東の高尾山、西の金剛山といわれ、年間登山者数100万人超と関西随一の人気を誇る金剛山(1,125m)。山頂ライブカメラで知られ、さまざまなコースがあるので、老若男女を問わず手軽に四季を感じることができます。
地元の金剛山を拠点に撮影活動を続け、YAMAPフォトコンテストでも最優秀賞の受賞経験がある川村泰人さんに、3つのおすすめコースを素敵な写真とともに紹介してもらいました。
2024.06.12
川村 泰人
フォトグラファー
①大阪からのアクセスが良好で、多彩なコースがあり老若男女を問わず山を楽しめる
②四季を通じて豊かな自然を手軽に感じられる
③24時間ライブカメラに写り、記念撮影ができる
金剛山には登山コースが数多くあり、整備が行き届いているコースでは、子供から年配の方まで気軽に登山を楽しめます。
山頂には、晴れていれば大阪平野を一望できる広場や売店、トイレがあり、登りで疲れてしまってもゆっくり休憩できます。
山頂付近には一言主大神(ひとことぬしのおおかみ)を祀る葛木(かつらぎ)神社があり、神社へのお参りを兼ねた登山もおすすめ。
金剛山と言えば、山頂広場に設置された10分毎に撮影されるライブカメラ。撮影された画像はインターネットに配信されているので、仲間とポーズをとって、家に帰ってから確認するのも楽しみのひとつです。
ここからは、金剛山をホームとする、「YAMAPフォトコンテスト2023」の最優秀賞受賞者、川村泰人さんがおすすめする3つのコースを紹介します。
ポイント
①標高差が少なく、比較的簡単に山頂を目指せる
②階段状に整備され、危険箇所もなく歩きやすいコース
③公共交通、マイカーともに登山口までのアクセスが良好
コース情報
コース定数:13(※コース定数について)
コースタイム:3時間20分
歩行距離:4.8km
累積標高差(上り):586m
累積標高差(下り):586m
千早本道登山口の周辺には、民間の駐車場や飲食店のほかにモンベルもあり、ふとした忘れ物にも対応できます。(忘れ物はしないようにしっかり準備しましょう!)
登山道は整備が行き届いた階段状になっており、歩きやすく安全に登山を楽しめます。
5合目にあるウルトラマンの石像。トイレとあずまやがあり、絶好の休憩ポイントになっています。(2024年5月現在、5合目トイレはメンテナンスのため休止中)
この日は3月でしたが寒気の影響で軽く雪が積もり、8合目付近では美しい霧氷を見ることができました。
冬季の金剛山は、軽アイゼンで歩ける雪山の入門としても人気です。
ライブカメラは山頂標識の横にあり、10分おきに記念に映り込もうとする登山者で賑わっています。
山頂は、晴れていれば大阪湾、六甲山系、淡路島を一望できる絶景スポットです。
また、広場にはベンチが用意されていますが、天気のよい休日のお昼は混み合うので、食事を取るつもりならレジャーシートがあるとよいです。
山頂の売店では、軽食やソフトクリーム、モンベルの商品などが買えます。
また売店横の小屋には、金剛山の登山回数を記録するスタンプの捺印所があります。スタンプカードを購入すると押してもらえ、スタンプ数によってピンバッチがもらえます。なかには、1万5000回以上登っている強者もいるそうです!
売店の向かい側にはトイレがあるので、下山前に立ち寄れて便利です。
体力に余裕があれば、下山前にぜひ山頂付近を散策してみてください。
特に、霧がかった朝の葛木神社の境内は神秘的な雰囲気に包まれ、天気が優れないときほどさまざまな表情の金剛山に出会える機会です。
下山は上りと同じルートを通ります。危険箇所はありませんが、階段状のためあまり勢いよく下ると最後に足が辛くなる恐れがあります。マイペースで安全に下山しましょう。
アクセス、トイレ情報
最寄りの金剛登山口バス停へは河内長野駅から南海バスでアクセス可能です。また登山口付近には民間の駐車場が多数あり、公共交通機関・マイカー共にアクセスは良好です。
トイレは登山口、5合目、山頂と複数あるので安心です。
ポイント
①長距離周回コースでコースの変化に富んでおりステップアップにおすすめ
②ブナの原生林など豊かな金剛山の自然を凝縮したコース
③登山道は明瞭で危険箇所も少なく歩きやすい
コース情報
コース定数:20
コースタイム:4時間40分
歩行距離:9.2km
累積標高差(上り):844m
累積標高差(下り):844m
スタートの水越川公共駐車場から、道沿いに少し東に進んだ所に登山口があります。そこから尾根沿いに進むこのコースは、①のコースほどではないものの、踏み跡がしっかりとあり、比較的歩きやすくなっています。
コース中盤の太尾要塞手前は少し急登なので、無理せずペースを守って、後半に体力を温存するとよいでしょう。
基本的に森の中を歩くコースなので、運よく木漏れ日が差し込むタイミングには、静寂に包まれた光の道を歩くような体験ができるかも!
