新型コロナウイルスの影響で自粛が続いていた、都道府県をまたぐ移動。6月19日から全国で自粛解除されることが決まりました。本記事では、全国の登山者2万人を対象に実施した「全国一斉登山トレンド調査2020」の結果をもとに「Withコロナ時代の登山の在り方」をまとめました。コロナを踏まえて、登山時に心がけることや山小屋営業・休業情報など、今後登山を安心・安全に楽しむための参考情報としてご活用ください。
2020.06.19
YAMAP MAGAZINE 編集部
登山前、登山中、山小屋滞在時、そして登山前後の移動や観光…。この4つのシチュエーションごとに、具体的に気をつけるべきこと、持参すべきものなどをまとめました。提言内容のもととなっているのは、全国の登山者2万人の声。YAMAP実施「全国一斉登山トレンド調査2020」の結果を反映したものです。
県をまたぐ移動の自粛が解除されたとはいえ、新型コロナウイルスの決定的な治療薬が流通するのはもう少し先のこと。感染拡大の第二波、第三波も予想されています。引き続き感染拡大の予防に努めながら、安心・安全に登山を楽しみましょう。
・登山計画を立てる際は、閉鎖中の登山道や営業を休止している山小屋がないか確認する(*閉鎖中の登山道やフィールドへは行かない)
・リスクの少ない行程やルートを選定し、時間・体力的に余裕のある登山計画を立てる
・あらかじめ混雑が予想される場所への登山は避ける
・登山口近隣の商店や施設が閉まっている場合に備え、飲料・食料は事前に準備しておく
・体調が少しでも悪いと感じたら登山は中止し、自宅で静養する
・家族以外の他者と行くパーティー登山を計画する際は慎重に。できるだけ家族や身近な人と近場の自然を楽しむようにする
鼻口を覆うアイテムと除菌用アルコールは必携
・同行者や他の登山者とのフィジカル・ディスタンスを心がける(*歩行時、フィジカル・ディスタンスがあればマスクの着用は必要なし)
・他の登山者とすれ違うとき、挨拶をするときなど必要に応じていつでも鼻や口を覆えるよう、マスクやフェイスカバー、手拭い等を携行する(*熱中症予防の観点から、登山中のマスク着用はマストではない)
・歩行時はマスクやフェイスカバーなどを落とさないよう気をつける
・アルコール消毒液等を携行し、手指の消毒をこまめに行う
・ケガや事故防止のため通常よりゆっくりと行動し、リスクの高い行動は避ける
山小屋に泊まるなら寝袋、カバーの持参がおすすめ
・常時マスク着用のもと、フィジカル・ディスタンスを心がけながら過ごす
・登山中(歩行時)と同様に、アルコール消毒はこまめに行う(特にお手洗いの後や食事の前)
・山小屋に宿泊する場合は「寝袋」「枕カバー」「インナーカバー」を持参する
・宿泊を希望する山小屋には、人数制限や予約の有無を事前に確認する
・公共交通機関での移動時は基本の感染症対策(マスク着用、フィジカル・ディスタンス)を徹底する
・自家用車に複数人が乗り合い移動する際は、マスク着用のもと、車中が三密空間にならないよう適宜換気を行う
・温泉施設や食事、土産物屋などに立ち寄る際は基本の感染症対策を徹底しつつ、現地の状況、対策に合わせて行動する
コロナ禍で先が読めず、夏山の計画が立てられなかった…という人も多いと思います。気になる「山小屋営業・休業情報」をチェックして、この夏の山行計画を練り直してみてはいかがですか?
With コロナ時代の登山スタイルの一つとして「ご近所登山」がおすすめです。地元の里山や近隣の低山を日帰りで楽しむこのスタイルは、「自粛中ほとんど体を動かす機会がなかった」という人にとっては体力や山歩きの感覚を取り戻す「リハビリ登山」にもなります。また、これまで標高の高い山、遠くの山中心に登山をしてきた人にとっても、身近な自然を見直したり、その魅力を再発見するきっかけにもなるでしょう。
全国の登山者2万人に「眺望の良さ」「混雑可能性の低さ」「往復5時間以内を目安に」という3つの基準に照らし合わせて「これからの登山にお薦めの山」を教えてもらいました。こちらもぜひ今後の登山計画の参考にしてください。
山に登ることで足腰が鍛えられる。素晴らしい景色を見て心が洗われる。森林を歩くことでリフレッシュできる…など、登山は心身の健康維持、増進につながるアクティビティでもあります。様々な場面で例年とは違った行動、対策が求められますが、登山が私たちにもたらしてくれる多くの感動や喜びが消えることはありません。
感染拡大の予防を継続しながら外出自粛を緩和し、社会経済活動の再開を促すという世の中の流れに沿うかたちで、登山活動も少しずつ、自粛から解禁へと向かっています。コロナ・感染症対策をしっかりと行い、さあ、山に登りましょう。
トップ画像:雪華さんの活動日記より/岩手山からの景色