山が好き、登山が好き。自分らしく山ライフを楽しむ人たちを紹介する本企画。今回は、2018年9月24日にスタートしてから足掛け3年、2021年9月20日に「親子で日本百名山踏破」を達成した、ゆうぼーさん&なおっちさん親子がご登場! 山との出会いから、親子で百名山を目指すきっかけ、親子登山ならではの楽しみ方など、たっぷりお話を伺いました。
2021.11.30
YAMAP MAGAZINE 編集部
ーゆうぼーさんとなおっちさんは、なんと親子で百名山を達成されたそうですね。お二人とも、もともと山や自然がお好きだったのでしょうか? 週末は家族で登山やキャンプを楽しんでいたとか?
ゆうぼー:今思うと、我が家の「きっかけのバトン」は ”お爺ちゃん” ですね。父と私と息子の親子三代を巡り巡って、今もバトンを渡し続けているような気がします。
父は長野県の小谷村に生まれ育ち、山菜を採ったり生活に使うマキなどを拾い集めるなど、幼いころから野山・里山で遊び、生活していました。ついたあだ名は「山猿」。親戚のおじさん曰く、サルのように山を素早く動き回っていたそうです。
その山猿のDNAを受け継ぐ私はというと…山始めは遅かったものの、若い頃にはたくさんの山を駆け巡っていました。
ーなるほど、血は争えませんね(笑)。
ゆうぼー:そうですね(笑)。息子が山通いに夢中になっている様子を見て、あるとき、父から「蝶ヶ岳に登ろう」と誘いがあったんです。それまでは山菜採りしか知らなかった父ですが、一緒に登ってみて山の美しさにたいそう感動したようで、「いつか息子と孫と一緒に富士山へ登りたい」と言い出したんですね。孫(私にとっては息子)のなおっちに話してみたら「やってみたい!」ということで、親子三代で山登りがスタートしたんです。八方池から始めて、いくつかの山に登りました。そして2015年、ついに「三世代で一緒に富士登山」を実現しました!!
ー親子三代で富士登山! 素敵ですね!! その後、ゆうぼーさんとなおっちさんは「日本百名山踏破」を目指すわけですね?
ゆうぼー:はい。と言っても、その後、私が単身赴任になった関係でしばらく山はお休みしていたんです。ところが、単身赴任を終えると今度はなおっちが「山へ登りたい」と言い出しまして。今度は私となおっち、二人で山へ登るようになり、やがて百名山巡りに発展していきました。山への想いと、父から受けた ”きっかけのバトン” が家族を繋げていたように思います。
ー百名山巡りの提案は、どちらからともなく? 何かきっかけがあったのでしょうか?
なおっち:百名山を意識するようになったきかっけは、富士登山の次に登った槍ヶ岳で、僕が「百名山達成小学生」に人違いされたことです。宿泊していた山小屋で「あの子かな?」なんてささやかれたりして、「百名山って何だろう?」と気になりはじめたんです。帰宅後あらためて地図を広げてみたら、「長野県には多くの百名山があるじゃないか」「次はここに行ってみたい!」という具合にトントンと進んでいった感じです。それからは、地図を見ては百名山を探し、登った後の山バッチを集め…と、どんどん拍車がかかっていきました。
ー人違いがきっかけとは、これはもう運命ですね(笑)。
ゆうぼー:ちなみに、翌年2019年7月には二度目の槍ヶ岳日帰りを決行したんですが、そのときの活動日記がYAMAPの「注目の活動日記」に採用され、当時、1220件のいいね!と97件のコメントをいただきました。あのとき多くの人に見ていただき、また、応援の言葉をいただいたことは、その後の百名山踏破へのチャレンジにおいても大変励みになりました。この場を借りてお礼を言いたいです。
ーお二人のチャレンジの過程に関わることができて、YAMAPとしても嬉しい限りです。実際に百名山を巡ってみてどうでしたか? なかでも印象に残っている山、お気に入りの山域などあれば教えてください。
ゆうぼー:とても素晴らしい山ばかりでした。日本にはこんなにも素晴らしい山がたくさんあるんだと気づかされましたね。なかでも印象に残っているのは、火山の山。荒々しくも美しい姿を目の当たりにし、火山列島・日本を実感しました。お気に入りの山域をひとつ挙げるなら、北アルプス・後立山連峰でしょうか。小学生まで毎日、白馬三山を見て育った私にとって、白馬は思い出の場所。今でもその雄姿がたまらなく好きです。
なおっち:僕は常念岳が好きです。松本から見る常念岳はスタイルのいい三角の山ですが、我が家からは、山頂から前常念岳へ稜線が伸びる姿を横から見るかたちになるのでちょっと不恰好に映るんですよ。勉強部屋からもよく見える ”おなじみの稜線” を登ったときのことは、今でもよく覚えています。
ゆうぼー:あとは白峰三山周回なんかも思い出深いですね。一番タフなコースでしたが、なおっちも大人顔負けの頑張りで歩ききりました。次の日は富士山へもナイトハイクもしたんですよ。
ー日程の組み方や山行スタイルなど、百名山踏破を目指すうえで心がけていたことはありますか?
