南伊豆ロングトレイル|潮風香る古道の山旅は冬こそベストシーズン

伊豆半島の南端にある海岸線をつないで歩く「南伊豆ロングトレイル」。温暖な気候で寒いシーズンでも気持ちよく歩けるので、特に晩秋から冬にかけての登山としてオススメしたいトレイルです。今回は、南伊豆ロングトレイルの起点である松崎町をスタート。集落と集落をつないで歩く気持ちの良い山旅を、イラストレーターのディーン・アイザワさんが紹介します。

2023.12.12

大堀 啓太

ライター・編集

INDEX

南伊豆ロングトレイルとは

河口沿いの漁船を眺めながら歩けるのも、南伊豆ロングトレイルならでは

静岡県松崎町から伊豆半島最南端の石廊崎までを歩くのが、南伊豆ロングトレイル。街中や海岸線を通る舗装路、南伊豆歩道や古道などのトレイルをつなげた道で、全長は50kmほどあります。

山と海の両方の自然の中を歩き、海鮮などの地物に舌鼓を打ち、1日歩いて疲れた体を温泉で癒す。地元に根付いたトレイルには、その土地の文化や歴史も刻まれています。

そう、まさに南伊豆は山旅スタイルのロングトレイルにぴったりのエリアなのです。

「世界でいちばん富士山がきれいに見える町」をセクションハイク

海底火山だった伊豆半島の海岸線は、圧巻の自然の造形美

南伊豆ロングトレイルの起終点である松崎町では、「世界でいちばん富士山がきれいに見える町」を宣言するほど、駿河湾越しに富士山が望める大パノラマが広がっています。そんな絶景を楽しめるスポットが、町中にもトレイルにもたくさんあります。

今回は、そんな松崎町を起点にした1泊2日コースで、南伊豆ロングトレイルの一部を歩く約14Kmのセクションハイクを計画。トレイルだけではなく、食や土地の文化など伊豆の観光も楽しみたい方に向けた充実の山旅プランです。

雲見の民宿で圧倒された海鮮づくし。これを食べに来るだけでも南伊豆に来る価値はある

地元の魚を使った手作りのさつまあげと、松崎銘菓のさくら葉餅はトレイル歩きの行動食にぴったり

1日目は、松崎町ならではの地元の食などを調達しながら、街中を散策します。

松崎町は、全国でも貴重な日本伝統の壁塗り様式の「なまこ壁」の建物が立ち並ぶ、風情漂う町並み。さくら餅に使われることで知られる桜葉(オオシマザクラ)の生産量が日本一で、全国シェアの約7割を誇ります。とくに、松崎町銘菓の「さくら葉餅」は絶品として知られます。

松崎町の市街地を散策した後は、車で雲見集落に移動して漁師民宿に宿泊し、明日のトレイル歩きに向けて体を休めます。

2日目は、松崎町から雲見にある高通山までの約15kmのトレイル歩き。長くはない距離ですが、海と山へのアップダウンが連続。南伊豆らしい眺望も満喫できる歩きがいのあるコースです。

トレイル歩き|潮風香る古道

厳島神社から伸びるトレイルの行く先を確認して、松崎海岸に歩み出す。

宿泊していた雲見から昨日歩いた松崎市街まで戻って松崎旧港海岸に車を駐車。弁天島にある厳島神社から、松崎海岸を歩き、市街地を抜けトレイルヘッド(登山口)を目指します。

今回の案内役で、イラストレーターのディーンさんと一緒に歩いてくれるのは松崎町企画観光課の八木さん。20年以上前からボランティアでトレイル周りの草刈りやゴミ拾いをするほど地元愛にあふれる方です。

いまでは有志からなる「松崎古道守り隊」を結成。古道の整備活動や情報発信を行っている理由を、こう教えてくれました。

「自分が住んでいる場所だからこそ景観をよくしたいし、たくさんの人に楽しんでもらいたい。道は歩かなくなると荒れてしまうので、昔の人が作ってくれた素晴らしい道を維持していきたいです」

自然だけじゃない、日本の伝統や文化に触れる

立派ななまこ壁の家屋。町内には、いまも地元の方が住んでいる、なまこ壁の家屋があるという

松崎海岸を過ぎ、市街を歩いていると目を引く白い壁をもった古い建物がいくつも現れます。これは漆喰を盛り付けた「なまこ壁」。潮風や台風などの自然災害に強く、土壁や板壁よりも耐火性に優れていて、風の強い海辺の地域に適した壁塗り様式のひとつです。

