登山用アンダーウェアの選び方。汗冷えを防ぎ快適な山行を

登山へ行く際に、「下着はどうしよう」と悩んだことはありませんか? 実は、アンダーウェアは登山の服装の中で重要度の高いアイテム。登山の快適度を左右すると言っても過言ではありません。ここでは、登山用アンダーウェアの役割とその機能をご紹介します。

2023.11.15

YAMAP MAGAZINE 編集部

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なぜ、山用の下着が推奨されるのか?


日常で使っている下着は汗を吸い、乾きにくいことから、登山の際は吸汗速乾性のある専用のアンダーウェアがいいとされます。

特に「綿素材」は登山に向きません。天然素材で着心地がよく吸湿性は良いのですが、保水力があり乾きにくいため、汗を吸った後に濡れたままの状態が長時間続いてしまいます。汗冷えや、環境によっては低体温症を引き起こすきっかけになるため、アンダーウェアに限らず、登山の服装では避けた方がいいでしょう。

登山用アンダーウェアは、Tシャツなどのベースレイヤーのさらに下に着るもので、一番肌に近いウェア。着用することでウェアの着心地がよくなる優れもので、山行の快適さに直結します。登山時には専用のアンダーウェアがおすすめです。

登山のアンダーウェア選び|ポイント① 素材の違い

登山のアンダーウェアに使われる素材は、「化学繊維」と「天然素材」、そしてそのかけ合わせとなる「ハイブリット素材」の3つに大別されます。

⚫︎ 化学繊維
ポリエステルやポリプロピレンなどの、吸水速乾性に優れた素材。肌表面の水分を、繊維の表面で素早く発散させてくれます。よって汗冷えや蒸れを抑えてくれ、運動量の多い山行でも衣服をドライに保つことができ、快適に過ごせます。

⚫︎ 天然繊維
吸湿性に優れて冷えも感じにくいのが天然素材(ウール素材)。なかでも代表的なのは、肌触りのよい「メリノ種」の羊の毛を用いた「メリノウール」。優れた吸汗性があり、濡れても保温性を保つので寒さを感じにくい素材です。また、消臭機能も備わっています。

⚫︎ 化学繊維+天然繊維
化学繊維と天然繊維を組み合わせたハイブリッドな素材。化学繊維の速乾性、天然繊維の保温性を併せ持つ、バランスのとれた存在です。

登山のアンダーウェア選び|ポイント② 登山に適した機能たち

機能性という観点では、次のような特徴が挙げられます。

⚫︎ 吸汗・速乾性
汗をかいたときに水分を吸い取り、素早く乾くというのは重要なポイント。インナーが汗を吸い取っても、乾きにくければ蒸れの原因になります。気温の低い環境で濡れたインナーを着ていれば、体温を奪われてしまいます。

⚫︎ 保温性
山は標高が100m上がるごとに、気温が0.6℃下がります。夏の低山ならあまり重視する必要はありませんが、冬場や標高が高い山行でのインナーは保温性があるとよりいいでしょう。

⚫︎ 抗菌防臭効果
登山中に汗をかくのは夏だけでなく、冬でもたくさん汗をかきます。蒸れたインナーはニオイを発するので、抗菌防臭効果のあるインナーが理想です。

⚫︎ 伸縮性
登山中は体を動かし続けます。行動しやすいように伸縮性があるインナーがベスト。

登山のアンダーウェア選び| ポイント③ 季節ごとに使い分けよう

最初の1枚はオールシーズンで使えるものを

まずはどの季節にも適した、スタンダードなものを1枚持ちましょう。たとえば、登山用下着のパイオニア的存在であるfinetrackの商品ならば、ドライレイヤーベーシックが基本です。オールシーズンで使えるインナーは、どんな場面でも重宝します。

【夏】涼しい素材やUVカット機能を重視

速乾性はもちろん、防臭効果やUVカット機能が備わっているものがおすすめ。また、特に暑い季節や大量に汗をかくスポーツのために、汗処理と「涼しさ」にポイントを置いて作られた、夏仕様のアンダーウェアもあります。

【冬】温かい素材のものをチョイス

冬でも、凍りついた滝などの氷の壁を登るときや、踏み跡のない積雪をかき分けながら進むときなど、動きの多い場面では汗を大量にかくので、化繊や混紡タイプがおすすめです。より保温性を重視したいときはウール素材を選びましょう。山小屋宿泊時にも活躍します。

アンダーウェアで命を守る

登山で最も大事なことのひとつは、体を冷やさないこと。体が濡れてしまうと体が冷えてしまったり、低体温症のきっかけにもなるため、肌に直接触れるアンダーウェア選びはその機能を知り、納得する1枚を選びましょう。

執筆・素材協力=上川菜摘

YAMAP MAGAZINE 編集部

YAMAP MAGAZINE 編集部

登山アプリYAMAP運営のWebメディア「YAMAP MAGAZINE」編集部。365日、寝ても覚めても山のことばかり。日帰り登山にテント泊縦走、雪山、クライミング、トレラン…山や自然を楽しむアウトドア・アクティビティを日々堪能しつつ、その魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと奮闘中。