YAMAP10周年にちなみ、10年後の2033年を予測する特集シリーズ「DESIGN 2033」。今回はその中でも目玉企画となる「登山地図GPSアプリYAMAPの10年後」についてお届けします。YAMAP MAGAZINE編集部では記事に先立ちユーザーのみなさんにアンケートを実施。2033年のYAMAPの姿を大予測していただきました。そのアンケート結果を検証するのは、いつもはYAMAP社員だけがリスナーの社内ラジオ「YAMABIKO RADIO(ヤマビコ ラジオ)」のパーソナリティ3人。今回は社内ラジオ・特別版でお送りします! それでは、ヤマビコラジオの始まり始まり〜。
後編「ユーザーが予測する『YAMAPの2033年』を中の人が徹底検証!|会社の取り組み編」はこちらから
2023.03.24
YAMAP MAGAZINE 編集部
土岐拓未(とき たくみ) YAMAPプロダクトマネージャー
YAMAPの思想をサービスに変えていくための設計を担当。沢とクラックを愛するロッククライマー。ライフワークの音楽では趣味の域を超え、「ゴルジェ」という謎のジャンルで海外から楽曲を発売するほど。ヤマビコラジオの挿入音も作成。YAMAP歴4年。
田渕哲平(たぶち てっぺい) YAMAPプロダクトマネージャー
YAMAPユーザーが抱える課題を見つけ改善を行うチームを率いる。お笑い好きで、自分が笑うのも人の笑顔を見るのも好き。3Dプリンターを使ってデスク周りのツールなどをつくることにハマり中。長崎県の五島列島出身。島の自然に恩返しするのが夢。YAMAP歴7年。
﨑村昂立(さきむら こうた) YAMAPブランディングディレクター(本日の進行係)
YAMAPの思いを世に広めるのが仕事。写真撮影や動画撮影なども器用にこなすクリエイティブ隊長。写真、映像、バスケ、アニメが趣味。最近、綺麗な海で知られる福岡県の糸島に引っ越したので、サーフィンを始めたいと思っている。YAMAP歴7年。
﨑村(進行係)
ヤッホー!(ヤマビコラジオではおなじみの挨拶です。みなさんも!)
みなさん、今日はヤマビコラジオ「超」特別編ということで、なんと YAMAP MAGAZINE編集長から出演のオファーをいただきました!
一同
おー!(拍手)
﨑村
どんなオファーかというと、10年後のYAMAPについて3人でしゃべってくれという、難しい内容です。大丈夫でしょうかね…。
今回10周年を迎えるにあたり、ユーザーさんにアンケート(※1)を取り、YAMAPの10年後を予測してもらったんです。
そこでヤマビコラジオに下された指令は、ユーザーさんの予測の中でも特に多かった意見に対して、それらが10年後の2033年に実現しているのかしていないのかを検証してほしいというものです。
チラ見してしまったので、ちょっとだけ頭出しすると「山を登り始める前や下山した後の情報がより手厚く拡充されている」や、「待望の世界進出」などなど…。YAMAP、かなり期待されてますよ!
※1:2023年2月実施、n=268
土岐
それは楽しみですね。
僕たちも真剣・体当たりで答えていきましょうよ。いつものラジオみたいにね。
﨑村
ですね! まずは、ヤマビコラジオというYAMAPの社内ラジオの紹介から。発起人の田渕さんから紹介してもらってもいいですか?
田渕
はい。コロナ禍でリモートワークになった直後、社内の交流が激減してしまったんです。雑談もほとんどせず、会話が業務の話ばかりになってしまって、よくないなと。それで社内限定のラジオをやってみたらどうかと思って、試しにやってみたんです。アンケートを取ると、「これからも続けて欲しい」という意見が100%でした。今では始めてから2年になります。
﨑村
発起人の田渕さんは普段どんな仕事を?
田渕
開発チームでプロダクトマネージャーをしています。ユーザーさんの声を聞いて、不具合を修正したり、より使いやすくなるよう改善を行ったりしています。
土岐
僕もプロダクトマネージャーです。沢登りと岩登りが好きで、昨日の朝まで四国の大堂海岸で岩登りをしていたので、今日は体がボロボロです(笑)。
﨑村
僕は、ユーザーさんの目に触れる動画をはじめとしたコンテンツをつくっています。今、力を入れているのは、ハイキングや登山の楽しさを世に広め、いろんな人が楽しめる世界を実現することです。
﨑村
では早速、アンケート結果を見ていきましょう。
「10年後のYAMAPアプリの大予測」ということで、ユーザーのみなさんからさまざまな意見が寄せられましたが、最も多かったのが「山小屋や移動手段の予約」「駐車場の混雑状況のリアルタイム情報表示」などの登山前後の情報が拡充されるという未来。
10年後に実現できているか否か、○×形式でそれぞれの意見を表明したいと思います。
一同
せーの!