街中のトレイルを歩いていると、普段は目も向けないようなところにも視野が広がります。こうした史跡などにも触れられる山旅は、山頂を目指す登山とはまた違った楽しみがあります。

トレイルヘッドから踏み跡をたどって登山開始。間違えないようにYAMAPで確認しよう

松崎町から舗装路を50分ほど歩くと、室岩洞の駐車場に到着。室岩洞の案内板を背にして、少し戻るとトレイルヘッドがあります。道標がないために少し分かりづらいかもしれませんが、しっかりついた踏み跡を辿れば、ここから山のトレイルが始まります。

しばらく続く急登の先には、木漏れ日が射す気持ちのいい稜線歩きに

樹の間から一望した松崎町は、まさに湾に面した港町だった

昔の人も山仕事や通行の安全を祈願したであろう、歴史を感じる石祠

トレイルには段々になっている畑の跡や山の神の石祠、宝暦五年(1755年)と掘られた260年以上も前から鎮座している石仏もあり、昔の人の生活道だったころの息遣いを感じて、感慨深くなります。

「海岸線沿いの山の中には、たくさんの古道があります。昔の人は、普段は海から集落、また別の集落へと移動することが多かったのですが、時化(しけ)のときなどにはこの道を使っていたようです」(八木さん)

山から海、そしてまた山へ

左:トレイルには八木さんお手製の道標も設置されています。右:山から海辺の石部集落へと下り立つ

トレイルを下りてすぐ目の前に広がる石部海岸でひと休み。潮騒のBGMで、疲れがほぐされていく

トレイルヘッドから岩地峠を越えて歩き続けること約2時間で、石部集落へ。

集落と集落をつなぐ海岸線沿いの山越えトレイルとあって、アップダウンが連続し、脚にも疲れが…。気持ちの良さそうな石部海岸に思わず足を止めて、しばしの休憩を取りました。

ディーンさん「普段の登山と比べて、距離も標高もあまりないですが、アップダウンが連続して登り応えがありますね。山から下りてきた浜辺や海岸で疲れた脚を休められるので、いつもの山と違った新鮮さがあります。」

再出発すると、トレイルは海を離れて石部集落を抜け、また山へと入っていく

三競展望台から広がる展望に、「すごい…」の声が漏れる

左:立派な三競展望台はイスやテーブルもある休憩ポイント。右:海岸線を前に、スッと道具を取り出して、サッとスケッチするディーンさん

石部集落から少しきついジグザグな上り道を登りきると黒崎展望所の分岐点に。そこからさらに15分ほど稜線を歩くと、八木さんおすすめの絶景が待つ三競展望台に到着します。

樹林を抜けるとパッと視界が開け、目の前には富士山がその雄姿を現し、眼下には黒崎や荻谷崎などの美しくも厳かな海岸線が伸びています。このために歩いてきたと言ってもいいくらいにきれいで、ディーンさんの顔も八木さんの顔もほころんでいます。

ディーンさんがスケッチした水彩画。筆一本で、ほんの十数分で書き上げたとは思えない

「南伊豆ロングトレイルの話を受けたときに、この伊豆半島ならではの入り江が入り組んだジグザグの海岸線を描きたいって思ってたんですよ。すごく美しい風景ですよね!」と満足げなディーンさん。

石丁場跡を通って、雲見集落へ。つぎつぎと変化のあるトレイルで足が弾む

いつまでも眺めていたくなる風景に後ろ髪を引かれながら、次の集落の雲見へ歩を進めると、現れたのは石丁場跡(石を山から切り出した跡)。

伊豆半島は「伊豆石」の産地で、古くから石材加工が盛んな地域。風化しにくく耐火性にも優れた質のいい伊豆石は、江戸城の石垣などにも使われたそうです。

ここから切り出された石は海から運ばれていったようですが、いったいどうやって運んだのか、便利な現代にあっては想像も及びません。

そんな石丁場跡は、まるで古代の遺跡のようで、冒険気分のワクワク感が高まり、トレイルを歩く足取りも軽くなります。

トレイルから見える雲見海岸と烏帽子山。時間と体力に余裕があれば、正面の烏帽子山(標高163m)にはぜひ登ってほしい

集落で準備を整え、絶景待つ最後の登りへ

雲見集落にある「とばやストア」は補給ポイントにありがたい存在

石切場跡を過ぎれば、今回の山旅で通る最後の集落の雲見に到着。雲見集落には、食料や飲料を補給できる商店があり、公衆トイレもあります。この先のトレイルに待ち構えているのは、今回のコースで唯一登頂する高通山(519m)。しっかり登りきるためにも、ここでしっかりと準備を整えます。