ゆうぼー:長野県という登山のメッカに住んでいるので、登山口までの時間がかからず、すぐに帰って来れらる「日帰り山行」がメインでした。目指す山によっては、のんびり・ゆっくり、時間の必要な遠くの山頂へはロングの日帰り、スピードハイクが多かったと思います。百名山踏破を目指す際にこだわっていたこととしては、①「日帰り」中心、②乗り物(バス、ロープウエイ、リフト、自転車など)を利用しない、③ツアーなどを利用しない「完全自力登山」であること。この3つをやり抜きました。
ー完全自力登山にこだわったのはなぜですか?
ゆうぼー:経験上、最後に頼れるのは自分自身の気力と体力だと思っています。その実践のため、なおっちにも挑戦してもらいました。今後は山小屋泊・テント泊縦走など幅を広げて楽しみたいと思っています。
なおっち:僕も日帰りが大好きでした。「どこそこの温泉に入ろう」とか、「コンビニやマクドナルドで好きなものをたくさん買って食べるんだ」とか、”下山後のお楽しみ” を考えて登る時間も楽しかったですね。
ー百名山巡りが、お二人にとってとても充実した、楽しい山旅だったことが伺えます。逆に危ない目に遭った、などのエピソードはありますか?
ゆうぼー:そのときの気象条件や体調によって、同じ山でもまったく違う姿を見せますよね。そういう意味では、どこも危険な山、厳しい山ばかりだと思います。雨と暴風にさらされ低体温症になりそうになったこともありますし、天候悪化や体調不良で撤退やルート変更を余儀なくされたこともあります。ちょっとした道迷いもゼロではありません。YAMAPの地図を確認していたので早い段階で回避することができ、幸い大事には至りませんでしたが…。
ーYAMAPはいつ頃から使っていたんですか?
ゆうぼー:2019年4月、百名山26座目の山行から使っています。それまでは紙地図のみを持参していたのですが、百名山巡りを本格的に始めて活動範囲が広がると、従来のやり方では不都合を感じるようになりまして。そんなときにたまたまYAMAPを知ったんです。
登山中はもちろん、事前の情報収集や活動後の記録、アプリユーザーさんとの交流など、どれをとっても便利ですごいと思います。細かく言い出したらキリがないのですが(笑)、長野県民として見落とせないのは、長野県内の山であればアプリで作成した登山計画をオンラインで提出でき、紙の登山届の記入/提出が不要な点でしょうか。
なおっち:行動中、GPSで「ああ、今、自分はここにいるんだ」って把握できるのって純粋に面白いし、目的地までの距離もわかるから頑張れますよね。アプリで事前に登山計画を立てておけば、予定時刻に対して早い/遅いがよくわかって行動しやすいし。そういえば、予定より早く到着していた山頂で時間を忘れて写真に夢中になっている父に、僕がYAMAPで計画を確認して遅れを教えてあげたこともありました。登山中じゃなくても、アプリを開くだけで気になる山の詳細や活動日記を見ることができて楽しいし、登山にまつわるあらゆる情報が得れれるのはすごいことだと思います。
ゆうぼー:あ、それから「みまもり機能」ですね! 家で留守番する家族に登山中の様子(行動記録)が通知されるので、お互い安心感を得ることができています。下山後もタップひとつで「活動終了」の通知が届くので、下山報告の電話がすぐにかけられないときにも心配がありません。
ーお二人の登山にYAMAPが役立っているようで嬉しいです! 親子登山を中心にこれまでたくさんの山に登られてきたゆうぼーさんとなおっちさんですが、「山の魅力」はどんなところにあると思いますか?
