奥多摩の日帰り名山、御岳山|初心者向けコースをガイドが解説【首都圏のおすすめ低山】

東京の奥座敷・奥多摩で、初心者でも日帰りで手軽に登ることができる御岳山(929m)。

山岳信仰の霊山を物語るパワースポットとして親しまれているほか、苔むした幽玄な渓谷歩きやペット連れ、効能豊かな温泉への縦走など、どんなスタイルでも楽しめます。

今回は登山ガイドの鷲尾太輔さんが、山歩きの初心者から家族連れまで楽しめる休日の日帰り山歩を提案してくれました。

2024.10.30

鷲尾 太輔

山岳ライター・登山ガイド

INDEX

御岳山のおすすめポイント

紅葉に染まるロックガーデン(としちゃんさんの活動日記

①ケーブルカーの利用でラクラク!初心者のゆったり山歩にぴったり
②山頂は武蔵御嶽神社|パワースポット巡りも満喫できる
③御祭神の一柱は「おいぬ様」|ワンちゃん連れにやさしい
④豊かな森の四季折々の絶景。11月の見事な紅葉
⑤体力があれば、周囲の山々との縦走コースも挑戦できる

御岳登山鉄道のケーブルカー(撮影:鷲尾 太輔)

ケーブルカーを利用すればラクラク!ゆったり山歩にぴったり

御岳登山鉄道のケーブルカーを利用すれば、標高842mの御岳山駅まで一気に到達。山頂との標高差は100mにも満たず、最短コースであれば約30分で登頂できます。

高齢の親御さんや小さなお子様と一緒でも、ゆったりと山歩を楽しみながら、山岳信仰の聖地や、四季折々の豊かな自然を、満喫できるでしょう。

山頂は武蔵御嶽神社|パワースポット巡りも満喫

武蔵御嶽神社拝殿(撮影:鷲尾 太輔)

御岳山の山頂には、2世紀後半に創建されたともいわれる武蔵御嶽神社が鎮座。

文献として残る最古の記録では、奈良の大仏造営や高尾山(599m)薬王院の開山にも関わった高僧・行基が、8世紀半ばに蔵王権現(日本独自の山岳信仰・修験道の御本尊とされることが多い仏様)を祀ったのが起源とされています。

天孫降臨を成し遂げた天瓊々杵尊(あめのににぎのみこと)を祀る皇御孫命(すめみまのみこと)社や、学問の神様・菅原道真公を祀る北野社など多くの社殿が立ち並ぶ(撮影:鷲尾 太輔)

現在も本殿には蔵王権現を神格化した廣国押武金日命(ひろくにおしたけかなひのみこと)や日本武尊(やまとたけるのみこと)など4柱の神様が祀られています。

安産杉・子授杉・夫婦杉がそびえる産安社(撮影:鷲尾 太輔)

山中にはほかにも、富士山の御祭神でもある木花開耶比咩命(このはなさくやひめ)など3柱の女神が祀られていたり、子授け・安産・長寿にご利益があるとされる産安(うぶやす)社なども点在。さまざまな人々の祈りや願いを受け止めるパワースポットになっています。

御祭神の一柱は「おいぬ様」|ワンちゃん連れにもやさしい

御岳山の山頂に位置する大口真神社(撮影:鷲尾 太輔)

武蔵御嶽神社の境内最奥にある大口真神(おほくちまがみ)社の御祭神・大口真神は、かつて御岳山での邪神との闘いで道に迷った日本武尊(やまとたけるのみこと)を導いた狼の化身。

江戸時代からは魔除け・盗難除けの神として「おいぬ様」の名称で信仰されており、お札にも狼が描かれています。

鳥居前の手水舎にもペット用の水場が(撮影:鷲尾 太輔)

