登山者に爆発的人気|ミレーの大型ザック「サースフェーNX」体験レポート

今年の春にリリースされ、「最高の背負い心地!」「雨や汗濡れにとても強い」と登山者の間でたちまち評判になっているミレーの大人気バックパック「サースフェーNX」大型モデル。本当にそんなに使い勝手のよいザックなのかを検証するために、YAMAPでは4名のユーザーモニターを募集。サースフェーNX60+と75+を実際の登山で使っていただいた「本音の感想」をレポートします。

2024.07.29

大関直樹

フリーライター

INDEX

今回、「サースフェーNX」大型モデルをモニターしてくれたYAMAPユーザーさんは縦走登山や親子登山など、さまざまな登山スタイルを持つ方が選ばれました。ご自分の登山スタイルと照らし合わせながら、YAMAPユーザーさんの「本音レポート」をチェックしてみてください。

テント泊縦走が大好き/yuriさん(モニターNo.1)


名前:yuriさん(50代・女性)
登山歴:約5年
歩いたフィールド:宮之浦岳縦走(2泊3日)、伊予富士縦走(2泊3日)

六甲山に登ったのがきっかけで登山を始め、愛読書は「山と高原地図」というyuriさん。好きな山行スタイルは縦走とテント泊で、今年の4月までに1100座に登頂したとのこと。これまで自分に合ったザックを見つけられなかったので、モニターに応募してくれました。

yuriさんの「サースフェーNX 60+」モニターレポート

登山を始めてから3つのザックを使ってみたんですが、どれも背負っていると肩が痛くなってしまいました。私は、なで肩で背も高いからフィットしないのかと思っていたんです。

そこでサースフェーNX 60+を使わせていただいたのですが、背面長を調整したらとてもラクに背負えるようになりました。腰に荷物を載せる感覚もわかるようになりました。縦長でスマートなシルエットのサースフェーを背負っていると、「背が高いから似合うね」といわれたのも嬉しかったです(笑)。

ベルクロとストラップで自分の身長や体格に合わせて背面長を調整できる

細身のシルエットの大型サースフェーNXは、長身のyuriさんにもよく似合う

テント泊縦走で荷物が重いと、行動中にザックを下ろして荷物を取り出すのが面倒なんですよ。でもサースフェーNXはポケットが多いので、手の届く範囲に身の回りのものが収納できるのが、すごく助かりました。

ビッグサイズのウエストポケットには、バッテリー、行動食、ドリンクなど何でも入れられます。以前は、ザック以外にも首からポーチを下げていたんですけど、それも不要になりました。

モバイルバッテリーも入る大型ウエストポケット

ポケットの口はバンジーコードで締められるので、ボトルを落とす心配もない

これまでは、ザックのショルダーハーネスにドリンクホルダーやスマホを入れるストラップを別付けしていたんですけど、ずれてしまうこともあり不便さがありました。サースフェーNXは、ショルダーハーネスにメッシュポケットが二つも装備されているのは、本当に便利だと思いました。

サースフェー NXについてもっと詳しく知りたい方はこちら

山岳写真の撮影を楽しみたい!/horizonさん(モニターNo.2)


名前:horizonさん(40代・男性)
登山歴:約15年
歩いたフィールド:蝶ヶ岳(1泊2日)、燕岳(1泊2日)

栃木県在住のhorizonさんは、山岳写真を撮影するのが趣味。一眼レフカメラと三脚を持っていくので、大型ザックは昔から使っていましたが、ミレー製品は試したことがなかったという理由でモニターに応募。今回はサースフェーNXの中でも一番大型の「75+」の使い心地をリポートしてくれました。

horizonさんの「サースフェーNX 75+」モニターレポート

一番驚いたのは、背中に暑さを感じなかったことです。

これまで使っていたザックも背面に通気孔があったのですが、汗でビッショリになってしまうことがありました。しかしサースフェーNXは、汗をかいても濡れた感じがせず、蒸し暑さも感じませんでした。この背面パットは、呼吸しているんじゃないか思うほど、通気性に優れていました。汗っかきの私としては、すごくありがたかったですね。

速乾素材とメッシュによって汗をかいても不快な濡れを防いでくれる

私は、撮影用の三脚をサイドポケットに入れるのですが、コンプレッションストラップが3本ついているのは重宝しました。一般的な大型ザックは2本しかついていないことが多いのですが、3本あると確実に三脚を固定できるので、落下する心配がなかったです。特に短めのアイテムをサイドポケットに入れるときは、ストラップが3本あると安心です。

