登山やキャンプなど、アウトドアに親しむ女子ならぜひと知っておきたいのが、「メイク」&「スキンケア」のお話。普段から登山・アウトドアを楽しむ登山女子3人の座談会を通して、アウトドアメイクの基本や季節に応じたスキンケアのコツ、おすすめアイテムを紹介します。
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2021.01.30
YAMAP MAGAZINE 編集部
登山やキャンプといったアウトドア・アクティビティを楽しみたい。けれど一方で気になるのが、日焼け対策やメイクのあれこれ。「日焼け対策ってみんなどうしてるの?」「化粧ポーチの中身が気になる」などなど、女性ならではの疑問って、ありますよね。
そこでお話を伺ったのが、かほさん(登山系YouTuber)、渡辺佐智さん(登山ガイド)、上間秀美さん(化粧品会社広報)の御三方。
それぞれ普段から登山・アウトドアに親しんでいる諸先輩方として、色々と教えていただきました。
ー早速ですが、登山用ポーチの中身を見せていただきつつ、山との出会い、日焼け対策・スキンケアのポイントなど伺えたらと思います。
かほ:登山歴は4年、テレビのADをしていた頃に仕事で山に登ったのがきっかけです。登山時のメイク道具は粉おしろいとチークくらい。最低限のアイテムであまり気にしていないのですが、山は照り返しが強いので紫外線対策を徹底しています。
山へ行くときは必ず、資生堂さんが出しているスポーツ用のリキッドファンデーションと、アネッサの一番強い日焼け止めを使っていますね。YouTuberという職業柄、動画にはお化粧をして出たいので、汗に強いタイプのものを選んでいます。
渡辺:私は母が登山好きだったので、母に連れられてよく子どもの頃から山に登っていました。登山ガイド歴15年、年齢が上がるについてどんどん出てくるシミやそばかすをどうしたらよいのか。今日はその答えを伺いに参りました(笑)
普段の持ち物はこんな感じ。日焼け止めにリップなど、必要最小限のものを厳選し、ハブラシと塩、コンタクトやシートなどと一緒に同じポーチに入れています。ファンデーションなどは使わず日焼け止めだけなので、その代わり、顔と手の塗り直しを頻繁にしていますね(最近ちゃんとするようになりました)。
上間:登山を始めたのは12~13年、前に母と一緒に富士山に登頂したとき。山頂で虹色の光の輪が出るブロッケン現象を見て感動して以来、ゆるく登山を続けています。
スキンケアの方は…職業柄、日焼けは大敵。紫外線対策には日頃から気を使っています。日常生活ではSPF40ぐらいの日焼け止めですが、山でも絶対に日焼けしたくないので、登山時はSPF50程度の強めのものを使います。荷物を少なくするために小さいサンプルの化粧品を持っていくのですが、化粧水、クリーム、UVカット、下地、ファンデーションをつけて登ります。あとは乾燥するので、リップクリームと目薬も取り出しやすい場所に入れて乾いたらつけるようにしています。
ーやはり共通するのは日焼け止め、ですね。こまめに塗り直すのが良い、とわかってはいるのですが、登っていると、ついつい忘れてしまいます。どれくらいの頻度で塗るのが適切なのでしょうか?
渡辺:私自身は、気がついたら塗る、を心がけています。もしくは、休憩したら塗る、と決めておくと忘れずに済むかも。
かほ:気がついたら塗るって大事ですよね。私の場合、手の日焼けも気になるので、スティックタイプの日焼け止めを持参してこまめに塗り直すようにしています。
渡辺:たしかに、手がけっこう焼けてらっしゃいますね。よく登山されているのがわかります。
かほ:そうなんです! 私の場合、動画の中でお料理をしていると手元が映るので、視聴者の方にもよく指摘されます。手袋をして登ったりもして対策はしているのですが、手袋の中で汗をかいたり、食事のときに手を拭いたりするので、どうしても焼けてしまいますね…
上間:私は顔や首が焼けないように、後ろに日除けがついている帽子とUVカット機能のついているフェイスカバーを装着して登ことが多いです。鼻の部分に穴が空いているので、マスクみたいに苦しくはないですし、便利なんです。
かほ:あ、フェイスカバー、私も使ってます! 私のは、上からネックウォーマーのように被るタイプですけど。他にもサングラスや日傘も持参して、登山口まで距離があって歩く時や、山頂で休憩するときに使っています。メイクに手間をかけない分、メイク以外で対策できることはすべてしていますね。
上間:フェイスカバーをしていると汗でメイクがドロドロになるので、最初はつけるのに抵抗があったのですが、それでも焼けたくないので帽子とフェイスカバーでガードをして、日焼け止めを何度も塗り直しながら登っています。
渡辺:以前はマスクつけて登っていると、大丈夫かなって思われてしまったけれども、コロナでフェイスカバーがつけやすくなりましたよね。
上間:自社商品ですが、このスプレータイプの日焼け止めも愛用しています。SPF50+、PA++++と最高の強さにもかかわらず、メイクの上からシューッと吹きかけるだけでいい。便利です!
