ハードな山行を行う登山者から、低山をのんびり楽しむハイカーまで、幅広いファンを抱えるコロンビア。そんなコロンビアが登山を楽しむ皆さんを応援するために、新しく立ち上げたスローガンが、『THIS IS WHY WE HIKE 〜山に行きたい理由がある』です。
この夏、コロンビアとYAMAPはこのスローガンをテーマに、ユーザーの皆さんの山に行きたい理由にまつわるエピソードと活動日記を募集するキャンペーンを実施しました。
集まった応募作品総数は、なんと約7,000件!
「家族との思い出を作るため」、「ピークハントの達成感がクセになって」、「まだ見たことがない景色に出会いたい」などなど、みなさんが山に行きたい理由は多岐に渡り、登山者の数だけ登る理由があることがよくわかる結果となりました。
ここでは、中でも特に興味深い内容だった5作品をピックアップし、投稿者にインタビューを実施。読んでいるこちらも思わず山に行きたくなってしまう、彼らの「山に行きたい理由」を伺ってみましょう。
2024.10.09
池田 圭
編集・ライター
アウトドア好きの父親の影響で自然大好き少年として育ち、すっかり山にハマり続けている“いーぬいさん”。彼が山に登る理由は、ずばり「山頂の絶景と共に食べる山ごはん!」です。
「それはもう、この世にこれ以上の幸福感があるのか…と思ってしまうほど。登山で作った料理なら、数年前の山行でも風景や喜びの感情とともに鮮明に思い出せます」と仰るほどのハマり具合です。
いーぬいさんが山ごはんにどっぷりハマった理由は、高校時代、テント泊山行の度に美味しい料理を作るグルメな山岳部へ入ったことがきっかけでした。そこから山での料理、特に頂上で絶景と登頂の達成感に包まれながら味わう“山頂飯”が、山に登る理由になっていったそう。今では、山によっては「登頂すること」が目的ではなく、「山頂飯を味わうこと」を目的に登ることもあるほどだと言います。
いーぬいさんの活動日記や個人ブログ「山ごはんや」(https://iinuiblog.com/)では、たくさんのレシピが公開されています。
どのレシピも乾物や生食材を上手くミックスさせ、美味しそうなだけではなくて、「これなら自分でも山でできそう!」と思える手軽さと満足感を両立させたアイディアが満載です。
「山では、塩っぱいもの、酸っぱいもの、こってり甘いものを特に美味しく感じるので、そこを意識してレシピを作っています。特にスイーツ系は『下界で食べたら甘過ぎるだろうな』と思うくらいがちょうどいい」
なかでも、お気に入りのレシピは、甲武信ヶ岳で食べたペスカトーレ。
「とあるレストランで見たときに、『これなら、トマトペーストと貝ヒモ、おつまみイカでも作れるのでは?』と、山で作ってみたい衝動に駆られました。早速、甲武信ヶ岳に登り、山頂から富士山と雲海の絶景を見ながら、ゆっくりと海鮮の出汁と旨味を堪能……。最高でした。人生で最高の朝ごはんだったかもしれません」
話を聞いているだけで、こちらも山で食べるご飯の美味しさを思い出してしまいますね。
ちなみに、好きな山を尋ねると奥さんとのウェディングフォトを撮った思い出の山・燕岳を上げてくれました。
「妻と付き合ったばかりの時にプレゼントしたのが、コロンビアのウェア。店員さんに相談して『これが絶対に使いやすくてカワイイから!』と推してくれたのがライトクレストパターンドジャケット(※現在は販売終了)でした」
今も変わらず、2人で山とご飯を楽しんでいるそうです。末長くお幸せに!
