【東野登山隊】次は人気上昇中・塩の道トレイル 120km!東野幸治さん、庄司智春さん語る、初トレイル旅

「一歩間違えれば命の危険すらある過酷な登山に挑戦」。そんなコンセプトで2019年に始まった登山ドキュメンタリー番組「PEAKHUNT 東野登山隊」(動画配信サービスFANYチャンネル)。東野幸治さんの本気の登山に密着してきた人気番組がついにシーズン11を迎え、2024年11月から配信が開始されました。

今回は東野さんが以前から希望していたというロングトレイルに挑戦。選んだのは新潟県糸魚川市を起点に、長野県松本市までつながる「塩の道トレイル」。順調な滑り出しと思いきや、豪雨に行く手を阻まれ...。

果たして3人は無事に踏破できたのでしょうか。前回に続き、YAMAP編集部が東野幸治さんと、庄司智春さん(品川庄司)に裏話を伺いました。

また、登山GPS地図アプリのYAMAPでは、東野登山隊の今回の完歩を記念し、塩の道トレイルのモデルコースを作成。詳細は記事最後をご覧ください。

2024.12.19

武石 綾子

ライター

INDEX

「東野登山隊」
2016年の富士登山をきっかけに山登りに魅了された東野幸治を中心に結成。メンバーは東野幸治・庄司智春(品川庄司)・木村卓寛(天津)・椎葉宏治/演出の4人。ときに和気あいあいと、ときに叱咤激励しながら山頂を目指していく“ガチ登山”に密着したドキュメントバラエティー。

 

今回は人気上昇中の「塩の道トレイル」

田園風景の中を歩くのも、ロングトレイルらしい一場面

塩の道トレイルは、日本海に面する新潟県糸魚川市から長野県の中信松本市まで、8市町村にまたがる全長120kmのロングトレイル。山岳エリア(糸魚川~小谷)、里山エリア(白馬~大町・池田)、市街地エリア(安曇野~松本)の3つのエリアに分けられるのが特徴です。

交易ルートとして、人や物が行き交った往時の面影を感じるだけでなく、北アルプスの山麓沿いにあるコースや、個性ある湖が北アルプスをバックに連なる景色の良さもあり、近年はハイカーが増えている人気ルートです。

なめてかかって、岩手山の二の舞に…

出発は糸魚川から。いつものメンバーが5か月ぶりの集合!

── 今回は初の「ロングトレイル」ということで、これまでのシーズンとはだいぶ趣向が違っていたように思います。歩いてみていかがでしたか?

東野:いやー、想像以上に大変でした。しんどかったです。

庄司:歩き出しは「ロングトレイルだし余裕でしょ」みたいな空気があったんですけど、ハードでしたね。岩手山の時と同じで、なめてかかってたらとんでもなかったっていう(笑)。でもすごく楽しかったです。

── 元々ロングトレイルには興味があったのでしょうか?

東野:そうですね、これは偶然ですけど、世界のロングトレイルをテーマにした写真集を5、6年くらい前に買ってよく見てたんです。 世界各地のトレイルを、1週間とか10日間とかかけて300km歩くみたいなね。

俳優の仲野大賀さんがアラスカを歩いているYouTube動画も観てて、「楽しそうやなあ」とずっと思ってたこともあり、東野登山隊で今回チャレンジしてみようってことになったんです。

「塩の道」が歴史もあって面白そうだと、スタッフさんが選んでくれて。日本海で採れた塩を運びながら、牛と一緒に120km歩いていた当時の人々の様子を再現してみようと。それが今回の出発点です。

── 山道だけでなく、田園に沿って舗装された道路を歩き続ける場面もありましたね。

庄司:そうですね。通常の登山であれば標高が上がってだんだん涼しくなりますけど、今回はアスファルトの道をしばらく歩いていたので照り返しの暑さもあって、 もう汗の量が半端じゃなかったです。平坦だし、登山に比べたら荷物が重いわけでもないんですけど、意外と足腰に響いてきた感じはありましたね。

東野:道中に話してたんですけど、「24時間テレビ」(日本テレビのチャリティー番組)で100キロマラソンの企画があるじゃないですか。あれ、観てる側だと別にたいしたことないやんって思いません? 正直。いや、実際は歩くだけでもめちゃくちゃしんどいねんなって。申し訳なかったです。今では走者を尊敬してます。

