アークテリクス・キャンペーンレポート|憧れの景色に出会うオーダーメイドの旅

2022年11月、アークテリクス「GORE-TEXキャンペーン」の一環として、アークテリクスがユーザーさんに豪華なTripをプレゼントするキャンペーンが行なわれました。いつか見てみたい景色や、いつか達成したいルートなど、思い描いていた憧れの場所に、アークテリクス専属ガイドのサポートで訪れる、オーダーメイドの旅「Never Seen Trip」。数多くの応募のなかから、見事当選を果たした3組5名が、2023年の3月から5月にかけて出かけたそれぞれのTrip。夢の旅を終えた参加者の皆さんは、どんな景色を見たのでしょうか。それぞれの旅の様子や想いなどをお聞きしました。

2023.05.30

小川 郁代

編集・ライター

INDEX

バックカントリーの経験値を高めたい:Trip No.1@湯沢

参加者:島津さん(群馬県)、久良木さん(東京都)
ガイド:長井 淳 (越後湯沢を拠点に、バックカントリー初心者から経験者までをガイディング。雪山登山や、夏の北アルプス・立山を中心とした登山まで、幅広く活動する。)

・ツアーの内容
Day1:新潟県・長岡市のバックカントリーの聖地、守門岳へ
Day2:雨天のため予定を変更して八海山酒造や清津峡観光
Day3:標高を上げて、かぐらスキー場からかぐら峰山域バックカントリーへ

参加者の島津さん、久良木さんは、同じスキークラブに所属する仲間。普段はゲレンデを滑ることが多く、バックカントリ―経験はまだまだとのことで、ガイドと同行できる今回の「Never Seen Trip」キャンペーンに応募。見事当選した島津さんが同行者を募り、久良木さんが参加することになったそうです。島津さんにお話を伺いました。

左から、長井ガイド・島津さん・久良木さん

バックカントリー(BC)を始めたきっかけは?
島津さん:スキー検定の1級を取って、次に何をやろうかと考えたとき、アルペンとは違う太い板に興味を持ったのをきっかけにBCを始めました。今年で3シーズン目です。最初は登りがつらいだろうと予想していましたが、しんと静まり返った山を歩くのが楽しくて、ゲレンデのように上手くは滑れないことに向上心が働き、BCへの興味が一気に膨らみました。

今回のツアーの様子や、印象に残ったことを教えてください。
島津さん:守門岳は、スキー場以外からアクセスした初めてのBCだったので、とてもワクワクしました。2日目は雨で滑れなかったのですが、前日でかなり体力を消耗していたので、宿の近くの八海山酒造や清津峡に行って、観光気分を味わったのがいい休憩になりました。見知ったエリアだと思っていた越後湯沢が、BCという視点だとまだまだ知らない場所や、もっと見たい景色がたくさんあると知りました。

ガイドとのツアーはいかがでしたか?
島津さん:自分たちのペースで案内してもらえることが、すごく贅沢な体験でした。スキーのマテリアルやアークテリクスの商品など、ガイド目線の話がおもしろかったです。登っている最中に植生が大きく変わるところがあって、それを不思議に思っていたら、すかさずガイドの淳さんが説明をしてくれて、自然や山の豊富な知識を、BCを楽しむために生かしているのがよくわかりました。

今後の目標や、チャレンジしたいことは見つかりましたか?
島津さん:あの山やこの山にも行ってみたいという、意欲が増したことが一番の収穫だったと思います。スキー場で滑ったことはあっても、山に入ったことがなかった、白馬や、群馬の山、谷川にも行きたいです。

今回使ったアークテリクスのウェア(Alpha SV Jacket)についての感想を。
島津さん:第一印象は硬いというイメージでしたが、丈夫さを感じるのにかさばらないフィーリングは、とてもいいバランスだと思います。BCというフィールドで、ましてやツリーランをやるなら、これくらいの丈夫さのあるものが安心だと感じました。今回は、雨、雪、氷の粒など、かなり変わりやすい天気でしたが、どのタイミングにも対応する幅の広さを感じました。