2人目にインタビューしたのは、昨年の秋に登山を始めたばかりの“登山初心者 介護士さん”。彼が山に登る理由を伺うと、「人はいつ死ぬかわからないからこそ、自分の力で素敵な景色を見て、後悔しない人生を送りたいから」だと言います。
自身も介護士として働く会社を経営する彼は、この数年、健康を気に掛けられないほど忙しい毎日を送ってきました。
昼も夜も仕事に追われ、徐々に食生活が悪化。たまの休日も疲れてグズグズと過ごしてしまう始末。コロナ禍を経て、たくさんの人の旅立ちにも寄り添い、人生は自分で思い通りにならないことが多く、いつなにが起きるかわからないことを痛感してきたそうです。
「そんな状況の中、久しぶりに健康診断を受けてみたところ、数値があまりに悪く、『このままでは自分も死んでしまうのでは』と思わされました。そこで、旅行で訪れた北アルプスの欅平で見た山の綺麗さを思い出し、『健康とダイエットのために登山なら続けられるかも』と、子供の頃から身近だった丹沢の大山に登ることにしたのです」
最初は歩くだけでもキツさを感じていた介護士さんですが、登山を重ねるたびに体が軽くなることを実感。当初100kg近かった体重は、なんと1年弱で85kgに、そして肝機能や脂質代謝の数値も劇的に改善しました。
登山は自分の命だけでなく、なにより心も救ってくれたと、この1年を振り返ります。
「人の死が身近にある介護という仕事を通して、自分だっていつ人生が終わるかわからない、だからこそ好きな山に登り、登りたい山に登るために毎日運動を続けようと思えたのです。登山を始める前は『毎日仕事のために朝起きるのがつらい……』と思っていたのが、嘘のようにちゃんと起きれるようになりました。山に出かける日なんて、3時にぱっちり目が覚める。以前の私からは考えられない変化です!」
介護士さんが登山を始める時に、最初に買った山道具はコロンビア「BURKE MOUNTAIN 32L BACKPACK」でした。登る山が変わっていくにつれて、もう少し大きいバックバックを使う機会も増えましたが、今でも背負う度に初心を思い出す相棒だとのこと。
今年の秋は、御嶽山への挑戦を計画しているそうです。活動日記では、彼の体重の推移と共に各地での山行報告を楽しみに待ちましょう。
続いては、福井県を拠点に北陸エリアの山に多く登っているmacaronさん。
山に登り始めたのは、トレランをしてみようと子供と一緒に地元の文殊山に登ってから。頂上からの開けた景色や山の香りに癒されて、登山にハマっていきました。
「仕事でストレスが溜まったときは、黙々とノンストップで登ると無心になってスッキリしますね。一番楽しいのは、子どもと一緒に自然を楽しみながら登る山です。野鳥を探したり、ケムリダケで遊んだり、雪の積もった里山でソリをしたり」
そんなmacaronさんが山に登る理由は、リフレッシュのため、脚力作りのため、景色やお花を見るためなど、いろいろあるそうですが、「雷鳥に会いたい」のも理由のひとつ。そこには、あるおじいさんとの出会いがありました。
「数年前に職場でお会いした80代後半のおじいさんは、若かりし頃は登山を趣味としていたそうで、昭和時代の登山の様子や山スキーなど、青春の楽しい思い出をたくさん教えてくれました。その中のひとつに雷鳥の話があり、『私もいつか見てみたい!』と盛り上がりました。」
おじいさんはすでに登山を引退していたため、一緒に登る機会はなかったそうですが、会うたびに雷鳥探しの進捗を報告していたそうです。しかし先日、新聞のお悔やみ欄におじいさんの名前がありました。
「まだ、雷鳥と出会うことはできていません。もし発見したら、涙しながら一番におじいさんへ心の中で報告すると思います。雷鳥のいるところは空に近いので、おじいさんも私のメッセージをキャッチしやすいかと」
活動日記全文を読んでいただくと、macaronさんの雷鳥に会いたい理由がよく伝わってきます。詳しくは以下のmacaronさんの活動日記をご覧ください。
https://yamap.com/activities/33176544
「雷鳥グッズを集めたり、YAMAPの雷鳥モニターを見て雷鳥探しのトレーニングをしたり。いつか雷鳥には会ってみたいけど、会えずに想いを馳せる今も楽しい。来年の夏、子供と燕岳に行く予定なので、そこで見られればと思っています」
「私の人生の長期目標としては、70代や80代になっても山に登ることです。地元の文殊山には元気な高齢者がたくさん登っており、彼らは私の目標です」
そんなmacaronさんに、地元・福井の山の魅力を教えてもらいました。
「私は稜線やブナ林の中を歩くのが好きなのですが、福井県の山は、それらが急登とセットなことが多く、休ませてくれない登山道が多いです…。歴史のある山も多く、古道や城跡がそのまま残っており、タイムスリップができます。おすすめは福井県三大急登の1つである経ヶ岳と、福井の高尾山的存在の文殊山です」
写真も趣味だというmacaronさんの活動日記には、美しい写真と共に、他エリア在住者には馴染みの薄い北陸の山々の魅力がぎゅっと詰まっています。つい福井まで足を運んでみたくなりますね。
4人目に登場していただくaishiさんは、10年ほど都内近郊の山々を歩き続ける低山ハイカー。
今回のキャンペーンを機に、自身が山に登る理由を思い返してみたところ、「山歩きはとてもクリエイティブな行為だと思うから」という答えに行き着いたそうです。山行計画を立てたり、道具を選んだり、山向きな料理を考えたり。山登りにまつわるクリエイティブな行為のテーマはたくさんありますが、aishiさんの楽しみは「自分だけの地図を作ること」でした。
