「絶景に出会って、スマホやカメラのシャッターを切っては見たものの、イマイチ上手に撮影できない…」。そんな経験、ありませんか?
ひょっとすると、その理由は「光」にあるのかもしれません。光を上手に活用することができれば、写真はもっと美しく幻想的になるのです。
今回の記事では、写真家の川野恭子先生から「山の光を見つけ、印象的な写真に仕上げる方法」を教えてもらいました。使用した機材は、防塵防滴性能を備えた、登山にぴったりな小型軽量一眼カメラOM SYSTEM「OM-5」。生徒役はモデルの菖蒲理乃さんです。果たして菖蒲さんは、素敵な写真を撮れるようになったのでしょうか?
2024.10.18
YAMAP MAGAZINE 編集部
ふたりが訪れたのは、長野県と山梨県の県境に位置する八ヶ岳。稜線もさることながら苔むした樹林帯も美しく、気持ちの良い森歩きが楽しめる山です。登山口は天狗岳登山口のひとつ、唐沢鉱泉を選びました。
今回も生徒役でご登場いただくのはモデルの菖蒲理乃さん。
この日は午後に雷雨がくるかも…という不安な天候。山での天候変化はよくあることだからこそ、無理せず美しい光を探すコツをレクチャーしていただきました。
菖蒲理乃(以下菖蒲)
川野さんとは、何度か現場をご一緒したことがありますね。改めて、今日はよろしくお願いします!
川野恭子(以下川野)
私も再び菖蒲さんとご一緒できて嬉しいです!よろしくお願いします。
菖蒲
それにしても八ヶ岳は最高ですね〜。 今回のテーマは「光」と伺っています。写真に光が大切なのはなんとなく理解できるんですが、正直、ピンと来ていません(笑)。
川野
そうですよね、光というと太陽や照明などの光源をイメージしがちですが、それだけではないのです。光の当たり方、方向、明暗、強弱など、光を観察することで、写真はより印象的に変わります。楽しみにしていてくださいね!
今回のルート。当初は黒百合ヒュッテまで脚を伸ばす予定だったが、天候悪化の兆候が見られたため、途中で引き返した(地図クリックで拡大)
「OM SYSTEM」は、ハーフサイズカメラ「オリンパスペン」で一世を風靡した「オリンパス」から映像事業に関わる部門が独立・分社化した「OMデジタルソリューションズ」が手がけるブランド。約90年にも及ぶオリンパスのDNAを引き継いだ名機をリリースし続けています。
今回ふたりが使用する機材は「OM SYSTEM」の一眼カメラ「OM-5」と標準ズームの「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」、望遠ズームの「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO」、そして単焦点の「M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO」という3本のレンズ。
「OM-5」は、雨中や低温下などの過酷な環境でも撮影を続けられる防塵・防滴・−10℃耐低温設計の一眼カメラ。丈夫さと軽さ、描写の美しさから、多くの登山者に注目されているモデルです。
さらに、OM SYSTEM の特徴として、カメラひとつで豊かな表現を楽しめる「コンピュテーショナルフォトグラフィ」機能が搭載されており、曇の日や雨の日でも美しい写真が撮れるのがポイント。
川野
今回使用する「OM-5」は、私も仕事とプライベートの両方で使用しています。
小型軽量なので、体力がない私でも無理なく山に連れて行くことができますし、YAMAP MAGAZINE のロケでも活躍してくれています。
「OM SYSTEM」はボディだけでなくレンズも小型軽量。交換レンズを持ち歩いても、苦にならないところが気に入っています。山に連れて行くなら間違いなく「OM-5」を選択しますね。
菖蒲
私も、過去2回の講義で「OM-5」と一緒に山に登りましたが、とても軽くて、登山の邪魔にならないところがすごく気に入っています。スマホ感覚のタッチディスプレイで撮影できる点も便利ですよね!
