妻山コース」は、小田急線・鶴巻温泉駅から、吾妻山(あづまやま、125m)、弘法山、権現山(ごんげんやま、243m)、浅間山(せんげんやま、196m)を経由して小田急線・秦野駅に下山する縦走路。秦野市の人気のハイキングコースで、逆ルートをたどるハイカーも多いです。
*所在地:神奈川県秦野市
*歩行時間:2時間35分
*歩行距離:6.8km
*上り:376m
*アクセス:小田急線・鶴巻温泉駅スタート
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埼玉県日高市のシンボルとして親しまれている日和田山(ひわださん、305m)。
高麗駅方面から9合目の金比羅神社に向かう途中に「男坂」「女坂」と呼ばれる坂道があり、女坂は緩やかな道を進むコースですが、男坂は急坂できつい岩場となっています。
金比羅神社前からは、曼珠沙華(彼岸花)の群生地として有名な巾着田が眺められます。彼岸花の季節は秋ですが、2月はロウバイや白梅・紅梅のほか、ツバキ、スイセンなどの花々を楽しみながら歩くことも。
エベレストに女性として初登頂した田部井淳子さんが晩年、リハビリのために通っていた山としても知られ、山中には「日和田山からエベレストまで」と刻まれた記念碑が設置されています。
*所在地:埼玉県日高市
*歩行時間:1時間14分
*歩行距離:1.5km
*上り:189m
*アクセス:スタートの日和田山登山口は、西武池袋線高麗駅から徒歩約16分
ケーブルカーを利用して山頂下まで上がれ、四季を通じて初級者におすすめされることが多い御岳山(みたけさん、929m)。2月は、あちこちに咲くロウバイが、甘い香りで登山客を楽しませてくれます。
古来より関東有数の霊山として崇められた山岳信仰の山、山頂に鎮座する武蔵御嶽神社は崇神天皇7年(紀元前91年)創建の歴史があります。
中世時代には山岳信仰が興隆し、特に鎌倉時代には「金峯山御嶽蔵王権現(きんぷせんみたけざおうごんげん)」の名で武士たちの信仰を集めていました。
江戸時代には庶民の参拝も盛んになり、江戸時代からは講(信仰行事や日常生活を共同で助け合う集団)が組織されていました。山上には現在も宿坊があり、一般客も宿泊できます。
*所在地:東京都青梅市
*歩行時間:3時間7分
*歩行距離:6.5km
*上り:366m
*アクセス:スタートは、御岳山ケーブルカー「御岳山駅」。JR御岳駅から西東京バスで「ケーブル下」下車。徒歩約6分で御岳山ケーブルカー「滝本駅」。ケーブルカーで山頂駅の「御岳山駅」下車
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「西の富士 東の筑波」と称される常陸の名山、筑波山(877m)。男体山と女体山からなる双耳峰で、ケーブルカーとロープウェイも運行され、温泉もあることから、登山客だけでなく観光客も多く訪れています。
日本百名山で最も低く、標高1000mに満たない低山ですが、最高峰の女体山山頂から霞ヶ浦、太平洋、そして関東平野を取り囲む山々を一望できるのが大きな魅力です。
筑波山には1000種類以上の植物があり、学術的にも重要な山とされています。その理由は、北方系と南方系の動植物の分布が重なっているため。標高によっておよそ3つの森林帯に分かれ、山頂付近に広がるブナ林は、氷河期の生き残りともいわれています。
そんな筑波山の2月のおすすめは、山の中腹(標高約250m)に広がる市営の梅林(筑波山梅林)。約1,000本の白梅・紅梅と散在する巨石とのコントラストも見もの。毎年2月中旬〜3月中旬(2024年は2月17日〜3月17日)には「筑波山梅まつり」も開催されています。
*所在地:茨城県つくば市
*歩行時間:3時間6分
*歩行距離:4.5km
*上り:455m
*アクセス:スタートは、筑波山ロープウェイ「つつじヶ丘駅」前の分岐。つくばエクスプレス「つくば駅」から筑波山シャトルバスで「つつじヶ丘」まで約50分。「つつじヶ丘駅」はバス停すぐそば。
※本文で紹介している「筑波山梅林」は、筑波山シャトルバスでバス停「つつじヶ丘」より手前のバス停「筑波山神社入口」から徒歩10分、もしくはモデルコースのゴール地点、筑波山神社鳥居から徒歩約15分
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「筑波山はもう行ったしなあ」という方には、筑波山から南東に連なる宝篋山(ほうきょうさん、461m)がおすすめ。関東の2月の登頂者数ランキングでも10位以内にランクインする人気の山です。
茨城県つくば市と土浦市の境にあり、地元では小田山とも呼ばれています。地元有志の整備によって、南西麓のつくば市小田(おだ)集落や西麓の山口(やまぐち)集落からの登山道がよく整備されています。
山頂からは筑波山や関東平野、霞ヶ浦の眺望。山頂には山名の由来となった「宝篋印塔」があり、南西麓にある小田城(国の史跡)に関連する城郭跡も残されています。
「宝篋山小田休憩所-宝篋山 往復コース」の歩行時間・歩行距離・アクセス
*所在地:茨城県つくば市・土浦市
*歩行時間:3時間14分
*歩行距離:5.6km
*上り:468m
*アクセス:スタートは「宝筐山第二駐車場」。JR土浦駅西口から筑波山口行き、もしくは下妻駅行きの関東バスで約30分、「宝筐山入り口」下車。「宝筐山第二駐車場」はバス停から徒歩4分
高尾山(599m)は、ミシュランガイドの観光部門で三ツ星に選ばれ、今や海外からのハイカーにも人気。2月に限らず、関東の登頂者数は常にトップ。
高尾山口駅は都心からのアクセスの良さだけでなく、都市近郊ながら深い森に包まれ、ケーブルカーや温泉などの施設も充実していて、気軽に登山が楽しめます。
2月の山頂から望む富士山は、空気が澄んでいて1年で最も冴え冴えと美しく映える時期。まだまだ真冬同様の美しい姿を拝むことができます。
高尾山中には山岳信仰の飯縄(いづな、いいづな)大権現を祀る「高尾山薬王院」があり、あちこちに天狗の像があります。天狗はその飯縄大権現の眷属(随身)とされ、数々の天狗伝説が残されています。
暖温帯と冷温帯の植物が混在する山でもあり、その種類はイギリス全土の植物種に匹敵するといわれる1600種以上。タカオスミレなど高尾山で最初に発見された植物も多種におよびます。
*所在地:東京都八王子市高尾町
*歩行時間:1時間42分
*歩行距離:3.7km
*上り:237m
*アクセス:高尾山電鉄ケーブルカー「高尾山駅」スタート。京王線・高尾山口駅から、ケーブルカー乗り場・清滝駅まで徒歩約5分。ケーブルカー清滝駅から高尾山駅下車
トップ画像:のぶ🌋さんの活動日記より