神奈川県箱根町|湖畔のキャンプ場で家族時間も叶えるワーケーションツアー

ワーケーションという言葉をご存知でしょうか? 「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語で「新しい日常」の一環として位置づけられている旅のカタチ。リゾート地などで働きながら休暇をとる過ごし方です。11月下旬、そんなワーケーションと箱根の自然を楽しむ2泊3日のツアーが開催されました。参加したのは、箱根出身で、現在は神奈川県秦野市で地元密着型フリーマガジン「kokohada」の編集長を務める今井しょう子さんとそのお友達親子 。日頃多忙を極め、ゆっくり自然と触れ合う時間もなかなかとれないという今井さんがワーケーションで出会った新しい時間の使い方とは? 自然と大切な人との時間と仕事のすべてを楽しむ、旅の過ごし方がそこにはありました。

2021.02.23

今井しょう子

ローカルエディター

INDEX

仕事とバケーションを箱根の豊かな自然の中で

箱根町は、豊かな自然に抱かれた小さな町です。町全体が富士山、箱根、伊豆半島、伊豆諸島を擁する富士箱根伊豆国立公園の中に位置しています。四季折々の風景が楽しめる風光明媚な温泉地、ザ・観光地のイメージの箱根。
もちろん、自然の美しさは圧倒的です。萌える緑、空気の清々しさ、深い紅葉、冬にはまぶたに落ちる雪の結晶!

今回のワーケーションでは、その自然の素晴らしさを暮らすように体験することができました。雄大な山々と美しい湖を堪能しながら、仕事もし、大切な人とも充実した時間を過ごす。今までの観光とは一味違う、新しい箱根の過ごし方をお伝えします。

トレッキング途中に振り返ると秋晴れの美しい箱根の山並みがそこに

始まりは紅葉真っ盛りの森の中

紅葉深まる11月の金曜日。今回のワーケーションのベース基地となる芦ノ湖キャンプ村は約2万坪の広大な敷地です。敷地全体がブナの森。テレワーク用に開放されているホールの大きな窓からは芦ノ湖を望むことができます。

初日は夕方から友人親子が合流予定。それまでは仕事に集中です。ここぞとばかりにやることを膨大に持ち込んできました。テレワーク用の建物は、モダンな作りで天井の高い素敵なホール。清潔で暖かく静か、もちろんWi-Fiも完備と、仕事には最高の環境です。

仕事中にふと目をあげるとキラキラひかる湖がすぐそこ。いつもなら、オフィスに貼られたポスターを見て憧れるだけの美しい自然が、手を伸ばせば届く場所にある贅沢!

気分転換にふらっと散策した湖畔沿いの遊歩道は、紅葉真っ盛りの木々のトンネルでした。この時点で早くも最高の3日間になる予感。

テレワークのホールから湖を望みます。聞こえてくるのは風で葉が擦れる音だけ

再び仕事に取りかかり、集中していたのでしょう。いつの間にかあたりは薄暗くなっていました。

親友も到着し、賑やかな夕べを愉しむ

夕方になり学校を終えて駆けつけてくれたのは、小学4年生の女の子すずちゃんと、1年生の弟、ヨウタくん。そして、ふたりの母であり、10年来の親友タエさん。この美しい自然を独り占めするのはもったいないと、アクティブな事が大好きな彼女たちを誘っていました。都心からアクセスの良い箱根なら、金曜日の夜から滞在し土日を満喫することが可能です。

遅れて到着した親友家族を出迎え、すでに日も暮れ暗くなった駐車場からケビン棟へ懐中電灯を照らして進みます。気分は探検隊。子ども達は丸太小屋のような作りのケビンに歓声をあげ、扉という扉を開け、ベッドの確認!ふわふわのベッドでジャンプジャンプ。ここが我々の3日間の拠点になります。よろしく!

3日間過ごす我が家です

夕飯は、パエリアとチーズフォンデュのセット。今回のワーケーションのテーマは「暮らすように体験する」こと。食事ももちろん自分たちで料理します。食事のキットには全てわかりやすく説明書がついているので、子どもたちも「やりたいやりたい」と率先して手伝ってくれます。お味は本格派。「うわー!美味しい」と、頬張る目はまん丸です。わたしと友は久しぶりのゆったりディナーに乾杯。夜食用のダッチオーブンで作る焼き芋セットにも興味津々な子ども達。暖かいケビン棟で、ワイルドな調理をワイワイと楽しむひとときとなりました。

お風呂に入り、いざ寝るぞというときに二段ベッドの場所取りが勃発しましたが、瞬く間に眠りに落ちた子ども達。
さあ、明日からはいよいよ箱根を遊び尽くす旅の始まりです!

