神宿る山として、日本三大修験の聖地にも数えられる「英彦山(福岡県・大分県)」。YAMAPでは昨年に続き、福岡県観光連盟と共に「英彦山巡礼路・春峰ルート」を舞台とした「英彦山巡礼路モーメント投稿キャンペーン」を実施します。
期間は2025年10月3日(金)〜12月7日(日)。特に10月下旬から11月にかけては、例年紅葉が美しい季節。ぜひ秋の行楽も兼ねてお出かけください。
「春峰ルート」でデジタルバッジを獲得し、英彦山巡礼路に関するモーメントを投稿してくださった方には、英彦山神宮で先着450名に「オリジナル巡礼記念タグ(木製)」を授与。ザックにつけて登山のお供にしてくださいね。
※デジタルバッジ獲得にあたっては、「英彦山巡礼路・春峰ルート」地図を使って対象スポットを巡ってください(キャンペーン期間中は地図のダウンロード制限の対象外となります)。
※キャンペーン期間外に投稿されたモーメントは、「オリジナル巡礼記念タグ」の授与対象外となりますのでご注意ください。
2025.10.03
YAMAP MAGAZINE 編集部
福岡県添田町と大分県中津市の県境に位置する霊峰「英彦山(福岡県・大分県)」。その歴史は非常に古く、およそ1,500年前に中国から来た僧「善正上人」が、この山を聖地としたと伝わっています。
以来、英彦山と周辺の峰々は、修験者たちの行場として栄え、出羽三山(山形県)、大峰山(奈良県)と並ぶ日本三大修験の聖地にも数えられてきました。
各地からこの地を目指した修験者たちは、山中の行場を巡り、厳しい修行を行ってきたのです。その中でも、最も過酷な修行が「峰入り」でした。
峰入りとは、山伏が行場を巡り、断崖絶壁での荒業や断食等を行う山中修行のこと。
英彦山では三季入峰として春峰、華供峰、秋峰が行われてきました。そのひとつ「春峰」は、英彦山と宝満山をつなぐ道。修験者たちは2月中旬〜4月初旬にかけて、往復130kmに渡る道を歩いたと伝わっています。
峰入道を往復することは、偽死再生(偽りの死と再生)を意味し、修験者たちは仏として「生まれ変わり」、悟りの境地を得て、民衆を救うための力を身に宿したと言われています。
しかし、明治の神仏分離令、修験道廃止令を境に、英彦山の修験道文化は衰退してしまいます。修験者の多くは山を降りざるを得なくなり、修験霊場としての時間は止まることを余儀なくされたのです。
近年の英彦山は、その美しい四季の景観から、キャンプや登山スポットとしても人気の観光地としての道を歩んできました。しかし第33代高千穂秀敏宮司が宮司に就任したことを契機として、高千穂有昭禰宜を中心にかつての「信仰の山」の復活、英彦山修験道の再興に向けた取り組みがはじまったのです。
2021年からは、福岡県観光連盟とYAMAPが英彦山神宮の取り組みと歩調を合わせ、英彦山修験道の歴史・文化に思いを馳せるロングトレイルの開発に取り組んでいます。
キャンペーン条件達成者に授与されるオリジナル巡礼記念タグ。福岡県産のヒノキ材に巡礼路の焼印が押されている
霊峰「英彦山」への巡礼路の中でも、キャンペーンの舞台となるのは、福岡県随一の人気を誇る登山スポット「宝満山」と「英彦山」間の九州自然歩道を辿る「春峰ルート」。
ルート上のデジタルバッジ獲得ポイントを4か所以上通過してデジタルバッジ「英彦山巡礼路2025」を獲得し、「#英彦山巡礼路2025」をつけた巡礼路の感想をモーメント投稿することで、「オリジナル巡礼記念タグ(先着450個)」を受け取ることができます。
お渡しするオリジナル巡礼記念タグは、修験者として厳しい修行を行う英彦山神宮の禰宜が自ら祈祷したもの。きっとあなたの登山を温かく見守ってくれるはずです。
※デジタルバッジ「英彦山巡礼路2025」は、期間中であれば複数回の登山に分けて獲得することも可能です
※キャンペーン期間外に投稿されたモーメントは、「オリジナル巡礼記念タグ(木製)」の授与対象外となりますのでご注意ください
【投稿例】
宝満山は福岡では有名な山。以前にも登山経験はあるのですが、「巡礼路」だということを意識して登ったのは今回が初めてでした。自分が登っている場所をかつて多くの修験者が歩いたのだと思うと、不思議な気分。「殺生禁断の碑」「中宮跡」「竈門神社上宮」などで、にわか仕込みのお祈りをして歩きましたが、いつもよりゆっくりと、五感を澄まして歩けた気がします。いつか、長い休みをとって「春峰ルート」を通しで歩いてみたいなぁ。
#英彦山巡礼路2025
「春峰ルート」を歩いて、あなたが感じた「祈りの文化」「自然の美しさ」「自分の心の変化」などを投稿してください。感性豊かな投稿をお待ちしています!
