新・東京観光&散歩スポット|樹木をテーマに歩く旅「Tokyo Tree Trek」

東京の観光スポット、お散歩コースをお探しの方へ。商業施設や遊園地などのいわゆる「ザ・観光地」とは違う、新しい東京の楽しみ方をご紹介します。都内の巨木・樹木をめぐる旅、雑誌「PAPERSKY」が提案する「Tokyo Tree Trek(TTT)」は、自然のパワーを感じられる癒しスポットや、都市と自然が共生する絶景ポイントを歩いてまわる、新感覚の観光&お散歩コースです。いざ、TTTへ出発!

※本記事の取材・撮影は2020年3月中旬に行ったものです。緊急事態宣言が発令されている今はくれぐれも不要不急の外出は避け、新型コロナウイルス収束後にはぜひ思い切りTokyo Tree Trekをお楽しみください。

2020.05.03

Lucas B.B.

クリエイティブディレクター/ 編集人

INDEX

東京の魅力を再発見!樹木・巨木をめぐる「Tokyo Tree Trek」

高層ビルがそびえ立つ、大都会・東京。次々に開発が進み、目まぐるしく進化し続ける都市の中にも、じつは自然を感じられる癒しスポットがそこここにあります。それは、公園、神社、路地裏にどっしりと佇む樹木たち。その堂々たる姿は、さながらその街の「シンボルツリー」のよう。樹木をテーマに新旧入り混じる東京を歩く旅「Tokyo Tree Trek」を、発案者の「PAPERSKY」編集長・ルーカスさんと一緒に訪ねました。

TokyoTreeTrekは全長60キロに及ぶ散歩コース。全部で6セクションに分かれていますが、一気にすべてを歩き通す必要はありません。まずは気になるスポットがある1セクションだけ歩いてもいいし、何回かに分けて全セクションを踏破してもいい。同じコースでも季節によって見える景色は変わるので、1つのセクションを季節を変えてくり返し訪れても楽しめます。

観光者におすすめなのはもちろんのこと、東京在住の人でも新たな発見ができる魅力的なお散歩コースです。今回はその一部として、各セクションから厳選したシンボルツリーを1本ずつご紹介します。

Section1:旧細川邸「シイ」

港区高輪の住宅地に突如ひょっこりと現れた、旧細川邸のシイの木。幹囲8m以上の立派な巨木です。初夏に花を咲かせ、翌年の秋にはどんぐりが熟すんだとか。

ここはかつて、熊本藩細川家の下屋敷があった場所。旧細川邸のシイは、東京都指定天然記念物に指定されています。

「この木はきっと、かつての江戸、それから東京の歴史と発展を静かに見守ってきたんだね…」と、感慨深くシイを見つめるルーカスさん。

Section2:新宿御苑「ユリノキ」

都心のオアシス、新宿御苑にも必見の巨木があります。新宿の高層ビル群をバックに、天に向かってまっすぐ突き抜けるように立つユリの木は、存在感ばつぐん。東京の巨木を象徴するかのような景観ですね。

まわりをぐるりと歩いたり、近寄って寄りかかってみたり。幹に触れると、まるで樹木の息づかいが聞こえてきそう。樹木との対話を心ゆくまで楽しみます。

Section3:東京大学「イチョウ」

続いて訪れたのは、東京大学。赤門をくぐり歩いていくと、そこにはイチョウ並木が。

「イチョウといえば秋だけど、春に眺めるのも素敵だね。ほら、葉っぱがない分、幹や木肌がよく見えるし、美しいシルエットが際立っているよ」

学舎とイチョウ並木を背景に、思わずブラボー!