最後に、このツアーで見えた新しい景色がどんなものだったかを教えてください。
島津さん:自分のBC経験の最長の行程だった、守門岳のコースをやり切れたことが、大きな自信になりました。自分では行けると思っていなかったから、新しい景色が開けたような気がします。体力的には大変でしたが、淳さんの話を聞きながら歩くのは楽しかったし、3日間のなかで、ツリーランやトラバースのようなツアー滑走に楽しみを感じる自分に気づくことができました。

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一緒にツアーに参加した、久良木さんからも感想をいただきました。
久良木さん:BCは何度か経験がありますが、今回のツアーに参加して、同じスキーでもこんな楽しみ方があるのかと改めて驚きました。あれからBC用の板やブーツを調べることが楽しくなっています。体力には自信があったのですが、実際、自分がどれくらいの行程を歩けるのかがわからなかったので、今回のツアーがひとつの指針になりました。宿泊や食事も含め至れり尽くせりで、とても満喫させていたただきました。商品についてもいろいろと知ることができて、アークテリクスというブランドがもっと好きになりました。

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冬山登山デビューをサポートしてほしい:Trip No.2@西穂高岳

参加者:加藤さん(愛知県)
ガイド:川崎たくへい(屋久島でのレンジャーを皮切りに野生動物の調査などを行ないながら山岳スキルを積みガイド資格を取得。関東を拠点に北海道から屋久島まで幅広いガイディングを行なっている)

・ツアーの内容
Day1:ロープウェイを使って西穂山荘へ。道中でアックスやアイゼンの使い方などを講習
Day2:悪天候のため西穂岳の登頂は断念し、独標から小屋へ戻って技術講習を実施

普段は月1回くらいのペースで、日帰り低山を中心に登山を楽しむ加藤さん。登山歴は5年ほどですが、始めたときからソロ登山で、人と一緒に登るのは今回が初めて。いつかは雪山にチャレンジしたいと思っていたところ、たまたま今回の募集を見つけたそうです。

初めての雪山、初めてのソロ以外の登山、初めてのガイド登山と、初めてづくしの感想は?
加藤さん:雪山をやりたいとは思っていましたが、ソロでは行けないとわかっていたので、このような機会に出会えて本当にラッキーでした。とても大きな一歩だったと思います。アイゼンの使い方やピッケルの持ち方すら知らなかったので、川崎さんにいろいろと教えてもらいました。

今回はあいにくのお天気で、最初の目標だった西穂岳の山頂が踏めず残念でした。
加藤さん:自分にはちょうどよかったと思っています。あのお天気では景色も望めないし、危険度も高くなる。独標から西穂岳を見上げたとき、引き返すという川崎さんの判断は正解だと思いました。無雪期なら多少の冒険をしても大丈夫だという自信がありましたが、登山道が見えないという状況が、新鮮であり不安でもありました。雪山に対して防衛本能が働いたのかのかもしれません。

ガイドの川崎さんの存在をどのように感じましたか?
加藤さん:ものすごく頼もしかったです。何かあったら助けてもらおうとか、連れて行ってもらおうとかいうつもりではないけれど、経験豊富で頼りがいがあって、聞けばなんでも教えてくれるので、精神的な安心感は大きかったし、がんばるところを見守ってくれている感覚でした。最初は、こんな初歩的なことを聞いて失礼じゃないかという不安があったけれど、プライベートな環境で、コミュニケーションがとりやすい状態だったので、学びの場として最高でした。

今後の目標や、具体的に行きたい山などはありますか?
加藤さん:ツアーの後、ゴールデンウィークに一人で、木曽駒ケ岳に登ってきました。初めての山なので緊張感はありましたが、お天気にも恵まれ、教えてもらったことをそのままやればきっと頂上に行けると、自信をもつことができました。本当に、今回のツアーのおかげだと思っています。これからも、自分の行ける範囲で、行ったことのない所にたくさん行きたいです。今後もソロで登っていくつもりですが、ステップアップのタイミングでは、ガイド登山を利用したいと思いました。