「里山歩きは無数に選べる道があり、いろいろな道を歩いてみたくなります。自然と一度歩いた道を地図にマーキングして、次に歩く時は別のルートを歩くようになったことが、地図作りを始めたきっかけでした。加藤文太郎さんなどの登山家が昔からやっている地図遊びにも、割と影響を受けていると思います」
山を歩いていると、自分には気になるけれど他の人には気にならないことや、その逆のこともあります。オリジナルの山地図を作っていると、そうした新しい発見や注意すべきポイントなどが洗い出せることがおもしろさだと言います。
「出発前に調べた情報だけでなく、山から帰ってきたら歩いたルートや感想を自分の地図に書き込んでいくんです。紙地図にそのまま書き込んでもいいし、コピーした物を使ってもいい。自分は、パソコン上で地形図にルートや注意点、目を引いたスポット(水場やトイレ、自販機の位置、仏像など歴史の痕跡)をレイヤー分けして書き入れています」
山では、歩きながら気になる場所やポイントの写真をスマホで押さえる。そして、さらに気になるポイント (分岐や危険箇所、休憩所の様子など)では、写真の編集画面で直接矢印を書き込んだり、注釈を入れるそう。
「今は写真に位置情報が付いているので、その写真をYAMAPにUPするだけで気になる場所が写真付きで残せる。本当にありがたいです。あとは、帰りの電車の中でYAMAPに写真をUPして、記憶が鮮明なうちに、記録がてらコメントも付けています。帰宅後にその山行記録を見ながら、さらに自分用の地図に書き込んでいきます」
「実際に歩いてみて、集めた情報の答え合わせする楽しみみたいなのはありますし、歩いた道を塗りつぶしていくゲーム的な要素もあります。例えばピストンで登ったことがある山でも、次は巻き道を使ってみるとか。いろいろなルートを歩くきっかけになります。自分は情報をできる限り地図に書き込んでいるので情報が乱雑になりがちですが、シンプルに歩いた場所に線を引いていくだけでも楽しいし、達成感も味わえると思います」
地図作りは、標高や天気に左右されない山登りの楽しみ方の1つ。やり方次第では、すぐに誰でも真似できるので皆さんも自分だけの地図作り、始めてみてはいかがでしょうか。
最後に登場する“おっくんさん”が登山を始めたきっかけは、両親が買ってきた漫画『岳』に触発されたことでした。
「三歩さんからは山のルールだけでなく、山の楽しみ方や人との向き合い方も学ばせてもらいました。今まで漫画を通してしか知らなかった山の魅力が、実際に登ることで経験に変わる。この瞬間が私にとっての山のおもしろさです」
いつか登ってみたい目標の山は北穂高岳。理由は「岳」の作中でおそらくもっとも多く描かれている場所だから。いつかは北穂高岳を含めた周回コースを縦走しつつ、聖地巡礼を楽しみたいそうです。
漫画をきっかけに登り始めた山ですが、徐々に楽しみ方の幅が広がっていきました。最近は、花や景色を撮影しながら登山を楽しんでいるそうです。
「今までは体力が不安だったのでスマホで我慢していたのですが、先日初めてミラーレスカメラを山に持っていき、道中の花や景色を写真に収めながら登ることの楽しさを改めて実感しました」
ちなみに、おっくんさんはコロンビアの山シャツ「シルバーリッジユーティリティライトプレイドロングスリーブシャツ(※現在は販売終了)」がお気に入り。環境に配慮した、リサイクルポリエステル素材を用いており、ソフトな着心地と吸湿速乾性が抜群の1枚です。
「夏の登山でもTシャツ1枚だと心許ないので、このシャツを着ていきます。体温調節のために袖まくりをした際、ロールアップ用のボタンが付いているので袖がずり落ちるストレスがなく、羽織りものとして重宝しています」
現在、おっくんさんが山に登るもっとも大きな理由は、きっと同じ目標を持つ同志も多いであろう「百名山踏破」です。
「まだまだ先は長いのですが、百名山以外の山にも挑戦しながらじっくり目指します。なので、達成は気長に老後まで見据えています(笑)」
楽しみは最後にとっておくタイプなので、百座目に登るのは富士山と決めているとのことです。
この度は、「コロンビア活動日記キャンペーン」にたくさんのご応募をいただき、心から感謝申し上げます。今回、記事でご紹介した5名の方それぞれが「なぜ山に行くのか」という問いに対して、心に響くエピソードや深い想いをお持ちであることを知り、非常に感動いたしました。お話の中には、共感を覚える部分や新たな視点を与えてくれるものが多く、それぞれの体験や考え方に触れることで、私たち自身も多くの学びを得ることができました。
山に向かう理由は、人それぞれに異なります。ある人は自然の美しさに惹かれ、ある人は達成感を求めているかもしれません。心の安らぎを得るために足を運ぶ方もいるでしょう。その理由を友人や仲間と分かち合うことで、互いに新たな発見が生まれ、山をさらに深く楽しめるようになるのではないかと思います。
これからも、山の魅力を存分に味わい、より快適に、そしてより豊かな経験を得られるよう、山を愛するすべての皆さんにエールを送ります。山で過ごすひとときが、皆さんにとってかけがえのないものとなりますように。
コロンビアでは、そのようなユーザーのみなさんが秘めた想いと共に高みへと進んでいくために役立つ、幅広いアイテムをラインナップしています。機能的なウェアからシューズやバックパックまで、レベルを問わず選べるスタイリッシュで頼り甲斐のあるアイテムは、あなたの想いをしっかりとサポートしてくれるはずです。
山に行きたいすべての人たちに、コロンビアはエールを送り続けます。
取材:池田圭
協力:コロンビアスポーツウェアジャパン