大好評のYAMAPコラボピンバッジ企画。その中でも昨年実施され、たくさんのYAMAPユーザーさんに参加いただいた群馬県の名山を登る「MT.GUNMAキャンペーン」がリニューアルして帰ってきました!
今回は獲得対象となる「ぐんま百名山」7山のなかから「前袈裟丸山(まえけさまるやま)」をレポートします。
2021.10.11
吉岡智子
山のWEB屋さん
昨年好評だったYAMAPと群馬県とのコラボレーションピンバッジキャンペーンがさらにパワーアップして再登場!今年はピンバッジに代わり、YAMAPオリジナルデザインの手ぬぐいがもらえます。条件は、キャンペーン期間中(10月11日~12月9日)に、ぐんま百名山の中から選ばれし7座へ登ること(詳細は下記リンクから)。
今回はキャンペーン対象7座の中から、アップダウンも少なく初心者向きの「袈裟丸山」の登山レポートをお届けします。
記事の最後には、「平標山(たいらっぴょうやま)」「八間山(はちけんさん)」「高岩(たかいわ)」3山の紹介をお届けします。記事を参考にバッジコレクターのみなさん、群馬の山旅が大好きなみなさん、この秋は群馬の山にGo!
群馬県みどり市~沼田市と栃木県日光市の県境に沿って、南から前袈裟丸山、後袈裟丸山、中袈裟丸山、奥袈裟丸山と並ぶ。最高峰は奥袈裟丸山(1,961m)。現在は、前袈裟丸山~後袈裟丸山をつなぐ八反張のコルの崩壊が進み、立ち入り禁止となっているため、4つの頂を一度の山行でつなぐことはできなくなっています。
気になるのはその山名。そのむかし、中国から戻った弘法大師が赤城山を開山(その山に寺院を建立すること)しようとしたところ、赤城山の山神が仏教の地となることを嫌がり、開山に必要とされる千谷のうちの一谷を隠し、九百九十九谷までしか現さなかったそうです。そのため弘法大師は残りの一谷を探して、現在の袈裟丸山までやってきたのですが、結局見つけることができず、諦めて着ていた袈裟を丸めて置いて下山した、という伝説からこの名が付いたと言われています。
「丸」は関東地方の山の名前でよく聞かれます(丹沢の檜洞丸や山梨の大蔵高丸など)。古い地図では「ケサ山」と書かれていたそうで、さて、この「丸」は、袈裟を「丸めて」置いたからなのか、それとも…っと、ここで掘り下げるとキリが無いので、霧が美しかった前袈裟丸山のレポートをどうぞ!
取材前日の夜、スマホの天気予報アプリで快晴を確認し、安心して眠った…はずなのに、登山口に着いたときには辺り一面真っ白。前袈裟丸山へのスタート地点、折場登山口は標高が1,189mあり、駐車場からは南斜面が開けていて、景色がよさそうです。予報通り晴れていれば…。
そんな一面真っ白な登山口には、同時公開中の小野子山レポートに続いて、モデルの加藤由佳さん、カメラマンの根本絵梨子さん、そしてワタクシの女3人。太陽が隠れていても、ワイワイ楽しく行こうじゃないですか。
緩やかな傾斜の登山道を歩き始めて30分ほどで、目の前が開け、眼下には滝も見えてきました。流れる霧の演出が見事で、ここはアルプスの高山ですか?と錯覚するほどダイナミックな光景が広がり、斜面には夏の余韻を残す花々が霞の向こうに見えます。
霧のことを「ガスった~」と登山の度に疎んできましたが、むしろ実力ある演出家として、特別にメンバーに迎えようかしらと思うほど幻想的な美しい景色を見ることができました。
開けた斜面を登りきると、白樺と笹原の淡い色合いが一面広がる空間へと誘われます。