サイドストラップが3本あるので、しっかりと三脚を固定できる

サイドのマチ付きジッパーポケットは、1Lのプラティパスソフトボトルを入れるのにちょうどよい大きさでした。出し入れもスムーズなので、ここはプラティパス専用ポケットに決定です(笑)。

サイドのジッパーポケットは、マチがついているので収納力が高い。写真は1Lのプラティパスソフトボトルを収納した様子

大雨のときはレインカバーをつけても、ザックが濡れてしまうことがありますが、サースフェーNXは、生地自体が雨を弾いてくれるので濡れる心配がなかったです。もちろん、ザックの中も全然濡れていませんでした。

本当に長く付き合っていけるザックに出会えたことに感謝したいです!

生地にシリコン加工が施されており、テントのフライシートと同等の耐水性がある

親子登山を楽しむ/nanapapaさん(モニターNo.3)


名前:nanapapaさん(40代・男性)
登山歴:約7年
歩いたフィールド:九重山(1泊2日)、祖母山(1泊2日)

九州のくじゅう連山を中心に親子で山歩きを楽しんでいるnanapapaさん。サースフェーNX 40+を愛用しているミレーの大ファンとのことですが、子どもたちが成長するにつれて山道具も増えてきたので、大型ザックを探していたところでした。

nanapapaさんの「サースフェーNX 60+」モニターレポート

子連れのテント泊だと、子どもの道具や食料をたくさん持つので、荷物が重くなるんです。九重山の山行では総重量が約32kgでした。ところが、それだけ重いはずなのに想像以上に軽く感じたんですよ。

これは、骨盤をしっかりとウエストベルトが包み込んでくれて、腰で荷物を背負うことができたからだと思います。背面長を調整する際は、仙骨と腰椎のカーブに背面パッドを当てるとフィットしましたね。あまりにも軽く荷物が感じたので、つい調子に乗って歩き過ぎて膝が痛くなってしまいました(笑)。

1.5mm厚の樹脂プレートが入ったウエストベルトは、腰でしっかりと荷重を支える

僕は体質的にすごく汗をかくんですけど、シャツの背中が汗でベットリしても、ザックが貼り付く感じがなく、不快感がありませんでした。

これは、パッドとメッシュの配置が抜群に良いからだと思います。特に肩甲骨と腰椎・仙骨上部の周辺は、必要最低限の接触なので、背面は汗濡れを感じないんですよ。逆にフロントに後付けしたカメラバックの方が接触面積が大きいので、濡れによる不快感を覚えてしまうほどでした。サースフェーNXのメッシュ構造は、「滝汗族」の私にとっては、嬉しい限りですね。

荷物が重いので、登りでは滝のような汗をかいてしまうが、背中に不快感を覚えない

子連れ登山で大助かりだったのが、ポケットが多いことです。とくにウエストベルトの折り畳める大型ポケットと付属のミニメッシュポケットは、頻繁に出し入れするものを分類しながら収納できます。日焼け止めにリップ、ファーストエイドに行動食、スマホにライターなども、ザックを下ろさず立ったまま取り出せるのはありがたいですね。

大容量の折りたたみポケットなので、小物をたくさん入れられる

初めてのロングトレイルに挑戦!/ちゃち子さん(モニターNo.4)


名前:ちゃち子さん(40代・女性)
登山歴:約4年
歩いたフィールド:大峯奥駈道(5泊6日)、釈迦ヶ岳(日帰り)

登山歴は4年ほどながら、地元の関西を中心に精力的に山に登っているちゃち子さん。今年は熊野古道が世界遺産に登録されて20周年なので、熊野古道の大峯奥駈道(おおみねおくがけみち、約170km)に挑戦することを決めました。初めてのロングトレイルチャレンジのために、機能的な大型ザックを探していたとのことです。

ちゃち子さんの「サースフェーNX60+」モニターレポート

私はこれまで使っていたのは、ULの50Lザックでした。だからサースフェーNXが届いたときは、2,330gもあるザックを背負えるか心配だったんです。不安を抱えながら大峯奥駈道を歩いていたところ、2日目になってやはり骨盤が圧迫されて痛くなってきました。

どうしようかなと思ったのですが、背面長をMからLに変えてみたんです。すると、腰に荷物が載るという感覚が初めてわかり、背負い心地が一気に変わりました。背面長をきちんと合わせるのが、いかに大切かを身を持って実感しましたね。

