本格的な登山シーンにも対応|コロンビアの新シリーズの「ここがすごい」を解説

登山はもちろん、デイリーユースにも馴染むアイテム展開で、幅広い支持を集めるアウトドアブランド「Columbia(コロンビア)」。

これまで「最初の一着、最初の一足」はコロンビアを手にしておけば間違いない、という登山入門者向けのブランドイメージが強かった同社ですが、今シーズンからはそのラインナップを見直し、エントリー向けだけでなく、本格的な登山シーンにも対応できる新たなコレクションを発表したというニュースが飛び込んできました。気になる新商品の詳細をレポートします。

2023.04.14

池田 圭

編集・ライター

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コロンビアの新シリーズ「Enjoy Mountain Life」とは?

コロンビアの新たなコレクションシリーズは、今まで同社が特に注力していた「日帰りの手軽なハイキング」だけでなく、2,000m級の中級山岳や山小屋泊まで対応できる製品が、さらに拡充したラインナップで揃っているとのこと。

その中でも、とくに象徴的なのが「Enjoy Mountain Life」と名付けられたシリーズです。ラインナップにはレインウェアとして使えるシェルからTシャツまで、これからの時期の登山に必要なウェア一式が幅広く揃います。

今回は「Enjoy Mountain Life」の中から特徴がはっきりした3アイテムにフォーカス。日頃コロンビアのサポートを受けて製品を愛用している登山ガイド、伊藤伴さんと篠原果鈴さんに話を伺ってみましょう。

初めての3レイヤーシェルは「長く着られる一枚」がおすすめ

まず紹介したいのが、シリーズを代表する「エンジョイマウンテンライフジャケット」

何にでも合わせやすいコロンビアらしいデザインを継承しつつ、よりタフなシチュエーションにも対応するスペックを備えた新たな3レイヤーシェルです。従来、コロンビアのシェルの中では、軽量な特徴を持つ2.5レイヤーの「シンプソンサンクチュアリーレインスーツ」や「セカンドヒルジャケット」が“最初の1着”として人気を集めてきました。

しかし、今シーズン選ぶならば、より機能性や耐久性が高く、幅広いシーンで長く愛用できそうなこちらのジャケットがイチオシです。

伊藤伴さん(以下、伊藤さん):耐久性のある3レイヤーなので、今年は山小屋泊や北アルプス登山も視野に入れている方は、ぜひ手にとってみてほしいシェルです。

メンブレンには、東レが開発した「TORAIN™️(トレイン)」を採用。軽快な見た目とは裏腹に、ジャングルテストで10年間使用に相当する耐久性を実証するほどの、高耐候アウトドアウェアに仕上がっています。何年も着続けることができる丈夫な造りで経年劣化を最小限に抑える工夫が施されているため、ごみの削減にもつながります。環境に優しいウエアともいえるでしょう。

デザイン面では、シンプルな単色も展開していますが、マルチカラーもラインナップ。同じく、3レイヤーシェルである「マウンテンズアーコーリングジャケット」はシンプルな色合いが多いのですが、エンジョイマウンテンライフジャケットはよりコロンビアらしい色合いを選ぶことができます。

篠原果鈴さん(以下、篠原さん):私は今まで単色のウェアばかり着ていたのですが、これは袖を通してみるとすごく春っぽいし、女性らしくて可愛いなと思います。

シルエットは全体にゆったりめで、下山後の街づかいにも馴染みやすいデザイン。クラシカルでカジュアルな印象のフロントジップのフラップをあえて残しているのも、コロンビアらしいデザインでしょう。

伊藤さん:フラップは防水の役割もありますが、デザイン面のアクセントになっていて、視認性の高さにも一役買っている。機能とデザインが両立した楽しくなる1着です。

フロントポケットは、評判が良かった「セカンドヒルジャケット」のディテールを継承しました。胸ポケットは地形図や山地図を折らずにしまえるほどのたっぷりサイズで、お腹のポケットも大容量。スマホだけでなく、行動食や手拭い、ヘッドライトなど、なんでもすぐに取り出せる位置にしまえます。まるで、サコッシュを身につけているような収納力です。

伊藤さん:収納力の高いポケットがあると、ものを取り出すたびにザックを下ろさずに済みます。その分、無駄な時間のロスがなくなることも、山をまだ歩き慣れていない方にはおすすめしたいポイントです。

ソフトシェルの快適さは入門者にも体験してほしい

続いては、ソフトシェルを紹介しましょう。
登山入門者には使うべきシーンが少々わかりづらく、敬遠してしまいがちなウェアですが、「エンジョイマウンテンライフソフトシェル」は 、1枚でいろいろなシーンをカバーできる「万能な中間着」と考えてみてください。