そこから少し斜度を上げながら登ると、5枚の葉がまるで花のようにかわいらしい低木のトンネルが続きます。5月~6月にかけて白い花を付けるシロヤシオで、葉の付き方から、五葉躑躅(ゴヨウツヅジ)とも呼ばれます。歩いていると、ほかにミツバツツジの木も見られ、花の時期には新緑の黄緑、ツツジのピンクと白の3色が織りなす色彩のトンネルを堪能できることでしょう。
ヤシオツツジのトンネルを抜けると、マルバダケブキの群生が見られる一帯に出ます。マルバダケブキは夏の花で、大きな丸い葉とそこからスッと伸びた茎の先に咲く濃い黄色の花が特徴。秋が間近なこの時期に、まだまだ元気そうでした。
さて、黄色い花を楽しんでいたら、なにやらケモノの気配が。現れたのは鹿の親子。お母さんはジっとこちらを見つめて警戒している様子。それにも関わらず、カワイイ小鹿は後ろでピョンピョンと跳ねて楽しそうで、こちらにも興味津々です。こっちだって、小鹿以上に小鹿に夢中だよ!カメラマンの根本さんも、ひたすらシャッターを切りまくり、スマホで動画撮りまくりです。
一度去っていったかと思いきや、登山道にまた現れたりと、警戒しているんだか、遊ばれているんだか。こちらは十分に楽しませていただきました。
かわいらしい鹿の後は…またも霧の演出で雰囲気がグッと増した賽の河原へ。木が生えておらず、積み重ねられた大小の石がそこここにあり、間を通って進みます。
昔、ここで鬼に責められた子供たちが石を積み上げていたという伝説もあり、現在では、子供の新仏を出した人がここで石を積むと、その子供に会えると言われているそう。
ちなみにこの賽の河原、同じような場所がその後2度3度と現れます。霧が雰囲気出し過ぎていることもあり、もしかして…同じところをループしている?!なんて錯覚に陥りそうで、思わずYAMAPアプリで位置を確認しちゃいました。
賽の河原を後にし、再びツツジのトンネルをくぐると、小丸山(1,676m)に到着します。晴れていれば、ここから日光白根山、男体山を望むことができます。
小休止した後、今回の目的地である前袈裟丸山へと向かうべく、一度鞍部へと下ります。鞍部一帯は、背の高い白樺と立ち込める霧で、浮遊感すら感じられる広く深い空間が広がっていました。
霧の中を歩き続けると、突然現れたのは黄色いかまぼこ型の避難小屋。その色もあってか、遠目にはテントのようにも見え、この美しい空間でテントを張ってのんびりできたらいいなぁ、と妄想させられる場所でした。
避難小屋から少し背の高い笹をかき分けて、山頂への急登を進みます。このルート、ここまでほぼ急登が無かったため、最後で息が切れるな…と思いながらふと振り向いたとき、そこには、息を飲むほど美しい世界がありました。これほどまでに、霧が似合う山が過去あっただろうか、と考えを巡らせつつ、この美しい景色に身を置いていることが不思議に思えて、なんだか頭がフワフワとしたまま、上へ上へと登っていきました。
笹の急登を終えると、山頂まであと少し。空がなんとなく明るくなってきたではありませんか。これはもしかするともしかして‥奇跡の大逆転か…とニヤニヤしながら前袈裟丸山の山頂(1,878m)に到着。
すると、到着した加藤さんの笑顔の後ろに青空が!!バックパックを下ろして休憩しようというところで、即座にカメラを構える根本さん。いやはや、素晴らしいチームプレーであります。
その後も青空が出たり隠れたりで、天気予報完全に外れたと文句言っていたのですが、山頂のお天気は当たっていたのかもしれませんね。
山頂でのんびりと今日初めての青空を堪能し、下山は来た道を戻ります。
下山後、車で国道122号と並行して通っているわたらせ溪谷鐵道の水沼駅へと向かいます。山の疲れをとるのになぜ駅なのか?
