谷川岳・白砂山・武尊山…夏の群馬は絶景の宝庫|地元ガイドが徹底解説

YAMAPユーザーの皆さんに群馬の山の魅力を体感してもらうため、現在YAMAPでは「ぐんまの山旅2024 活動日記投稿キャンペーン」を開催しています。

昨年も大好評だった本キャンペーンですが、今年は夏と秋の2回開催にパワーアップ。前期は2024年7月13日(土)〜9月20日(金)、後期は9月21日(土)〜11月17日(日)の期間で開催し、素敵な投稿をしてくれた方には「群馬県の地域産品のカタログギフト」「オリジナル手ぬぐい」をプレゼント。さらに、条件クリアで「限定デジタルバッジ」も獲得可能です。

今回は、そんな群馬県の山の中でも、この夏、特に登って欲しい「4座」について、おすすめコースや見どころ、とっておきの下山スポットを地元の登山ガイドさんに教えていただきました。夏の青空が広がり、高山植物が美しい群馬の山々に、この機会に出かけてみませんか?

2024.07.30

大関直樹

フリーライター

INDEX

「ぐんまの山旅2024 活動日記投稿キャンペーン」で限定デジタルバッジをゲットしよう!

7月13日(土)〜9月20日(金)までのキャンペーン前期の期間中、群馬県内の対象の山「10座のうち1つ以上」に登ると、YAMAPアプリ上で期間限定のデジタルバッジ・Mt.GUNMA 2024 「夏」が獲得できます。

左:Mt.GUNMA 2024 「夏」 右:Mt.GUNMA 2024 「秋」

対象の10座は下記の通り。キャンペーン後期の「秋」には、また別の山が対象となりますのでお間違いのないように。

バッジ名:Mt.GUNMA 2024 「夏」
獲得可能期間:2024年7月13日(土) 〜 9月20日(金)

谷川岳 武尊山 三国山 日光白根山 袈裟丸山(前袈裟丸山)
白砂山 湯ノ丸山 横手山 榛名山(掃部ヶ岳) 天狗岩

 
今回は、デジタルバッジ・Mt.GUNMA 2024 「夏」を獲得できる対象10座のうち、特にオススメしたい「4座」の魅力について群馬在住の登山ガイド、長田厚実さんと松原美成子さんのおふたりに詳しく教えてもらいました。

それでは、これからオススメ4座の魅力を探っていきましょう!

①谷川岳|ロープウェイ利用で高山植物と大絶景が楽しめる名山

谷川岳(たにがわだけ)
標高:1,977m(オキノ耳)
おすすめコース:天神平駅発着|天神尾根・谷川岳往復コース
行動時間:4時間40分
コース定数:19(初中級者向き)
東京駅から登山口までの所要時間(マイカー):約2時間30分

Q:どんな山なの?
A:標高2,000mに満たないと思えないほどの雄大な景観が楽しめることで人気の山。夏は高山植物も咲き乱れるので、花好きの方にもおすすめ。首都圏からのアクセスがよい上に、ロープウェイを利用することで、比較的手軽に山頂に立つことができます。

Q:見どころを教えて!
A:熊穴沢避難小屋を越えたクサリ場からの展望とトマノ耳とオキノ耳の間にあるお花畑

松原さん(以下、松原):ガイド中、熊穴沢避難小屋を越えたところの長いクサリ場を登りきったら、私はお客さんに「後ろを御覧ください」と声をかけるようにしています。後ろにはみなかみ町や天神平のダイナミックな景色がドーンと広がっているんです。

そこで、お客さんの「ワーッ!すごい!」という声を聞くのがいつも楽しみ(笑)。それまで樹林帯で展望のないところを我慢して登って、振り返ったときの絶景は、たまらないですよ!

熊穴沢避難小屋付近から振り返った展望(nammutさんの活動日記から

長田さん(以下、長田):7月の天神尾根は高山植物が多く、キンコウカやヨツバヒヨドリ、シモツケソウなどがキレイです。とくにトマノ耳からオキノ耳までの間は、お花畑が美しいのでゆっくり歩くのがおすすめです。7月から9月にかけは、イワイチョウ、ハクサンコザクラ、ホソバヒナウスユキソウなどが競うように咲き乱れています。

お花畑の奥はトマノ耳(三人息子のママさんの活動日記から

Q:注意することはある?
A:蛇紋岩(じゃもんがん)は滑るので気をつけよう。熱中症対策も忘れずに!