――唐沢鉱泉登山口から黒百合ヒュッテへ向かう登山道は、針葉樹や苔が美しい樹林帯から始まります。雲間から差す日差しが森に降り注ぎ、美しく輝いていました。
「まずは、光が当たってきれいだな…と思う場所を探しながら歩いてみましょう」と川野先生。菖蒲さんは、どのような光を見つけるのでしょうか?
菖蒲
八ヶ岳といえば、苔の風景が印象的です。最初は苔を狙ってみようかな。
――さっそく苔に注目した菖蒲さん。レンズは、川野先生からのアドバイスで「M.ZUIKO.DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」を選択しました。
撮影モードは「「プログラムオート(P)」。 写真の明るさに応じて、カメラが絞り値とシャッター速度を適切に設定してくれるので、初心者の方でもストレスなく撮影できます。
川野
「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO」は、接写が可能で、最も広角で撮影する際なら12cm、最も望遠で撮影する際なら23cmまで寄ることができる優れもの。
広い景色だけでなく、苔や水滴の接写にも適しているので、「山ではマストなレンズ」です。カメラとセットで販売されているので、最初の一本として、とても優秀だと思います。
菖蒲
この辺りは、光が差し込んでいてとても綺麗です!
川野
良い光を見つけましたね! 苔にスポットライトが当たっているように見えます。舞台やテレビと同じように、スポットライトには被写体を際立たせる効果があるんです。
ーー意気揚々と撮影してみた菖蒲さんですが、ちょっと不満げな様子。
菖蒲
なんだかのっぺりとして、奥行きが感じられないように見えます…。
苔に差し込む美しい光を撮影したかったのだが…印象の薄い写真になってしまった
川野
確かに…。おそらく光だけに気を取られてしまっているからですね。大切なのは光と影。
光の当たる部分だけを切り取ると明暗差がなくなり、立体感が薄れてしまうんです。
少しズームアウトして、画面のなかに影を入れてみましょう。また、遠くの背景が入るよう、レンズの角度を少し上に向けてみましょうか。
被写体から少し離れ、光と影を画角に入れると、スポットライトの効果が出て立体的な仕上がりに!
菖蒲
先生のアドバイスを意識したら、奥行きと立体感のある写真になりました!
川野
良いですね! ただ…主役が定まらない印象です。撮りたい被写体を明確にすると、もっと良くなりますよ。
――光り輝く苔をじっと見つめる菖蒲さん。すると、何か撮りたい被写体を見つけたようです。
菖蒲
マッチ棒のような苔がにょきっと生えている姿が可愛らしくて、撮影してみました。どうでしょうか?
さらに工夫を凝らして光と影の中に主役となる被写体を定めると、ぐっとフォトジェニックな仕上がり
川野
すごく良いです! 主役になっている苔の前後に影ができているので苔の輝きが際立ち、存在感が増しましたね。
菖蒲
光を探すって影を探すことでもあるんですね!
光探しのノウハウ
ーー美しい写真の仕上がりにご満悦の菖蒲さん。川野先生はその様子を見て、更なるステップアップのアドバイスを投げかけます。
川野
光は写真の明るさをコントロールすると、さらに印象的になります。
ところで菖蒲さん、写真の明るさをコントロールする機能と言えば何だったか覚えていますか?
菖蒲
たしか「露出補正」でしたよね? 吉住先生・秦先生からも教えていただきました。数値をプラスにすると明るく、マイナスにすると暗くなるんですよね?。
川野
そのとおり。では、先ほど撮影した写真の明るさを少し暗くしてもらえますか?