ゆうぼー:始めた時から今も変わりません。ひとことで言うなら「身近にある別世界」でしょうか。当たり前ですが、山には普段、街中で目にするものが何もありません。車も信号機もコンビニも、雑踏もない。山では騒がしい日常を忘れ、何にも縛られず、自由な世界を感じることができます。
山にあるのは、言葉を失うほどの絶景に、可憐な高山植物、ライチョウなどの動物たち…。そういう日常では出会えないものに触れ、大自然の偉大さを目の前にすると、自分の一生のわずかさ、存在のちっぽけさを感じるものですが、これがまた贅沢な時間で…。四季の移ろいを直に感じられるところも素晴らしいですよね。
なおっち:いつ見ても、いつ登っても、山は堂々として変わらないところが好きです。それから、山がふと見せてくれる一瞬の絶景も。
ーふと見せてくれる一瞬の絶景?
なおっち:ガスのなか水晶岳へ登ったとき、山頂に近づくと急に辺りが晴れ渡り、朝日に照らされたオレンジの世界が一面に広がったんです。とてもきれいで印象的でした。
ー山って、本当に素敵な景色を見せてくれますよね。
なおっち:はい、登るたびにいろんな景色に出会えるのは登山の大きな魅力だと思います。個人的には、”眺める山” も好きですけどね。安曇野から眺める夕焼けのアルプスとか、山頂から見える別の山々の姿とか。たくさん山に登って、たくさん山を見て、一つひとつ山の名前を覚えていく…。その行程自体も楽しいんです。
ー最後に「親子登山」ならではの魅力について教えてください!
ゆうぼー:一緒にいられる時間が長いことです。絶景を見て感動したときも、登頂の達成感をかみしめた瞬間も、すべての時間を共有できる。これは貴重です。幼い子ども一人では行けないようなところも、親子だからこそ登れる山もありますし。二人で登っていると、ありがたいことに他の登山者の方から「スゴイね、頑張ってるね」という励ましの言葉をかけていただくことがありますが、こうした経験は子どもにとってとても嬉しく、自信につながることだと思います。日常では勉強や部活動など親が子どもに「頑張れ!」を口にしますが、山では口先の頑張れは通用しないところも面白いですよね。「頑張って登れ」と諭しても、親がへばって歩けないようでは始まらないですから(笑)。親子登山はあらゆる意味で貴重な経験を積めるいい機会なのではと思います。
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ゆうぼー
1967年、長野県白馬村生まれ。小学校卒業まで白馬で暮らし、その後、隣町の大町市や北安曇へ。20代半ばの頃、職場の先輩に誘われ蝶ヶ岳に登ったことがきっかけで、本格的に登山を開始。以降、山の世界にどんどんのめりこんでいき、気づけば毎年100ピーク以上を歩くほどの山男に。2018年9月24日から息子・なおっちとともに「親子で日本百名山踏破」をも目標に掲げ、各地の百名山巡りを開始。2021年9月20日、鷲羽岳登頂を以って百名山踏破を達成した。現在も地元・長野の山々を中心に親子登山を楽しんでいる。
なおっち
2007年、長野県北安曇郡生まれ。父・ゆうぼーの一人息子。小学校5年生のときに登った槍ヶ岳で日本百名山の存在を知り、以降、百名山踏破の夢に向け、父とともに各地の山々を巡る。得意教科は英語。部活動は陸上部(短距離)に所属しているが、山活動を優先して最近は大会出場を控えている。
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