長田:天狗の留まり場を過ぎると、ツルツルと滑る蛇紋岩の道になるので注意が必要です。とくに下りで雨が降っているときは気をつけましょう。

蛇紋岩は滑りやすいので注意シイラさんの活動日記から

松原:夏は岩場からの照り返しなどもあって、とても暑いので熱中症のリスクが高くなります。スポーツドリンクや経口補水液などをこまめに飲むように心がけてください。

私は、夏になると「サーモス」の水筒に「アイスの実」を入れて持って行きます。それをお客様にお出しすると「えっ!ここでアイス!」と喜んでいただけるんですよ。美味しい上に熱中症予防にもなるので、よかったら試してみてください。

Q:おすすめ下山スポットが知りたい!
A:①ビューテラスてんじんの谷川岳パングラタン、②谷川岳ドライブインの谷川ラーメンや赤城牛の蒸し焼き、③谷川岳温泉 湯吹の湯がおすすめ。

長田:食事は、天神平にあるビューテラスてんじんがおすすめです。とくに「谷川岳パングラタン」は、パンの中に野菜や鶏肉が入って、濃厚なホワイトソースとチーズがかかったボリュームのある山ゴハンとして評判です。ほかにも、JR土合(どあい)駅近くにある谷川岳ドライブインのもち豚と山菜やきのこが入った「もち豚 谷川ラーメン」や、群馬県産赤城牛の蒸し焼きなども美味しいです。

ビューテラスてんじんの谷川岳パングラタンの写真(しげさんの活動日記から

松原:お風呂は、谷川岳ドライブイン(土合駅)すぐそばの谷川岳温泉 湯吹の湯が人気です。ロープウェイの土合口駅からも近いので、すぐに立ち寄れますよ。源泉かけ流しで少し熱めお湯が、疲れた体を癒やしてくれます。

湯吹の湯は、登山者の宿として人気の「土合山の家」が2022年にオープンした

②白砂山|三県にまたがる稜線を歩き、展望と花を満喫できる秘境の名峰

白砂山(しらすなやま)
標高:2,139m
おすすめコース:地蔵峠-地蔵山-堂岩山-猟師の頭-白砂山 往復コース
行動時間:8時間30分
コース定数:28(中級者向き)
東京から登山口までの所要時間(マイカー):約4時間

Q:どんな山なの?
A:長野県・新潟県・群馬県の3県の県境にある山で、「日本二百名山」「ぐんま百名山」にも選ばれています。かつては秘境の名峰として知られていましたが「ぐんま県境稜線トレイル」として整備されてからは、登山者も増えてきました。

Q:見どころを教えて!
A:堂岩山を過ぎたあたりの展望と高山植物/野反峠手前のお花畑も美しい

長田:登山口から堂岩山までは、樹林帯が多くてそれほど展望がありません。しかし、堂岩山を過ぎたあたりから一気に視界が広がって大展望を楽しめます

また、その周辺は高山植物も多く、マルバキスミレやシラネアオイ、タテヤマウツボグサなどが咲きます。8月になるとミヤマコゴメグサ、ハクサンチドリが出てきたり、登山道のそばにはベニバナイチヤクソウなども見ることができるでしょう。

堂岩山を過ぎてからの気持ち良い尾根歩き(かたみさんの活動日記から

松原:高山植物の種類が多いので、お花が好きな方は楽しめると思います。もし、体力があるなら、帰りに八間山を野反峠(富士見峠)に下山するのがおすすめです。野反峠手前にはコマクサやハクサンフウロなどのお花畑があり、野反湖沿いではニッコウキスゲ(地元ではノゾリキスゲという)の群生地もあります。

ノゾリキスゲと野反湖(jittaさんの活動日記から

Q:注意点することはある?
A:長時間歩くので水分補給を忘れずに。山頂直下の笹原は滑るので注意

松原:歩行距離が長くアップダウンも多いので、休憩をとりながらこまめな水分補給を心がけましょう。水場は堂岩山の手前の登山道から5分ほど下ったところにあります。また、白砂山の山頂直下は笹原で、濡れていると滑るので注意が必要です。