こうした文化から武蔵御嶽神社では、ペット連れに配慮したさまざまな施設が設置されています。参拝者だけでなく愛犬の祈祷が奉仕されているほか、ケーブルカーにもペットエリアが設けられ、ケージへ入れずに乗車(要ペット券)も可能。ワンちゃん連れにも人気の山なのです。

豊かな森と水の恵みが魅せる四季折々の絶景

武蔵御嶽神社参道の紅葉(okuchanさんの活動日記

豊かな森に包まれた御岳山がもっとも賑わうのが、紅葉シーズンの11月。赤や黄色に色づいた木々が、武蔵御嶽神社の社殿や眼下の眺望と美しいコントラストを織り成します。

苔むした渓流・ロックガーデン(nadamiuraさんの活動日記

山中にあるロックガーデンも御岳山ならではのスポット。多摩川最大の支流・秋川のさらに支流である養沢川源流部、綾広の滝から天狗岩まで約1.5kmに渡って続く渓流です。

水の清らかさはもちろん、苔むした岩が点在する風景は、文字通り深山幽谷の趣。新緑シーズンには若葉との緑の階調がひときわ美しい場所です。

御岳山のレンゲショウマ(のぞむさんの活動日記

夏の御岳山の風物詩となっているのが、ケーブルカー御岳山駅からすぐの斜面に群生するレンゲショウマの花。見頃となる例年7月下旬〜8月下旬には「森の妖精」と呼ばれる可憐な花が、日本一ともいわれる規模の群生地に咲き競います。

周囲の山々と組み合わせ、健脚向けの縦走も可能

大岳山からの富士山(kiyoさんの活動日記

奥多摩三山の一座で東京都唯一の日本二百名山にも選定されている大岳山(1,266m)、奥多摩駅へと下る鋸山(のこぎりやま、1,107m)などと組み合わせると、歩きごたえ抜群のロングコースも設定可能。体力・脚力自慢の人でも楽しめます。

ここからは初心者でも楽しめるおすすめの3コースを紹介します。

おすすめコース①|御岳山駅-御嶽神社-御岳山 往復コース【1時間】

沿道を代表するパワースポット・神代ケヤキ(撮影:鷲尾 太輔)

ポイント
①コースはほぼ全て舗装され、スニーカーでも歩ける
②沿道には山岳信仰の文化を伝える宿坊やパワースポットが点在
③ゆとりを持って境内の社巡りも楽しめる

コース情報
コースタイム:1時間
歩行距離:2.2km
累計標高差(上り):195m
累計標高差(下り):195m

モデルコースを詳しく見る

表参道の入口(撮影:鷲尾 太輔)

本コースでは、武蔵御嶽神社の表参道を往復します。ケーブルカー御岳山駅から左手に進むと、歓迎の門が出迎えてくれます。

朱塗りの鳥居(撮影:鷲尾 太輔)

なだらかな舗装路を進むと、すぐに朱塗りの鳥居をくぐります。奥には立ち並ぶ宿坊や御岳山の山頂が見えています。ここから道はゆるやかな下り坂となります。

御師集落へ(撮影:鷲尾 太輔)

レンゲショウマ群生地や産安社からの道が合流し、右上に御岳ビジターセンターを見ながら進むと、道の両側には宿坊が立ち並ぶようになります。

彩雲荘方面へ(撮影:鷲尾 太輔)

しばらく進むと、道が左右に分岐します。御嶽ユースホステルとなっている彩雲荘の看板を目印に左手の道へ入り、クランク状に進みます。

馬場家御師住宅(撮影:鷲尾 太輔)

ちなみに右手の道を進んですぐの場所にあるのが、東京都の有形文化財にも指定されている馬場家御師(おし)住宅。幕末に建立されたという重厚な茅ぶき屋根が印象的。この先へ続く坂道をそのまま進んでも、表参道と合流します。

上り坂に変わる表参道(撮影:鷲尾 太輔)