高通山へは、雲見集落から舗装路を約40分ほど歩いた先の「雲見オートキャンプ場」そばのトレイルヘッドから登ります。

高通山への登りは、トレイルヘッドからのコースタイムで1時間

シダ植物が生い茂る南国のジャングルのようなトレイル。これまでの植生との違いに、温暖な気候を感じる

最初で最後の山頂に到着! 南側は、変化に富んだ伊豆西南海岸の見晴らしがいい

トレイルの終盤に差し掛かったことで、頭をよぎるのは山旅の終わり。一歩一歩を踏みしめながら登ると、やがて頭上が明るくなり、ついに標高518mの高通山山頂へ。

山頂は四方に開けていて、ゴールにふさわしい大展望が広がっています。この山旅を終始見守ってくれていた富士山、松崎の市街地からはるばる歩いてきた海岸線、どこまでも続く水平線。短くも充実したトレイル歩きの達成感が、そこにはありました。

別れを惜しむように、まだ先に続く伊豆西南海岸をスケッチしていたディーンさんに、南伊豆ロングトレイルの感想を聞きました。

「登山と違って、山と海の両方を体感できたのがよかった!トレイルを歩きながら海の音が聴こえたのは、とても新鮮でした。石丁場跡は遺跡みたいで格好良くて、スケッチしたかったなと…。また歩きにきたいと思います」

これまで歩いてきた道のりを振り返る。富士山だけではなく南アルプスまで一望できた

下山後は、雲見集落まで歩いてバスに乗り、松崎町の市街地まで戻って車を回収。市街地まで戻ってきたときに、思わず「ただいま」とディーンさんがつぶやいているようにも見えました。

ロングトレイル旅の寄り道|松崎町おすすめスポット

松崎町まで来てトレイル歩きだけで終わるのはもったいない。たくさんある食べておくべき名物や見ておくべきスポットのなかから、その一部をご紹介します。

自家製ひものを炭火で/民芸茶房(みんげいさぼう)

注文を受けてから、自家製の干物を炭火で丁寧に焼いてくれる

オーナー・豊崎一雄さんが集めた魚のはく製ギャラリーは隣の豊崎ホテルで鑑賞できる

松崎港のすぐそばにあり、ご飯も食べられて、自家製干物を買うこともできる磯料理店。さらには、オーナーが趣味で集めた魚のはく製ギャラリーまで楽しめてしまう。

オーナーのお気に入りのはく製は「流線形がすばらしいメバチ」とのこと。料理店の人気メニューは、自家製の炭火焼干物と刺身が付いた美味しいランチ(1,980円)。

民芸茶房(みんげいさぼう)

営業時間:7:30~15:00、17:00~20:30
定休日:不定休
http://mingei-sabou.com/

ふっくらもちもち食感がたまらない/さつまあげ はやま

地元の方に愛されているため、早々に売り切れてしまうことも…

栄養も満点で手も汚れない串に刺さったさつまあげは、トレイル歩きの行動食にぴったり

素材にこだわって、魚本来の旨味を最大限に引き出せるよう、手作りにこだわったさつまあげ専門店。さまざまなメニューがありますが、地元民のおすすめは「カレー団子」。毎日その日の分しか作らないため、完売してしまうことも多いですが、近くのスーパー「サンフレッシュ」でも購入できます。

さつまあげ はやま

営業時間:6:30~14:00
定休日:木曜日、隔週日曜日
https://www.at-ml.jp/72129/

1931年創業、老舗の菓子処/梅月園(ばいげつえん)

