リモートワーク時代の新たな交流法|登山部インタビュー・アイレット株式会社【登山部インタビュー】

登山を始めるきっかけで多いのが、「職場の仲間に誘われて」というパターン。仕事とプライベートを分けたいという人もいる一方、なぜ同僚たちと行くグループ登山が増えているのでしょうか。そこで、登山コミュニティをもつ企業の登山部員たちに、心身のリフレッシュだけではない、グループ登山の魅力を伺う「登山部インタビュー」連載をスタートしました。

第二回は、システム・アプリケーションの開発、グラフィック・UI/UX デザイン制作からインフラの構築・運用までをワンストップで提供するアイレット株式会社(東京都)さんです。コロナ禍で浸透したリモートワークにより、職場のコミュニケーションが希薄化したという課題。その解決策として選ばれたのが、なんと「登山」だったのだそう。現在は、東京と大阪のオフィスを中心に、各拠点で数十名のメンバーが活動中。今回は、登山を通じて生まれる新しいつながりや、グループ登山の企画方法などを中心にお話を伺いました。

2024.12.20

YAMAP MAGAZINE 編集部

INDEX

< 話を聞いた人 >
アイレット株式会社
システム・アプリケーションの開発、グラフィック・UI/UX デザイン制作からインフラの構築・運用までをワンストップで提供するIT企業
https://www.iret.co.jp/

大石さん:東京勤務・エンジニア/セクションリーダー
中嶋さん:東京勤務・総務
為岡さん:大阪勤務・システムエンジニア・YAMAPID 2790530

コミュニケーション課題の解決策として提案した「登山」

── アイレット株式会社の登山コミュニティは、何がきっかけで活動がはじまったのでしょうか?

大石さん:私たちの会社は従業員数が約1,200人で、東京の本社オフィスとは別に支社がいくつかあります。登山部は東京と大阪のオフィスにあるのですが、実は、登山部が作られた経緯はそれぞれ異なります。

為岡さん:私は大阪支社で登山部の運営を担当しています。私たちの会社は、コロナ禍から現在まで、オフィス出社とリモートワーク(在宅勤務)を組み合わせたハイブリッドワークを導入しているのですが、やはり出社していた頃に比べるとコミュニケーションが取りづらくなったよねというのが社内で課題になっていて。その解決策のひとつとして「オフラインでの集まりを増やそう」という話になったんですよね。そこで私が“登山”を提案したところ案外反応がよくて。それがきっかけで活動が始まりました。

▲アイレット登山部大阪チーム

中嶋さん:私と大石さんは東京オフィスの所属なのですが、東京の登山部は私たちのラフな会話から始まりました。個人的に登山に興味があって、入社時の歓迎会でその話をしたら、登山経験があった大石さんが私を山に誘ってくれたんです。参加者を募集してみたら、東京は登山経験者の方も結構いて、輪が広がっていったような感じですね。行く山とか頻度は経験も人数も違うので東京と大阪とで異なります。

▲アイレット登山部東京チーム

為岡さん:大阪では、コミュニケーションのツールとして登山を取り入れたので、登山経験者がほとんどいません。そのため、標高200〜600mくらいの低山を中心に活動しています。頻度は年に2〜3回くらいです。山選びや全体の仕切りなども、基本的に私が担当しています。

── 会社の公式な部活動として運営されているのですか?

大石さん:いいえ、僕たちの登山は有志のコミュニティ活動になりますね。会社としてスポーツ活動を推進する制度はあるのですが、登山は大会とか試合とかがないでしょう。だから補助とかが出ないんです。でも、東京の本社と大阪の支社で、それぞれ30名強くらいの登山コミュニティがあります。

初心者にも安心な山選びとリーダーの心得

── 為岡さんが、山選びや登山活動で強く意識していることなどはありますか?

為岡さん:山選びで意識しているのは、標高とアクセスですかね。普段運動していないメンバーでも大丈夫な山であり、かつ公共交通機関で行ける山を選ぶようにはしています。また、提案する山には必ず下見に行き、トイレや自販機、エスケープルートなどをチェックしています。それらの情報やコースタイムをメンバーに提示して、各自で参加、不参加の判断をしてもらうようにしています。

登っている最中に気をつけているのは、なるべくゆっくり歩くことと、上着や水分などを万が一に備えて自分が多めに持っていくことなどでしょうか。

── これまでに登山部の活動で行った山で、いちばんおすすめの山はどこでしょうか?

為岡さん:滋賀県の「金勝(こんぜ)アルプス」ですね。奇岩があったり、川渡りがあったり、ロープがあったりと道中も楽しいですし、山頂の眺望もいいです。登山経験があったメンバーでも、「今まででいちばん楽しかった山だ!」と言ってくれて、選んでよかったなあと思いました。

共通の趣味でつながる社員同士のコミュニティ

ー 登山活動は、社内コミュニケーションの課題を改善していると思いますか?

為岡さん:アンケートを取ったりしているわけではないですが、登山をする仲間同士は、たまにオフィスで居合わせた際に会話が生まれている印象がありますね。自分自身も、普段の職場では業務的なやりとりが中心だった関係が、登山を通じてぐっと近づき、親近感を持てるようになったと感じます。

中嶋さん:私は、中途入社したのですが、やはり社員数が1000人超の大きな会社で、さらにリモートワーク推奨となると、どうしても交流は少なくなってしまうなと感じていて。登山部の活動を通じて自分と関わりの少ない同僚のことも、登山を通して知ることができているのはとても良いことだなと思います。この交流を通して、さらに社内でも輪が広がっていて良い方向に変化していくなと実感しています。

大石さん:自分たちの働き方らしいエピソードといえば、最近はオフィスから遠い場所に住んでいる社員も増えてきているんですよ。そのなかで、東京の登山部の活動に参加してくれる秋田在住の社員がいるんです。見ない顔だな〜と思って声をかけたら、「秋田から夜行バスで来ました」なんて言うからびっくり! でもこれも、登山部だからこそのご縁だな〜と。

為岡さん:東京の登山活動に大阪の私や他のメンバーが参加するようなケースも増えてきました。こうしてオフィスをまたいで交流が生まれていくことも、どんどん広がっていってほしいですね。

社内登山へ行こう!仲間と楽しむ自然時間のススメ

自然の中でリフレッシュできるだけじゃなく、仲間との結束力も深まる「登山」。同じ景色を見て、同じ達成感を味わうことで生まれる一体感は、心の距離を縮め、信頼や絆を育んでくれます。仲間との絆が深まることで、日々の仕事にも思わぬ変化が生まれるかもしれません。

「次の週末は、会社の仲間や友人と一緒に登山をしてみようかな?」

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YAMAP MAGAZINE 編集部

YAMAP MAGAZINE 編集部

登山アプリYAMAP運営のWebメディア「YAMAP MAGAZINE」編集部。365日、寝ても覚めても山のことばかり。日帰り登山にテント泊縦走、雪山、クライミング、トレラン…山や自然を楽しむアウトドア・アクティビティを日々堪能しつつ、その魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと奮闘中。