親子3人の登山の様子を、愛らしいイラストで綴る人気インスタグラマーのヤマガスキナダケさんが手掛ける新連載「今日もコドモと山にいます」。編集部に寄せられる親子登山や子育ての質問に、ヤマガスキナダケさんが、もちまえのふんわりさでお答えします。第1回目の質問は「一緒に山に登っていれば、子どもは自然を好きになりますか?」という素朴な疑問。ご自身も「子どもに自然を好きになって欲しい」という思いから親子登山を始めたということですが、果たしてその効果はあったのでしょうか?
今日もコドモと山にいます|親子登山のあれこれをヤマガスキナダケさんが指南! #01/連載一覧はこちら
2020.05.14
ヤマガスキナダケ
会社員イラストレーター
私と奥さんが登山を始めたのが同時期だったんです。
だから登山の楽しさのピークも重なり、休みのたびに家族で山に行っていました。息子からしたら好きにならざるをえない状況だったんじゃないかな(笑)。
知識レベルもみんな同じ位だから、親子登山をどう楽しむかの試行錯誤もスムーズにでき、うまく子どもを山に引き込めたと思ってました。
そんなこんなで4年が過ぎたある日、息子に突然の告白を受けたのです。
自然大好き少年になっていると信じていただけに全く予想だにしなかったまさかの告白。夫婦揃って驚いたし笑いました。
木目がだめって言われたら登山なんて完全終了じゃないですか(笑)。「じゃ、今までどうしてたん?」と息子に聞いたら「ずっと我慢してた」って。
この4年間、息子に山で楽しんでもらうために夫婦で色々と頑張ってきたつもりだったんです。私は山の動植物の名前や知識をたくさん覚えたし、奥さんはイモリでも虫でも触れるようにすらなった。
だけどある意味、一番頑張っていた(我慢していた)のは息子だったという…(笑)。
キノコ嫌いは前から薄々分かっていたけど予想以上に苦手みたいで笑った。とはいえキノコキャラだけはやめませんけどね(笑)
楽しそうにしている僕たちに気を使っていたのかと思うと、少し申し訳ないなと感じるけど、その後も文句を言いながらも山について来てくれるし、結局いつも一番楽しんでる(笑)。
「登山で我慢することを覚えたんじゃない?」って奥さんは笑いながら言ってたけどあながち間違ってはいないのかもしれない。
でも我慢というよりは「気にしない」ことを覚えたような気がします。
子どもにとって山という場所はどちらかといえば「苦手なもの」が多い場所だと思うんです。そこに無理やり放り込んだことで小さなことを気にしない「おおらかさ」を身につけたのかもしれない。
これから先、苦手なものがあっても気にしないで楽しめることって、普段の生活の中でも必要だし、ストレスを溜めない意味でもとても重要だと思うんです。
葉っぱは全然苦手じゃありません。なぜか木目だけが苦手という謎の生態…
この「気にしない」性格って奥さんの性格なんですよ。
どんな場所や場面でも全力で楽しんでる。奥さんのそんな一面を見て、息子だけじゃなく私も学ぶことが多かったなぁ。
子どもを山好きにさせようとしても、なかなかうまくいかないものです。
親子登山はまずは安全でないといけない。そのためには親も山探しからルート選び、ウェアやギア、動植物の知識まで少しは勉強しなくちゃいけない。
でもそれが、今思えば全部楽しい時間だったんですよね。
そしてその楽しさは、子どもに伝わっていたと思うんです。結局のところ、親が全力で楽しんでいる姿が、子どもにとっては何よりも大切なんだと思います。
我が家の家訓は『どうせやるなら何でも楽しく』奥さんの言葉です。
我が家の家訓です
大きくなって親子登山の回数は減ったけど、最近初めて息子の方から「久々に山行きたいな」なんて言われました。気を使ってんのかな…(笑)
なんだかんだ結果オーライ。我が家の子どもは、小さいことを気にせず自然を楽しめる子どもに育っていると思います。
そして「大人も子どもの成長に対して、細かいことを気にしない」というおおらかさを持つことが、子育てを楽しむコツだと親子登山を通じて教えられた気がするのです。
昆虫には興味津々です。良いのか悪いのか蚊も殺さない優しい?子になった(笑)
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