彩雲荘を右手に見ながら進むと、表参道はやや急な上り坂に変わり、宿坊が立ち並ぶ御師集落の中を歩いていきます。

神代ケヤキが見えてくる(撮影:鷲尾 太輔)

さらに上り坂を進むと、前方の斜面にひときわ大きな樹木が見えてきます。

神代ケヤキ(撮影:鷲尾 太輔)

これが国指定の天然記念物・神代ケヤキ。高さ約30m、幹囲8.2mという巨木で、日本武尊(やまとたけるのみこと)が植えたとも言い伝えられています。

商店街へ(撮影:鷲尾 太輔)

神代ケヤキの下を通って右折すると商店街へ。両側には食事処や土産物を扱う商店が立ち並んでいます。うどん・そばなどの食事はもちろん、御岳山の清らかな湧水で淹れたコーヒーも人気です。

大鳥居と随身門(撮影:鷲尾 太輔)

商店街を抜けて手水舎のある鳥居前広場からは、石段が始まります。手前には大鳥居がそびえ、奥には随身門が見えています。神社の入口である鳥居と寺院の入口である山門が両方あるのも、明治以前の神仏習合の名残といえるでしょう。

霧の御坂(撮影:鷲尾 太輔)

続いて、小さな鳥居が設けられた霧の御坂とよばれる石段を登ります。ちなみに段差が苦手な人は、鳥居前広場からも、霧の御坂手前からも、女坂とよばれる坂道で拝殿前まで行くことができます。

武蔵御嶽神社拝殿(撮影:鷲尾 太輔)

さらに石段を登ると、美しい朱塗りの拝殿が見えてきます。参拝を終えたら左手の神符授与所で、おみくじや御守りなど参拝の記念品を頂くこともできます。

旧本殿である常磐堅磐社(撮影:鷲尾 太輔)

拝殿の参拝のみで引き返してしまう人も多いのですが、拝殿左手から本殿の奥へと進み、たくさんの境内社を参拝するのもおすすめ。

冒頭で紹介した皇御孫命(すめみまのみこと)社や、おいぬ様信仰の起源となった大口真神(おほくちまがみ)社が点在しています。

中でも室町時代に建立された常磐堅磐(ときはかき)社は、16世紀初頭に建立された旧本殿で、、現在の本殿を1877年(明治10年)に建立した際に移築された貴重な建築物です。東京都の有形文化財に指定されています。

下山は往路を引き返します。

おすすめコース②|大都会・東京の山中に深く刻まれた、ダイナミックな“岩石”の谷【2時間50分】

ロックガーデンの苔むした岩石(撮影:鷲尾 太輔)

ポイント
①苔むした岩石と清流が織りなす幽玄な情景
②奇岩・天狗岩の不思議な造形美
③滝行も行われるパワースポット・綾広の滝

コース情報
コースタイム:2時間40分
歩行距離:5.5km
累計標高差(上り):541m
累計標高差(下り):544m

モデルコースを詳しく見る

ロックガーデンへの分岐(撮影:鷲尾 太輔)

御岳山まではおすすめコース①と同じ道を登ります。山頂から霧の御坂を降りたら、随身門までは下らず、この道標にしたがって右へ進んでください。もう少し上の階段からもロックガーデンへの道が延びていますが、道幅の狭い急斜面なので、こちらの方が無難です。

長谷川常男氏の碑(撮影:鷲尾 太輔)

杉林の中をゆるやかに下っていくと、右側に大きな石碑が現れます。これはヨーロッパアルプス三大北壁(アイガー・マッターホルン・グランドジョラス)の冬季単独登攀を世界で初めて成功させるなど、数々の偉業を成し遂げた登山家・山岳ガイドである長谷川常男氏の功績を顕彰するもの。

長谷川氏がパキスタンで雪崩により亡くなってから20年となる2011年に、彼の名を冠した山岳耐久レース・ハセツネCUPのコース上に建立されました。

長谷川常男氏の碑前の分岐(撮影:鷲尾 太輔)