露出補正で暗くすると…、写真がしっとりした雰囲気になり、苔の質感が伝わるようになった
菖蒲
すごい! 苔の立体感が増して、しっとりとした印象になった気がします。
川野
そうです。写真の明るさで印象が変わりますよね。
明るく撮影すると爽やかな印象ですが、暗く撮影すると落ち着いた印象に仕上がります。
主役となる被写体をどのように表現したいかによって、明るさを変えると良いですよ。
露出補正のノウハウ
――さらに歩いていると、地面が苔に覆われた森が現れました。レンズを「M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO」に変更してカメラを構えます。
菖蒲
まるで、もののけ姫の森のようですね。木漏れ日が差し込む感じがとても美しいのですが、写真で撮ると影が強すぎて…。
露出補正で明るくすると、影は明るくなりますが、今度は光が強く当たっている部分が白っぽく飛んでしまいます…。
光が差し込む森を撮影してみたが、影が強すぎて黒っぽい写真になってしまった
川野
カメラは明暗差の大きいところが苦手なんです。
人間の目では明るい部分も暗い部分もちょうど良い明るさに見えますが、カメラはそうではないのですよね。
このようなときは「OM-5」の機能「ハイライト&シャドウコントロール」を使います。
先ほどの露出補正では、写真全体の明るさを変えることができましたが、「ハイライト&シャドウコントロール」では、明部だけ、暗部だけ、中間部だけ…と、領域ごとに明るさを変えられます。
白飛び(明るすぎる部分が真っ白になってしまう現象)や黒つぶれ(暗すぎる部分が真っ黒になってしまう現象)を抑えたい時にぴったり。山ではとても便利な機能です。
この写真の場合、影が強すぎるので、そこだけ少し明るくしてみましょうか。液晶パネルの操作で簡単に明るく(暗く)調整することができます。いかがですか?
影部分の黒色が和らぎ、ディテールが見えるようになった
菖蒲
わ、すごい! 暗かった影部分が明るくなりました。目で見た印象とほぼ同じです。晴れた日の樹林帯ではいつも悩まされていたので、これは便利ですね!
パソコンで加工しないと撮れないのかな…と思っていたから、カメラひとつで撮れるのは嬉しいです。
ハイライト&シャドウコントロールのノウハウ
――秋の森は、そこかしこにキノコが。菖蒲さんも可愛らしいキノコを見つけたようです。レンズを「12-45mm F4.0 PRO」に戻して、早速撮影。
純白のキノコの可愛らしい表情を撮影することができた
菖蒲
きのこが3つ並んで兄弟のようです! こんな感じで撮影してみたのですが、いかがですか?
川野
とてもよく撮れています! 背景が暗いので、白いきのこが浮かび上がってくるようです。このままでも良いですが、玉ぼけを使ってより幻想的に仕上げることも出来ますよ。
菖蒲
玉ぼけ?
川野
玉ぼけは、葉と葉の隙間から見える陽光などが、ぼけて丸く玉状の光になったものです。
水玉模様のようで可愛いですよ。玉ぼけを作るためには背景をぼかしたいので、撮影モードを「プログラムオート(P)」から「絞り優先オート(A)」にします。
「絞り優先オート」は、絞り値(F値)を変更することができ、他の設定はカメラが自動で調整してくれるモードです。
菖蒲
吉住先生から教えて頂いた背景をぼかす方法ですね!たしか、F値を小さくするとぼけやすくなるのでしたよね。「12-45mm F4.0 PRO」は、最小のF値がF4.0だから、F4.0にセットして…。
川野
今回は、枝の間から差し込む光を玉ぼけにしたいので、下からあおって撮ってみましょう。
超ローアングルの撮影にも便利な「OM-5」の可動式液晶モニター
菖蒲
あっ、玉ぼけを作ることが出来ました!光をぼかすというのが目からウロコですね。
木漏れ日を利用して、美しい玉ぼけをつくることができた
川野
ぼけを意図的に作り出せると楽しいですよね!