私物の「Alpha SV Jacket」と「Beta LT Jacket」を使われていましたが、使用感などを聞かせてください。
加藤さん:初日は「Beta LT」、2日目に「Alpha SV」を使いました。2つのジャケットの使い分け方がよくわからなくて、2着持って行きました。登山を始めて1年くらいのときに、これがあればどんな状況にも対応できるだろうと「ALPHA SV」を購入しましたが、商品のランクではなく、目的に合ったものが快適なのだと、肌で感じることができました。

最後に、このツアーで見えた新しい景色がどんなものだったかを教えてください。
加藤さん:今まで客観視の対象でしかなかった、こうなりたいという憧れの景色のなかに、自分が入った姿が見えたような気がしました。外から見ていた世界が、自分の空間になったような感覚です。今回踏み出した1歩から、また少しずつ自分のできることを広げていきたいと思います。

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残雪期、2つのピークハントに挑戦する:Trip No.3@奥穂高岳

参加者:田家さん(栃木県)、古澤さん(東京都)
ガイド:照井大地(夏は北アルプス・南アルプス・八ヶ岳を中心にクライミングやガイド活動を行ない、冬はスキーやアイスクライミングを北海道で行なうなど、その活動エリアは広い)

・ツアーの内容
Day1:上高地~徳澤園
Day2:徳澤園~涸沢小屋
Day3:涸沢小屋~奥穂高岳~涸沢小屋
Day4:涸沢小屋~上高地

栃木と東京から参加されたお2人は、雪山にはしっかりしたガイドに同行して欲しいとキャンペーンに応募。当初は涸沢小屋に3泊して、奥穂高岳と北穂高岳、2つのピークを踏む予定でしたが、初日の悪天候のため予定を変更し、奥穂高岳だけを登頂。その結果、絶好の登山日和に恵まれ、すばらしい「Never Seen Trip」を体験できました。

お2人の登山歴と、登山を始めたきっかけを教えてください。
田家さん:2020年のゴールデンウィークに四国旅行をした際、知り合いに誘われて、徳島の剣山に登ったのが、2人とも初めての登山です。それですっかり登山にはまり、その年は秋までいろいろな山を登りました。2年間は無雪期登山だけでしたが、このTripに参加できることになったのをきっかけに道具を揃え、昨年の年末から、那須岳、赤城、谷川など、簡単な冬山に友人と登っています。

古澤さん:私も、徳島での登山をきっかけに、そのころ住んでいた京都周辺の低山を登り始めました。まとまった休みには、田家さんと一緒に登ることもありましたが、さらに新しいことに挑戦したいと思い、一緒に残雪期の山を目指そうと思いました。

今回初めてのガイド登山は、どんな印象でしたか?
田家さん:正直、今回の募集を見るまでは、ガイド登山は頭にありませんでした。今回、ガイドと一緒に登ることで、自分でできる範囲とできない範囲の線引きができたことが、非常に大きな学びでした。ガイドがいなければ、自分の最大限を出し切ることは難しいし、限界を1歩超えてしまったら、事故やけがをするかもしれない。ガイドのサポートがあるから、そのギリギリ上のところが確認できたと思います。テクニカルな山ももちろんですが、普段は自分より経験の浅い人と登ることが多いので、聞けば答えが返ってくる状況がとても楽しかったです。たまには、学びをテーマにガイドを依頼するという選択肢もあると思いました。

古澤さん:私が学んだのは、難易度の高い山に最初に行くときは、ガイドをつけるべきだということです。安全や安心が得られることもですが、困ったことやわからないことをその場ですぐに聞けて、実践でクリアにできるから学びが多いし、確実にレベルアップにつながると思いました。

