ハードな使い方も余裕|コロンビアのハイエンドモデル 「ベストシリーズ」

長かった夏の暑さも落ち着き、気持ちよく縦走を楽しめる登山のベストシーズンがやってきました。この時期の休みを利用して、年に一度の長期山行を計画している方も多いのではないでしょうか。せっかくの山行には、信頼できるギアを揃えて臨みたいもの。そこで、今回は日本の山々での縦走を想定してコロンビアがデザインした、「ベストシリーズ」の中から、ジャケット、バックパック、シューズの実力を紹介しましょう。

2025.09.19

池田 圭

編集・ライター

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中上級者も満足させるスペック|コロンビアの「ベストシリーズ」

1938年にアメリカ・オレゴン州で産声を上げた「コロンビア」は、アウトドア好きなら誰もがその名を知る老舗ブランド。高い機能性とファッション性を併せ持つ製品を多く手がけ、登山者はもちろん、キャンパーや釣り人、ストリートでも幅広い支持を集めています。

そんなイメージも相まってか、登山シーンではエントリー層や中低山向きのブランドと思われがち。でも、じつは高山でハードに使うことを想定した、高機能な製品も手がけていることはあまり知られていません。

なかでも、同社のラインナップの最上位に据えられている「ベストシリーズ」と呼ばれるモデル群は、中上級者が縦走登山に使うのにも十二分なスペックを備えています。

それではさっそく「ベストシリーズ」を代表する3つのモデルを紹介しましょう。

高所や長期縦走でも頼れる一枚|マウンテンズアーコーリング Ⅴジャケット

マウンテンズアーコーリング Ⅴジャケット ¥44,000

1つめは「マウンテンズアーコーリング V ジャケット」。標高3,000m級の山々での長期縦走登山のような、過酷な使用シーンを想定してデザインされたレインシェルです。

リサイクルポリエステルを使った3レイヤー構造の生地には、コロンビア独自の防水透湿機能「オムニテック」を搭載し、環境負荷の低いPFASフリーの撥水加工を施しています。高い防水性と耐久性、通気性を兼ね備えており、天候の変わりやすい高所や岩場の通過を伴うトレッキングでも安心して身を任せることができます。

また、適度な厚みと張り感があるので、稜線上で冷たい風が吹きつけてもバタつかず、肌に張りつくこともないでしょう。

日本の山々を想定したレインシェルの開発において、コロンビアが防水性能と同じくらい重視したのは換気性能でした。

彼らが辿り着いたソリューションは、両脇に大きく開くベンチレーションを設けること。開放すれば、効果的にウェア内の蒸れを逃すことができます。汗をかいても張りつきづらい、さらりとした肌触りの裏地も、快適な着心地にひと役買っています。

大容量のフロントポケットは、ウェストの位置ではなく、ハーネス着用時に干渉しない胸の位置に配置されています。

右ポケットの中は、ミドルレイヤーへダイレクトにアクセスできるスルーポケット仕様。いちいち荷物を下ろさずにできることが増えるので、山での貴重な時間を効率的に使えるでしょう。


レインシェルは携行する時間も長くなるので、収納時のコンパクトさと重量も考慮して選びたいもの。

その点、マウンテンズアーコーリング V ジャケットの重量は446g(M)と、秋冬にも使えるシェルジャケットと考えると軽量な部類。専用の収納バッグも付いていますが、余裕のある造りなので、ぎゅっとコンプレッションすれば写真の2/3程度のサイズになるでしょう。

フードはヘルメットの着用にも対応できる設計。日本のアルプスエリアは、年々、ヘルメットの着用推奨エリアが増えているので安心です。

無雪期のレインシェルとしてはもちろん、冬の中低山では防寒用のシェルジャケットとしても頼りになる一枚。幅広いシーンで通年使える、汎用性の高さが魅力の万能シェルです。

プロが気付いた使いやすいアイディアが満載|ワイルドウッドEXP 50L+10Lバックパック

ワイルドウッドEXP 50L+10L バックパック ¥29,700

続いては、バックパックのベストシリーズ「ワイルドウッドEXP 50L+10Lバックパック」を紹介しましょう。

こちらも、マウンテンズアーコーリング V ジャケットと同じく、日本の山々でのテント泊縦走を想定してデザインされたハイエンドモデルです。

一番の特徴は、軽さを追求しつつも、取り扱いに気を使わずに済む丈夫さを兼ね備えた素材使い。

右の素材が「ExtreemaÆ︎(エクストリーマ)」、左が「X-PAC(エックスパック)」

メインには、耐摩耗性と引き裂き強度に優れるダブルリップストップ構造の新しい素材「ExtreemaÆ︎(エクストリーマ)」を採用。雨蓋とボトムには、軽さと耐久性に優れ、防水性も兼ね備える3層生地「X-PAC(エックスパック)」を使い分けています。

表面にはコロンビア独自の撥水機能「オムニシールド」を搭載しており、軽い雨程度ならレインカバーなしでも気にせず使えることもポイントです。

背面のパッドやショルダーハーネスには、しっかりと厚みを持たせています。重たいテント泊装備でも、効率よく荷重を分散させつつ体の動きに追従してくれるので、不安定な岩場や痩せ尾根の通過時も荷物に振られるストレスがありません。

