共有した経験が特別な「基準」になる|株式会社日本セレモニー【登山部インタビュー】

登山を始めるきっかけで多いのが、「職場の仲間に誘われて」というパターン。仕事とプライベートを分けたいという人もいる一方、なぜ同僚たちと行くグループ登山が増えているのでしょうか。そこで、登山コミュニティをもつ企業の登山部員たちに、心身のリフレッシュだけではない、グループ登山の魅力を伺う「登山部インタビュー」連載をスタートします。

第一回は冠婚葬祭業を営む日本セレモニーさん(福岡県)。フラワーコーディネーターとして働く5人の女性は、春と秋の年2回ほど、一緒に山に出かけるのが習慣となっているのだそう。職場では仲間としてともに働くメンバー5人に、休日の過ごし方としての「登山」の魅力を伺いました。

2024.12.20

YAMAP MAGAZINE 編集部

INDEX

< 話を聞いた人 >
愛グループ 株式会社日本セレモニー/フラワーコーディネーターのみなさん

< 会社概要 >
1972年創業の冠婚葬祭プロデュース企業。結婚式場や葬祭会館の運営を中心に、ホテルやレストランの経営、仏壇・仏具・墓石の販売や介護ケア、流通事業(生花・写真・調理・製菓)まで幅広く事業を展開。様々な領域の業務を通して、お客様の一生に寄り添い人と人の心を結ぶサービスを提供しています。

愛グループ公式サイト:https://www.aigroup.co.jp/

「屋久島に行ってみたい!」から始まったグループ登山

── みなさんが一緒に山を登り始めたきっかけを教えてください。

八木さん:わたしたちは同じ会社で同じ職種で働いている同僚なんですが、数年前に土屋さんと『屋久島に行ってみたいよね』という話になったんです。でも、調べてみたらけっこう山道を歩くということがわかり、じゃあ練習がてら山に登ってみようかなと思ったのがきっかけでした。

土屋さん:思いついたその日にトレッキングシューズを買いに行って、相当気合い入ってたよね(笑)。同僚の一人だった濵口さんが、プライベートでよく山に登っていたのも知っていたので相談してみたんです。そうしたら他の同僚も興味を持ってくれて、同僚6人で福岡県の「飯盛山(382 m)」に登ったのがいちばん最初ですね。

▲飯盛山に登ったとき。左から加藤さん・八木さん・濵口さん・渡邉さん・土屋さん

── ではみなさんで屋久島にも行かれているのでしょうか?

土屋さん:実は、その最初の登山ですっかり心を折られてしまって。

加藤さん:「飯盛山(382 m)」は私の地元の山なのですが、幼稚園生とかも遠足に使っていたので、ハイキング程度の簡単な山だと思っていたんです。でも実際に行ってみたら、ロープを使うような岩場もある結構ハードな山で。申し訳ないことをしたなあ、と今も思っています(笑)

▲飯盛山(382 m)の登山道にあるハードな岩場。ロープも使って登ります。

土屋さん:達成感を感じる余裕もなく、頂上ではただただ「つらい」という気持ちから、自然と涙が出ましたね(笑)そこからコロナ禍もあって、しばらく登山からは離れてしまっていたのですが、他のメンバーに引っ張ってもらいながらちょこちょこと活動再開しています。

濵口さん:だから結果的にはまだ屋久島には行ってないんだよね。今は年2回くらい、春と秋に福岡県内の山に登っています。

渡邉さん:最初は目的ありきで始めたけど、今はリフレッシュや運動がてらの遊びとして、みんなで遊ぶ休日の過ごし方のひとつになっているよね。

大切なのは、「山」だけじゃなく下山後の「グルメ」

── 訪れる山について、選ぶ際に重視していることはありますか?

濵口さん:福岡県内の、景色が良くて登りやすい山を選んでいます。きつすぎず、無理なく参加できるのが理想ですね。夫も登山をするので、夫に相談したりもしています。あとは、登山後にごほうびとして、お茶やご飯を楽しめるかどうかも重要。

▲登山後の楽しみである美味しいグルメたち。下調べは土屋さんの得意分野!

八木さん:土屋さんがグルメ担当で、登山口周辺のよさそうなお店を調べてくれたりもしています。あとは、メンバーが希望する山にみんなでチャレンジしたりもしていますね。

渡邉さん:「宝満山(829 m)」は以前から登りたいと思っていた山で、私の希望でみんなと一緒に登ることができました。やっぱり他の山に比べて標高も高いぶんきつかったけれど、きつかったからこそ印象に残っていて忘れられない山行ですね。

▲宝満山登頂記念の集合写真。みなさん、いい顔してますね。

── これまでに訪れた山のなかで、紹介したいおすすめの山はどこでしょうか?