初の複数回ロケ。後半はリレー方式で完歩

── 今回は東野登山隊の初めての試みで、ロケを複数回行ったそうですね。前半はメンバー全員で歩いて、後半は1人ずつリレー方式で歩かれたとか。

東野:天気が悪かったこともあって初回ロケの時にほぼ計画通りに歩けなかったんです。さすがにこれで終わるのはあかんなと(笑)。「東野登山隊」としてしっかりゴールまで踏破しようってことになったんですけど、再度全員のスケジュールを合わせるのは難しい。

その結果、120kmのうち歩ききれなかった部分を1人ずつ繋ぐことになったんです。スケジュールを相談しながら追加のロケ日程とコースの分担を決めて「ここからここまでお願いします」って。

1日目の途中から豪雨に見舞われ車内で緊急会議。予定通りテント泊にするか、ホテル泊にするか意見が割れる面々

庄司:どうせ行くなら「ここまで歩いてくれたの?!」って言わせたいなと思って。東野さんがぼくの前でしんどい峠道を超えてバトンを渡してくれたので、自分が木村さんにつなぐときまでにちょっとでも距離を稼ぎたいと、そんな気持ちにはなりましたよね。1人ではあるけど、メンバーのことを考えながら歩いてました。

東野:こういう歩き方ができるのはロングトレイルならではですよね。良い意味で、「これ以上はしんどいわ」って思ったらいつでも終わらせられるのは良いところやと思います。登山だったら、途中でしんどくなってもやっぱり登頂を目指す気持ちが強くなるとは思うんですけど、そこまで気負わず’に初心者の人でも楽しめるというかね。

登山とロングトレイルの違い

── 実際に歩いてみて、登山とロングトレイルは違うと感じましたか?

東野:登山は少しずつ標高を上げていく楽しさもあるし、高いところからの景色は最高。ただ例えば足が痛くても、基本は自分自身でおりていかないといけない、 そういう厳しいところがあります。

でもロングトレイルの場合は、文明の利器といいますか…..。車に乗っちゃうこともできるんです。途中でコンビニに寄ることができたり、休憩できたり、無理をせずに進めるというかね。ディレクターもちょいちょい急に消えてますから(笑)。

もちろん十分気をつける必要はありますけど、そういう意味での安心感はあったかなと思います。

中仙峠の周辺はヘヴィーな道が続く…

── ロングトレイル特有の心が踊る瞬間は何かありましたか?

東野:道中というより、全部終わってからですよね。今回はリレー形式ですけど120kmの行程を終えて改めて「あぁこの距離全部歩いたんや」と達成感を持てるというか。

余談ですけど、噂によるとアメリカのIT起業家の人ってよく歩くらしいんですよ。賢いお金持ちはニュージーランドのロングトレイルに行くって聞いてね、自分を見つめ直すじゃないけど、そういうところ行きはんねんなって。

で、勝手にその仲間になったつもりで、自分を励ましながら歩きました。まぁぼくは何にも開発してませんけど。高所から眺める景色とはちがう、歩くことで得られる達成感というか、自己完結であり自己満足。そうやって歩く時間はすごく心地良いんですよ。

庄司:歩きながら以前登った山が見えると「あそこ登ったよね」とか話したり、下から見上げるとそれらの山がものすごい高く見えるんで、「あの頂上に立ったんだ」と信じられない気持ちになったりして。そういう瞬間に、やってよかったなぁって達成感がこみあげてきますよね。

── 忙しいスケジュールの中で貴重な、「自分を見つめる時間」ですね。

東野:何にも考えてない感じ。全く仕事と関係ないことを何も考えずに歩き続けるのは、ストレス発散にもなります。

庄司:そうですね。無になって、黙々と歩いてる時は良い時間でした。あと、今回悪天候だったので初回ロケでは計画を変更して「塩の道資料館」に立ち寄ったんです。そこで実際に背負子(しょいこ)を背負ってリアルにその重量を感じられたこともあって、「昔の人はあんなに重いものを背負って山を越えたのか」と実感できたことも貴重な体験でした。

長らく何もないところを歩いて突如民家が出てきたら、当時の人はここで休んでたりしたのかなとか、色々想像しながら歩くのも楽しかったです。

糸魚川市の「塩の道資料館」にて歩荷用の背負子を体験。立ち上がるのも一苦労の重さ

北海道、四国、九州に、エベレスト入口も!

