紺碧の海に囲まれた新上五島町で話題の「アイランドワーケーション」を満喫!

長崎県の西方に浮かぶ離島、五島列島。「あごだし」や「五島うどん」の名産地として、そして「潜伏キリシタン」の世界文化遺産登録地として、その名を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。グルメと文化で広く知られている五島列島ですが、紺碧の美しい海に囲まれており、アウトドアアクティビティにも絶好のロケーション。しかもアクセスも便利! まさに「ワーケーション」にうってつけのエリアなのです。今回は、五島列島の北東部、新上五島町(しんかみごとうちょう)で実施されたワーケーションにYAMAP メンバーが参加。その様子をレポートします。

2021.05.28

YAMAP MAGAZINE 編集部

INDEX

【0日目】ワーケーションは深夜から始まる

時計の針は23時30分。周囲が夜の闇に包まれた中、博多港に着岸している五島行きのフェリー「太古」では、ひと仕事終えて島へ向かう人々が各々乗船の準備を進めています。

今回、YAMAPメンバーが目指すのは五島列島の中でも北東部に位置する「新上五島町」。そこで離島ならではの美しい自然を満喫しながら仕事もバリバリこなす「アイランドワーケーション」を体験しようという算段です。

陸路で長崎や佐世保、また、空路で福江島に向かい、そこから船に乗り換え新上五島町に上陸する方法もあるのですが、今回選んだのはフェリー「太古」。深夜に博多港を出港、翌朝、新上五島町の青方港に到着する旅情あふれる交通手段です。

新上五島町の旅に役立つ交通情報はこちらから

長崎県の西端に位置する新上五島町は、7つの有人島と60もの無人島があり、およそ18,500人が暮らしています。年間の平均気温は17℃前後と温暖な気候ですが、冬には雪が降るほど寒くなることもあるそう。島の雰囲気を地元の方に伺ったところ「人の暮らしと自然が近い島」とのこと。この一言をもってしても、アイランドワーケーション、実に期待が持てそうです!
博多-青方間を結ぶフェリー「太古」

【1日目】ワーケーションのベース基地はネット環境も充実のログハウス!

およそ6時間の船旅を終え、早朝5時40分に新上五島町青方港へ到着。今回のワーケーションの拠点は青方港から車で約15分、「Re-harmoPJ」という宿泊施設です。広々としたキャンプスペースにコテージが6棟あり、ログハウスのエントランスにはカフェが併設されています。

普通なら荷物を下ろして、ちょっと休憩…となるところなのですが、ここは美しい海に囲まれた離島。施設のすぐそばには海岸線が広がっています。「蛤浜」と呼ばれる海水浴場で、満潮時には膝上くらいまでの浅瀬が100mにも渡って続くとのこと。安心して遊ぶことができるので、夏には多くの家族連れで賑わうのだそうです。

宿泊施設周辺に広がる美しい蛤浜

砂浜に寄せては返す波の煌めきにウズウズしていると、蛤浜に案内してくれた施設のスタッフさんから「時間があるならSUPしてみますか?」と魅力的なご提案。

まだ荷解きも完了していないのですが…。誘惑には勝てず、スタッフさんの紹介で蛤浜そばにあるカフェ「はまぐりデッキ」からSUPをレンタルし、さっそく新上五島町の海に癒されたのでした。新上五島では、サーフィンやSUPを楽しめるスポットが複数存在し、蛤浜付近では、「GO TO BASE」というショップでもレンタルが可能とのことです。

SUPの後は荷物をほどき、ひと仕事。今回の目的は「バケーション」ではなく、あくまでも「ワーケーション」なのです。一応、きちんと仕事もしておかなくては…。

せっかく美しい海が目前に広がっているので、Re-harmoPJがレンタルしているモバイルWi-Fiを借り、はまぐりデッキのテラス席で仕事をしてみることに。速度は13Mbpsと、オンラインミーティングにも支障のない速度です。

蛤浜を一望できるカフェはまぐりデッキにて

また、Re-harmoカフェ内のWi-Fi速度は28Mbpsとこちらも問題なし。ここにも島のゆったりした時間が流れていて、落ち着いて仕事ができそうです。

五島のグルメといえば?

旅の楽しみは、やっぱり「食」。五島といえば海産物を思い浮かべますが、忘れてならないのが、ご当地グルメの「五島牛」。初日の夕食は、五島牛でバーベキュー!