土屋さん:「岩屋山(281 m)」ですね!太宰府天満宮が近くて、登山のあとも参道にあるお店で食べ歩きを楽しめるので充実感がありました。

▲岩屋山(281 m)山頂での集合写真。空が広い!

▲下山後は暖かな屋内でティータイム。ここまでセットで「山登り」なんですね。

濵口さん:たぶんカロリーより摂取カロリーのほうが多かったよね(笑)下山後に行きたいお店が決まったら、その内容にあわせて登山の出発時間とかを逆算して私の方で考えています。

八木さん:わたしは「可也山(365m)」が好きでした。登りやすい距離やコースに対して、山頂からの景色がとっても良いんです。海や街が一望できるし、下山後のお店も充実しています。

▲可也山(365m)山頂からの景色。

それぞれが思う「山登り」の魅力

── 登山の活動を通じて感じる、「山登り」の魅力は何ですか?

八木さん:やっぱり登山は、ほかのものでは得られにくい「達成感」がありますね。登っている最中はきついと感じますが、性格上がんばるのは好きなので、『また行きたいな』と強く思います。

渡邉さん:私は、山の中でしか感じられない、特有の自然の香りが大好きで、そこが魅力だと思います。私たちはフラワーコーディネーターとして働いていますが、いつもは洋花と呼ばれるような観賞用のお花を扱うので、山に自生しているような花はいつも新鮮な気持ちで観察しています。自然に癒されつつ、適度に疲労を感じられる登山は、健康にもとてもいいと思います。

▲切り株から生えている花。生命の力強さを感じます。

濵口さん:私も八木さんと同じで、「達成感」ですね。登山はゴールが明確で、達成感を得やすいなと感じます。あとは、がんばったあとのごはんが美味しいところでしょうか!やっぱり、山の上のカップ麺は、平地の100倍美味しいです!

▲山ごはんを振る舞う濵口さん。

加藤さん:確かに、その日のうちに達成感を味わえる面白さは「登山ならでは」だよね。標高とかコースとか、ステップアップしていく楽しみもあるし、自分の可能性を感じられる。最近はひとりでも山登りをするようになっていて、最近は山の中でお抹茶を点てる「野点」を楽しんでいます。山は、いろんな楽しみ方ができて包容力がありますよね。

土屋さん:数ある運動のなかでも、靴だけあればいける「手軽さ」も魅力なんじゃないかなと思います。みんなで公園をランニングしたりしていた時期もありましたが、景色の移ろい、変化などを含めると、山登りのほうが面白いと感じます。

登山を通じた、関係性の「変化」とは

── 最後に、登山をするようになってからの関係性の変化はありますか?

渡邉さん:私たちは休日が平日という特性もあって、登山以外にもイベントを組んでよく遊んでいたり、もともと仲の良いグループだと思います。ですが、やっぱり最初の「飯盛山(382 m)」の思い出はかなりインパクトがあったよね。

加藤さん:わかる。辛いことを共有して、みんなで乗り越えた感じがあるよね。それでいうと「宝満山(829 m)」もいい思い出。「乗り越えた感」を共有できるのは結束力になっているかも。

土屋さん:日常で嫌なことがあったら、「でも、飯盛とどっちがつらい?」とか「飯盛に比べたらがんばれるよね」とか、代名詞みたいな使い方をしているよね(笑)経験を共有しているからこそ、バロメーターのように機能してる。

加藤さん:確かに、同じ基準を持っている、っていうのは良いことだね。登山のおかげで、同じ基準を持てているってことだね(笑)

社内登山へ行こう!仲間と楽しむ自然時間のススメ

自然の中でリフレッシュできるだけじゃなく、仲間との結束力も深まる「登山」。同じ景色を見て、同じ達成感を味わうことで生まれる一体感は、心の距離を縮め、信頼や絆を育んでくれます。仲間との絆が深まることで、日々の仕事にも思わぬ変化が生まれるかもしれません。

「次の週末は、会社の仲間や友人と一緒に登山をしてみようかな?」

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YAMAP MAGAZINE 編集部

YAMAP MAGAZINE 編集部

登山アプリYAMAP運営のWebメディア「YAMAP MAGAZINE」編集部。365日、寝ても覚めても山のことばかり。日帰り登山にテント泊縦走、雪山、クライミング、トレラン…山や自然を楽しむアウトドア・アクティビティを日々堪能しつつ、その魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと奮闘中。