この碑の前でコースは3つに分岐します。左手に進めばベンチやトイレが設置されて休憩に好適な長尾平に着きます。正面の道はロックガーデンの下流である七代の滝へのコースですが、滑りやすく急な斜面を下ります。今回は、右手の平坦な道を進みましょう。

ロックガーデンへの分岐(撮影:鷲尾 太輔)

この道標にしたがって、左下へ続く階段を下っていきます。ここから、行きはロックガーデン、帰りは正面へ続く平坦な道へと、コースはぐるりと周回するようになっています。

ロックガーデンへの道(撮影:鷲尾 太輔)

分岐からは杉林の中を、ゆるやかに下っていきます。すれ違いなどの際には、特に左側の斜面への滑落に注意しましょう。

天狗岩(撮影:鷲尾 太輔)

七代の滝からのコースが合流した場所にあるのが、岩の上から巨木がそびえる奇石・天狗岩です。鎖につかまって岩の上へ登ることもできますが、傾斜が急で上部は木の根がびっしりとはりめぐらされているので、スリップや転落に注意しましょう。

ロックガーデン入口(撮影:鷲尾 太輔)

天狗岩からさらに下ると、谷底へ到着。ここからロックガーデンが始まります。苔むした岩石の間を、澄んだ水が絹糸のように流れる渓流沿いを、上流へ遡るように進んでいきます。

飛び石(撮影:鷲尾 太輔)

ロックガーデンでは飛び石を渡って渓流の右岸と左岸を行き来します。飛び石が濡れている場合もあるので、スリップには注意しましょう。

上高岩山への分岐(撮影:鷲尾 太輔)

上高岩山(1,011m)へと向かう、ロックガーデン唯一の分岐です。橋は渡らずに、正面へ直進してください。

休憩所とトイレ(撮影:鷲尾 太輔)

ロックガーデンの中程には、トイレが併設された休憩所やベンチ・テーブルが設置されています。

両側の斜面が険しくなる(撮影:鷲尾 太輔)

休憩所を過ぎると、両側の斜面が険しく高くなり、渓谷の幅が狭くなります。

綾広の滝(撮影:鷲尾 太輔)

やがて、綾広の滝が見えてきます。落差約10m、ロックガーデン最大の滝で、宿坊に泊まると滝行を体験することもできます。

大岳山との分岐(撮影:鷲尾 太輔)

綾広の滝を左下に見ながら登ると、休憩舎が建つ大岳山との分岐に出ます。道標の通りに分岐を右へ進んで、御岳山方面へ戻ります。

トラバース道(撮影:鷲尾 太輔)

ここからは、鍋割山(1,082m)・奥の院峰(1,077m)などの稜線とロックガーデンの谷の間の斜面をトラバース(横断)する、ほぼ平坦な道です。

奥の院口分岐(撮影:鷲尾 太輔)

トイレが設置された奥の院口分岐。左手の階段は登らずに、右手のトラバース道を進みます。

奥の院への鳥居(撮影:鷲尾 太輔)

左手に奥の院を経て鍋割山へ続く参道の鳥居が見えたら、ロックガーデンへと下った分岐は目の前。あとは往路を引き返します。

おすすめコース③|御岳山〜つるつる温泉|ペットも歓迎の山上のパワースポット【3時間10分】

日の出山からの初日の出(れいさんの活動日記

ポイント
①初日の出や夜景も人気の展望峰へ縦走
②御岳山の歴史・文化と日の出山の自然を満喫!
③ゴールは美肌の湯として人気の日帰り温泉

コース情報
コースタイム:3時間10分
歩行距離:6.5km
累計標高差(上り):366m
累計標高差(下り):838m

モデルコースを詳しく見る

商店街(撮影:鷲尾 太輔)