旅の疲れと、程よいビールの苦味が相まってなんとも心地いい。“これはつい食べ過ぎてしまうなぁ”と思いつつ、新上五島町で最初の夜は更けていきました。

【2日目】休日は釣りの聖地で天然真鯛の船釣り!

五島列島周辺には栄養豊富な対馬海流が流れており水質も良好。魚影が濃いことで知られています。また、潮の流れが速いことから水揚げされる鮮魚の味は別格なんだとか。2日目はそんな釣りの聖地で休日を思いっきり楽しもうと、遊漁船「第三哲丸」に乗り込み、真鯛釣りに挑戦!

案内してくれるのは、新上五島町観光物産協会の永田由紀巳さんと遊漁船 第三哲丸の船長、遠山暢昭さん。

永田由紀巳さんと遠山暢昭さん

永田さんは、元地域おこし協力隊員で、今は島の観光に携わる仕事をしています。そして船長の遠山さんは、海に携わること41年のエキスパート。ゲストハウス哲丸を経営しており、新上五島町の郷土料理、サツマイモを存分に使った「かんころ餅」も作っています。

新上五島町を訪れたのは4月。「のっこみ」といわれる産卵期の後半になりますが、この時期の鯛は鮮やかな色が際立ち、別名「桜鯛」とも呼ばれているとのこと。

真鯛釣り専用の仕掛け「タイラバ」の説明を受けるYAMAPメンバー。ちなみに、第三哲丸では竿のレンタルも可能なので初心者や子どもでも気軽に船釣りを楽しめる

遠山さん曰く「タイラバ釣りは、仕掛けば海底に着底させることが大事。そこからリールば25回巻いて、また着底させてを繰り返してください。仕掛けが海底からパッと離れたとき、鯛がつい追っかけてしまう習性ば利用してます。魚に合わせた釣り方をするのが大事です」と、実演しながら教えてくれました。

水深およそ70m。潮の流れが速いのか着底を感じた瞬間、リールの糸がどんどん流れていきます。

「着底させたらすぐ巻いてくださいね。そうしないと糸が出続けますから」と、永田さん。

遠山さんも「アタリば感じたら、巻くのを止めんでくださいね。止めると仕掛けが外れるんです」と声をかけてくれたのですが、アタリが来ない…。

と、その時!

竿先が“タタン!タタン!”と叩くのを見た遠山さんが「鯛のアタリ!」と叫びます。懸命にリールを巻きますが、なかなか上がってきません。

「お、重い…」と、メンバーが格闘することおよそ10分。藍色の海からキラリ光る白い魚体が!

「こりゃ大きかぞ!」という遠山さんの言葉に励まされ最後の一踏ん張り。タモのなかに桜色の魚が入った瞬間、「デカい!」と感嘆の声が響き渡りました。

大きさは、なんと67㎝!「重かった…」と疲れながらも、興奮と充実感が伝わってきます。しかし、本当に嬉しそう!

今回のオチ。

この直後、もうひとりのメンバーが40cmオーバーという良型の真鯛を釣ったのですが、あのビッグサイズを見たあとでは…。

この日は6匹の真鯛を釣り、およそ3時間の船釣りが終了。想像を超える大物を目の当たりにし、釣りの聖地たる所以を実感しました。

ちなみに、これらの魚は地元の料理店「和処よかよ 」で豪華姿造りに! このお店は、釣った魚をコース料理として提供してくれるため、釣り人の間では大人気のお店だそうです。

島の自然と暮らす人々

釣りを終えた一行が次に向かったのは、美しい海をそのまま素材にして塩作りをしている「虎屋」。

ここまでSUPや釣りとアウトドアを堪能してきましたが、せっかくなら島で暮らす人々と触れ合い、島の文化も満喫したいとの思いから訪れてみました。

新上五島町の自然を活かす「流下式塩田法」を取り入れた塩作りの様子

「ここでは『流下式塩田法』という昔ながらの方法を使って塩作りをしています」と話すのは、虎屋の代表を務める南慎太郎さん。

『流下式塩田法』というのは、汲み上げた海水を高い所から撒くことで蒸発を促し、これを繰り返すことによって塩分濃度を高めていく製塩法のことだそうです。

まず漁網に海水を滴らせるのですが、その日の風具合をみて、飛散しすぎないように漁網の絞りを調整。そうして落ちてきた海水を、今度は床に敷いた玉砂利を使って滞留させ、より蒸発しやすい環境を作ります。