玉ぼけのノウハウ
――撮影に夢中のおふたりですが、そろそろお昼。おなかが空いてきたようです…。
川野
ここで少し休憩しましょうか。木漏れ日がきれいなので、コーヒーを淹れてフォトジェニックに撮影してみるのも良いですね。
菖蒲
確かに面白そうですね。やってみたい。
――木漏れ日の入り方も工夫して、さっそく撮影した菖蒲さんですが…。
何が主役かわからず、まとまりがない印象の写真に…
菖蒲
光は当たっているし、背景もぼかしているんですが、なんだかまとまりが無い気がしますね…。
川野
「背景が見えすぎていること」「光が主役に当たっていないこと」が問題かもしれませんね。
まずは、F値を一番小さくして背景をぼかしてみましょう。せっかくなので、今使用しているレンズより強いぼけが得られる「M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO」に変えてみましょうか。
このレンズは、最小のF値が1.4まで下げられます。つまり、ぼけやすいんです。
菖蒲
本当だ。すっごくぼける。おまけに小さくて軽いですね!これなら山に持っていっても苦にならない。
川野
次の問題は「光が主役に当たっていないこと」。木漏れ日のスポットライトがコーヒーカップの上に移動するまで少し待ってみましょうか。
――太陽が動くと光の差す位置も変わるという川野先生。数分ほど様子を見ていると…
背景をぼかし、コーヒーの液面にスポットライトを取り入れることで、写真がグッと引き締まった
菖蒲
木漏れ日がコーヒーカップ上に移動したことでコーヒーの存在感が強まりました! しかも、背景をぼかすことでコーヒーセットが浮き上がって見えます。
川野
コーヒーの水面にキラリと太陽が映り込んでいるのもよいです! 光を感じられる一枚に大変身しましたね。
ちなみに「トンネル効果」により主役が際立って見えるのもこの写真の良い点です。
菖蒲
トンネル効果?
川野
トンネルに入ると明るい出口に目線が誘導されるように、主役の周囲を暗くすることで明るい主役に目線を誘導する効果のことです。今回の場合は、周囲が暗く、コーヒーカップの液面がキラリと明るい。そうすると、主役が引き立つんです。
菖蒲
なるほど! これは今後も使ってみたいテクニックです!
主役を際立たせるためのノウハウ
ーー「ぼけ」の魅力に取り憑かれた菖蒲さん。被写体の背景をぼかした写真をたくさん撮影し、ご満悦の様子です。
川野
背景をぼかすことを覚えると、写真がグッと楽しくなりますよね。
ここまでは絞り値を小さくしてぼけを作るお話でしたが、逆に、絞り値を大きくすることでも印象的な光を作ることが出来ますよ。ちょっとやってみましょう。
菖蒲
どういうことですか?
川野
太陽の光を光芒にする表現方法です。木々の間から見える太陽を狙い、絞り値をF8くらいにして撮影してみてください。
菖蒲
はい!どんな感じになるんだろう、楽しみ…!
F値を大きくした1枚。光の筋「光芒」をしっかりと捉えることができている
菖蒲
わ! 太陽から光の筋が広がっています! とてもきれいです!
川野
太陽に透けて輝く葉っぱもアクセントになっていて良いですね。すっかり光探しに慣れたようで嬉しいです。次に、絞り値を最小にして撮り比べてみてください。
F値を小さくすると、光が柔らかくにじむ
菖蒲
光がにじむように写りました! 光芒がキラリとしているのも良いですが、こちらも好きです。
川野
どちらが正解ということはないので、菖蒲さんが好きな表現を選んで良いと思います。
とりあえず、絞り値を変えると光の描写が変わるということを覚えておくと良いですよ。
光芒撮影時のノウハウ
――写真講義も盛り上がってきましたが、空にはだんだんと雲が広がり、森も暗くなってきてしまいました…。
菖蒲
濡れた葉っぱを撮影してみたんですが、日の光が弱くなってしまったので、なんだかイマイチ。やっぱり、光がないと印象的に撮れないのでしょうか…。
雲が太陽を隠してしまったため、光に表情が出なくなってしまった
川野
本当ですね。でも、葉の表面は濡れていますから、撮る角度、つまりアングルを変えてみたらうまく光が反射して輝いて写るはず。濡れた葉っぱがキラリと光る角度を探してみましょう!