Q:おすすめ下山スポットが知りたい!
A:①尻焼温泉、②チャツボミゴケ公園と旧太子駅がおすすめ。

長田:登山口からクルマで30分ほどの尻焼温泉がおすすめです。長笹沢川を堰き止めて作った巨大露天風呂・川の湯は、川底から湧出している温泉で、秘湯の趣があります。内湯なら昨年オープンした、町営日帰り温泉施設・尻焼温泉「弁天の湯」も近くにあります。

尻焼温泉は川全体が浴槽になっている(lucky6868さんの活動日記から

松原:立ち寄り観光スポットとして、チャツボミゴケ公園と旧太子(おおし)駅は一見の価値がありますよ。チャツボミゴケ公園は、群馬鉄山の鉄鉱石の鉱山跡で、閉山後に耐酸性が強いチャツボミゴケが群生したもの。2017年には国の天然記念物に指定され、緑のビロードのような景色は圧巻です。

旧太子駅は、群馬鉄山から鉄鉱石を運ぶ始発駅だった場所で、駅舎内では昔の写真や当時の貴重な品を展示しています。

酸性水域を好む苔が群生するチャツボミゴケ公園(Å子さんの活動日記から

③榛名山|榛名湖と周囲の山々の展望が楽しめる初心者向けの山

榛名湖に映る逆さ榛名富士(takuさんの活動日記から

榛名山(はるなさん)
標高:1,403m(相馬山)
おすすめコース:相馬山 ゆうすげの道コース
行動時間:2時間20分
コース定数:11(初心者向け(経験者同行推奨))
東京から登山口までの所要時間(マイカー):約2時間45分

Q:どんな山なの?
A:東の赤城山、西の妙義山とともに上毛三山として親しまれている榛名山。その外輪山のなかでも、ひときわ特徴的な山容を持つのが相馬山※です。コースタイムは約2時間20分と手頃ながら、大展望が楽しめるのが魅力です。

※「ぐんまの山旅2024 活動日記キャンペーン」の期間限定デジタルバッジ「Mt.GUNMA 2024 「夏」」の獲得ランドマークは相馬山ではなく掃部ヶ岳(かもんがだけ・最高峰)です。獲得を目指す場合は、ぜひ掃部ヶ岳を目指すルートもチャレンジしてみてくださいね。

Q:見どころを教えて!
A:磨墨岩周辺の景観とゆうすげの道

松原:かつては多くの修験者が修行をしていた山で、クサリ場やハシゴがあるので、ちょっぴりスリリングな登山が楽しめます。また、山頂からは妙義山や荒船山をはじめ、関東平野や富士山の眺めがきれいです。

私の一番のおすすめスポットは、下山途中にある磨墨岩(するすいわ)ですね。その岩の前に立つと、正面に奇岩の磨墨岩、北に榛名富士、奥に榛名湖という贅沢な景色が楽しめます。

磨墨岩からの榛名富士と榛名湖の眺め(ハイカーKさんの活動日記から

長田:磨墨岩から下ってきた「ゆうすげの道」は、木道をゆっくり散策しながらユウスゲをはじめとした野草を愛でながら歩くことができます。

ユウスゲの花の見頃は、例年だと7月中旬~8月中旬頃なので、これからの季節にピッタリでしょう。ただし、午後3〜4時ごろに咲き始め、翌日の午前中には萎んでしまうので下山のタイミングを次第では見ることができないこともあります。

夕暮れ時のゆうすげの道(ようすけさんの活動日記から

Q:注意点することはある?
A:クサリ場は、できれば経験者と一緒に行きたい

松原:クサリ場やハシゴは、濡れていると滑るので慎重に行動してください。初心者の方は、できれば経験者と一緒に行動した方が安心です。磨墨岩にはハシゴがかかっていますが、非常に不安定なので登らない方がよいと思います。

Q:おすすめ下山スポットが知りたい!
A:①榛名湖温泉ゆうすげ元湯、②伊香保温泉、③水沢うどん街道がおすすめ。

長田:日帰り湯なら、ヤセオネ峠からクルマで5分の「榛名湖温泉ゆうすげ元湯」が便利です。ここは土日ですと、食堂もオープンしています。また、クルマで15分ほど走ると、群馬県を代表する温泉として有名な伊香保温泉もあります。

松原:伊香保温泉からクルマで10分ほど走ると、日本三大うどんのひとつである水沢うどんのお店が10軒以上並ぶ水沢うどん街道があります。透明感と強いコシが特徴の水沢うどんは、群馬を代表するソウルフードなので、ぜひ食べてみてください!