── 今回はスピンオフ企画とのことでしたが、今後はどこの山域を目指しますか?

東野:行きたいところは本当にたくさんあって。北海道とか、四国、九州も行きたい。とは言ってもやっぱりスケジュールの関係上どうしても近場になっちゃうんですけど、できることならいつかはエベレストの入口ぐらいまで行ってみたいですよね。まぁ登るのは無理やとしても、あの、旗がたくさん立ってるところくらいまではね。

庄司:険しい登山も、穏やかなロングトレイルも、両方やれたらいいですね。それぞれで体力の消耗の仕方がまったく違うことがわかったので、バランス良く攻めていきたいです。

── これまでとは一味違った東野登山隊の様子が垣間見られて楽しかったです。最後にYAMAPユーザーや読者の方にメッセージをお願いします。

東野:今回は初のロングトレイルです。新潟県糸魚川市から長野県の松本市まで、「塩の道」120km。ぼく・庄司くん・木村くん(天津)の3人で、前半は一緒に、後半はバトンを繋ぎながらゴールを目指しました。無事にたどり着けるのか、ぜひ観届けていただきたいです。そして「私も歩いてみようかな」と思ってもらえたら嬉しいです。

庄司:いつもの東野登山隊のようにわちゃわちゃするにぎやかな場面もありますし、東野さんの一言から急展開する場面もあって、見どころがたくさんあります。1人ずつ自分と向き合いながら歩くシーンも、メンバーの新しい一面が見られると思うので、ぜひ楽しんでほしいです。

PEAK HUNT 東野登山隊 シーズン11〜JAPAN TRAIL 塩の道編

出演:東野幸治、庄司智春(品川庄司)、⽊村卓寛(天津)
配信プラットフォーム:
・FANYチャンネル https://osaka-channel.hikaritv.net/
・ひかりTV「大阪チャンネルビデオパック」https://www.hikaritv.net/video
・Amazon Prime Video チャンネル「大阪チャンネルセレクト」https://onl.la/z7uYFti

配信概要

配信⽇
#1:11月29日(⾦)13:00
#2:12月6日(⾦)13:00
#3:12月13日(⾦)13:00
#4:12月20日(⾦)13:00
#5・#6・#7・#8:12月27日(⾦)13:00
※初回ロケ分:#1~#5 追加ロケ分:#6~#8

東野登山隊、踏破記念。塩の道トレイルのモデルコースを作成

YAMAPでは、東野登山隊が塩の道トレイルを踏破したことを記念し、公式のルートに合わせて、全11工程のモデルコースを作成しました。

塩の道トレイルの1行程は10~15kmほど。JR大糸線の駅を1行程の起点・終点に基本コースが設定されています。体力などに応じて、1泊2日や日帰りでつなぎ合わせられるのが特徴です。

1.塩の道(糸魚川駅~根知駅)
2.塩の道(根知駅〜平岩駅)
3.塩の道(平岩駅〜中土駅)
4.塩の道(中土駅〜白馬大池駅)
5.塩の道(白馬大池駅〜飯森駅)
6.塩の道(飯森駅〜簗場駅)
7.塩の道(簗場駅~信濃大町駅)
8.塩の道(信濃大町駅~信濃松川駅)
9.塩の道(信濃松川駅~穂高駅)
10.塩の道(穂高駅~豊科駅)
11.塩の道(豊科駅~松本駅)

*地図を検索する際に「塩の道」と入力すると、モデルコースが収録された地図も表示されます。

武石 綾子

ライター

武石 綾子

ライター

静岡県御殿場市生まれ。一度きりの挑戦のつもりで富士山に登ったことから山にはまり込み、里山からアルプスまで季節を問わず足を運んでいる。コンサルティング会社等を経て2018年にフリーに。執筆やコミュニティ運営等の活動を通じて、各地の山・自然の中で過ごす余暇の提案や、地域の魅力を再発見する活動を行っている。