菖蒲
真上から見ると、上からの光がキラっと反射するかも!
――真上から撮影を始めた菖蒲さん。どうやら、光を見つけることができたようです。
曇りの環境下ながら、水に反射する光を意識することで、主役の若葉を際立たせることができた
菖蒲
真上からだと葉っぱがキラキラ輝いて撮れました!これも光ですね!
川野
そうです、よく気づきましたね。水のある場所…水面や水滴なども印象的な光が狙える絶好の被写体なんですよ。水を見つけたら色々な角度から光の反射を探してみると良いですね。
さらに…僅かな光をより印象的にみせる方法があります。それが「OM-5」の「アートフィルター」という機能です。
菖蒲
さまざまなフィルター効果を楽しめる機能のことでしたよね。
川野
そのとおり。「OM-5」では、16種類ものアートフィルターを楽しめますが、山…なかでも樹林帯でおすすめしたいのは「ポップアート II」というフィルターです。
このフィルターは彩度とコントラストが強まるので、日差しがなく、コントラストが低い光でも色濃く立体的な写真を撮ることが出来ます。さらに「効果の追加」から「ピンホール効果」を選ぶと、周辺光量を落とすトンネル効果も楽しめます。
「ピンホール効果」を使うと、より印象的な写真に。フィルターの種類により「ソフトフォーカス効果」や「フレーム効果」など、様々な効果を追加することができる
菖蒲
わ、かっこいい! こんなふうに撮ってみたかったので嬉しいです。ひとつ前の写真と比べると立体感が全然違いますし、何より葉っぱが目立ちます。曇りや雨の日で日差しがなくても、アートフィルターを使えば印象的に撮れるんですね。
川野
曇りや雨だとテンションが下がってしまいがちですが、晴れの日とはひと味違う写真が撮れるなら楽しくなりますよね。「OM-5」は防塵防滴なので、暴風雨でない限り、雨に濡れたまま撮影することも出来ます。
ちなみに、稜線なら「ラフモノクロームII」や、「ドラマチックトーンII」などもおすすめです。
ラフモノクロームII(川野撮影)。フィルムのような粒状感を感じさせるモノクローム写真に仕上がる。色に乏しい曇天の景色でも楽しめる
ドラマチックトーンII(川野撮影)。局所的にコントラストを変化させることで現実にはありえない明暗表現を楽しめる。曇り空の表情がドラマチックに写るので面白い
アートフィルターのノウハウ
――写真談義に花を咲かせ、樹林帯を歩いていた菖蒲さんと川野先生ですが、いよいよ雷鳴が聞こえ始めました…。このまま稜線に出るのは危険なので、ここからは川野先生が過去に撮影した作品で説明していただくことに…。
川野
ここまでは樹林帯での光探しをしましたが、稜線に出てからの光についても触れておきますね。ところで、菖蒲さんは山の景色を撮るときに光の向きを意識したことがありますか?
菖蒲
吉住先生や秦先生から教えていただきました。順光や逆光など、太陽の向きによって被写体の見え方が異なるんですよね?
川野
そのとおりです。太陽…つまり光の向きによって色と影の出方が変わります。例えば、下の例を見ていただくと違いが分かると思います。
順光被写体の正面から当たる光。山肌などの色は鮮やかだが、立体感は無い。空の青が濃く写る
サイド光被写体の横から当たる光。山肌の色が程よく出て、立体感がある。朝夕など太陽が低い時間帯が狙い目
逆光被写体の後ろから当たる光。山肌が影になり、色も立体感も少ない。植物の透明感や輝きが出やすい
川野
どのように撮りたいかにもよりますが、景色を色鮮やかに撮りたいなら「順光」か「サイド光」での撮影がおすすめです。
ただ、順光は立体感が小さくのっぺりした印象になるので、個人的には色と立体感のバランスが良いサイド光が好み。
ちなみに、私は登山の計画を立てるとき、順光やサイド光になる時間帯と方向を見極めて計画を立てるようにしています。
菖蒲
なるほど。太陽の位置を考えて予定を組むと、いい写真が撮れる可能性も増えるんですね。
でも、何気なく山を歩いているときに、撮りたい景色に出会う事もよくありますよね?