こうして塩分濃度を10~12%まで高めた後、今度は24%まで濃縮するために平窯(製塩用に作られた底の浅い窯) で炊いていくのですが、この平窯は五島内で採掘された「五島石」と耐火煉瓦で作られています。また、加熱時の燃料には学校給食などで使われた廃油が使われているのだそう。随所に自然を活かし、守るための工夫が感じられます。

塩の製法を説明する南さん(左)

こうして24%まで濃縮された塩水を一晩寝かせたのち、ろ過して不純物を取り除きます。それを今度は低温でコトコト炊き込むことで、天然の栄養素がたくさん詰まった塩が出来上がるのだそうです。

「“おいしい塩”を作るのではなく、食材と合わさったときに“おいしさが増す塩”を目指しています」と南さん。また、「この前、知人から“卵かけご飯を虎屋の塩で食べたら、めちゃうまかった!”と言われて試してみたら本当においしくて」と笑っていました。

「塩」というシンプルなもののなかに、新上五島町の海も潮風も日差しも、そして人の想いまで詰めてしまったこの一品。シンプルな白い結晶に込められたストーリーを知ると、その味もひとしおです。

ヤブツバキの素朴さに触れて

続いて訪れたのは五島名産のツバキを使った木工が並ぶおしゃれなショップ「木・haru」。ツバキは温暖な地域に生息する代表的な木で、そのなかでも自生しているツバキを“ヤブツバキ”と呼ぶそうですが、新上五島町にあるヤブツバキの数は、なんと680万本!

店内には、かわいいヤブツバキのカラトリーが並ぶ

ツバキは一年に1㎜程度しか成長しないため、木の密度が高く、硬いという特徴があります。店主の川口伝恵さんは、その特徴をうまく活かしながら、箸やスプーンなどを作っています。

「ツバキの木はとても硬いのですが、丁寧に削って磨けば、ともて滑らかな曲線を作り出すことができます。だから、箸やスプーンにした時に口当たりが良いんです。島に住む方の中には、遠くに住む家族への贈り物にと買われる方もいらっしゃいますよ」と川口さん。

気持ちいい手触りにうっとりとしていると、それを横目に見た地元の方が「何年も使いよるばってん、丈夫かけんよかよ~」とひと声。

地元の方が贈り物として、そして日常品として使うとなれば、良品間違いなし! YAMAPメンバーももちろん購入です。

【3日目】悠久なる祈りの山 ~ 山王山トレッキング ~

旧上荒川小学校から眺める山王山(標高439m)

3日目は仕事を午前中で終わらせて、午後からは登山の時間に。登るのは比叡山延暦寺を開いた天台宗開祖最澄が、遣唐使として大陸へ渡る際、航海の安全祈願を行ったと言われている山王山。遥か昔の祈りに触れるトレッキングです。

山王山トレッキングの無事を願って一同拝礼

この山を案内してくれるのは、「Goto Adventure Inn」の水村昌司さん。島の南部にある奈良尾地区を拠点に、カヤックやSUPといった海のアクティビティと山のトレッキングガイドをしています。

今回歩くルートは島民の信仰を今なお集める「雄嶽日枝神社 遥拝所(山王山に登れない人でも、参拝できるようにと建てられた建物)」をスタート地点として山中にある3つの宮をめぐる登山道。島の自然と歴史を感じながら歩を進めます。

YAMAPの該当地図はこちらから。8合目までは車で登ることも可能。駐車場と簡易トイレがある。ただし道幅が狭いため、小型車がおすすめ

木漏れ日が差し込む森の中、鳥のさえずりに耳を傾けながら進むことおよそ10分、顔を上げると大きな岩肌が見えます。その岩肌の下に目的地の山王宮 一ノ宮がありました。

静かな森の中佇む祠の周辺は、神秘的で癒しに溢れた不思議な空間です。

神秘的な雰囲気の山王宮一ノ宮

8合目の駐車場からしばらくは、なだらかな坂道が続くのですが、疲れて足もとばかりを見ていたのか、普段なら見過ごしてしまうような小さな花に目が止まります。思わずしゃがみ込み、真剣に花を撮影するYAMAPメンバー。