御岳山まではおすすめコース①と同じ道を登ります。山頂から石段を下り、鳥居前広場へ。さらに商店街を通過していきます。この先は売店などがないので、ここでおやつを買ったり食事処で昼食をとったりしてもよいでしょう。

突き当たりの道標を確認(撮影:鷲尾 太輔)

商店街の突き当たりにある民宿・町久保田の前に道標が設置されています。右手へ進むと、日の出山への縦走路の入口です。

宿坊街を歩く(撮影:鷲尾 太輔)

道標にしたがって、しばらくはコンクリートやカラータイルで舗装された宿坊街を歩きます。

分岐(撮影:鷲尾 太輔)

路面が土道に変わり、登山道は尾根をゆるやかに下っていきます。左奥の畑との分岐を右に進むと、今度はゆるやかな登りに変わります。

鳥居を潜る(撮影:鷲尾 太輔)

武蔵御嶽神社の神域の東端となる木製の鳥居をくぐります。この奥の分岐は左手の階段へと進みます。

トラバース道(撮影:鷲尾 太輔)

しばらくは、尾根の南側をトラバースするゆるやかな道が続きます。

木製階段(撮影:鷲尾 太輔)

やがて、木製階段が現れます。この先も断続的に4区間ほど木製階段が設置されていますが、どこも段差は小さく傾斜もきつくないので、ゆっくりと登りましょう。

東雲山荘(撮影:鷲尾 太輔)

右手にトイレ、左手に東雲山荘(しののめさんそう・2023年から営業休止中)が見えれば、山頂までは残りわずかです。

山頂直下の階段(撮影:鷲尾 太輔)

東雲山荘から先は、石段を登ります。こちらも段差は小さいので、山頂まで焦らず進みましょう。

日の出山山頂(撮影:鷲尾 太輔)

三角点や展望案内板が設置された日の出山山頂に到着です。振り返ると、先ほど登った御岳山も見えています。

山頂からの眺望(撮影:鷲尾 太輔)

東屋やベンチが設置された山頂は東側が開けており、山名通りの日の出や夜景の鑑賞スポットとしても人気。昼間でも視界がよければ東京都心方面を眺望することができます。

日の出山から下る木製階段(撮影:鷲尾 太輔)

山頂からはまず南へ進みます。最初は石段を、続いて道幅の広い木製階段を下って行きます。

三室山との分岐(撮影:鷲尾 太輔)

左手に進むと三室山(みつむろやま、646m)経由でJR青梅線・二俣尾駅へ続くロングコースとの分岐です。つるつる温泉へは正面(木製階段)・右手(土道)どちらを下ってもすぐに合流します。

御岳山との分岐(撮影:鷲尾 太輔)

こちらの分岐は直進。左手へ進むと、御岳山に戻ってしまいます。

モミジの木と麻生山(撮影:鷲尾 太輔)

しばらく単調な下りが続きますが、この周辺はモミジの木が点在しています。秋には真っ赤に色づくことでしょう。

林道へ降りる(撮影:鷲尾 太輔)

下りきったら右手へ。右下に見える林道へと降り、道標にしたがって左へと進みます。

ヘアピンカーブ(撮影:鷲尾 太輔)

林道歩きは、そう長く続きません。写真のヘアピンカーブを曲がって下っていくと……。

登山道へ戻る(撮影:鷲尾 太輔)

この道標にしたがって、林道とはお別れして左手へ進みます。ここからは、ふたたび登山道となります。

眺望ポイント(撮影:鷲尾 太輔)

登山道は杉林の中の尾根をまっすぐ下る単調な景観が続きますが、一箇所だけ森が開けて眺望が広がるポイントがあります。

顎掛岩(撮影:鷲尾 太輔)

日本武尊(やまとたけるのみこと)が顎をのせて休憩したという伝承が残る顎掛岩です。岩の上には馬頭観音の祠が祀られています。

ジグザグ道(撮影:鷲尾 太輔)