川野
そうですね。そういった場合に、光の具合が良ければ好都合なのですが、実際にはそうもいきません。
「順光で立体感が乏しい」もしくは「逆光で色が乏しい」ケースが多いんです。
菖蒲
なかなかうまくいかないんですね。
川野
ですね。でも、「OM-5」の機能を使えば、問題を解消できる場合もあるんです。
例えば、順光で立体感に乏しい場合、前述の「ハイライト&シャドウコントロール」を利用します。影の部分だけを暗くすると、下の写真のように立体感を出すことができるんです。
(左)順光のため、立体感に乏しかった写真だが、(右)「ハイライト&シャドウコントロール」を使うことで、影が濃くなり、立体感が出た(写真クリックで拡大)
川野
逆光で色が乏しい場合には「カラークリエーター」を利用します。色相と彩度を調整して撮影が可能なので、印象的な作品に仕上げることが出来ます。
色にこだわる私にとって欠かせない機能のひとつです。
(左)逆光のため、色が乏しかった写真だが、(右)「カラークリエーター」を使うことで、鮮やかな仕上がりになった(写真クリックで拡大)
菖蒲
すごい! 「OM-5」ひとつで思い通りの表現が出来てしまうんですね! 仕上がりが全然違います。
光の向きに関するノウハウ
――変わりやすい山の天気に翻弄された菖蒲さんと川野先生。天狗岳の山頂へはたどり着けませんでしたが、撮影を十分楽しんだ様子です。
菖蒲
途中で天気が崩れてしまいましたが、とても楽しく撮影出来ました。
これまで光は多少意識して撮影していましたが、影を意識することも大事だと気づけたことは大収穫です!
「OM-5」なら曇りや雨の日でも撮影を楽しめますし、ますます山に登ることが楽しくなりそうです。
川野
菖蒲さんがシャッターを切るたびに喜び驚く姿を見て、本当に嬉しく思いました。天気の急変で樹林帯が中心のレクチャーになりましたが、むしろそのおかげで、低山にも応用出来る内容になりましたね。
写真には光が欠かせませんが、「OM-5」の「コンピュテーショナル フォトグラフィ」機能があれば、曇りや雨の光が乏しい状況でも表現力豊か写真を撮ることが出来ます。これからもぜひ、光の状況に応じてOM-5を使いこなしていただけると嬉しいです!
――秋の八ヶ岳を舞台に実施した、菖蒲さんにとって3回目の一眼カメラ講義。はじめの頃は、カメラにおまかせの状態からスタートされた菖蒲さんでしたが、吉住先生、秦先生、川野先生と講義を受け、すっかり「OM-5」を使いこなしている様子でした。
ぜひ皆さんも過去2回の講義も参考に、「OM-5」と山を歩いてみてはいかがでしょうか?
YAMAPでは現在、OM SYSTEMとコラボして、活動日記・モーメントの投稿キャンペーンを開催中です。
テーマは、「登山の思い出」。テーマにまつわるエピソードと写真をぜひ、投稿してください! 期間は2024年8月1日(木)〜10月31日(木)。素敵な投稿をしてくれた方の中から計36名様に、登山にぴったりなミラーレス一眼カメラ 「OM SYSTEM OM-5」 をはじめとする豪華賞品をプレゼントします。
本キャンペーンへの投稿は、YAMAPユーザーであればどなたでも可能。投稿写真は 投稿写真はカメラで撮影したものでも、スマートフォンで撮影したものでもOK です。撮影機材のメーカーは問いません。
ぜひあなたの登山人生で心に残っている素敵な思い出をお寄せください。