ミレー史上最高の背負い心地! 「サースフェーNX」ユーザー本音レポート

MILLET(ミレー)の数あるザックの中でも、フラッグシップモデルである「サースフェー」。そんな人気モデルが今年、4年ぶりに大幅アップグレードされました。これまで以上に背負い心地が向上したと話題ですが、本当のところはどうなのか? サースフェーの進化を確かめてもらうべく、YAMAPではモニターを募集。5名のユーザーさんに、実際に山で使ってみた感想を教えていただきました。

2023.06.30

大関直樹

フリーライター

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今回モニターとして参加してくれたユーザーさんは5名。年齢は30~40代とほぼ同年代ですが、ロングトレイルハイクが好きだったり、雪山が好きだったりと、登山スタイルは様々。それぞれ違った視点でサースフェーNXの使用感を語ってくれました。あなたのザック選びの参考になる意見や感想がきっとあるはず。ぜひ最後までご覧ください。

関連記事:ミレー100年の集大成|快適な背負い心地を求め「サースフェー」が全てを刷新

モニターNo.1:低山×ロングトレイルハイカー/いっちーさん


名前:いっちーさん(40代・男性)
登山頻度:週に1回以上

低山縦走やロングトレイルが好きで、1日に15km〜25kmを歩くこともあるという、いっちーさん。背負い心地がいいと評判のサースフェーNXで、長距離を歩くと腰や肩にどの程度普段がかかるものなのかを試してみたかったそう。低山縦走のスタイルにはつきものの汗のお悩み解消も、今回のモニターで試してみてくれました。

いっちーさんのモニターレポート

山行によっては20~30kmくらい歩くこともありますが、そんな長距離でもサースフェーNXは背負い心地がよく、荷物の重さを感じませんでした。ウエスト部分がしっかりとホールドされているので、縦走していても疲れにくく、とくに肩への負担が全くなかったですね。

公共交通機関を使って駅からスタートする長距離ハイクのスタイルが多い、いっちーさん

長距離を歩くと汗をかくことも多くて、これまで使っていたザックでは背中のベタつきも悩みのひとつでした。でも、サースフェーNXは背面部分が立体構造になっているので、汗をかいてもドライで快適。汗冷えで体力を消耗してしまうこともありません。

重さも感じずドライで快適なサースフェーを背負うと、どこまでも歩けるような気がしてくるので、歩く距離がかなり増えちゃいました(笑)。

「汗をかきやすい」といういっちーさんの悩みを解消した、ドライ感がキープされる3層構造の背面パッド

低山は、ルートが不明瞭で道迷いをしそうな場所が多いので、YAMAPアプリを確認するためにスマホが手放せません。そこで重宝したのが、ショルダーハーネスのメッシュポケットでした。少しでもルートに不安を感じたら、すぐにスマホを取り出すことができるので安心です。

スマホを入れていない反対側のポケットは、ドリンクホルダーとして活用。これからの季節でのこまめな水分補給にも便利。

アクセスの良い、ウエスト部分の拡張ポケットもお気に入り。雨が降ったり止んだりしたときには、折り畳み傘を挿しておきました。雨がパラついてもいちいちパックを下ろさずに、さっと傘を使えるのが便利です。行動食を入れてみても、意外と入るんですよね。これまではサコッシュを使っていたのですが、もう使わなくても済みそうです。

モニターNo.2:生粋のサースフェーファン代表/まあたまさん


名前:まあたまさん(40代・男性)
登山頻度:月に2回程度

登山を始めた9年前からサースフェーを愛用しているという、まあたまさん。以来、今回のサースフェーNXまで3世代に渡ってサースフェーを使ってきたんだそう。サースフェーファンとして、進化したサースフェーNXの魅力を語ってくれました。

左から、2014年のモデルから3世代に渡ってサースフェーを愛用してきたまあたまさん。中身が詰まっていなくてもロゴがしっかり見えるところが、サースフェーNXのお気に入りポイントだとか。

登山を始めたころからサースフェーファンなので、大幅にアップデートされたNXにはとても期待をしていました。

まず驚いたのが背負い心地です。荷物がえらく軽く感じるんですよ! 別の40Lのパックにも同じ荷物を入れてみたのですが、重さの感覚が全然違いました。14kgの荷物を背負っても、体感では10kgもない感覚。やっぱりサースフェーはすごいなと、改めて実感しました。

先代のサースフェーもフィット感は抜群。ですが、今回はそれをさらに上回っています! 背負い心地は毎回どんどんと進化していますね。とくにボディーフィットストラップをギュッと締めると、ザックが腰の上に乗っかってくる感じがわかるんです。旧モデルは背負ったときに、背中とザックに少しだけ隙間があったんですが、新モデルはピタッとくっつくきます。重さを感じさせない抜群のフィット感がありつつも、立体構造によって通気性が担保されているのも嬉しいポイントですね。

