夏山テント泊、荷物が多くて悩んでいませんか? 特にウェア類は、汗やニオイを気にして着替えが増えたり、朝晩の冷え込みに備えて保温ウェアを用意したりと、どうしてもかさばってしまいがち。結局、バックパックの大部分を占めてしまうなんてことも。
そんな悩みを解決してくれるのが、ファイントラックの高機能ウェアです。
ずっと着ていても無臭でサラサラのアンダーウェアや、行動中・休憩中に使える超コンパクトな保温ウェアなど、快適に過ごせる機能を備えていることはもちろんのこと、上手に取り入れれば装備を減らすこともできます。ウェアを見直して、この夏は、軽量&快適なテント泊を楽しんでみてはいかがでしょうか?
2021.06.11
池田 菜津美
ライター
夏山には汗の悩みがつきもの。行動中にしっかり汗をかいたら着替えたくなりますし、汗が乾いたあとのTシャツはなかなかのニオイ…。”周囲の目”ならぬ”周囲の鼻”も気になります。
とはいえ、着替えを増やすのは避けたいところ。特に、衣食住を運ぶテント泊では、ウェアばかりをバックパックに詰め込むわけにもいきません。
そこでおすすめなのが、ファイントラックのアンダーウェア「ドライレイヤー」シリーズ。Tシャツなどのベースレイヤーの下に着るだけで、肌をドライに保ってくれるアイテムで、嫌なニオイも発生しにくいという優れものなんです。
どうやって肌をドライに保つかというと、「アンダーウェアとしてのドライレイヤー」が「汗を吸い取るから」ではなく、「汗を吸い取らないから」。何だか不思議な感じがしますが、その仕組みは簡単です。
まずは、ドライレイヤーなしで、ベースレイヤーのTシャツ1枚だけを着たときを考えてみましょう。肌の上にあるTシャツが汗を吸い上げ、拡散させて乾かしますが、すべての水分がすぐに乾くわけではありません。汗が多ければなおのこと。長時間湿った状態が続くと、嫌なニオイもどんどん発生してしまいます。
一方で、Tシャツの下にドライレイヤーを重ねた場合を考えてみます。ドライレイヤーの特徴は「汗を吸い取らないこと」。つまり、ドライレイヤーは湿らないので、カラッと乾いた状態が続きます。では、肌の上の汗はどこへ行くかというと、ドライレイヤーを通過してその表面に浮き上がり、ベースレイヤーのTシャツへと受け渡されます。肌に近いドライレイヤーが濡れないこと、汗はTシャツへ移されることから、いつでも肌はサラサラでいられるのです。
ドライレイヤーシリーズは2004年のファイントラック創業時からある製品で、当時はフラッドラッシュスキンという名称で売り出されていました。以降、素材や編み、縫製、カッティングなどの見直しを続け、2020年に「ドライレイヤーベーシック」と名称を変えて一大リニューアル。仕様の大きな変更としては4代目にあたります。
4代目のリニューアルの目玉は「抗菌防臭」を付与したこと。
優れた撥水性を誇るドライレイヤーは同時に皮脂汚れも付きにくくなっているのですが、ユーザーからは「少し匂う気がする」「連泊でもニオイが出ないようにしてほしい」といった声が届いていました。そんな声を受け、2020年のリニューアルでは生地そのものに抗菌防臭加工を施し、悪臭のもととなる菌の抑制率を99.9%にまでアップ(同社実験)。ニオイをしっかり抑えられるようになっています。
また、ファイントラックの社員にもドライレイヤーの愛用者がたくさんいるのですが、「首元がゴワゴワする」といった意見が挙がっていました。襟首は生地が2枚で仕立ててあるので、分厚くなっていたのです。そこで、2020年のリニューアルでは、襟首の生地を「ドライレイヤークール」シリーズの薄手のナイロン地に変更、ゴワつきが解消され、肌当たりが良くなりましたました。
女性用アンダーウェアのブラやブラタンクも、ユーザーの声を拾って改良が進められてきたもの。
じつはドライレイヤーのブラ開発に力を入れ始めたのは2014年から。それ以前は男性スタッフばかりで、女性ユーザーから届く悩みに応えられず、歯がゆい思いをしていたそう。そんな中、少しずつ女性スタッフが増え始めると、女性の立場に立った商品開発ができるようになり、早速、手つかずだった女性専用のドライレイヤーの製作が急ピッチで進められました。
発売以来、大好評の女性用アンダーウェアにも大きな進化が見られます。例えば、アンダーバストを支えるゴムを一般的な平ゴムからメッシュ状のゴムに変更。汗抜けや速乾性が改善されました。
また、ブラパットについても、三層構造を採用し、汗抜けと速乾性を改善。