そう、この水沼駅にはホームに隣接して温泉施設「水沼駅温泉センター」があるのです! 駅に足湯がある、なんていうのは聞きますが、ここは足だけじゃない、全身どっぷり浸かれる全国でも珍しい温泉駅なのです。
上流を流れる渡良瀬川の「釜が淵の河童伝説」にちなんで、カッパのモチーフがお出迎え。大浴場にもカッパさんがいましたよ。せっかくのエキナカ温泉なので、電車の旅で訪れてみるのもいいでしょう。
アカヤシオ、シロヤシオ、ミツバツツジ、そしてアズマシャクナゲ…とにかく花が人気の前袈裟丸山。花の無い時期の山行ではありましたが、その分、とても静かな山歩きを堪能することができました。途中で出会った鹿や歴史を感じさせる風景、幻想的な森など「なんでこの季節に登らないんだろう?」と不思議に思うほど。
普通なら晴天の山行がベストなのでしょうが、今回のように霧が立ち込める光景も素敵です。悪天候には注意していただきたいですが、霧の袈裟丸山も、みなさんにぜひ体感していただきたいと思いました。
秋から初冬にかけて、ツツジの葉が色づき、白樺の紅葉も見事でしょう。
花が有名な山を、あえて違う季節を楽しむというのも、なかなか乙だと思いませんか。
[山の情報]
前袈裟丸山
標高:1,878m
公共交通機関:わたらせ溪谷鐵道 沢入駅からタクシー(事前予約が良い)
車:北関東自動車道 太田桐生ICから約1時間45分
折場登山口 約20台/お手洗い有
※途中の林道は落石に注意。道もやや荒れています。
<平標山(たいらっぴょうやま)>
ogiさんの活動日記から
高山植物が広い稜線を彩る平標山は、谷川連峰の中でも人気の山です。今回は、いくつかルートが選べる中から、三国峠を起点とするルートをご紹介します。
三国トンネル脇の登山口から入山、まずは三国峠を経て、木製の階段を登り詰めると三国山山頂に到着。群馬県側の展望を眺めながら一息入れましょう。階段の登りが終わり、三角山の左奥にいよいよ目指す平標山が見え始めてきます。三角山まで来ると、眼前には山頂まで続く道筋が真っ直ぐに延び、右方向へ続く谷川主稜線も見えてきます。近づけば近づくほど、平標山のたおやかさが感じられます。途中、平標山の家でもう一息入れて、いよいよ山頂へ。
ここから始まる谷川岳主脈縦走路に思いを馳せながら、360度広がる山々を眺める時間は何ものにも代え難いでしょう。同じ道を辿って三国峠の駐車場へ戻ります。行きか帰りに歩いてきた登山道から15分ほどの位置にある大源太山(1,764m)へ寄るのも良いでしょう。谷川主脈を見渡すことができます。また、コースタイムが長いので、平標山の家に1泊するのもオススメです。
[山の情報]
平標山
標高:1,984m
関越自動車道 月夜野ICから国道17号で約40分
(YAMAP地図)
仙ノ倉山・平標山・大源太山
・オススメ寄り道スポット:法師温泉
法師温泉の宿は創業140年の歴史を持つ長寿館1軒のみで、国登録有形文化財になっています。鹿鳴館様式の建物と、敷き詰められた玉石の間から源泉が湧き出る混浴の「法師乃湯」が大変有名ですが、このほかに男女入れ替え制のお風呂もあります。
11:00~13:30の受付で立ち寄り湯の利用も可能。歴史ある建物と自然湧出の温泉で登山の疲れをいやしてみるのはいかがでしょうか。
法師温泉長寿館
群馬県利根郡みなかみ町永井650
0278-66-0005
立ち寄り湯の水曜と年末年始は利用不可。また、混雑時や大掃除の日も利用できない場合がありますので、事前に電話での確認をお願いします。
<八間山(はちけんざん)>
krnさんの活動日記から
八間山は群馬の観光スポット野反湖(のぞりこ)からも登りやすい山。今回は八間山と野反湖畔を歩く手軽なハイキングコースをご紹介します。
スタートは湖の南端、富士見峠(野反峠)の駐車場から、まずは八間山を目指します。左手に天空の湖とも言われる野反湖を眺めながら、春から夏にかけて花が咲く登山道を登ります。イカ岩の頭を過ぎると緩やかな登りになり、山頂へと向かいます。
山頂から湖は見えなくなりますが、白砂山、草津白根山方面の眺望がとても良く、ゆっくり休憩できる広さもあります。山頂からは茅ノ尾根を下って池の峠登山口から湖畔東側コースへ向かいます(富士見峠湖畔コース入口の道標あり)。湖畔沿いの道では、たくさんの高山植物に彩られた湖の美しい姿を楽しむことができ、とくに7月中旬ごろはノゾリキスゲが素晴らしく、たくさんの人で賑わいます。
