秋は澄んだ空気と冷え込み、そして歩けば汗ばむ日差しが同居する季節。登山者は「寒さ」と「汗」のはざまで、いつも服装に悩まされます。
そんなときに頼れるのが、パタゴニアのテクニカルフリース「R1エア」です。発売以来、登山者に支持されてきた定番モデルが、この秋にリニューアルし、さらに快適な着心地へと進化。その実力を、さっそく山で確かめてきました。
2025.10.07
大堀 啓太
ライター・編集
時間による気温変化が大きい秋山や、息が白くなる冬山。
そんな冷涼な登山シーンで活躍するのが「R1エア」。パタゴニアのテクニカルフリースの中でも、最も通気性に優れたモデルです。
最大の特長は、2020年の発売時に大きなインパクトを与えた独特のジグザグ構造。この構造がウェア内の空気を循環させ、行動中の熱やムレを効率よく逃がしてくれます。
従来のフリースにありがちだった嵩張りもクリアし、コンパクトに携行できるのも魅力のひとつ。夏のアルプスのテント場での防寒着や、早朝行動の保温着としても使えるので一年を通じて重宝するでしょう。
「R1エア」は、名前通りの軽やかな着心地も好評です。
繊維の中心が空洞になった中空糸を採用した生地は、見た目以上に軽く、体に馴染むやわらかさ。中空のデッドエア(動かない空気)による断熱効果も高く、袖を通した瞬間にぬくもりに包まれます。
この秋、そんな「R1エア」が、定評の機能はそのままにフィット感を見直して着心地のよさをブラッシュアップ。そして、フルファスナー仕様のジャケットタイプをラインナップに追加しました。
ここからは、秋へと模様替えがはじまりかけた山で、「R1エア」の新アイテムを試してきた感想をお伝えします。
9月中旬、標高2,000mを超える北八ヶ岳の早朝は、半袖では寒いほど。登山口からすぐに「R1エア」のやわらかな暖かさがありがたく感じられました。
行動中は通気性と保温性のバランスを実感でき、とくに「気軽に着続けられる感覚」が印象的。リラックスして山を楽しめたのは、この着心地のおかげでした。
今回一緒に山を歩いたYAMAPメンバーの大城実結さんも「R1エア・ジャケット」を着用。
「登りで汗ばんでもムレが抜けて、すぐに快適に戻るのがいいですね。動いているときも休んでいるときも、ちょうどいい暖かさ。しかもボリュームがないから着やすくて、レイヤリングもしやすそうです。」
「R1エア」のよさに気付いた登山者が、またひとり増えたようです。
気温は低くても、登山口からの登りではすぐに体が火照り、汗をかき始めます。
そんなシーンでも「R1エア」はジグザグ構造による通気性が働き、ウェア内のムレを逃がしながら冷涼な空気を取り込みます。体温を上げすぎずに行動を続けられるので、着脱に気を取られず登山に集中できるでしょう。
風が抜けにくい樹林帯でも熱がこもらず、シーンが変わっても快適さが持続。
ウェアの着脱による体温調整の手間がなくなると、心にゆとりができて、風景を眺める余裕ができたり、行動がスムーズになったりして、登山がより楽しくなるはずです。
行動中だけではなく、休憩中も「R1エア」の暖かさは安心です。かいた汗をスムーズに乾かす高い速乾性がドライ感を保つからこそ、本来の保温力を発揮できるのです。
風が強いときや気温がぐっと下がるときには、シェルを重ねれば保温力をしっかり高められます。
ハイボリュームなフリースと違って、起毛部分の引っ掛かりが少なく着ぶくれしにくい生地なので、重ね着のストレスもありません。
ジグザグ構造が嵩張りを抑えてくれるため、バックパックに気軽に収納できる軽さです。
重量だけではなく、着心地も軽やか。ストレッチ性のある生地が体の動きに合わせて伸縮し、長時間の登山でも快適さを保ちます。
(左)R1エア・クルー」、(右)「R1エア・フルジップ・フーディ」
「R1エア」シリーズはジャケットのほかに2モデルを展開しています。
・軽量でミドルレイヤーとして重ねやすい「R1エア・クルー」
・保温性が高くアウター使いもしやすい「R1エア・フルジップ・フーディ」
今回のリニューアルでは、両モデルとも全体にゆとりを持たせたフィット感に刷新され、よりカジュアルに着やすくなりました。とくに従来スリムフィットだった「R1エア・クルー」はレギュラーフィットへ変更。
アップデートされた「R1エア」は、山だけでなく街でも違和感なく着られる一枚に仕上がっています。
「通気性」「保温性」「軽さ」をバランスよく兼ね備えた「R1エア・ジャケット」のおかげで、澄んだ空気の秋山を快適に歩けました。
頼れるこの一枚があるだけで、幅広いシーズンの登山を安心して楽しめます。定番が進化した「R1エア」は、秋山から冬の低山、残雪期まで心強い相棒となるでしょう。
取材・原稿:大堀 啓太
写真:宇佐美 博之
協力:パタゴニア