様々なスポットを巡りながら「山」を望み、「街」を満喫する――そんなやまなし・山麓旅へ出かけてみませんか?
四季折々に表情を変える山々はもちろん、登山後の疲れを癒す温泉や、山の恵みを感じられる地元グルメなど、山麓の街には知られざる魅力がたくさん。
今回は山好きとしても知られるモデルの加藤由佳さん(以下、由佳さん)が旬のスポットを歩き、食べ、感じながら「今のやまなし」を旅します。2日間の旅路で、どのような出会いが待っているのでしょうか。
※YAMAPでは、山梨県内の9市3町を対象とした『県央ネットやまなし「山のぼり・まち歩き」キャンペーン』を開催中!期間は2025年8月30日(土)〜11月30日(日)まで。山や麓の観光スポットでピンバッジやオリジナルの豪華特典をゲットできるキャンペーンです。この機会にぜひやまなしの山のぼり、街あるきをお楽しみください。
2025.09.30
武石 綾子
ライター
甲府駅から約1時間程車を走らせ向かうのは、富士川町・大柳川渓谷(おおやながわけいこく)。バッジキャンペーンの獲得ランドマークのひとつでもあるこの場所は、ライトハイキングも楽しめる極上の癒しスポット。山上集落の細い道を抜けると、清流の音が心地よく響きます。
歩きやすく整備された渓谷は、吊り橋と多様な滝巡り、奇岩や巨岩が見どころ。あふれるマイナスイオンを浴びながら思い切り深呼吸してみれば、耳に入るのは水と風の音、鳥の声。都市部からさほど離れていないのに、喧騒をすっかり忘れさせてくれる心地よさがそこにはあります。
歩いて遊んでお腹が空いたら、渓谷の傍らに佇む「つくたべかん」へ。その名の通り、「つくって」「食べて」が両方体験できる山あいの「ふるさと体験施設」です。
「なんだか懐かしい。おばあちゃんの家で過ごす夏休みって感じですね」
由佳さんが足を休めて、窓の外を眺めながらそう話します。
どことなく「ふるさと」を感じられる、居心地の良い館内
看板メニューである「みみ」は「つくたべかん」が位置する富士川町の集落「十谷(じっこく)地域」で伝わる昔ながらの郷土料理。小麦粉でつくった生地をのばし、5cm四方に切ってから三角形に形を整えて煮るのが特徴。その形は伝統的な農具の「箕(み)」を模しており、転じて「みみ」と言われるようになったのだとか。ひとつひとつ微妙に違う形に手作りのあたたかみを感じながら、具だくさんの汁と一緒にいただきます。
体を動かした後には一層優しい風味が心身に染み渡ります。一緒に提供してくれる鰍沢のしそを使った紫蘇ジュースがまたさっぱりとした良いお味。
「みみ」に始まり、今回の旅では我々にとっての初耳メニューが充実しています。この先のスポット紹介でも昔ながらのようで新しいやまなしグルメが登場しますので、引き続きお楽しみに!
「甲府は東京からも近く感じますよね。特急で来たらあっという間に着いちゃいました」
そんな話をしながら向かうのは信玄公も愛したと言われる湯村温泉エリア。JR甲府駅からもほど近く、車で10分ほどで到着します。
レトロな雰囲気が漂う温泉街の先、目に飛び込んでくるのは壁面に書かれた巨大な「ゆ」の文字!ここは2025年8月に装い新たに生まれ変わった温泉宿「旅館明治・鷲の湯(わしのゆ)」。
巨大で真っ赤な「ゆ」の文字はインパクト大!