印象に残ったことや、うれしかったこと、つらかったことがあれば教えてください。
田家さん:事前に持ち物のリストはもらっていたのですが、いつものようにアイゼンとチェーンスパイクを状況によって履き替えようと両方持っていったら、荷物が重くて後悔しました。不足はもちろんだめですが、過剰もだめなんだと、今まで講習で聞いて頭でわかっていたことを、身をもって学んだ気がします。あと、初めての3,000m越えで、酸素の薄さも実感しました。

古澤さん:涸沢小屋に2泊して、小屋で働く人達の想いに触れることができたことが印象的でした。ガイドさんが小屋の方と親しかったこともありますが、大変なことの多い環境で、暖かいご飯を出してくれることにありがたみを感じて、これからはもっと、いろいろなことに気を付けて山に登ろうと思いました。

今後の目標ややってみたいことなどはありますか?
田家さん:道具も手に入れたので、今年の年末年始は今回学んだことを活かして、自分たちだけで燕岳から日の出を見たいと思っています。徳澤園でボルダリングを体験して、登山にも役立つと思ったので、クライミングのイベントにも参加する予定です。

古澤さん:今回ガイドさんの判断で、天候を見て直前に予定を変更しましたが、今までの自分たちだったら、絶対にそのまま予定通り涸沢まで登っていたと思います。これからは、天気予報などで情報を得て、直前でも冷静な判断ができる力も、身につけていきたいと思います。

最後に、お2人がこのツアーで見た新しい景色が、どんなものだったかを教えてください。
田家さん:初めての3,000mの場所から遠くに見えた、以前自分が登った山の景色は、とても感動的なものでした。初めての涸沢より上のエリアは、自分だけで来られなかったレベルの高い場所だったけれど、そこにピッケルを刺して進めば登れると知ったことは、新たな景色との出会いだったと思います。

古澤さん:奥穂高岳は予想以上に難易度が高く、ガイド無しでは見ることのできない景色でした。冬山の装備をフルに使って、難関の山の急斜面を四つん這いで駆け上がるように登ったことが、まさにNever Seenな景色だったと思います。

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3組のTripに同行して 〜アークテリクスの想い

最後に、今回の「Never Seen Trip」キャンペーンを企画し、すべてのTripに同行したアークテリクス マーケティング担当の三原さんに、企画の意図やブランドの想いを聞いてみました。

三原さん:今回のTripに参加してくださったみなさんが、お天気の影響で予定の変更があるなか、それぞれのTripを楽しんでいただけたことを、心からうれしく思います。アークテリクスは、ただ道具を作るだけでなく、何かを目指す人のあと押しをする機会や、何かを目指す人の力となるような道具を提供し続けることを大切にしたいと思っています。

今回のTripが、みなさんのこれからの活動の目標やステップアップのきっかけになれば、それ以上にうれしいことはありません。

ReCARE- Wash your GORE-TEXプロモーションのお知らせ

アークテリクス直営店舗では、6月11日(日)まで-ReCARE- Wash your GORE-TEXを開催中です。お持ちのアークテリクス製GORE-TEXウェアをお預かりし、アウトドアウェア専門クリーニング業者にて洗濯致します。(有料)

これからの梅雨シーズンや夏山の準備に向けて、または冬に使用したウェアのメンテナンスにこの機会をご利用いただき、GORE-TEXウェアはご自宅でも気軽に洗えること、そして洗うことで長く着用できることをぜひ体感ください。

 

取材・原稿:小川郁代
写真提供:アメアスポーツジャパン/ツアー参加者の皆様
協力:アークテリクス カスタマーサポートセンター/アメア スポーツジャパン

小川 郁代

編集・ライター

小川 郁代

編集・ライター

まったくのインドア派が、ずいぶん大人になってから始めたクライミングをきっかけにアウトドアの世界へ。アウトドア関連の雑誌、書籍、ウェブなどのライターとして制作に関わるかたわら、アウトドアクライミングの環境保全活動を行なう、NPO法人日本フリークライミング協会(JFA)の広報担当としても活動する。