そのまま校内を散策し、広場へ。先ほどのイチョウ並木にも劣らない、大きなイチョウがありました。

イチョウの他、建物や赤門前のスダジイも見どころのひとつ。せっかく訪れたのなら、これらもじっくり眺めてみましょう。

Section4:谷中「ヒマラヤスギ」

谷中のヒマラヤスギは、巨木好きにも知られる名スポット。昔ながらの下町を歩いていくと、まるで空間に溶け込むようにしてそびえ立つ巨木が見えてきます。樹齢90年、高さ20mを超える姿はまさに圧巻。谷中のシンボル、さすがの迫力です。

じつはこのヒマラヤスギ、もとは「ミカドパン」というパン屋の店主が鉢植えから育てて大きくなったものなんなだそう。向かって正面、ヒマラヤスギのすぐ奥に見えるのがミカドパンです。

ノスタルジックな外観のミカドパンと、まるで店に寄り添うようにして立つヒマラヤスギ。共にここ谷中で過ごした時間を思うと、どこか愛おしい気持ちになります。こんなふうに街と樹木、そして人が共生する姿を見られるのもTokyo Tree Trekの醍醐味です。

ミカドパンでは、ヒマラヤスギをモチーフにした「ヒマラヤ杉ラスク」などのお菓子やジュースを購入できます。散策途中、小腹が空いたらぜひお立ち寄りを。

Section5:浜離宮恩賜庭園「300年の松」

セクション5からは、浜離宮庭園の「300年の松」をご紹介。300年の、と言うだけあって、その容姿はこれまで見てきた樹木の中でも特に立派です。

囲いがあるので触れることはできませんが、迫力と美しさを兼ね備えた巨大松の姿は一見の価値あり。

松観賞のほかにも、庭園内を散策したり、芝生でくつろぐのもおすすめです。ルーカスさんはバードウォッチングが好きだそうで、この日も双眼鏡を持参。「うーん、今日はいないかも…」と、キョロキョロ。のんびりと、楽しい時間を過ごしました。

Section6:芝公園「スダジイ」

この日、最後に訪れたのは芝公園。ここでは立派なスダジイを眺めることができます。しかもバックには東京タワー! 東京のシンボリックなタワーと、歴史ある巨木のコンビネーションに気分は最高潮に。Tokyo Tree Trek、略して「TTT」のポーズでパシャリ。うん、決まってます!

芝公園内にはちょっとした山歩き気分を味わえる場所があります。スダジイを眺めに訪れたら、公園内を気の向くままに散策してみると、新たな発見があるかもしれません。

皇居外苑でフィナーレ!

セクション6のフィナーレは皇居。皇居ランナーに混じって桔梗門をくぐり抜けた瞬間、目に飛び込んできたのは、丸の内のビル群と松の群生でした。

そう、ここでも松、しかも群生をみることができるのです。

東京を新たな視点で眺める旅へ

最後はフィナーレポイントにて、大きく「TTT」のポーズ!

「フィナーレにふさわしい最高の景色でしょ? 夕暮れ時は特にきれいなんだよ」

ルーカスさんの言う通り、ここは確かに素晴らしい場所。もし踏破できたなら、同じフィナーレの景色でももっと眩しく輝かしく見えるはず…。今回の取材ではほんの一部しかめぐっていないけれど、それでも充分に癒され、感動しました。

記事で紹介したスポットの他にも、Tokyo Tree Trekにはまだまだ魅力がたくさんあります。樹木をテーマに都市と自然が共生するスポットをめぐり、東京の新たな魅力に触れてみませんか?

取材・文:YAMAP MAGAZINE編集部
写真:小林昂祐

Lucas B.B.

クリエイティブディレクター/ 編集人

Lucas B.B.

クリエイティブディレクター/ 編集人

アメリカ出身。カリフォルニア大学卒業後、来日。(有)ニーハイメディア・ジャパン代表として、トラベル・ライフスタイル誌『PAPERSKY』を発行しながら、他メディアのクリエイティブも行っている。これまでに手がけた雑誌は『TOKION』『mammoth』『metro min.』『PLANTED』など。また、日本再発見の旅プロジェクト「PAPERSKY tour de Nippon」のイベントプロデュー ...(続きを読む

アメリカ出身。カリフォルニア大学卒業後、来日。(有)ニーハイメディア・ジャパン代表として、トラベル・ライフスタイル誌『PAPERSKY』を発行しながら、他メディアのクリエイティブも行っている。これまでに手がけた雑誌は『TOKION』『mammoth』『metro min.』『PLANTED』など。また、日本再発見の旅プロジェクト「PAPERSKY tour de Nippon」のイベントプロデュース、2020年には日英バイリンガルのウェブメディア「PAPERSKY Japan Stories」を立ち上げ、自身の経験を活かして日本の魅力も発信している。www.khmj.com