地元ガイドならではの絶景! マウンテンバイクとトレッキング

明けて2日目、気持ちの良い抜けるような青空です。朝ごはんは三種類の味から選んだホットサンド。ヨウタくんは明太ポテト味が気に入ったよう。「家に帰ってから、真似して作ってみよう」とおしゃべりに花もさく、楽しいひとときです。
手軽にマシーンにセットしてできるドリップコーヒーで体も温まりました。

みんなで作った力作ホットサンド。かわいい焼き目に食べるのがもったいないの声が!?

2日目最初に挑戦するのは、マウンテンバイクツアーです。

ツアーガイドは、箱根をフィールドにマウンテンバイクやハイキングのツアーを主催する「マウントリッパー」の鈴木さん。箱根で生まれ育った生粋の箱根っ子です。実はわたしの小中学校の先輩でした。当時の面影そのままの鈴木先輩! 箱根の山を知り尽くした頼り甲斐のある最高のガイドです。

風景も素晴らしくスリルも体験できる最高のアウトドアアクティビティ


用意されていたのはそれぞれの体型にあったマウンテンバイクとヘルメット。おかげでママチャリ経験しかないわたしでも、凸凹道や登り坂を快適に進むことができました。でも…おそらく明日は筋肉痛です。

鈴木さんの軽やかなリードで、湖尻港を回って、ロープウェイの下をくぐり、昭和天皇お手植えの杉の木まで。箱根育ちのわたしでも聞いたことのなかったディープな箱根解説!そして、湖畔を見下ろせる絶景の丘から、一気に紅葉の森を下るコース。元気な女の子すずちゃんが「ヒャッホー」と歓声をあげていました。「またやりたい!」の連呼。登りのキツさは忘れてしまったようですね。

案内役加藤さんの入山スタイル。「長靴が最高なんです」とのこと

マウンテンバイクツアーの次はトレッキング、と聞いていたのですが、現れた案内役、箱根ビジターセンターの加藤さんの手にはなぜかスコップが。「今日はみなさんにステッキではなく、スコップを持って山に入ってもらいたいと思います」冗談めかしておっしゃる加藤さんですが、足元は長靴ですし、背負子には木材。『遊びじゃないよ感』が漂っています。相当な山登りなのかも、と少々覚悟します。

雲ひとつない青空。湖畔を指差し「あそこから歩いてきたんだね!」と、テンションが上がりました

説明も終わり、さっそく山道へ。登山道の苔のむす石で滑らないように気をつけて登ります。薄暗い杉林を抜けて一旦、国道へ。そこからは子どもの背丈ほどに笹がしげる山道です。「ここから上は絶えず強風が山肌に吹き付けるので、裾野の杉ではなく植生が笹に変わる」と、私が子どもの頃、遠足でここを訪れた際に引率の先生に聞いたうんちくを思い出しつつ歩きます。あの頃と変わらない風景。途端に視界が開けます。

坂道を登ってきて疲れているはずなのに、力強いスコップ捌きの子どもたち

その登山道の途中、加藤さんが、「ここがいいかな」と、背負子から木材を取り出しました。興味深々に乗り出す子ども達。「ここに『水切り』を作りましょう」登山道が荒れるのを防ぐため、雨天時に流れる水の道を作ってあげるそう。子ども達は加藤さんの指示で器用にスコップを使って土を掘り、横板を支えるための杭を打ち込みます。重い木のハンマーを振り上げるのは大人の参加者です。「エイヤッ」力強く振り下される木のハンマー。みなさんなかなかお上手。

「ちゃんと水が流れるようにできたのかな」心配して言うヨウタくんに加藤さんが、「山が荒れていないか、またパトロールに来てくれよ」と、話します。豊かな自然の影に、こうやって手入れをする人の存在がある事を知りました。

頑張ったご褒美と絶景。素晴らしきランチタイム

しばし道すがら出会う珍しい鳥やキノコの説明を聞きながら進み、ついにゴールとなるお昼の展望公園に到着。最高の青空! 芦ノ湖を眺めながらいただくのは駅弁発祥の名店、小田原東華軒のお弁当です。

芝の斜面に転がっていた子ども達はいつの間にか鬼ごっこを始めています。親友の子どもふたりは、登山に参加している他の子といつの間にか仲良くなっている様子。ものすごい体力!
大人はコーヒーとおまんじゅうでまったりタイム。休日には、こんな時間が必要です。青空の下のティータイム、最高です。