県道15号線沿いに立つ桜田店は、10台分の駐車場スペースがあって車でも行きやすい

名物の「さくら葉餅」と、左官の名工・伊豆の長八にあやかった銘菓「長八の龍」

1931年に創業した老舗の菓子処で、たくさんの和菓子やら洋菓子やらが並んでいます。なかでも、おさえておきたいのは「さくら葉餅」(1個160円)。

ばら売りで個包装されているため、トレイル歩きの行動食にはもってこい。さくら葉の香りに癒され、ほんのりのしょっぱさと、あんこの控えめな甘さで、疲れを忘れるほど。

梅月園(ばいげつえん)桜田店

営業時間:8:00~19:00
定休日:不定休
https://www.izubaigetsuen.com/

手作りにこだわった、桜葉もち専門店/桜味堂(さくらみどう)

2022年に移転した新店舗。店舗前に駐車スペースが4台分ある

店内にはイートインスペースがあって、桜葉もちをゆっくり堪能できる

ひとつひとつ手作りしている桜葉もち専門店。もちは関西風の道明寺、西伊豆松崎産の香り豊かな桜葉を贅沢に2枚使い、餡は北海道の小豆を半つぶ状の練餡にしたものを使用。1箱8個入りで1,360円。店内には、喫茶コーナーがあり、コーヒー、紅茶、お抹茶のいづれかと桜葉もちのセットを楽しめます。

桜味堂(さくらみどう)
営業時間:9:00~16:00
定休日:不定休
https://sakuramidou.thebase.in/

地元の原料で作る絶品スイーツ店/フランボワーズ

目移りしてしまうほど、おいしそうな創作ケーキが並ぶ

中庭を望める外テーブルは、樹齢350年以上の黒松一枚板

地元の原料を使用した地産地消の香味菓子・ケーキ屋さん。松崎でその時期に採れたみかんの皮を使って加工し、刻んだみかんの皮をたっぷり入れて焼き上げた「松崎みかんケーキ」(1切れ:220円、小サイズ:1,700円、大サイズ:2,000円)が大人気。

フランボワーズ
営業時間:9:30~18:00
定休日:年中無休
https://framboise.cafe/

昔懐かしい味わいと、ホッと落ち着く店構え/清水屋パン店

おいしそうな総菜パンや菓子パンばかりが並んでいて、ついつい迷ってしまう。トレーもレトロでかわいい

一番人気の「ソボロパン」は、どこか懐かしい味がした

昔ながらのパンが地元の方にも愛されている昭和24年創業のパン屋さん。松崎の特産である「桜葉」を使用したあんぱんや、テレビドラマに登場したコロッケパンなどの名物パンが並んでいますが、売り切れ必至なので早めに行きましょう。

すべてのパンは個包装されていて携行にも便利で、トレイル歩きの行動食としてもおすすめです。

清水屋パン店
営業時間:月~金7:00~19:00、土 7:00~18:00
定休日:日曜日
https://shimizuya-pan.com/

食事もできる、蔵造りの古民家ギャラリー/蔵ら(くらら)

「みんなの居場所」を作るために、古民家を改修して2010年にオープン

代表の青森千枝美さんは、だれよりも元気で朗らかな昭和の乙女

合言葉は「高齢者でも夢を持って楽しく生きる」。地元の昭和の乙女たちが企業組合を設立して、地元食材を使ったスパイスカレーなどのランチや、お茶と和菓子のセットを提供する和カフェを営業(和カフェの営業日は月曜、水曜、土曜、日曜)。これまでの経験や特技を生かした手芸品、工芸品の製作や販売も行い、高齢者の生きがいづくりに取り組んでいます。

蔵ら(くらら)
営業時間: 10:00~16:00
定休日:木曜日
https://www.town.matsuzaki.shizuoka.jp/docs/2019083000010/

伝統の左官技術を生かした漆喰アート/伊豆の長八美術館(ちょうはちびじゅつかん)

漆喰を材料に左官職人が壁を塗る鏝(こて)を使い、絵画として表現したものを鏝絵(こてえ)という

繊細かつ大胆な鏝絵に、時間を忘れて見入ってしまう

漆喰鏝絵を芸術分野として確立させた左官の名工・入江長八(松崎町出身)の作品が多く展示された、日本随一の漆喰アートの美術館。独特な技法で、水彩画などにはない立体的で躍動感ある鏝絵は一見の価値あり。

建物には全国から集まった左官職人の技術がおしみなく注がれ、「江戸と21世紀を融合させた建物」として高く評価されています。

伊豆の長八美術館(ちょうはちびじゅつかん)
営業時間: 9:00~17:00
定休日:年中無休(メンテナンス休あり)
入館料:大人500円(中学生以下無料)
https://www.izu-matsuzaki.com/pages/69/