湯村温泉は文豪・太宰治とも所縁の深い場所。1939年(昭和14年)の一時、甲府に居を構えていた太宰が東京に移り住んでからも常宿として何度も滞在し、日当たりの良い部屋を好んで執筆活動に勤しんでいたのがここ「旅館明治」です。
改装に伴い館内は和洋折衷のスタイリッシュな空間へと生まれ変わっていますが、畳が落ち着く「太宰治資料室」でのんびりと文庫を手に取ってみれば、当時の雰囲気を感じることができます。
「太宰治資料室」は書斎のような落ち着く空間
温泉はクセの少ないクリアでまろやかな泉質。武田神社などの観光地からはもちろん、すぐ後ろには地元民からも愛される里山の湯村山があり、ハイキングもおすすめです。
「わぁ、眺めがいいですね。風が気持ち良い!このジュース、濃厚ですっごくおいしいです。飲んでみます?」
由佳さんが声を上げたのは、もものジュースを片手にくつろぐ広々としたテラス。風が頬をなで、目の前に広がるのは南アルプスや市街を一望する圧倒的なパノラマ。息をのむほどの景色に包まれると、ただ座っているだけで胸が高鳴ります。
ここ「甲州市勝沼 ぶどうの丘」は、温泉に宿泊、食事やショッピングまで揃う、まさに“一日まるごと楽しめる楽園”。
絶景を眺めながらの贅沢なひととき
甲州市内の審査会にて厳選されたワインがずらりと並ぶワインショップの品ぞろえは圧巻!特にじっくりと体験してほしいのは地下の「ワインカーヴ」。
奥行きあるワインカーヴには甲州ワインがずらり
「タートヴァン」とよばれるカップで常時約180銘柄のワインの試飲を楽しむことができます。
「少しずつ試せるので、お酒に強くなくても楽しめますね。私はこれが好きかな~。」
由佳さんも興味津々。趣向を凝らしたジャケットを見比べながら気になるワインに手を伸ばしてみれば、お気に入りがきっと見つかるはず。JR勝沼ぶどう郷駅からは徒歩で15分〜20分ほど、定期バスもありアクセスも抜群。山帰りの温泉を楽しんだらこちらに立ち寄って、奥深い甲州ワインの世界をぜひ楽しんで。
初日のランチタイムに向かうのは笛吹市・「とんかつ ほさか」。暖簾をくぐればご夫妻が「いらっしゃいませ〜」とあたたかく迎えてくれるのが嬉しい。はじめてなのになんだか懐かしい落ち着く空間、靴を脱いで小上がりにお邪魔します。
おすすめは?と伺うと「んー、おれだね」と冗談をはさみつつ、「とんかつとラーほーだよ」と教えてくれるのはご主人の保坂哲さん。
いつまでも話していたくなる名物ご主人の保坂さん
ラーほー?と思わず聞き返してしまいそうなそのメニューは「ラーメン」と「ほうとう」のコラボレーションにより誕生した新名物。笛吹市では20以上の店舗で展開中なのだそう。ほうとうよりも細く喉越しがいい、「ほさか流のラーほー」は、あっさりとした醤油ベース。郷土料理のひとつである「おざら」の細麺を使用しており、ラーメンよりは食べ応えがあるけれど、ほうとうよりするするといけてしまう絶妙な一品。
あっさり醤油味でありながら満足感のあるラーほー
この日はご主人の巧みな話術に夢中になり、ランチの時間帯なのに思わず長居。壁にならぶおつまみメニューを眺めながら、地元の方たちが夜な夜な集まり盛り上がっている様子を想像してしまいます。ボリューム満点の食事に楽しいトークは山の思い出をより忘れがたいものにしてくれるはず。ぜひ、時間に余裕を持ってゆっくり訪れてみてください。
JR甲府駅・舞鶴城公園のほど近く、ショッピングや観光で親しまれている「甲府夢小路」に続き、「甲府花小路」が2025年4月にオープンしました。「知」の夢小路に対し「遊」の花小路というだけあり、立ち並ぶ施設は実に多様。