ディテール部分も、旧モデルとくらべると「ここまで進化したのか!」と驚くぐらい改善されていました。ショルダーハーネスのメッシュポケットは、以前はiPhoneくらいしか入れられなかったのが、ストレッチ性が加わりサングラスや自撮り棒もスムーズに収まりました

ストレッチが効き、小物を入れるのに重宝したというメッシュポケット

本体が2気室なのは変わりませんが、間仕切りがファスナーからベルトになったのでテントポールをストンと奥まで入れられて、外付しなくてもよくなったのもうれしいですね。

ウエストベルトの拡張ポケットには、私の場合はドリンクを入れています。500ml以上の大型ペットボトルもすっぽり入るサイズですし、出し入れが本当にラクです。歩くときも手や足にぶつかることもないのでじゃまになりません。

モニターNo.3:UL(ウルトラ・ライト)パックユーザー代表/おけいさん


名前:おけいさん(40代・女性)
登山頻度:月に2回程度

登山を始めた頃からUL系のザックを愛用してきているという、おけいさん。ULザックを使い続けながらも、しっかりと荷重を腰で支えられるような登山用ザックも一度試してみたいと気になっていたそう。ULザックにはない魅力に気づいてくれたようです。

おけいさんのモニターレポート


ずっとULパックを使ってきましたが、細めのウエストベルトでは荷重を支えられず、いつも肩こりがしていました。でもサースフェーNXは、しっかりと腰で背負えるので荷物の重さを感じず、肩もラクで感動しました! 軽いULザックも好きですが、サースフェーNXは安定感が違いますね。重めの荷物を入れて長時間歩く場合は、サースフェーNXにしようと思いました。

「背負ったときの体感が違った!」とおけいさん。同じ10kgほどの荷物でも軽く感じたそう。

容量は40+5Lを使ったんですが、想像以上に荷物が入りました。これなら荷物が増える冬山でも行けるので、オールシーズンで使えそうです。今までもテント泊のときはULの45Lパックだったんですが、それよりもたくさん入れられるかもしれません。

モニターNo.4:小柄な女性ハイカー代表/Rinaさん


名前:Rinaさん(30代・女性)
登山頻度:月に2回程度

Rinaさんは、身長が146cmと小柄な体型。なかなか自分の合うパックが見つからないのが悩みだったのだそう。サースフェーNXは、身体の小さな女性にもフィットするように設計された「レディスモデル」もラインナップされています。Rinaさんには、レディスモデルのSサイズを試してもらいました。

Rinaさんのモニターレポート


これまで日帰りのときは16L、1泊のときは30Lのザックを使っていたんですが、もっと大きい容量のものが欲しいと思っていたました。でも、身長が146cmと小柄なので、大きいサイズだと自分の体格に合うのザックを探すのが大変で…。

とくに腰や背中、肩がちゃんとフィットするザックにはなかなか出会えずにいたんですが、サースフェーNXは背負い心地感が抜群! しっかり身体にフィットしてくれました。

今まではレディスモデルを使っていても、下りを歩く時にはウエストベルトが下にズレて、お尻にパックが引っかかることが多々ありました。でも、サースフェーNXはベルトがしっかりと腰にフィットして荷重を支えてくれるので安心。他のザックでは、片方の肩だけ痛くなることがあったのですが、そういうこともありませんでしたね。

ひとつ気になったのは、雨蓋のレインカバー。雨蓋にはレインカバーが入ってますが、最初に背負ったときは後頭部を押されるような状態で歩きにくかったんです。でも、レインカバーを別のポケットに移動させたら解消できました。もし小柄な女性でサースフェーNXを使いたい場合は、レインカバーを移動することをおすすめします!

モニターNo.5:雪山&ハードハイカー代表/げんき🐒さん


名前:げんきさん(30代・男性)
登山頻度:週に1回以上

昨年ごろから北アルプスを中心に雪山など、ハードめな山行にも泊まりがけで行っていいるという登山歴4年のげんきさん。ミレーのザックを使うのは初めてとのこと。モニター5名の中で、一番ハードな山行で試してくれました。

げんき🐒さんのモニターレポート

他のモニターのみなさんに同じく、フィット感の素晴らしさを感じました。ウエストハーネスとショルダーハーネスを締めただけで、完璧なくらい身体にフィットしてくれて。今まで自分が使ってきたザックとくらべても、一番だと思います。