[山の情報]
八間山
標高:1,934m
関越自動車道 渋川伊香保ICから長野原方面へ。国道292号~405号を経て野反湖。約1時間40分
(YAMAP地図)
白砂山・堂岩山・八間山
・オススメ寄り道スポット:野反峠休憩舎
富士見峠駐車場のすぐ隣にあるのが野反峠休憩舎。生地から手作りのピザや地元産まいたけを使った蕎麦・うどん、デザートなどが楽しめます。とくに、ふきのとうを使った「のぞりっ湖ピザ」やオリジナルみそ風味の「六合(くに)っ子ピザ」は他では食べられないメニューでオススメ。外のテラス席は野反湖を一望できるので、ぜひこちらで食べていただきたいです。
野反峠休憩舎
群馬県吾妻郡中之条町大字入山国有林124口林小班
090-3877-1429
営業時間:9:00〜17:00(不定休)
<高岩(たかいわ)>
たいしょー(^-^) さんの活動日記から
碓氷軽井沢ICを降りると右前方に現れる岩峰が、高岩の雄岳と雌岳。見上げる限り、とても登れる気配が無いのですが、相応の装備を準備すれば登ることができます。
高岩八風平駐車場(西登山口)から県道92号を経て高岩登山道(東登山口)へ入ります。40分ほど登山道を進むと雄岳、雌岳の分岐のコルに到達。まずは雄岳へ向かいますが、長い鎖のあるチムニーを登るには荷物が邪魔になるので、コルにデポするのが良いでしょう。また、登るにあたっては、ヘルメットを着用、ロープなどの装備は必要に応じて準備してください。
見えていた通りに、雄岳山頂は360度の素晴らしい展望。西上州の山々をはじめ、榛名山、浅間山、遠くは八ヶ岳までを一望できます。
コルへと下ったのち、荷物をピックアップして今度は雌岳に。P3を過ぎたら、縦穴風穴越しに浅間山が見えるポイントが見どころ。ただし、雌岳には鎖はありません。手がかり、足場はありますが、経験者にロープで確保してもらうなど、登頂には慎重な判断をお願いします。雌岳を下り、その後現れる25mのルンゼでは、固定ロープを使って慎重に下り、駐車場へと戻ります。
※高岩は岩場の多い山で、鎖場や急斜面が連続する上級者向けのルートです。雄岩と雌岩への登頂を計画される場合はヘルメットやロープを用意するなどクライミング用の装備を整え、危険を感じた際は撤退するなど、慎重な判断をお願いします。
「群馬県の山に登って特製手ぬぐいを手に入れよう!」キャンペーンの高岩のデジタルバッジ獲得地点は雄岩と雌岩を繋ぐコル(鞍部)に設定しています(雄岩と雌岩を登頂する必要はありません)。ご自分の実力を超えた無理な登山はお控えください。
[山の情報]
高岩
標高:雄岳 1,084m
上信越自動車道 碓氷軽井沢ICから県道92号ですぐ。
(YAMAP地図)
高岩
オススメ寄り道スポット:峠の釜めし おぎのや
碓氷軽井沢ICからすぐ、おぎのや 軽井沢トレーラーハウス店があります。
昭和33年に横川駅(群馬県安中市)にて販売されたのが最初という「峠の釜めし」。口コミで評判となり、大ヒット。以来現在まで群馬県内および長野県内店舗にて販売中。たくさんのファンに愛され続けています。
陶器製の「釜」が重たいので、登山のお弁当として難しいかもしれませんが、コルまでのハイキングなら…背負っていけるかもしれません。とはいえ、無理はせずに、下山後のおなかが空いたころに美味しくいただきましょう。
おぎのや 軽井沢トレーラーハウス店
群馬県安中市松井田町西野牧17160-3
営業時間:11:00~16:00(木曜定休・冬季休業)
電話:027-395-3755
※販売のみ、イートインスペースはありません。
別ページでは、キャンペーン対象の全7山のうち、日光白根山など3山を紹介しています。
そのうちの1山「小野子山」を歩いたレポートもお届けしておりますので、こちらも是非ご覧ください。
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「群馬県の山に登って特製手ぬぐいを手に入れよう!」
ぐんま百名山の中から、
・小野子山 ・袈裟丸山 ・日光白根山 ・平標山 ・御荷鉾山 ・高岩 ・八間山
の7山に登って、YAMAPオリジナル手ぬぐいがもらえるキャンペーン実施中!
詳しくは下のリンクをチェックして、ぜひご参加くださいね。
文:吉岡智子(ハタケスタジオ)
写真:根本絵梨子
モデル:加藤由佳(ジャングル)
協力:群馬県、群馬県観光物産国際協会