日本三大うどんのひとつ、水沢うどん(BS9outbackさんの活動日記から

④武尊山|標高差1,000mの登りの先には、大パノラマが広がる日本百名山

武尊山(ほたかやま)
標高:2,158m
おすすめコース:武尊神社〜武尊山〜剣ヶ峰山 周回コース
行動時間:7時間15分
コース定数:30(中上級者向き)
東京から登山口までの所要時間(マイカー):約3時間20分

Q:どんな山なの?
A:古くから修験者の行場として知られ、今でも岩稜帯やクサリ場などが残る信仰の山です。最近は登山道が整備されて登りやすくなりましたが、コースタイムが長く危険箇所もあるので、中級者以上の方におすすめです。

Q:見どころを教えて!
A:稜線まで出ると、周辺の百名山の大展望が楽しめる

長田:武尊山は群馬県北部にそびえる独立峰で、稜線まであがると非常に眺めがいいです。赤城山、皇海山、日光白根山など関東北部の日本百名山の展望が思い切り楽しめます。ただし、どのルートでも稜線に上がるまでには、それなりの体力が必要です。

松原:川場谷を囲むように7つの2,000m峰が連なっているので、コンパクトに縦走を楽しめるのが魅力です。ルートはいくつかありますが、最短で山頂に立てるのが武尊神社から登るルートで、最近は利用する登山者が増えました。

山名の由来は日本武尊(ヤマトタケル)の東征の故事によるとされ、像も立っている(いぶきさんの活動日記から

Q:注意点することはある?
A:登りでは、行者ころげのクサリ場。下りは、剣ヶ峰を越えたところ

松原:登りの行者返し(行者ころげ)では、垂直のクサリ場を登るので慎重に。下りは、剣ヶ峰からがとても滑るので、慌てずゆっくりと進んでください。いくつか木にロープがかかっている場所もありますが、しっかりと固定されているかを確認しながら降りましょう。ロングコースなので、疲れてくると集中力が切れがちです。最後まで気を抜かずに歩きましょう。

行者ころげのクサリ場(ゆめたんさんの活動日記から

Q:おすすめ下山スポットが知りたい!
A:①らーめん武尊のスタミナラーメン、②宝川温泉 宝川山荘がおすすめ。

松原:みなかみ町方向にクルマで約30分のところにある、らーめん武尊の「スタミナら〜めん」がおすすめです。焼き目の付いた豚バラ肉とニラ、すりおろしニンニクが載ったボリュームのあるラーメンです。

そこからさらにクルマで5分ほど走ると、映画『テルマエロマエII』の舞台にもなった宝川温泉 宝川山荘があります。この温泉は、渓流沿いに広がる大露天風呂が有名で、自然が一体化したような感覚が味わえます。混浴露天風呂は、男女ともに湯浴み着(入浴料金にレンタル代を含む)着用なので、女性も安心です。

(まとめ)
今回紹介した4座は、いずれもぐんま百名山に選定されており、展望と高山植物が楽しめる名峰です。初級者向けから中上級者向けまでバリエーションがありますので、自分の体力に合った山を選んで、ぜひ群馬の山を満喫してください!

教えてくれた人
長田厚実 (おさだあつみ)さん


日本スポーツ協会公認山岳指導員
水上山岳ガイド協会、尾瀬ガイド協会所属
谷川岳など群馬の山々をベースに春夏秋冬、山遊びを楽しんでいる。

松原美成子(まつばら みなこ)さん

日本山岳ガイド協会登山ガイド ステージⅡ
みなかみ山岳ガイド協会所属 尾瀬ガイド協会所属
谷川岳を始め、上越の山、北アルプスなど各地の山をガイドする傍ら、地元放送のニュース番組の山コーナーで、群馬の山の魅力を紹介。山登りの楽しさ+αを追い求めて、ガイドが無い日も山に入る日々。

大関直樹

フリーライター

大関直樹

フリーライター

小中学校はボーイスカウト、高校はワンダーフォゲル部で自然に親しむ。好きなものは、タバコとお酒と競輪。最近は、山頂で一服すると周りの目が厳しいので肩身が狭いのが悩み。「みなさんが山で嫌な思いをしないように風下でこっそり吸いますので、許してください」