とはいえ「春峰ルート」は、総延長65kmに渡る福岡県屈指のロングトレイル。全ての区間を歩くのは難しいという方も多いのではないでしょうか?
今回のキャンペーンでは、より多くの方に「英彦山巡礼路」の魅力を知っていただくため、複数回の登山に分けてバッジ獲得ポイントを通過した方でもデジタルバッジを付与できる仕様としました。
ぜひ、下記のデジタルバッジ獲得ポイントを参考にして、ご自身のペース、歩きたい山域を選んで英彦山巡礼路の魅力を体験してください。期間中に4か所以上を通過することで、デジタルバッジ「英彦山巡礼路2025」を獲得することができます。
タップすると地図を拡大表示できます。英彦山神宮奉幣殿はデジタルバッジ獲得ポイントではありません。あらかじめご注意ください
デジタルバッジ獲得ポイント | 住所 |
坂本八幡宮 | 福岡県太宰府市坂本3丁目14−23 |
宝満宮 竈門神社 | 福岡県太宰府市内山883 |
宝満山 | 福岡県太宰府市 |
大根地山 | 福岡県筑紫野市 |
古処山 | 福岡県嘉麻市 |
屏山 | 福岡県嘉麻市 |
江川岳 | 福岡県朝倉市 |
馬見山 | 福岡県嘉麻市 |
深仙・行者堂 | 福岡県朝倉郡東峰村小石原729−11 |
※上記のポイント名をクリックすると、所在地のYAMAP地図が表示されます
※デジタルバッジ獲得のためには「英彦山巡礼路 春峰ルート」地図をダウンロード後、上記対象ポイントを4か所以上通過する必要があります
期間中に下記の条件を達成した方には、英彦山神宮の下津宮横・事務所にて、「オリジナル巡礼記念タグ」を先着450名様に授与しています。
オリジナル巡礼記念タグ引き換え施設 | 住所 |
英彦山神宮(下津宮横の事務所) | 福岡県田川郡添田町英彦山1 ※奉幣殿から108段の石段を登る |
英彦山神宮での巡礼記念タグの授与は、奉幣殿からさらに108段の石段を上った下津宮隣の事務所になります。お間違えないようご注意ください。授与時間は、2025年10月3日(金)〜12月7日(日)の9:00〜16:30です。
写真奥の事務所が「巡礼記念タグ」引き換え施設
ここからは、春峰ルート上に点在する見どころをご紹介していきます。九州北部に住む方なら訪れたことがある場所もあると思いますが、侮るなかれ。祈りの歴史に目を向ければ、そこには荘厳で奥深いフィールドが広がっているのです。
7世紀〜12世紀に西日本の政治拠点「遠の朝廷」として隆盛を極めた「大宰府政庁跡」。周辺には往時を偲ぶ名所旧跡が多く残されています。
その大宰府政庁跡に隣接するのが、「春峰ルート」のスタート地点となる「坂本八幡宮」。現在の元号「令和」の起源となった「梅花の宴」が奈良時代に催されたとも伝わる場所です。
大宰府政庁の鬼門(北東)を守るために創建された竈門神社とその背後にそびえる宝満山は、数年前に「鬼滅の刃」の聖地としても注目を集めました。竈門神社は縁結びにご利益があると言われており、今も多くの参拝者で賑わいます。
そして、宝満山はかつて多くの修験者たちが修行を行った場所。山中では修験道場が置かれた中宮跡や、梵字が刻まれた岩、竈門神社上宮など、数多くの祈りの痕跡に触れることができます。
古代の筑紫地方に一大勢力を築いた豪族「羽白熊鷲」は、背中に白い羽根を持ち、高く飛ぶことができた超人だと伝わっています。その羽白熊鷲を天皇家が討伐した際、時の天皇の后であった神功皇后が戦勝祈願したとされるのが「大根地神社」です。
隣接する大根地山山頂は、開けた草地となっており、修験者が厳しい修行を積んだ峰々や筑紫地方の美しい眺望を楽しむことができます。
山頂付近からの風景
オオヒメツゲを始めとしたツゲの原生林が、国の特別天然記念物にも指定されている古処山。馬見山、屛山とともに、日本山岳遺産に認定されている人気の山です。特に山頂付近は美しい森に覆われており、眺望も見事。気持ちの良い登山を楽しめます。
かつては筑前秋月氏が拠点とした山城(古処山城)が築かれていました。山頂には白山権現を祀る祠が置かれ、修験者たちが修行を行っていたと伝わっています。
※行者堂は通常開帳していないため、東峰村ツーリズム協会のガイド同行で参拝することができます
飛鳥時代に呪術者として活躍し、鬼を使役したとも伝わる超人「役小角(えんのおづぬ )」が祀られ、かつて修験者たちが修行をしたと伝わる深仙宿・行者堂。
そばには「香水池」があり霊泉が湧き出しています。かつて、この水を頭から注がれた行者は即身仏となり、悟りを開いたとの伝承も。また、香水池の左右にある「膝石」に膝を乗せ霊泉で洗うと、膝の痛みが消え去ると言われています。
英彦山神宮の参道沿いは、かつて「英彦山三千・八百坊(英彦山には三千人の修験者がおり、八百の坊がある)」ともうたわれ、隆盛を極めました。立派な参道には、かつて修験者たちの修行拠点であった宿坊跡も残っており、当時を偲ぶことができます。
参道中程には趣がある2軒のお土産屋さんがあり、参拝者に無料で杖を貸し出し、お茶を振る舞っています。親切な店主との会話も旅の思い出になるはず!