YAMAPフォトコンテスト2021で入選を頂いた 「Spotlight」も、実はこのコース上で撮影しました!
大日岳(1,094m)を通過した付近からブナの原生林に植生が変わり、初夏は新緑、秋は紅葉、冬は霧氷と、特に四季を感じることができるエリアになっています。
ブナの森を進むと、もう山頂は間近です。疲れた体を休め、エネルギーを補給して下山に備えましょう。
また、このコースには途中にトイレがないので、下山前に山頂でトイレに行っておきましょう。
下山は、上りとは別のコースを通ります。
山頂広場から葛木神社方面へと歩き、一の鳥居の分岐点をダイヤモンドトレール方面へ歩きます。
ダイヤモンドトレール(ダイトレ)とは、大阪と奈良を分ける金剛葛城山系の稜線上の縦走路で、全長約45kmに及ぶロングトレールです。
このダイトレの一部を水越峠方面へ下ります。
整備されたトレールは穏やかな傾斜が続くので、距離は長めですが危険箇所もなく安全に下山することができます。
稜線を旧パノラマ台まで歩いたら階段状の道を下ります。階段を下った先の水越川の橋を渡ると林道になります。
林道沿いは日当たりもよく、季節の花が咲いていたりするのでぜひ探してみてください。林道を道路まで下り、道路を10分ちょっと西へ歩くと、ゴールの駐車場です。
アクセス、トイレ情報
マイカー利用の方は、スタート地点の水越川公共駐車場で駐車可能です。利用台数に限りがあるので、満車の場合は迷惑駐車などがないようにお願いします。
公共交通機関の場合は、最寄りが東水分バス停となり、富田林駅から4市町村コミバスでアクセス可能ですが、バス停から登山口まで約4kmあるので、マイカーでのアクセスがおすすめです。
トイレは山頂のみで、コース中・スタート地点共にないので、駐車場に行く前に国道309号線水越トンネル西側の交差点付近の公共トイレに立ち寄っておくと安心。
ポイント
①比較的手付かずの自然豊かなコースで、滝や季節の植物など見所たくさん
②コースは基本的に整備されておらず、距離は短いながら冒険要素が盛りだくさん
コース情報
コース定数:13
コースタイム:3時間30分
歩行距離:4.9km
累積標高差(上り):602m
累積標高差(下り):602m
ツツジオ谷コースのスタートは、①の千早本道コースと同じ千早本道登山口です。
5分ほど道路を歩き、沢に出たところで登山道に入ります。序盤は傾斜もキツくなく、森の中を沢筋に沿って歩きます。
基本的に沢沿いに進むコースで大小の滝があり、変化に富んだコースになっています。
滝を巻く所など、急傾斜やトラバースがあるので、滑落には十分注意して進んで下さい。
また、コースには所々看板があるのみでテープ等の目印がないため、道迷いしないように時々地図やGPSを確認することも大切です。
コース中盤からは、ゴロゴロした石の沢を滑らないように気をつけて進みます。
滝だけでなく、沢筋は苔や多様な植物の宝庫になっているこのコースは、個人的にとても好きなコースです。季節ごとにさまざまな発見があって、何度訪れても違った表情を楽しむことができます。
沢筋を進むと、山頂手前にある小さな橋のところで千早本道コースに合流します。
山頂で休憩して体力を回復したら、千早本道コースで下ります。(下りでツツジオ谷ルートを使うのは、登りよりも難易度が上がるので、おすすめしません)
アクセス、トイレ情報
トイレはスタートと山頂、下山コースの5合目にあります。上りの途中にはトイレがないので、出発前に済ませるようにしましょう。
アクセスは①の千早本道コースと同じになります。
【注意】
コースの距離自体は長くないですが、整備された道ではなく、コースもやや不明瞭なので、体力だけでなくルートファインディングや不整地の歩き方など総合力が必要になります。
事前にスマホの充電とYAMAPアプリに金剛山の地図のダウンロードをしてチャレンジして下さい。
もぐらの寝床
金剛山登山口バス停隣のカフェ。石窯ピザは絶品で、下山後の疲れた身体に染み渡ります!
道の駅かなん
地元農産物や農産加工品が揃っています。特に冬から春にかけて販売している特産のいちごは絶品です。
天然温泉 延羽の湯 本店
金剛山からは少し離れますが、車で大阪市内方面へ向かう場合におすすめのスーパー銭湯。
広々とした施設内には大小様々な温泉やサウナ、岩盤浴などがあり、登山で疲れた体をリフレッシュできます!