﨑村
おおーーー、3人とも「◯」。
10年後には実現していると。
田渕
これはもう、2年後くらいには実現できていそうですね。
﨑村
山の1日って、登山だけじゃ終わらないですよね。行って帰ってくるまでが遠足、じゃないけど、登山は山登りの前後を含めて登山ですよね。
僕らはよく「ジャーニー(旅程)」といってます。登山中を含め、日々の生活の中で自然や山に思いを馳せたり、次の予定を考えたりする瞬間があると思うんですよね。そんな時に、ユーザーさんにいつも寄り添えるような世界を、アプリだけじゃなく、YAMAPストアやYAMAPマガジンなどあらゆる接点を通して実現したいなって。
そう考えたら、この「登山前後の情報拡充」というのは当然ですよね。
土岐
そうですね。デジタルでさらに便利にできる部分は、どんどんデジタルで解決していきたいですね。「情報」はデジタルの一番得意なところなので、かなり実現度は高いと思います。
10年前のYAMAPには、ごく一部の山のコース情報しか収録されていませんでした。でも、ユーザーのみなさんが使ってくれることで、どんどんログが集まって情報が増えていった。つまり「テクノロジー」と「みなさんが寄せてくれる情報」の両軸が、発展の原動力なんです。
今後は、駐車場混雑状況や登山口近くの温泉などについても、みなさんから寄せられた情報を活用できるようにしていきたいですね。
﨑村
僕は10年後には、日本人の3人に1人は山に登っている世界になっていたらいいなと思っているんですよね。
そう考えると、山に行くために交通機関を使う人も増えるだろうから、たとえば、もっと登山者が地元の電車・バス・タクシーを使いやすくなるように、YAMAPがそれらの会社さんを結びつけたり連携したりすることが、10年後だったらあるかもしれない。
ユーザーさんだけじゃなく、山に関わる事業者さんも、役立つ機能を一緒につくってくれるパートナーみたいになればいいですね。
土岐
そうそう、YAMAPは「ヤマップ」という会社がつくっているのではなくて、ユーザーやパートナーなど山に関わるみなさんでつくっていくものだと考えています。このYAMAPの2033年も、みなさんと一緒につくっていきたいですね。
田渕
山に関する人類の叡智によって情報が集まって、それがデータベース化されてすぐに使えるようになればいいなと思います。
﨑村
では、次の予測。「世界中の山・トレイルの基本情報と地図を網羅」はどうでしょう?
10年後に実現できているか否か、○か×かでお願いします。せーの!
土岐
△(さんかく)ですかねー。
田渕
僕は「◯」ですね。
﨑村
一部「◯」でもいいですか?
田渕
いよいよYAMAPの世界進出ですね。10年後は世界中の人がYAMAPを使っているかもしれないということですね。
﨑村
海外からの観光客も戻ってきているし、YAMAPアプリが外国語対応するタイミングとしてはいいですよね。でも、いろいろな観点から見て、10年後に世界進出してるかどうかといえば、どうなんでしょう?
土岐
もちろん海外進出はやりたいしやれる、と思っています。ただ、課題も多いと思っていて、その課題を10年後に解決できているかは悩みますね。
YAMAPは使う人がいるからこそ情報が集まって、その情報を提供できるからこそ使う人が増えて、っていう、卵が先か鶏が先かの話に似てるんですよね。だから、まずは海外進出しないことには始まらない、しかし海外進出するには海外の山の情報がない、というジレンマはありますね。
また、良くも悪くも、今のYAMAPは日本の山文化に特化した構成になっています。海外は一つひとつの山というより、トレイルという切り口で見る人が多くて。そういうことも含めて、海外のカルチャーとフィットする形にしないといけないとか、いろいろ課題はあるかなと。
田渕
海外の地図アプリで有名なものに、「AllTrails(オールトレイルズ)」がありますよね。
土岐
オールトレイルズは、山単位じゃなくて「こういう道があるよ」という情報がデータ化されています。日本でいえば「表銀座コース」とか「後立山縦走コース」といった、コース情報が並んでいるような感じです。日本だと「〇〇山に登ったよ」っていうけど、捉え方が違うんだろうなと思います。
田渕
以前、台湾の人と一緒に山に登った時に、日本と海外の登山の違いを感じたことがありました。その人は山頂までちゃんとたどり着いたんですけど、前日までの仕事で疲れ切っていたようで、フラフラしていて全然楽しそうじゃなかったんです。
大丈夫だったか聞いてみると「台湾ではそもそも、山頂は目指さない」、と。景色がいいところまで歩いて、お弁当を食べて帰る。「日本の登山は登山ではない」っていわれました。日本の登山文化の押し付けにならないように、気を付けなくちゃと感じましたね。
土岐
日本でも、沢登りなんかは山頂を目指さないですよね。滝をいくつか登って、楽しかったといって帰ってくる。
田渕