見慣れない離島の植物に興味津々

一ノ宮から歩くことおよそ50分。ゴツゴツとした岩肌が多く目につき始めたその先に、岩と岩が重なり合う山王宮 二ノ宮の岩窟が見えてきました。

山王宮 二ノ宮

「この二ノ宮の岩窟からは15面の気品ある青銅鏡が発見されており、山王信仰が中世・近世を通じて断続的に行われたことを物語るものだと言われています」と水村さん。

水村さん曰く、天台山(中国)で天台の教えを学び無事帰国を果した最澄が、その感謝を示すため天台山に祀られていた山王神を山王山に勧請したとのこと。島の人々は、最澄にゆかりのあるこの山を、ずっと大切に祀ってきたそうです。

登り始めておよそ2時間。ついに山頂にある本宮 三ノ宮へ到着しました。 無事に登れた感謝と遠い昔に想いを馳せながら参拝を済ませ、すぐ先の展望所へ。

本宮 三ノ宮

展望所から望む入り組んだ島々

山王山は新上五島町のほぼ中心にあるので、ぐるっと島全体を眺望することができます。一緒にいた地元の方も「久しぶりに来たけどやっぱり島だね〜」と改めて実感。遠く連なる島々の景色に、悠久の想いを抱くと同時に新上五島町の絶景に触れたトレッキングになりました。

【4日目】静かな深呼吸 ~ 島ヨガ ~

翌朝、新上五島町の最後の日は蛤浜でのビーチヨガから始まりました。講師はヨガインストラクターの髙木菜津子さん。非日常を味わえるとあって、観光客からの要望も増えているそうです。

ビーチヨガの申し込みは新上五島町観光物産協会から可能

心を鎮めながら体を整えていきます。ゆっくりとした呼吸とともに、すう~っと自分の深いところへ落ちていく感覚がしてきました。

朝の空気や波の音。新上五島町の自然に身を置き、この4日間を思う静かな時間。

改めて振り返ると、地元の方から「新上五島町はやっぱり夏だね」とよく言われました。「これだけ海が近いのに泳いでもらえなかった」と、とても残念がっていたのが印象に残っています。

今回の内容でも十分充実していたのに、さらに「海水浴」が加わったら…。 毎日歩いて、仕事して、泳ぎまわって、釣りをして、山に登って、散歩して、空を見上げて…。それは想像するだけでも贅沢すぎる夏の過ごし方!

新上五島町は、人の生活と自然が本当に近い、まさにアウトドアと生活が連続していると言っても過言ではない場所でした。“いろんな体験をしたい” “子どもに何かを感じてもらいたい”と思ったら、都会では考えられないほど簡単に、自然と触れあうことができます。しかもそのどれもが想像を超える素晴らしさ。

整った環境の中で仕事もしっかり行いながら離島の自然に触れるワーケーション。今年の夏、ぜひオススメです!

※新型コロナウイルスの状況や拡大防止への対応は、お住まいの地域によって異なります。国や自治体、関連機関の最新情報を参考に、安全を心がけた登山・旅をしましょう。 コロナ禍における登山についてのYAMAPの考えはこちらから。

3泊4日、今回のワーケーションの旅費は?

美しい海が広がり、豊かな文化が伝わる美しき町「新上五島町」。レポートを読んで「ぜひ行ってみたい!」と思った方も多いのではないでしょうか? そんな方への参考情報として、今回のワーケーションでかかった費用をまとめてみました(費用は価格改定や季節により変更となる場合があります)。

フェリー 太古
往復船賃 8,740円x大人2名=17,480円
※上記は一般スペース乗船料金。別途追加料金で個室も利用可能。

Re-harmoPJ
宿泊費 15,710円x3泊=47,130円
モバイルWi-Fi500円(1日)x4日=2,000円
※宿泊費は1棟借り上げ料金。最大6名まで収容可能。

レンタルSUP
2時間 3,000円x2艇=6,000円

遊漁船 第三哲丸
船賃 4,000円x2人=8,000円
道具のレンタル 2,500円x2人=5,000円

山王山トレッキングガイド
7,000円x2人=14,000円

ビーチヨガ
3,500円x2人=7,000円(人数による変動あり)

合計
106,610円(1人当たり53,305円)

新上五島町の詳しい観光情報はこちらから。

取材・文/佐々田 晋次 写真/永井 響

YAMAP MAGAZINE 編集部

YAMAP MAGAZINE 編集部

登山アプリYAMAP運営のWebメディア「YAMAP MAGAZINE」編集部。365日、寝ても覚めても山のことばかり。日帰り登山にテント泊縦走、雪山、クライミング、トレラン…山や自然を楽しむアウトドア・アクティビティを日々堪能しつつ、その魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと奮闘中。

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