顎掛岩から先は、それまでのまっすぐな道から一転、ジグザグの下りに変わります。木の根が露出している場所もあり、疲労もたまる区間ですが、進むにつれて山麓の沢のせせらぎが大きく聞こえるようになってきます。

滝本不動尊(撮影:鷲尾 太輔)

滝本不動尊のお堂が見えたら、林道と合流します。ここからつるつる温泉まで、約1.5kmの舗装路歩きとなります。

つるつる温泉への道(撮影:鷲尾 太輔)

林道はゆるやかな下りでアスファルト舗装されている歩きやすい道ですが、時おり車両が通行するので注意しましょう。

Y字路(撮影:鷲尾 太輔)

林道が終わると、2車線道路と合流するY字路へ出ます。正面へ150m進むと日の出山登山口バス停、左手へ330m登るとつるつる温泉バス停へ。いずれもJR五日市線・武蔵五日市駅へのバスに乗車できますが、始発はつるつる温泉バス停となります。

日の出山登山口バス停(撮影:鷲尾 太輔)

温泉に入りたい、始発からバスに乗りたい、という要望がなければ、日の出山登山口バス停をゴールとしてもよいでしょう。ただしベンチや待合所などは一切ないので、長時間のバス待ちには不適。発車時刻が迫っている際などに重宝します。

つるつる温泉(撮影:鷲尾 太輔)

武蔵五日市駅へのバスの始発となるつるつる温泉。アルカリ成分が高い天然温泉が魅力で、食事処なども併設されています。登山でかいた汗を流すために、立ち寄るのもおすすめです。

なお入館せずにバスを待つだけの場合でも、屋外のトイレ・待合室・自動販売機などを利用することができます。

宿坊に泊まってじっくり滞在もおすすめ

夜の御岳山(fumさんの活動日記

御岳山には武蔵御嶽神社の神職でもある御師(おし)と呼ばれる主人が参拝者をもてなす宿坊が点在しています。それぞれの御師が神主を務める宿坊内の神殿へ参拝したり、各宿坊が工夫を凝らした御師料理を味わうことも魅力です。

きらめく東京都内の夜景や、東の空を赤く染める御来光を見ることができるのも、山上に宿泊した人ならではの特権です。

御岳山のトイレ・休憩場所

御岳登山鉄道御岳山駅にもトイレが併設(撮影:鷲尾 太輔)

おすすめコース①・②・③共通のトイレ・休憩所

おすすめコース①・②では往復、おすすめコース③では往路で利用するケーブルカー御岳山駅には、駅舎の下にトイレが併設されています。

御岳平(撮影:鷲尾 太輔)

ケーブルカー御岳山駅前は御岳平と呼ばれ、大きな藤棚がシンボルの休憩所からは、山麓や都心方面を一望することができます。

御岳平トイレ(撮影:鷲尾 太輔)

御岳平の西側にあたるレンゲショウマ群生地の手前にもトイレが設置されています。

御岳ビジターセンター(撮影:鷲尾 太輔)

御岳山のさまざまな情報発信を行っている御岳ビジターセンターも、開館時間内(9:00〜16:30・月曜または祝日翌日の火曜日と年末年始は休館)であれば、トイレを利用することができ、休憩も可能です。

武蔵御嶽神社のトイレ(撮影:鷲尾 太輔)

武蔵御嶽神社境内のトイレは、宝物殿の横に設置されています。

おすすめコース②のトイレ・休憩所

長尾平のベンチ・テーブルとトイレ(撮影:鷲尾 太輔)

長谷川常男氏の碑から左へ入った長尾平には、ベンチ・テーブルやトイレが設置されており、奥には眺めの良い広場や展望台があります。

ロックガーデンのベンチ・テーブルと休憩所・トイレ(撮影:鷲尾 太輔)

ロックガーデンの中ほどにも、トイレが併設された休憩所とベンチ・テーブルが設置されています。

大岳道分岐の休憩所(撮影:鷲尾 太輔)