いっちーさんやおけいさんもおっしゃっていましたけど、背負ったときに実際の重量よりもかなり軽く感じられるので、身体がラクでした。

身体にしっかりフィットして、足場の不安定な場所でもブレずに身体を移動できる

モニター期間は4月からからだったので、本格的な雪山にはまだ行けていません。でも、調整式のポールホルダーループでピッケルとポールの装着もしやすそうだし、サイドコンプレッションベルトをフロントに回せば、スノーシューやワカンも付けやすそうなので、雪山でもかなり使い勝手がいいのではと思っています。

胸の部分にあるメッシュポケットもお気に入りです。私は、ここにサングラスを入れています。これまではサングラスをかけないときは、帽子にひっかけていたのですが落としてしまったことがありました。このポケットを使うと、もう無くしてしまう心配はありませんね。

改善希望点がひとつ。レインカバーが小さすぎると感じました。40Lにフルに荷物を詰めてカバーをかけてみたのですが、サイズがギリギリでした。もし、拡張して45Lにするとサイズアウトしてしまうと思います。もう少し生地を伸ばしたり、大きくして覆えるようにしていただけると嬉しいですね。

全員が「満足!」と口を揃えたサースフェーNX

それぞれ個性的な5人のYAMAPユーザーさんですが、背負い心地については全員が口を揃えて「満足です!」とのこと。とくに、フィット感が高く、重心がブレることがないので、思ったよりも荷重が軽く感じるというユーザーさんが多かったのが印象的です。今シーズンは、ザックを買い換えようと思っている方は、ぜひショップでサースフェーNXを試していただけたらと思います。

ミレースタッフにズバリ聞いてみた、進化したサースフェーのポイント

5名のユーザーさんが実際にサースフェーNXを使ってみて、「ここはどうなっているんだろう?」、「もっとこうしたらいいんじゃない?」という疑問や意見をミレープレス担当の林さんにぶつけてみました!

ザックカバーはつけなくても大丈夫?

まあたまさん:ザックカバーをつけず、雨に1時間降られても中の荷物が全く濡れていませんでした。どれぐらいの時間なザックカバーなしでいけるんでしょうか?

表地にシリコン加工が施され、耐水圧が1,500mm以上に進化している新サースフェー

ミレー林さん:シリコン加工を施したパックの生地は、レインカバーと同じくらいの耐水性能があります。ただし、縫製部分からは雨が染み込んでくる可能性もゼロではないので、時間にかかわらず強い雨のときは、レインカバーをつけた方がよいかと思います。

サイドポケットの使い分けを知りたい!

おけいさん:サイドポケットは右と左で深さが違いますが、どのように使い分けるとよいのでしょうか?

ミレー林さん:浅い方には、サイドのコンプレッションストラップを活用して、ポールなどの長モノを入れていただく想定です。ポールは、アックス・ポールホルダーを使って正面にもつけられるので、お好みで選んでいただけたらと思います。

深い方のポケットには、ドリンクを入れたり、薄手のジャケットを入れていただくとよいのかなと。旧モデルはここがメッシュポケットだったのですが、新モデルでは統一感を考えて本体と同じ生地にしています。その分、コンプレッションがかかってしまいボトルなどは出しづらく感じるかもしれませんが、ウェアなどは落としづらくなっているので、うまく活用してもらえると嬉しいです。

ウエストポケットも撥水素材にできなかったの?

げんきさん:ウエストポケットは、撥水性の高い素材で作ることはできなかったのでしょうか?スマホや財布を入れておいたときに濡れる心配がないと、便利だと思ったのですが…。

ミレー林さん:なるほど! ジッパーも止水にして、水濡れが心配なものを入れられるというのは、確かに安心ですね。この点は、商品開発の参考にさせていただきます。

みなさん、本当にサースフェーNXがさらなる飛躍を遂げるヒントをたくさんいただきありがとうございます! 今後は、みなさんから教えていただいた改善希望点を取り入れながら、サースフェーNXをもっと素晴らしいザックに進化させられるように頑張っていきたいと思います。

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サースフェーNXのユーザーさんによるモニターレポートは、いかがでしたでしょうか? YAMAPでは、今後もこうしたユーザーさんによるモニターインプレッション企画を続けていきたいと思っています。ぜひともYAMAPマガジンの記事をチェックしてみてください!

関連記事:ミレー100年の集大成|快適な背負い心地を求め「サースフェー」が全てを刷新

原稿:大関直樹
協力:ミレー・マウンテン・グループ・ジャパン

大関直樹

フリーライター

大関直樹

フリーライター

小中学校はボーイスカウト、高校はワンダーフォゲル部で自然に親しむ。好きなものは、タバコとお酒と競輪。最近は、山頂で一服すると周りの目が厳しいので肩身が狭いのが悩み。「みなさんが山で嫌な思いをしないように風下でこっそり吸いますので、許してください」