伊藤さん:ベースレイヤーの上にシャツのように重ねてもいいし、ウィンドシェルのように風を防いだり、フリースの代わりにもなる。突き詰めると用途は各ウェアに細分化していきますが、とりあえず必要なものがわからないうちは、3シーズン用の中間着として汎用性の高いこれが1着あればいいんじゃないかな。

特にこだわっているのは、運動性の高さを損なわないこと。新感覚のポリエステル素材である東レの「プライムフレックス」を採用し、今までにない抜群のストレッチ性を実現しました。スポーツウェアにもよく採用されている素材で、伸びるだけでなく、戻る力が強いため、体の動きにしっかりと追従してくれます。この戻る力の強さと軽さが、行動中も快適な着心地を生む秘密です。

伊藤さん:「Enjoy Mountain Life」シリーズには、ジャケットと同じソフトシェル素材を使ったパンツもラインナップされています。ソフトシェルの中では、薄くてパリッとハリがあるタイプですね。パンツの方が動きが大きいので、この生地の特性がよく実感できると思います。体が動かしやすいし、擦れにも強いので、岩稜帯やハシゴが連続するようなルートで多少擦れても、毛玉になったり、破れたりする心配がありません。

伸縮性が高く、大きな動きでもストレスを感じない

さらに、表地は撥水加工も施してあるので、軽い雨程度ならレインパンツいらず。裏地はつねにドライな状態を保ち、サラッとした気持ちのいい着心地を保ってくれます。

篠原さん:見た目はすっきり綺麗なシルエットなのに、履いて動いてみるとびっくりするぐらい良く伸びます。この履き心地の良さは、実際に体感してみてほしい。

夏山を涼しく「オムニフリーズゼロ」を採用した新感覚シャツ

最後にもう1点、紹介したい春夏の注目アイテムが、コロンビアの独自技術「オムニフリーズゼロ」を採用した山シャツ「エンジョイマウンテンライフ オムニフリーズゼロロングスリーブシャツ」です。

従来はビーチアクティビティやキャンプなど、夏のライトアウトドアをターゲットにしたアイテムに採用されてきたテクノロジーでしたが、今シーズンは、その機能性の高さから初めて山シャツにも採用されました。

「オムニフリーズゼロ」とは、汗や蒸気など身体が発する水分に反応して冷却するコロンビアが独自開発した画期的なテクノロジーです。特殊プリントを施すことにより、さまざまなアイテムに冷却機能を付加することができます。このシャツでは、乾きやすく、通気しやすい荒目の生地を採用してプリントを施しました。

たくさん見える青い丸が冷却材を使用した「オムニフリーズゼロ」

篠原さん:夏場のクライミング時に、オムニフリーズゼロのTシャツを愛用しているのですが、通常のTシャツとは明らかに違いを感じます。汗をかくとミントのような清涼感を感じて気持ちが良いんですよ。

捲り上げた袖はボタンで止めておくことができます。また、襟を立てた状態で固定することもできるため、疲労の原因となる紫外線をしっかりとブロックします。年々蒸し暑さを増す日本の山にぴったりな機能性は、夏山登山の新たな定番になるかもしれません。

山を楽しむためには優れたウェアが不可欠

その名の通り、山を楽しんでもらうためにと名付けられた「Enjoy Mountain Life」シリーズですが、楽しむためには安全な山行を実現する優れた機能性が不可欠。従来のコロンビア製品と比べると、よりフィールドでの耐久性や動きやすさを追求しつつも、それぞれに個性的な機能とデザインを持たせていることがお分かりいただけたでしょうか。

これから登山を始めてみたい方はもちろん、一歩先のフィールドに踏み出したい方の2着目としても満足できるスペックを備えた新生コロンビア。これからの進化にも期待できそうです。

原稿:池田圭
撮影:廣瀬順二
モデル:伊藤伴、篠原果鈴
協力:コロンビアスポーツウェアジャパン

池田 圭

編集・ライター

池田 圭

編集・ライター

登山、キャンプ、サーフィンなど、アウトドア誌を中心に活動中。下山後に寄りたい食堂から逆算して計画を立てる山行がマイブーム。共著に『”無人地帯”の遊び方 人力移動と野営術』(グラフィック社)、編集を手掛けた書籍に『Two-Sideways 二刀流』(KADOKAWA)、『ハンモックハイキング』、『焚き火の本』、『焚き火料理の本』(ともに山と溪谷社)、『サバイバル猟師飯』(誠文堂新光社)など多数。