銅の鳥居から車で5分の場所にある「ひこさんホテル 和(なごみ)」の立ち寄り湯もオススメ。泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉で「美肌の湯」としても知られる名湯です(日帰り入浴受付時間11:00〜16:00/大人:700円・小学生:500円・幼児:400円)。
この建物は、元和2年(1616年)小倉藩主細川越中守忠興が再建した英彦山霊仙寺の大講堂であったものです。霊峰英彦山への入口として、今も多くの登山者が参拝に訪れます。
奉幣殿の裏手にあるカフェ『三鷹庵』では、美味しいコーヒーがいただけるので、ほっと一息つくのにおすすめです(不定期営業)。
英彦山修験の拠点となる英彦山十二所権現を祀る「お社」。第一日曜日に護摩焚き行、第四日曜日に経読行が行われています。実は参加無料・入退室自由で見学が可能です。
太鼓の音と錫杖(しゃくじょう)の音が鳴り響く中、護摩木が次々と火にくべられ、迫力のある祈祷が行われる護摩行。英彦山巡礼路を歩いた旅の締めくくりとして、是非オリジナル巡礼記念タグのお受け取りとあわせて、ご参加ください。
2025年の護摩焚き行・経読行実施日 | |
護摩焚き (第一日曜日) |
10/5・11/2・12/7 |
経読 (第四日曜日) |
10/26・11/23・12/28 |
※護摩焚き・経読共に、11時から1時間ほど開催予定。ただし都合により日程変更する可能性がございます
英彦山巡礼路では、その魅力をより多くの方に知っていただくため、様々なチャレンジが行われています。記事の終わりに、その中からトピックを2つほどご紹介させてください。
福岡県観光連盟とYAMAPでは、地域の山を守る団体「嘉穂三山愛会」「九州自然歩道フォーラム」と協力しながら、春峰ルートの道標に「英彦山巡礼路」のパネルを設置する事業を進めています。
取り組み初年度となる2025年度は、古処山秋月登山口〜英彦山産霊(むすび)神社間の道標の中から50本をピックアップしてパネルを設置。
総延長65kmに及ぶルート上のわずか50本ではありますが、英彦山の祈りの文化を未来につなげていくための価値ある一歩だと考えています。合わせて、苔などで汚れてしまった道標の清掃も実施しています。
もし、登山中に見かけることがあれば、写真に収めて投稿してくださると励みになります!
旅マエBOXの内容物例。「オリジナルTシャツ・和タオル」や「地域の名産品」「温泉入浴券」など盛りだくさん
福岡県観光連盟では「英彦山に訪れる前から、英彦山の文化に触れ、豊かな自然の恵みを感じて欲しい」との思いから、現在「英彦山巡礼路 旅マエBOX」をテスト販売しています。
中身は、「英彦山巡礼路限定オリジナルTシャツ」や「英彦山巡礼路限定オリジナル和たおる」、周辺市町村の「名産加工食品の詰め合わせ」などなど盛りだくさん。
Tシャツ、和たおるのデザインは、英彦山巡礼路のプロジェクトが始まった2021年にシンボルマークをデザインしたクリエイティブディレクター ・デザイナーの伊澤良樹さんが手掛けたものです。
加工食品の中には、早朝から山に入る方に嬉しい行動食に使えるものも。旅前から登山中まで、英彦山を堪能できそうです。限定50セットの販売ですので、気になる方はぜひチェックしてください。
*本キャンペーンについてのお問い合わせはYAMAP企画室までメッセージをお送りください。