星ふる夜空の天空散歩

夕方からはロープウェイでの星空観測ツアーです。目指す箱根駒ヶ岳は、標高1,356メートル。お日様が沈んだ後の山頂は凄まじい寒さが予想されます。しかし、その分星空の美しさに期待が膨らみます。

こんな星空が見えるのでしょうか。期待感を満載した上りのロープウェイからの風景

我々がロープウェイに乗り込んだのは、ちょうど夕暮れ時。眼下に一望する芦ノ湖とふもとの街の灯り。派手なネオンではないですが、なんという美しさでしょう。さきほど歩いてきた道がゴンドラの真下に見え、富士山が右手に迫っています。「THE 箱根、すごいでしょう」地元っ子のわたしの謎の自慢モード発動です。『日本の箱根、世界の箱根』と聞いて育った私たちの原点の風景です。

相模湾を一望する絶景。箱根の山の暗闇とのコントラストも美しい

箱根駒ヶ岳頂上に到着! ブルブルッ。やっぱり寒い!!
星空は思った通りに綺麗です。たくさんの星。ロープウェイ駅のスタッフによる星座解説も行われています。驚いたのは箱根駒ヶ岳から見下ろせる、静岡県側の夜景の美しさです。まるで宝石箱をひっくり返したような風景。あ!すぐそこに見えるのは相模湾。山頂から夜景を眺めると、山と街の境がはっきりと分かります。街の光、そしてその間を点々とつなぐ街路灯を眺めていると江戸時代になぜ箱根に関所が置かれたのか、その理由もおぼろげながら理解できます。星空観測にロマンチックな側面だけを思っていたのですが、思いがけず勉強になったひとときでした。

大満足ゴージャスBBQパーティー

「焼く係りやりたい!」どんどん焼いてどんどんいただきます

夕飯は、ケビン棟へ戻ってバーベキューです。キャンプ村の受付でバーベキューセットを受け取ります。その重みにびっくり。厚切りのお肉たっぷりのゴージャスなセットです。ケビン棟のテラスに設置されたガス式のバーベキューグリルは火力も丁度よく、鉄板の上で次々と焼かれたお肉が瞬く間に消えていきます。子ども達は、焼きそば作りに夢中。紙皿と紙コップまでセットについていて、洗い物がないと言うのが何気に嬉しい。私たち大人は、ビールで乾杯。冬空の下での鉄板焼きとビール。格別です。

ケビン棟にはお風呂がついているので、お腹いっぱい食べてお風呂で温まり、そのままベッドへ。このツアー、子どもも大満足のプログラムが満載ですが、実は大人がゆっくりできる配慮が随所にあります。キャンプ場とはいえ、ゆきとどいたキットの食事や、個室のお風呂、フカフカのベッド。大人も充分にくつろがせてもらいましょう。
さあ、明日は最終日。私たち大人も子どもに戻って、秋の箱根を満喫しましょう!

大冒険の締めくくり。森林散策とカヌー体験

3日目の朝。すずちゃんとヨウタくんを誘って、朝食前に湖畔を散歩しました。手には暖かいコーヒーを持って。湖畔には朝もやが立ち込め、幻想的な風景です。

澄み切った空気の中で、朝もやの立ち込める湖を前に。早朝だけの貴重な風景です

大きな岩によじ登り、遠くを眺めるふたり。この3日間色々なプログラムの中で大冒険をしました。すっかり美しい自然のとりこになったようです。その目には次なる冒険が見えているのかもしれません。

台車を押すチームワークも抜群。遊んでるうちにすっかり仲良しに

2回目の朝食作りは慣れたもの。手際良くこなして、モリモリいただき、チェックアウトです。それにしても大きな荷物、どうする?と途方に暮れていると、すっかり仲良くなった隣の部屋の小学生が助けに来てくれました。ぐいぐい台車を押していく働き者の子ども達。頼もしい限りです。

ネイチャーガイドのシゲさん。植物や動物の解説をしてくれました

無事にチェックアウトを済ませて、湖の反対側、『箱根やすらぎの森』に向かうと、そこには、八ヶ岳からやってきたネイチャーガイドのシゲさんが待っていました。ガイドツアーと言うので、ただくっついていってお話を聞けばいいのかと思っていたら大間違い。シゲさんから「クイズを解きながらこの森を巡ります。そして秋の素敵を3つ探してください」と、課題が出されました。
俄然、やる気満々になる子ども達。「秋の素敵、秋の素敵」大人もつぶやきながら、手に手に色々な落ち葉や枝を拾って歩きます。