山頂を目指すことが当たり前になっているところが、登山の敷居を上げているところかもしれないですね。
﨑村
海外進出は、想像するだけで面白いですよね。日本の山って“ある意味”生ぬるいと思うんですよ。南国とかアメリカ大陸とかに行けば、ヤバい毒を持った動物とか、下手するとトラとかピューマとかもいるじゃないですか。日本はとりあえずはクマだけ注意しとけばいいけど。
土岐
九州にはクマがいないから、僕ら九州人はさらに甘々ですよね(笑)。
田渕
僕たちの山に対する常識を変えることから始めないといけないってことですね。
で、海外でいえば、どのあたりから始められそうですかね。
﨑村
よく挙がるのは、台湾や韓国、北アメリカとかですよね。韓国って、人口は日本の半分弱なのに、月に1回以上登山する人が1,200万人くらいいるらしいんです。これって日本の人口で考えたら、2,500万人くらいは月イチで登山していることになる。すでに僕らの目指してる世界観になってるんですよね。
Google マップで見ると、ソウルは神戸みたいに山と街が近くて、その山が東京を代表する高尾山レベルにルートが整備されていて、登りやすいんだろうなと思います。電波も入るし、すごいですよね。
土岐
今の延長線上で、YAMAP内に世界の地図が増えていく可能性はありますよね。日本人が海外の山に行く際に使ってもらうのはイメージできますけど、海外の人にYAMAPの海外の地図をどんどん使ってもらえる状況になるまでは、もう少しかかるかな。
ただ、海外でも役に立つ、便利だと思ってもらえる価値のあるサービス、アプリはつくっている自信があるので、ぜひ海外の人には使ってもらって広げたいですね。
﨑村
では、より未来っぽい話にいきましょうか。「ウェアラブルデバイスの進化」はどうでしょう?
10年後の2033年に実現できているか否か、○か×かでお願いします。せーの!
土岐 △
田渕 ◯
﨑村 ほぼ◯
﨑村
これはありそうじゃないですか? YAMAPはアップルウォッチにはすでに対応していますし。
メガネ型デバイスのスマートグラスはどうでしょう? いちいち目の前に情報が現れたらウザくないですかね?
田渕
たとえば、分岐に出たら、正しい道がメガネのレンズ上に出てくるイメージですよね。
﨑村
いる?
土岐
つまり、スマホをポケットから取り出さないといけないっていう、あの動作をどこまでなくせるかですよね。
﨑村
アップルウォッチでよくないですか? みんながスマートグラスをかけて登ってる未来って来るかなぁ。
眼鏡型のカメラには期待してますよ。今撮りたい!って思った瞬間に、自分が見ているそのままの風景をカシャっと撮れる。あとは、すれ違った人の顔を認識して、遭難捜索に役立てたりできるならいいと思います。
田渕
どこまで山を便利にするかという問題はありますよね。そんなに便利がいいなら、山頂までヘリコプターで行けばいいみたいな話にもなるけど、それを求めているわけではないですもんね。
土岐
不便を楽しむことが登山の中心にはあって、それ以外のところは便利にしたい。でもその境界線は、人によって意見が分かれるところです。すべてを便利にするのは、YAMAPがやることではないと思っています。
﨑村
人が自然に触れるための選択肢を増やすことが、YAMAPの役割かなと思うんですよね。たとえば、日本人の3人に1人が登山を趣味にする世界が実現できれば、YAMAPのアプリそのものは使わないという人がいてもいいと思っているんです。
土岐
たとえば、地図はYAMAPを使わないけど、山道具のレンタルではYAMAPを活用する人がいるなど、山にまつわるさまざまな用途で使えるようにする感じですよね。いろいろ選択肢を提示できるようにしていきたいですよね。
﨑村
ってなかんじで、前半はここまででしょうか。
ではみなさん、今回はYAMAP社内ラジオ「ヤマビコラジオ」番外編をお届けしました。
後半もぜひお楽しみに!
土岐・田渕
ここまでお聞きいただき、ありがとうございました!
*
今回は、YAMAPアプリについて、YAMAPユーザーのみなさんから寄せられた大予測を検証しました。このほかにもたくさんの予測を上げていただいています。「予測」はつまり、みなさんの「大きな期待」と受け止め、次の10年に向けてYAMAPの進展に活かしていきたいと思います。
次回は、YAMAPという「会社」や手がけている「事業」の10年後に話題を広げ、検証していきたいと思います。
▼ヤマビコラジオとは?と思った人はこちらから。
コミュニケーション不足を社内ラジオで解決!「YAMABIKO RADIO」の取り組みとは?
YAMAP MAGAZINE 編集部
YAMAP MAGAZINE 編集部
Jun Kumayama
WRITER
Jun Kumayama
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YAMAP MAGAZINE 編集部