綾広の滝から登り、御岳山から大岳山へ向かう道との分岐にも、休憩所が建っています。

奥の院口トイレ(撮影:鷲尾 太輔)

奥の院峰への道との分岐にあるトイレは、微生物などを利用した最新のバイオトイレです。

おすすめコース③のトイレ・休憩所

日の出平園地トイレ(撮影:鷲尾 太輔)

このコース唯一のトイレは、日の出山の山頂直下で巻き道との分岐である日の出平に設置されています。

日の出山山頂のあずまや(撮影:鷲尾 太輔)

日の出山山頂にはあずまやがあり、休憩に好適。このほか展望の良い東側の斜面に、前述の通りベンチが設置されています。

つるつる温泉への下山ルート上にも、分岐やランドマーク付近にベンチが点在しており、休憩可能です。

御岳山へのアクセス

JR御嶽駅(撮影:鷲尾 太輔)

公共交通機関利用の場合

公共交通機関利用の場合はJR青梅線・御嶽駅が最寄りとなります。所要時間はJR立川駅から青梅駅乗り換えで約50分(乗り換え時間によって変動あり)、土日祝日はJR新宿駅からホリデー快速おくたま号で青梅駅乗り換えで約1時間15分です。

御岳駅バス停(撮影:鷲尾 太輔)

御嶽駅前からは、西東京バスに乗り換えて御岳登山鉄道滝本駅近くのケーブル下バス停まで移動します。所要時間は約10分です。

御岳登山鉄道・滝本駅(撮影:鷲尾 太輔)

ケーブル下バス停から坂道を2分ほど登れば、ケーブルカーが発着する御岳登山鉄道滝本駅です。券売機が設置されていますが、交通系ICカードなら乗車券を購入せずに乗車できます。

御岳登山鉄道|時刻表

自動車利用の場合

滝本駅駐車場(撮影:鷲尾 太輔)

自動車利用の場合、圏央道・日の出ICが最寄りとなり、約30分で御岳登山鉄道滝本駅に到着します。こちらに併設された駐車場を利用しましょう。

御岳山の魅力を動画でリアルに体感!

御岳山を山歩する吉岡里帆さんと井浦新さん(出典:YAMAP MAGAZINE

俳優・吉岡里帆さんと井浦新さんが御岳山を山歩する動画も必見!全6編の動画で、御岳山の魅力をたっぷり紹介しています。ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/playlist?list=PL0yTTQICNPPtrVkSSm0GJkz9q-nUPtkwI

執筆・素材協力=鷲尾 太輔(登山ガイド)
トップ画像=めんとすさんの活動日記

鷲尾 太輔

山岳ライター・登山ガイド

鷲尾 太輔

山岳ライター・登山ガイド

登山の総合プロダクション・Allein Adler代表。山岳ライターとして、様々なメディアでルートガイドやギアレビューから山登り初心者向けのノウハウ記事まで様々なトピックを発信中。登山ガイドとしては、読図・応急手当・ロープワークなどの「安全登山」から、写真撮影・山岳信仰・アウトドアクッキングなど「登山+αの楽しみ」まで、幅広いテーマの講習会を開催しています。とはいえ登山以外では根っからのインドア派 ...(続きを読む

登山の総合プロダクション・Allein Adler代表。山岳ライターとして、様々なメディアでルートガイドやギアレビューから山登り初心者向けのノウハウ記事まで様々なトピックを発信中。登山ガイドとしては、読図・応急手当・ロープワークなどの「安全登山」から、写真撮影・山岳信仰・アウトドアクッキングなど「登山+αの楽しみ」まで、幅広いテーマの講習会を開催しています。とはいえ登山以外では根っからのインドア派…普段は音楽・アニメ・映画鑑賞や、読書・料理・ギター演奏などに没頭しています。