「小江戸」をテーマにした情緒あふれる通りには食事処や甘味処が軒を連ね、山梨各所の名物を一挙に楽しむことができます。ここでの出会いは「桔梗茶屋」のたい焼き…ではなく「まぐろ焼き」!「山梨はまぐろの消費量が全国2位で、そのまぐろをモチーフにしたら面白いかなって…」と焼きたてを渡してくれるスタッフさん。なるほど、「ラーほー」に続き、新商品開発における自由な発想にうなってしまいます。カスタードとあんこの2種類展開で、散歩中に小腹を満たしてくれるおやつとしても嬉しい。
中心部には芝居小屋「亀屋座」もあり、新たな名所としての期待がわき上がります。日が暮れ明かりが灯ると、一層「小江戸」らしい風情が感じられ、昼間とは違った印象です。
情緒あふれる夕暮れ時の街並み
昼の散策はもちろん、夜が一層楽しい甲府の町。「甲府花小路」の「四文屋」をはじめ、名店揃いのこの町を楽しまないのはもったいない。毎晩19時より開始されるプロジェクションマッピングを楽しんだら、じっくりと甲府の夜を味わってみてはいかがでしょう。
足元に広がるプロジェクションマッピング
旅もいよいよ終盤。訪れたのは金峰山・瑞牆山・八ヶ岳といった名山の玄関口の町、韮崎市。韮崎駅周辺はかつての宿場町としての町名に由来し「河原部エリア」とも呼ばれています。近年はカフェや雑貨店などが続々とオープンし、クリエイティブな人々が集まるエリアとしても人気。おしゃれな街並みは、ゆっくり散策するだけでも楽しいものです。
そんな街並みに新たに加わったのが2025年5月にオープンした登山用品店兼登山ガイドオフィスの 「NEXT MOUNTAIN」。
「頭の先からつま先まで、すべてを揃えられる店」を目指し、店頭には老舗ブランドの定番品から、限定流通のウルトラライトギアまで、幅広い商品が並びます。
取材スタッフも仕事を忘れて思わず物色してしまう、幅広いラインナップ
「店名の由来は好きな登山家の言葉です。この店が起点になって、人それぞれの“NEXT MOUNTAIN(次の山)”につながればいいなと思っています。初心者の方も気兼ねなく遊びにきてほしいですね。なんでも相談してください」
そう語ってくれたのは、店主であり登山ガイドの関根純里さん。大手アウトドアメーカー勤務を経て、2025年5月に独立・開業。店舗の運営に加え、講習や登山ツアーも定期的に催行されているそう。
「ツアーに参加する時ってやっぱり緊張すると思うので、まずは店頭で顔を覚えてもらってから一緒に山に行けたら安心して参加してもらえるかなと思うんです」
やわらかい物腰でそう話す関根さん。服や靴、道具の購入から実際の山歩きまで、このお店に来ればすべてが解決してしまう、ビギナーにとってはこの上ない心強さ。今後シーズンごとにこだわりのラインナップが新商品として並ぶ予定とのこと。“次の山”に迷ったら、ぜひこちらへ。
登山後に汗を流してひと息つきたいときに立ち寄りたいのが北杜市・「道の駅こぶちさわ」。八ヶ岳の麓、標高1,000mに位置する高原の澄んだ空気を味わうことができます。
新鮮な高原野菜や手作りのジャム・ハムなどが並ぶマルシェ、濃厚で後味さっぱりのジェラート、焼きたてが味わえるベーカリーなどのショップが揃い、登山帰りに立ち寄れば、「八ヶ岳の味」をお土産として持ち帰ることができます。
さらに嬉しいのは、敷地内に併設された天然温泉「延命の湯」。広々とした大浴場に身を沈めれば、全身に心地よい疲労感がほどけていき、山の余韻をゆっくり味わえます。
旅の疲れをリセットしながら土地の豊かさに触れ、贅沢で心地よい時間を、旅の締めくくりにどうぞ。
お風呂上がりの八ヶ岳牛乳は最高!!
「街」を楽しんでいるのに、やっぱり「山」を感じられるのがやまなしの山麓旅。今回も、新しい発見、嬉しい出会いがたくさんの2日間となりました。少しずつ過ごしやすくなり、紅葉が楽しみなこれからのシーズン。都心からもアクセスしやすい山梨県へ、ぜひおでかけください!
▼今回の記事でご紹介したスポットはこちら
原稿:武石綾子
撮影:加戸昭太郎
モデル:加藤由佳(jungle)
協力:甲府市(やまなし県央連携中枢都市圏)