サースフェーは、背面の長さ調整が可能。背面長をLに変えてみたら、ちゃち子さんの腰の痛みもなくなった

背面長を調整してからは、だんだんザックと一体感が出てきて、背負うのが苦痛じゃなくなってきたんです。今回、あらためてザックは腰で背負うのが大切だということを実感しました。

それに、ULザックは軽いのですが生地が薄いのが心配になるんです。今回のモニター中も、歩いている途中で木に引っかかったり、岩に擦れたりしたんですが、サースフェーは生地が丈夫なので、びくともしなかったです(笑)。こういうコースを歩くときは、ULザックではなく、頑丈なザックを選んで正解だったなと思いながら縦走していました。

ルート上には倒木や岩場などをあり、それを乗り越えながら進んだ

熊野は雨が多いエリアなので、5泊6日も歩いていると雨に降られることもあるだろうなと覚悟していました。その通り、何度か雨が降ったのですが、生地に撥水加工が施されているおかげで荷物が濡れることはありませんでした

また、一緒に歩いた友だちと途中で離れ離れになってしまったのですが、付属の黄色いレインカバーをつけた私のことをすぐに見つけてくれました。彼女は「その色は目立つので、絶対いいです!」と言っていましたね(笑)。

左:多少の雨ならレインカバーなしでも行動できる。右:遠くからでも視認性が高いレモンイエローのレインカバー

サースフェーNXは、腰と肩で荷重をちゃんと分散できるので、体力がない女性にもおすすめだと思います。最初は背面長がうまく調整できずに痛みを感じて嘆いていたのですが、今はすごく愛着が湧いています(笑)。

サースフェーNXのここが知りたい!

実際のアウトドアフィールドで、サースフェーNXを使ってみた4名のモニターユーザーさん。その中で生まれた「ここはどうなっているんだろう?」「もっとこうしたらいいんじゃない?」という疑問や意見をミレーのプレス担当・林さんに聞いてみました!

雨蓋は、アタックザックにならないの?

nanapapaさん:ミレーのザックの中には、雨蓋を外してアタックザックやウエストポーチのように使えるモデルもあると思います。サースフェーNXがそれを採用しないのは、理由があるのでしょうか?

林さん:NX以前のサースフェー60Lは、雨蓋を外してサブバッグとして使えました。ただ、ユーザーさんの声を聞いているとサブバッグを使っている方が、それほど多くなかったんです。

また、バッグとして使えるようにすると、製造の工程が増えるのでコストがかかってしまいます。そこで、あまり使われない機能なら削って、トータルの金額をリーズナブルにすることを優先しました

メッシュポケットが小さめなのはなぜ?

ちゃち子さん:ショルダーハーネスにメッシュポケットは、500mlのペットボトルを入れるには少しキツイように感じたのですが…。

林さん:メッシュポケットに入れるものとしては、トレランなどでよく使われている柔らかいフラスコボトルだとペットボトルよりも細くて、形も変形するので、胸のカーブにも沿った形で入れやすいですよ。逆にこれ以上大きくすると、かさばって腕の動きに干渉してしまうので、このサイズになりました。

フラスコボトルだとメッシュポケットに入れやすい

ヘッドレストは、以前から搭載されているの?

horizonさん:サースフェーNXは、後頭部がザックに当たらないように凹みがありますよね。これは、すごく快適なのですが、ミレーのザックに以前からついているのですか?

頭上を見上げても後頭部がぶつからないよう考えられている

林さん:はい、これまでのザックにもついていました。サースフェーは縦に細長い形なので、今回大型モデルのアップデートをするにあたって、より快適になるように再設計したんです。ミレーでは、ザックを快適に背負うには、ヘッドクリアランスはとても重要だと考えています。

horizonさん:これまで使っていたザックでは雨蓋部分を調整するようにしていたのですが、サースフェーはその必要がなかったのでとても快適でした!

ユーザーさんによる大型サースフェーNXモニターレポートは、参考になりましたでしょうか? 大型サースフェーNXの機能の詳細については、下記のYAMAPマガジンの記事でも紹介していますので、ぜひチェックしてみてください!

ミレーの人気バックパック「サースフェーNX」に待望の大型モデル登場

サースフェー NXについてもっと詳しく知りたい方はこちら

原稿:大関直樹
協力:ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン

大関直樹

フリーライター

大関直樹

フリーライター

小中学校はボーイスカウト、高校はワンダーフォゲル部で自然に親しむ。好きなものは、タバコとお酒と競輪。最近は、山頂で一服すると周りの目が厳しいので肩身が狭いのが悩み。「みなさんが山で嫌な思いをしないように風下でこっそり吸いますので、許してください」