江戸時代から続いた採石場跡/室岩洞(むろいわどう)

まるで自然の洞窟のようで、とても人の手で掘ったとは思えない入口

照明が設置された洞内でも、探検家になったような気分を味わえる

室岩洞は、江戸時代から1954年頃まで稼働していた採石場跡です。洞内は広いものの、要所に順路案内や照明などが整備され、安全に歩くことができます。解説版や石切りの様子を再現した彫刻などによって、当時の石切り場の様子をうかがい知ることができます。

室岩洞(むろいわどう)
営業時間:8:30~17:00(洞内の電気点灯時間)
注意事項:16:30以降は危険防止のため中に入らいないでください
https://izumatsuzakinet.com/muroiwadou/

トレイル歩きを癒す、山間の温泉/大沢温泉 野天風呂 山の家

川沿いにある風情ある建物は築80年以上で、昔から地元民に愛される温泉浴場

山肌の岩盤を切り出した野趣溢れる湯舟には、毎分230リットルもの温泉がゴボゴボと自噴している

肌にやさしい泉質で、古くから化粧の湯や美人の湯としても親しまれてきた大沢温泉・山の家。湯船に温泉が自噴しているため、新鮮な源泉そのものを楽しめます。耳をすませば、川のせせらぎや鳥のさえずりが聞こえてくるほど静かな自然の中で、ゆっくりと温泉に浸かれば、トレイル歩きの疲れも癒されていきます。

大沢温泉 野天風呂 山の家
営業時間: 【5~8月】8:00~21:00、【9~4月】9:00~21:00
定休日:年中無休
入館料:大人:500円、小人:300円(小学生以下)
https://notenburo.jp/

おもてなし心あふれる、漁師民宿/長右ェ門(ちょうえもん)

ズラリと並ぶ海鮮料理に喉が鳴るも、はたして食べきれるのだろうか…

雲見名物のカブト酒。雲見にいたという海賊の習わしで、鯛の頭と骨にお酒を豪快に注いでいただく

まるで実家に帰ってきたかのように、ホッとできる民宿。館内は、落ち着きのある木目調で、フロント前のゆっくり処にはコーヒーなどが置かれて休憩できるスペースがあります。

「新鮮で美味いものを」というご主人は、自ら船を出して魚介類を捕り、野菜やお米も自家栽培。雲見のおいしさを堪能できる。

料理民宿 長右ェ門(ちょうえもん)
宿泊料:1泊2食付き:9,600円~、素泊まり:5,000円~
http://chouemon.jp/

歩みを急がず、南伊豆で楽しむトレイル歩きを

1日目にディーンさんがスケッチした、夕焼けに染まる松崎海岸。ただただ美しかった

山頂を目指す登山では味わえない、その地域の文化や歴史にまで触れられる山旅が、南伊豆ロングトレイルにはあります。温暖な気候の南伊豆を歩いて、山の楽しみ方を少しだけ広げてみませんか?

原稿:大堀啓太(ハタケスタジオ)
撮影:西條聡
モデル・イラスト:ディーン・アイザワ
協力:松崎町

大堀 啓太

ライター・編集

大堀 啓太

ライター・編集

1984年東京都生まれ札幌育ち。東海大学の探検会に入部したことで、アウトドアで遊び始める。学業はほどほどに、毎週のように丹沢や奥多摩などで遊んで山の世界にのめり込んでいき、気づけば東京・上野にあるアウトドアショップに入社。4年ほど店頭に立ったのちに、アウトドアブランドに転職してマーケティングを10年ほど担当。現在は、仕事と遊びで培った山の知識を生かして、デザイン会社「ハタケスタジオ」にてライターを ...(続きを読む

1984年東京都生まれ札幌育ち。東海大学の探検会に入部したことで、アウトドアで遊び始める。学業はほどほどに、毎週のように丹沢や奥多摩などで遊んで山の世界にのめり込んでいき、気づけば東京・上野にあるアウトドアショップに入社。4年ほど店頭に立ったのちに、アウトドアブランドに転職してマーケティングを10年ほど担当。現在は、仕事と遊びで培った山の知識を生かして、デザイン会社「ハタケスタジオ」にてライターを担当。