『秋の素敵』コレクション。色とりどりです

道すがらにあるボードのクイズはなかなか難しく、つい本気モードになる大人も(わたしです)。ただの散歩ではなく、こんなにじっくり森の木々を観察して歩いたことがあったでしょうか。あっという間の2時間でした。最後はみんなの探してきた『3つの秋の素敵』の発表です。実は、「自分の探してきたものが一番素敵!」と妙なこだわりなどをアツく語るのは、大人たちなのでした。

秋の素敵披露タイムには、みんなのプレゼン力も炸裂し、大爆笑に終わりました

美味しいものが全員集合。嬉しい!


お昼のお弁当は、今日は東華軒さんの『デラックスこゆるぎ弁当』です。このお弁当をチョイスするスタッフのセンスの良さに脱帽。筍とりそぼろがたっぷり乗った茶飯にエビフライもドーンッ。名前のとおり本当にデラックス。我々は、エネルギーをいっぱい補給しなくてはいけません。なぜなら、次は、最後にして最強のプログラム、カヌー体験です。

陸の上では完璧!カヌー漕ぎの予行練習

もちろんカヌーは自分達の力だけで操作しなくてはいけません。「自分で漕がないと、進まないし帰っても来られない。まるで人生みたいだな…」ふと頭をよぎった思いをかき消すように、漕ぎ方のレクチャーが始まります。「転覆した方は、この5年間でひとりいましたが、モーターボートで救出しますので、ご安心を」そう言われても、極寒の湖に落ちるなんて絶対にごめんです。安全第一。気を引き締めて、出発!

グイグイ漕ぐヨウタくん。目指すは向こう岸。遊覧船が通過すれば、小さなカヌーは木の葉のように揺れます。スリル満点。ガイドのお姉さんがスイスイと私たちのカヌーの間を抜けて、励ましたりアドバイスしてくれます。オールを漕ぐ手を止めてふと見ると、視線の先にそびえる箱根駒ヶ岳、ぽっかり浮かぶ鳥居、手に届きそうな遊覧船。いつもと違う方向から眺める芦ノ湖の風景は不思議な感覚です。

パドルでバンザイ、ハイポーズ!頑張った充実感のある笑顔です

楽しい時間はあっという間、パドル捌きに夢中になっているうちに上陸の時間を迎えてしまいました。いよいよ旅も終わりです。すずちゃんとヨウタくんも、すっかり仲良くなったお兄ちゃんたちと、何回もバイバイを言いあっています。スタッフの方々とも、この3日間いろんなことにトライしてすっかり仲間!と言う感じ。

箱根の自然の中で過ごした素敵な3日間も終わり、明日からはまた日常が戻ってきます。

箱根でのワーケーション体験がくれたもの

カヌーの上からよく知っている陸の風景をみた時の不思議な感覚。まるでこれから帰っていく日常を遠くから眺めている、そんな感覚でした。

このツアーの目的は、『自然豊かな箱根のキャンプ場できちんと仕事もして、大切な人とのバケーションも楽しむ』と言うものです。実は参加する前は「全部を思い切りやるなんて、本当に可能なのかしら?」そんな思いがありました。

しかし、箱根の美しい自然に抱かれ、現地の方々と触れ合い、参加した子ども同士が仲良く遊ぶ姿を目にする中で、それは充分に叶えることのできるライフスタイルなのだ!と感じるようになりました。

『ワーケーション』。近頃にわかに取り上げられる旅のスタイルですが、箱根の雄大な自然の中で現地の方々のおもてなしに触れて得たのは、「もっと自分を発揮していい。もっと遊んでいい。もっともっと笑ってまわりに優しくしていい」という実感。これからの人生の見え方がまるごとカラフルになるような、そんな体験だったのです。

カヌーの上から、親友の漕ぐカヌー越しに箱根駒ヶ岳と海賊船をパチリ。この旅での印象的な風景です

今井しょう子

ローカルエディター

今井しょう子

ローカルエディター

日本大学芸術学部文芸学科卒。神奈川県秦野市の地域活性化コミュニティ「ココハダLAB」運営チームメンバー。フリーマガジン「kokohada」編集長。丹沢の麓の街秦野を駆け巡り、地域活性化をメディアの視点から発信しています。箱根町出身。4人の子を持つ。自然派、アウトドア、遺跡好き。

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