このバックパックの開発には山岳ガイドの伊藤伴さんが監修として関わり、何度もフィールドテストを繰り返しながらディテールを作り込んでいったそう。

例えば、雨蓋やフロントポケットにマチを付けることで容量を増やしていたり、サイドのコンプレッションベルトはマットを外付けできる長めの仕様にしたりと、「あったらいいな」と思える工夫が随所に施されています。

他にも凍結防止のカバーを付けたままでも使えるハイドレーション用ホールの太さや、持ちやすい設計のハンドルなど、山で使い込んでいる伊藤さんだからこそ気がつける多くの実戦的なアイディアがいくつも盛り込まれています。

これからテント泊登山にチャレンジしてみたい方はもちろん、より扱いやすいバックパックへの買い替えを検討している方にも、おすすめしたい仕上がりです。

そして、これだけの作りで本体価格が、3万円を切るコスパの良さも見逃せません。

適度な軽さと高いサポート力を兼ね備えた登山靴|ジオテラ アウトドライ

ジオテラ アウトドライ MENS ¥27,500

3つめは、足元を支えるベストシリーズ「ジオテラ アウトドライ」です。

こちらも、高所登山などのハードなトレッキングをメインターゲットにして設計されており、同社のシューズラインナップの中でも、特にホールド力とソールの剛性が高いモデル

まず、アップダウンの多い縦走で履くことを考えた時に見逃せないのが、足首をしっかり固定して、長時間行動しても疲労感を軽減してくれる「ナビックフィットシステム」を搭載していること。

重い荷物を背負っての下りでも、カカトが浮くことを防いでくれるので靴ズレが起きにくいのも特徴です。ノンストレスな履き心地と安全性を両立しています。

また、変わりやすいコンディション下では、コロンビア独自の防水透湿テクノロジー「アウトドライ」が活躍するでしょう。

雨や渡渉時にも表地と防水層の間に水が侵入しないので、指先の冷えを防いでくれます。さらに、シューズ内の蒸れを効果的に排出して、長時間履き続けても快適な状態を保ちます。

アウトソールには「ヴィブラム エックスエストレック」を採用。さまざまな路面状況に対して、高いグリップ性とトラクションを発揮します。

シャンクには適度な剛性を持たせており、重たい荷物を背負って岩稜帯のようなトレイルを歩いても足がブレにくいので、疲れにくく、怪我を予防してくれる安心感のある設計です。

つま先とかかとの擦れやすい部分には、ラバー製のトゥキャップとヒールキャップを配置。疲れてきて注意が散漫になってきた時でも、常に足周りを保護してくれます。

近年は軽量なシューズが人気を集めている反面、テント泊縦走などの用途には適度な軽さと高いサポート力を兼ね備えたモデルに再び脚光が当たっています。そうした登山者のニーズに、ぴったりな一足と言えるでしょう。

シビアな環境では、小さな違和感でも誤魔化しが効かない


この時期の登山は、夏山以上に登る山やシチュエーションに合わせたギア選びが必要不可欠。特にシビアな状況下で過ごす時間の長い縦走では、ギアに対する小さな違和感でも誤魔化しが効きません。

その点、コロンビアはアメリカ生まれのブランドながら、この3つのモデルは日本の3,000m級の山岳環境を意識して徹底的に作り込まれたもの。身につければ、ひとつ上を目指すあなたの挑戦を支えてくれるでしょう。

<jacket>
マウンテンズアーコーリング Ⅴジャケット
¥44,000
サイズ:XS~XL
重量:446g(M)
カラー:レッドダリアなど全2色
素材:リサイクルポリエステルプレーンウィーブ3L(表側:リサイクルポリエステル100%、裏側:ナイロン100%)

<backpack>
ワイルドウッドEXP 50L+10L バックパック
¥29,700
容量:50L+10L
重量:1,690g
カラー:ブラック1色
素材:210D Robic Xgrid WH Extreema R/S(ナイロン93%、ポリエチレン7%) x VX-21 X-Pac(ナイロン60%、ポリエステル40%) x 420D HD OX(ナイロン100%)

<shoes>
ジオテラ アウトドライ MENS
¥27,500
サイズ:25.0~30.0cm
カラー:Black, Spice・Ti Grey Steel, Desert Sun
重量:671g(27.0cm)

原稿:池田圭
撮影:廣瀬順二
モデル:金城拓馬
協力:コロンビアスポーツウェアジャパン

池田 圭

編集・ライター

池田 圭

編集・ライター

登山、キャンプ、サーフィンなど、アウトドア誌を中心に活動中。下山後に寄りたい食堂から逆算して計画を立てる山行がマイブーム。共著に『”無人地帯”の遊び方 人力移動と野営術』(グラフィック社)、編集を手掛けた書籍に『私、山小屋はじめます』、『焚き火の本』、『ハンモックハイキング』(いずれも山と溪谷社)、『Two-Sideways 二刀流』(KADOKAWA)など多数。