ー日焼け止めのこまめな塗り直しは基本中の基本。スティックタイプの日焼け止めやサングラス、フェイスカバーなどのアイテムの併用も重要、ということですね。ふむふむ、勉強になります。ところで、紫外線対策って、季節によって変化するものですか?
かほ:私は季節で変えるというより、通年で紫外線対策を徹底するようにしています。
渡辺:私も季節ごとに何か特別なケアをしているわけではないのですが、一年の中で一番焼けるのが3月の残雪期。この時期だけは、つばが大きい帽子を被るようにしています。それから、夏は上からの紫外線対策だけでいいのですが、秋は日差しが弱いけど横からの紫外線を多く浴びてしまうので、サングラスをして目から入る紫外線を少なくするなど、気をつけています。
上間:同じ紫外線でも、季節によって微妙に変化があるんですね。
渡辺:あとは、肌が乾燥していると日焼けが酷くなるんですね。
かほ:え、そうなんですか?
渡辺:これは失敗談なのですが、以前、冬山の仕事が1ヶ月ぐらい続いたときにスキンケアを怠ってしまって、あっという間に真っ黒に日焼けしてしまったんです。登山中は日焼けをしていることに気づかなくて、撮ってもらった写真を見て愕然としました。
肌の水分量の少なさが日焼けに直結することを痛感したので、それからは、どこから光が当たっているのかを常に意識して、日焼け止めを小まめに塗り直すようにしています。
ー肌の水分量の少なさが日焼けにつながる…。水分、大事ですね。
渡辺:水分といえば、水分を「補給」することも大事ですよね。
上間:水分補給、というのは、お水を飲むということですか?
渡辺:まず、お水をたっぷり飲むこと。それから、日焼け止めを塗る前に肌の保湿対策をしっかりすること。山へ行くときは、この2つを心がけています。自分の体内の水分量が足りないと、日焼けするのが速いし黒く焼けるんです。
かほ:なるほど!
渡辺:特に女性の場合は、トイレに行く回数を減らすために水分をあまりとらずに登る方が多いんです。汗をあまりかかない秋冬は、水分をとらなくても行動できてしまうので、余計に乾燥が進む。これを回避するには、500mlペットボトルを、朝起きてから登山開始までの3時間ぐらいの間に、染み込ませるように少しずつ飲むのがベターです。
かほ:水分補給が日焼け対策に関係しているなんて、びっくりです。
上間:お肌にとって、水分補給と保湿は不可欠。山でも街でも、基本は同じってことですね。
渡辺:下山後も、登山で失われた水分量を夜寝るまでに飲んでおくと、疲労回復も早いし、日焼け対策にもなりますよ。
✳︎
かほさん、渡辺さん、上間さん。化粧ポーチの中身もこだわりポイントも三者三様ですが、共通するのは紫外線対策に気を配っている点。自分の登山スタイルや好みに合わせて、無理なくしっかりケアされているのが印象的でした。
次回テーマは、登山女子ならこれまた気になるであろう「下山後の保湿・スキンケア」と「山で泊まるときのメイク落とし」について。こちらもお見逃しなく!
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かほ
登山YouTuber
2019年10月からYouTubeチャンネル「かほの登山日記」を開設。その後、2020年2月に勤めていた会社を退職し専業YouTuberとなり、自身の登山体験を発信している。
渡辺 佐智(わたなべ・さち)
登山ガイド
春から秋は登山ガイド、冬から春はバックカントリーガイドとして、四季を通して日本の山で活動する。山はいいなあ、と登山者それぞれの思う気持ちを大事にしたい。初心者から中級者へ安全に登山を続けるためのサポートを心がけている。個人的には山菜きのこ採りに加えて、渓流釣りも楽しくなりはじめて山は飽きない。枻出版「ランドネ」で「やまのさち」連載中。
「やまのさち」登山がより楽しくなる安全情報サイト
上間 秀美(うえま・ひでみ)
株式会社協和 広報PR
大学卒業後、システムエンジニア、外資系化粧品会社に転職、その後2014年協和に入社。販売促進、イベントチームを経て、広報PR担当に。とにかくアクティブでテニスや登山などを楽しむ。立山連峰では本当に天気が良くて、6回いった人が今までで一番いい天気というほどの晴れ女。その時の青い空、白い雲、緑の山々の景色が最高でした。山に登った人しか見れない綺麗な自然の景色に出会うことが楽しみです。槍岳と剣岳にチャレンジしたい。
編集協力/矢作ちはる 写真/神保達也