肌面には快適なドライレイヤー、中層の軽やかなウレタンフォーム、一番外側には吸汗速乾性のある生地を採用し、肌面には汗を残さず、表面からは水分が蒸発しやすいようになっています。
汗で濡れたブラカップがいつまでも乾かず、肌に当たってヒンヤリ…といった悩みとはおさらばです。
ドライレイヤーは肌に接するアンダーウェアなので、その生地感にもこだわっています。肌触りはくったり柔らかく、やさしくフィットするので心地よい着心地。真夏にアンダーウェアを足すのは、暑くなりそうで抵抗があるかもしれませんが、肌がべたつかないので暑さは感じにくくなっています。何も着ないより、1枚追加した方がかえって快適。同時に着替えも減らせるのだから、一挙両得です。
朝晩冷え込む高所では、夏でも保温ウェアは必須。一言に保温ウェアといっても種類がありますが、近年は化繊保温素材のインサレーションジャケットが注目を浴びています。
今までの定番といえばフリースですが、風を通してしまうので、ジャケットなどを組み合わせて使う必要がありました。人気のダウンジャケットは防風性を備えている反面、蒸れやすく、濡れると保温性が低くなるため、行動中の防寒着としては使いにくいというデメリットも。こういった弱点を踏まえた上で、行動中はフリースにジャケット、休憩中はダウンジャケットと、保温ウェアを複数持ち運ぶ人もいると思います。
一方、化繊保温素材のインサレーションジャケットは通気性があるため行動中にも着やすく、濡れても乾きやすいものがほとんど。フリースとダウンジャケットのよいところを掛け合わせたような性質です。
しかし、ひとつだけ大きな問題があります。重量があってかさばってしまうのです。
この弱点を取り去ったのが「ポリゴン2UL」。重量は210gと超軽量でインナーダウンジャケットと変わらない重さです。驚きなのは収納サイズ。スマートフォンと並べても大きさを感じさせず、とてもコンパクトです。
中身の化繊保温素材は、シート状立体保温素材の「ファインポリゴン」を2枚重ねたもの。通気性に優れ、乾きやすい性質で、蒸れにくくなっています。併せて、肌側の生地には汗処理能力があるので、行動中の防寒着に最適です。無論、保温性もあるので、休憩中の汗冷え対策や朝晩のテント場などにも使えます。これ1枚で山行のさまざまなシーンに対応できるので、今までは複数枚持って行かなくてはいけなかった保温ウェアを、大幅に減らすことができるのです!
アンダーウェア・保温ウェア(ミドルウェア)に続き、最後に紹介するのは「アウターシェル」。防風ジャケットにレインウェアを使っている人は多いと思いますが、その難点は固くて動きにくいこと。カシャカシャと音がするし、生地が突っ張るし、着心地はあまりよくないですよね。
「エバーブレスフォトン」シリーズは、『着続けられるアウターシェル』をめざしてつくられたもの。ファイントラック独自の防水透湿素材を開発し、レインウェアでありながら、しなやかで伸びのよい素材を生み出しました。
そのストレッチ性は驚異的。ぐーんと引っ張ると、ゴムのように伸びるんです。
腕を振ったり、手を伸ばしたりしても、突っ張らなくて動きやすい。生地がしなやかな分、シルエットは細身ですっきりとしています。特にパンツは、レインウェアのように寸胴でなく、まるで普通のパンツのよう。横方向に伸びる生地で、膝や太ももを曲げたときの力を逃がし、足さばきがスムーズです。スリムな印象で見た目もよいと評判なんだそう。
もちろん、動いてもカシャカシャと音が鳴りません。表地はマットで滑らか、裏地はしっとりすべすべな肌触り。これなら雨だけでなく、風が強くて寒い稜線や、テント場の朝夕など、冷たい外気温から体を守りたいときには、場面を選ばずサッとはおって活用できそうです。
行動中に着続けることもきちんと考慮に入れ、両脇の大きなベンチレーションで通気性を確保。蒸れ知らずで快適に過ごせる工夫も施されています。
「エバーブレスフォトン」シリーズは、レインウェアや行動中の防風シェル、肌寒いときのジャケットとしても使える万能選手。雨用のレインウェアと防風用のウィンドシェルを別々に用意したり、薄手のフリースをバックパックに忍ばせたりする必要がなくなって、荷物の軽減に一役買ってくれるでしょう。
高機能ウェアは機能性や快適性はもちろんのこと、上手に組み合わせれば、荷物を減らすことにも繋がります。今年の夏はウェア類を見直して、軽量&快適な夏山テント泊をめざしてみてはいかがですか。
文=池田菜津美
写真=中村英史
取材協力=ファイントラック